二次創作小説(紙ほか)
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- Princess Teens
- 日時: 2018/06/10 22:27
- 名前: まるき (ID: Mm9jHYga)
輝く10代になれる
- Re: Princess Teens ( No.56 )
- 日時: 2018/07/26 21:06
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
「寒いね…」
美里がマフラーにかおを埋めて肩を震わせている。12月、全国でも類を見ない寒波が12月にやって来てしまったらしい。逢花もブレザーの袖の中からセーターの袖を引っ張り出し、手先を覆った。
「これからバイト?」
「うん」
「たまには休みなよ〜明日クリスマスなんだから」
「明日来れない人多くて、シフト入っちゃった」
じゃあ集まれないじゃん!と美里が嘆いているので、逢花はごめんと呟いた。
「とりあえずさ、来れたら来てよ」
「分かった」
「宍戸くんと予定があるなら全然構わないしさ!」
「会う予定ないもん」
亮くんは友達の家のお店を手伝うらしい。私はバイトが入っている。分かれ道で美里と別れた。
- Re: Princess Teens ( No.57 )
- 日時: 2018/07/26 21:17
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
午前中は課外。午後は部活。遠征やら練習試合やら年明けは忙しくなりそうだ。全然冬休みに入った気がしねぇー。俺はもう机に張り付いて寝ていた、途中で顧問がやって来てめちゃくちゃ怒られた。
「忍足と跡部は?」
「あいつら特進選抜だから午後まで課外あるぞ」
亮、岳人、慈郎、若はコートに出てアップを始めた。
「今日ちょっと寒いですね」
日吉はウインドブレーカーのファスナーを顎先まで上げた。岳人はフードを被って、慈郎にもフードを被せて紐を結んで遊んでいる。
「お似合いですよ」
「岳人〜笑われてるよぉ」
「お前もだろ」
ゆきんこ状態の慈郎と岳人は、観客席に練習風景を見に来た女子生徒たちに可愛いと言われていた。亮は普段は暑苦しいものの、今日は特に手先が冷えている。ホッカイロを握りしめていた。
- Re: Princess Teens ( No.58 )
- 日時: 2018/07/27 22:40
- 名前: まるき (ID: Y92UWh7z)
クリスマスは亮ちゃんと一緒に過ごせる。あの街中寒色の綺麗なライトが輝く空間とか、寒いねっていいながら亮ちゃんのアウターのポケットに手を繋いで入れて歩きたい。諦めようとしたけど、やっぱり諦めちゃダメだったんだ。
「ママ、亮ちゃんとだったら結婚してもいい?」
「いいわよ!亮くんならママも大歓迎!」
咲季は本当であれば、他企業の御曹司を引き連れてくるべきなのだが亮には一家で賛成である。咲季の母親は咲季にサンタのコスチュームを手渡した。逢花とかいう女が最近また亮ちゃんと一緒にいるらしい。でも、クリスマスに会わないってことはそんなに深い関係じゃないってことだよね。私、あの子より可愛いし。愛想いいし。頭いいし。何がいいのか私が男なら魅力が分からない。どうせなら、亮ちゃんに聞いてみたい。私のこと好きか、あの子のことどう思ってるか。
- Re: Princess Teens ( No.59 )
- 日時: 2018/07/29 23:31
- 名前: まるき (ID: HTruCSoB)
「あんまりイベント事とかサプライズとか興味なくて、自分の誕生日も特別とかそういう嬉しい気持ちはない。あ、でもね今日初めて友達が自分の誕生日祝ってくれたのはすごく感動したの」
寝る前にふと思い出した逢花の言っていた言葉。俺が逢花の誕生日に逢花の家に押しかけたときだ。逢花と会えない日が続くと、写真を開いて逢花の写っている写真や料理を見てしまうし、LINEのトークを見返している。よく考えると、年間行事は生まれたときから周りが自動的に特別視していたから、俺もクリスマスやお正月なんかを特別な日だと思い込んでいるだけかもしれない。逢花のようにどの日もただの1日に過ぎないように育ってきたのなら、逢花の考え方も多少はわかる。
「亮、明日岳人くん家お手伝い行くんでしょ」
「あぁ」
「あさみちゃんとご飯行ってくるから、パパも仕事だし」
あさみちゃんと言う人は岳人の母親である。父親も仕事があって、亮は結局岳人らといることになりそうだ。
「何時に帰ってくんの」
「…あさみちゃんと温泉行くから朝方になるかも」
「親父は?」
「飲み会じゃないのー」
母親と父親は若干喧嘩中らしい。知らねーけど。リビングでぼーっとテレビを見ていた。
「亮、パパに似てきたね」
コタツに入った母がソファーに寝転がる亮を見上げて言った。
「キメェ」
「本当に似てきた!」
俺は幸せな家庭環境で育っていると思う。兄貴は成人して大学4年生になったし企業から内定も貰っている。リビングとか階段とか至る所に家族写真があって、大分前のトロフィーや賞状も飾ってある。
「あんなに可愛いかったのに」
母親の話によると、亮は小さいときに、目の前で両腕を広げられるとその人に抱きつく習性があったらしい。
- Re: Princess Teens ( No.60 )
- 日時: 2018/07/30 21:48
- 名前: まるき (ID: RO./bkAh)
スーパーのお肉売り場でステーキ肉を陳列していた。隣に小さい男の子がパタパタと走ってきて、ステーキ肉をひとつ持ち上げた。それに続くようにカートの音がして、今夜はステーキだよとお母さんが男の子に笑いかけた。男の子はお母さんと手を繋いで歩いていった。
あぁ、今日はクリスマスだ。逢花は忘れていたも同然だったが、地味に広いスーパーにはささやかながら装飾があった。
「慈郎!お菓子かってこーぜ」
「あのグミ食いたい」
「ディナー行ったらええねん」
「うるせえこのボンボンが」
「侑士くん可哀想よ」
わちゃわちゃと男子高校生らがカートを引いてお菓子やジュースをカゴに詰め込んでいる。咄嗟に避ける私は傍から見たらなんてさちが薄いんでしょう。まぁ大して誰も人を見てないので、ちょうどその時にレジのヘルプの音楽が流れた。荷台を倉庫に戻そうとしたら…メガネの8等身イケメンと目が合った。誰だっけこの人、あ、えっと
「神島さんや」
「…はい」
嘘でしょ。スーパーの作業服のエプロンと三角巾に身を包んだ女。また近くで再会するなんて。
「宍戸と会わへんの?」
「侑士くん、何言ってるの?亮ちゃんは私たちと一緒にいるんだから」
咲季は逢花を気を使うような目線でいるが、少し見下げるような目で口角は上がっている。
「あれ?亮ちゃんから聞いてなかった?…ごめんなさいね」
謝る気なさそう。忍足は軽く咳払いして口を開いた。
「クリスマスまでこんなんせんで。宍戸ならいつでも呼んだらええよ」
「絶賛寝坊中だけど、神島さんが呼んだら起きるかもね」
慈郎が寝坊という言葉を発した。
「いえ…私は仕事があるので」
逢花は軽く礼をして荷台を倉庫に持っていった。咲季はその後ろ姿を無意識に睨みつけているようにも見えた。
「余計なこと言わないでよね」
咲季は聞こえないように呟いて舌打ちをした。
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