二次創作小説(紙ほか)

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ハニカム(テニプリ夢)
日時: 2021/06/07 02:22
名前: ぺ (ID: EabzOxcq)

かわいいかわいい女の子

葉山仁奈…立海大附属高校1年。医者の家系に生まれたひとり娘。容姿端麗だが少し抜けている。
麻里…仁奈のクラスメイトで親友。一般家庭。



沙由香…仁奈の中学時代の親友。某出版社の令嬢。宍戸先輩の彼女。いまでも仁奈と親交あり。

未央…同じく中学時代の仁奈、沙由香の親友。某銀行頭取の孫。


Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.89 )
日時: 2022/01/04 03:46
名前: ぺ (ID: RO./bkAh)

幸せな気分。足が浮いて、このままどこにでも飛んでいって、何でもできそう。22時過ぎ、家についた仁奈は珍しく足音を弾ませて自分の部屋に入った。父親はリビングでヘッドホンをして眠りについていた。恐らくクラシックでも聞いているのだろう。

「蓮二は、女の子とえっちしたことあるの?」
「ない。童貞だ。」
「私はねー、」
「ないはず。前に男性経験がないことで落ち込んでいた。」
「言ってたっけ…?」
「覚えてないのか。」
「私、蓮二が百戦錬磨だったらどうしようかと思ってたの。よかったぁ、二人で頑張ろうね!」
「…仁奈がその気なら、俺も尽力する。」

仁奈はすぐベッドに飛び込んだ。蓮二と今日は5回もちゅーして、7回も好きって言われちゃった。ハイテンションのクッションを抱えて、ベッドをごろごろと左右に行き来する。かなり浮かれていて、ベッドから転げ落ちてもご満悦の表情。はぁー、蓮二いいにおいしたなぁ。蓮二の匂いに染まりたい…。

「蓮二、今何してるかなぁ。」

ぼそっと蓮二の名前を呟いてみる。今までよりも、もっとときめいて恥ずかしくなる。一方の蓮二は、いつも通りのルーティンを崩さずに生活を終えた。

今日はありがとう
大好きだよ おやすみ

仁奈

ハートやリボンなど、可愛らしい絵文字がふんだんに使われたメール。かなり目を刺激するものだが、蓮二は思わず口元を緩めた。

Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.90 )
日時: 2022/01/08 03:30
名前: ぺ (ID: wSTnsyhj)

「ねぇ、あれ忍足さんじゃない?」
「はぁ。」

部活帰り。アイスを食べるために駅前に来た長太郎が指をさした先には、カッターシャツのボタンを大胆に開け、ジーンズをダボダボにして履いている侑士の姿が見えた。日吉は侑士の変貌ぶりに、思わず目を凝らす。「チャラ男」という言葉が二人の脳裏に浮かぶ。心なしかテニスしてるときよりも、色黒くない?日焼けサロンでも行ったんじゃないか?二人がそんな会話をしていると、前方から迫ってくる侑士とどんどん距離が近くなった。

「ど、どうする?挨拶する?」
「いや、わざわざ行く必要ないだろ。面倒くさいし。」
「声かけてパラパラとか踊りだしたらどうしよう。俺、踊れないから無理だよ。あ、向日さんダンス踊れるんじゃなかったっけ。」
「ヒップホップだかハウスだかやってたはずだけどな…。」

侑士の横には、セーラー服を着た女子が一緒に歩いている。侑士の格好とは正反対で、膝上のスカート丈に、真っ黒な髪の毛は一本に束ねられている。

「ちょっと!やっぱ忍足さんがもう一度部活来るように説得したほうがいいと思う!行こ!」

長太郎がずんずん歩き出したので、仕方なく日吉もついていく。気弱な彼が珍しく行動を起こしたのだから、その姿を見届けよう。突然、後輩二人が現れて侑士は目を丸くしている。横にいたおそらく青学の制服の女子生徒は、侑士の反応を見て知り合いだと悟ったようだ。二人に会釈をした。

「あ、あの!忍足さんっ、最近、部活に顔出してな…むり!若、助けて!」
「はぁ?ふざけんなよ…。」

何やねん。侑士はだるそうにつぶやいた。

「忍足さん。部活サボるんだったら、辞めたらどうですか?どうせあと半年以上テニスできないんだし。」
「何や。煽っても、やる気なんか出さへんで、俺。」

長太郎は、一段とキツくなった関西弁に身震いしている。

「いや、そんなことしませんよ。うちの部員数とレギュラー争いの激しさ見てたら、戻ってきたってこれから万年ベンチ外なのわかりますよね、忍足さんでも。」
「…自分、先輩に言うことちゃうぞ。」
「先輩って、今の忍足さんは部員でも何でもないですよ。グレてパラパラ踊る方が楽しいならとっとと渋谷でギャルサーでも作ってください、迷惑なんで。」

そう言うと、日吉は何事もなかったかのように進行方向に歩いて行ってしまった。

「ちょ、バカ!お、忍足さんすみません!また後でメールします!失礼します。」

長太郎は真っ青な顔をして、二人の前から去った。取り残された忍足は、腹立たしさから地面を蹴り上げた。妙に日吉の言葉に納得してしまっている自分がいることに、また腹が立った。横にいる女子は、侑士の様子をじっと見ている。

「忍足くん、大丈夫?」
「ほんま苛つくわ。さっさと行こ。」
「ね、ねぇ、本当に部活行かなくていいの?今の忍足くん、なんか怖いよ。」
「何や、その今の忍足くんにノコノコついて来よるのは自分ちゃうん。嫌やったら帰ってもええで、駅までなら送るし。」

そう言われると弱ってしまう。品行方正で真面目そうなあの子に似てるから、はっきりそう言われたときは感情なんて出てこなかった。でも今は、あの子じゃなくて私を見てほしいとすら思わされている。この人は最低。どんなに堕ちてもグレても、私は忍足くんに寄り添うって決めたんだ。

「忍足くんだって、嫌なら帰っていいんだよ。私じゃ幼なじみにはなれないし。」
「そんなんわかっとる。せやけどいちばん近いねん。そういう若干強気なところが。」
「はぁ、信じられない。」

信じたいな、本当は。

Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.91 )
日時: 2022/01/10 02:00
名前: ぺ (ID: DAMSs7I3)

「えっ。」

長太郎が携帯を開いたまま絶句している。

「どうした?」
「見て。」

蓮二とお付き合いすることになりました♡
みんな相談とかお話とか、たくさん聞いてくれてありがとう。これからもよろしくね!

仁奈

女子会メンバーに一斉送信されたメール。

「良かったぁ。インハイのときに柳さんからも話聞いちゃお。」
「…勝手にしてくれ。」
「でも立海ってオフが火曜日だけじゃなかったかな。デートとかいつするんだろう。」
「部活サボるじゃない?柳さんが。」
「仮病使う柳さん…フフ。」

中学の時、強化合宿で立海の面々と活動をともにした彼らは、三強のストイック且つ厳しい様を散々見ていた。朝コートに行けば、日が昇る前から基礎練をしているし、食事もg数のノルマが決められている。氷帝テニス部が跡部が差し入れしてきた高級果物をふんだんに使ったスムージーを飲む横で、彼らはプロテインを2L飲み干していたのだ。

「そんなもの、何の足しにもならんわ。」「もしよかったら、真田さんもいかがですか?」
「いらんわ!」

このやり取りで、長太郎はもう真田にトラウマを植え付けられている。でもそんな真田は跡部に惜敗したのだ。

「あ、ママが心配してメールくれた。」

すかさず長太郎は電話をかける。ママ?今、若といっしょなんだ。ごめんね、話が盛り上がってて…うん、今から帰るね。先に寝てていいよ。このやり取りを聞いて、日吉はとんでもない男を親友に持ったなと心底思った。

「マザコンが…。」

Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.92 )
日時: 2022/01/19 02:44
名前: ぺ (ID: UEHA8EN6)

「メロン、食べへん?」

侑士の母親がおすそ分けと言って大きなメロン持ってきた。夏休みに入り、誰とも合う予定がなかった日だったので頷いた。

「最近どう?」
「普通…かな。」
「恋でもしたん?かわいくなってんで、仁奈ちゃん。」

メロン食べる前に、昼食にそうめんを茹でてくれていた彼女は仁奈にそう言った。まあね、とだけ仁奈は照れながら返した。

「侑士は?最近、全然連絡取ってなくて近況がわからないんだけど…。」

かれこれ侑士が足を引きずる姿に会ってから3週間が経った。メールでなんの会話をしていたかも忘れたが、彼から返信が来なくなったことはなんとなく覚えている。侑士の母親は肩を落として、口を開いた。

「実はな、あんまり家に帰ってこーへんねん。」

仁奈は目を丸くした。あの彼が、部活もサボって遊び呆けてるなんて。リハビリも通わず、足を悪くしたまま外をぶらついて過ごしているらしい。

「ほ、ほんとなの?」
「せや。最初は死ぬほど落ち込んどったやけど、だんだん塞ぎ込むようになって…ただの反抗期やって思いたいねんけど、テニスができんようになるのだけは避けたいなぁ。」

母親の箸を突く手が止まる。

「どうしたらいいんだろう…。」
「インターハイ出れへんかったのも、自分のせいやって責めてたし。怪我してチームも負けて、テニスできんくなったのが堪えてるんよな。」
「今までこんなことなかったのに。」
「侑士の人生初めての挫折かもしれへんな。」

自分に言い聞かせるように、彼の母親は呟いた。そのとき、玄関のドアが開いた。その足音はまっすぐ浴室へ向かったようだ。

「侑士やな。」

ほっとした表情になった母親は、侑士の分のそうめんを茹で始めた。しばらくして彼が浴室から自室に入るために、リビングにやって来た。

「なんでおんねん。」

以前とは違う仁奈の姿を見ても、柔らかく笑うことのなくなった彼がいる。

「ごめんね。ご飯食べに来ちゃった。侑士もいっしょにどう?」
「予定入ってんねん。」
「じゃあ、デザートにメロン食べない?」

無視された。無言のまま階段を上がっていく侑士の背中を追いかけて、部屋の前に来た。

「ねぇ、侑士。開けて。」

ノックをする。彼は私服に着替え、時計を腕に嵌めていた。彼は聞こえないふりをしているに違いない。仁奈はさらにドアを叩き、侑士の反応を待った。しつこさに懲りたのか不機嫌そうな顔でドアを開けられる。仁奈はその細い隙間をすり抜けて、部屋に入った。

「出て行きや。襲うで。」
「それはだめだよ。」

あっさり仁奈に否定される。真に受けて本気で啓してくる天然さは相変わらずで。侑士が鏡を見ながらピアスをつけ変える姿に少し驚いた。

「ピアス、いつ開けたの?」
「2週間前。」
「かわいい!私も空けようかな。」
「アカン。自分で毎日消毒なんかできへんやろ、サボって膿だらけになんで。」

以前なら侑士が仁奈のピアスホールをきれいにしてあげていただろうが、今は違う。侑士に辛いときいっぱい助けてもらったのに、力になれないのがもどかしいし、無力だ。

「侑士にいっぱい助けてもらったのに…ごてんね、力になれなくて。」

香水を手にした侑士の手が止まる。

「何言うてんねん。」
「だってママが出ていったときも、蓮二のことも侑士がご飯とか話聞いてくれたりしたのに、私は侑士が悩んでるとき、なんて言ってあげたらいいかわからない。」
「そんなんせんでええよ。」

侑士の手のひらが優しく仁奈の後頭部を撫でる。頷くしかなかった。辛いときもあるよね、だけど頑張ろう。またテニスができるようになるよ。そう言えば侑士は元気になってくれるのかな。絶対そうじゃない。

「俺は仁奈が同情してくれるような奴やないねん。」
「そんなことないよ。家族だと思ってるから。侑士が辛いの伝わるよ、ちゃんと。」
「…そっか、じゃあ仁奈は妹やな。」
「違う。私はお姉ちゃんだよ。」
「姉貴にしては、頼りなさすぎやなぁ。ねぼすけやし、寝起きぐずぐずやし。」
「いつの話してるの!」

いつの間にかに前の優しい笑顔に戻った気がする。きっとこんなに笑顔なのは、昔話に花が咲いたからだと思う。今度は蓮二の話もしたいな、と仁奈はまた思った。

Re: ハニカム(テニプリ夢) ( No.93 )
日時: 2022/01/27 01:18
名前: ぺ (ID: rMENFEPd)

「準優勝だって…。」

麻里が魂が抜けたように呟く。

「え?全国?」
「インターハイなんだから、そりゃそうでしょ。」

麻里は床に仰向けに倒れた。麻里の家で、二人で夏休みの課題をしていたのである。早速それに飽きた彼女は携帯を眺めている。テニス部の結果を見るため立海大附属高校のサイトにアクセスした彼女は、仁王が負かされていることを望んでいた。結果は準優勝という喜ばしいのかそうでないのかわからない結果だった。

「はぁ、新しい出会いないかなぁ。」
「赤也に紹介してもらったら?あ、それか私が氷帝生紹介しようか?」
「氷帝の子たちって、みんなお金持ちでしょ。釣り合わないってぇ。」
「そんなことないよ!逆に氷帝だと庶民的な人がモテるよ。」

沙由香の彼氏・宍戸亮がその代表例だと思う。絶妙に男臭い感じが、跡部様とまた違っていいらしい。

「この子、どう?」

仁奈は携帯のフォルダにいる日吉若を見せた。侑士と向日に無理やり肩を組まれ、魂が抜けた表情の彼。言うなれば真顔だったので、どんな顔の男はすぐに判断できた。

「…瀕死の猫みたい。」

仁奈は思わず吹き出してしまった。たしかに、この顔つきにはぴったりな表現である。普段からもこの顔なので、今度会ったときに言ってあげようと思った。仁奈のことをなりふり構わずボロクソ言うのは日吉だけなので、いつもの仕返しにもなる。

「ほんとに、いっつもこの顔だから。」
「笑ってる写真ないの?」
「…ない。」

探してみてもない。長太郎はひまわりのような溌剌としたスマイルなのに、隣にいる彼は口角を若干上げるだけのものが数枚である。

「でも日吉くんみたいな硬派な感じも悪くないかも。」
「たしかに。真面目な人がいいよね。」
「誰のこと言ってんのぉー?」

麻里がニヤニヤして聞いてくる。わかってるくせに。それから一向に課題は進まず、ずっと話に花が咲いていた。

今日の20時頃、羽田空港に到着する。
予定がなければ夕食でもどうだ?

しばらくすると蓮二からメールが来ていた。二つ返事でOKした。


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