複雑・ファジー小説

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当たる馬には鹿が足りない【更新停止】
日時: 2019/04/09 23:57
名前: 羅知 (ID: miRX51tZ)

こんにちは、初めまして。羅知と言うものです。
普段はシリアス板に生息していますが、名前を変えてここでは書かせて頂きます。

注意
・過激な描写あり
・定期更新でない
・ちょっと特殊嗜好のキャラがいる(注意とページの一番上に載せます)
・↑以上のことを踏まえた上でどうぞ。

当て馬体質の主人公と、そんな彼の周りの人間達が、主人公の事を語っていく物語。




【報告】
コメディライト板で、『当たる馬には鹿が足りない』のスピンオフ『天から授けられし彩を笑え!!』を掲載しています。
髪の毛と名前が色にまつわる彼らの過去のお話になっております。
こちらと同じく、あちらも不定期更新にはなりますが宜しくお願いします。



一気読み用
>>1-


分割して読む用

>>1-15
>>16-30
>>31-45
>>46-60
>>61-75
>>76-90
>>91-115

Re: 当たる馬には鹿が足りない≪更新再開≫ ( No.11 )
日時: 2016/06/08 02:04
名前: 羅知 (ID: ycR5mxci)

更新遅れて大変申し訳ありませんでした。
↓二話になります




第二話「重い愛」

「日向くんッ!!ボクと協力しない?」

 僕の目の前でそう言い放った少女にしか見えない”少年”−−−椎名葵のその一言により僕達は巻き込まれる。

 −−−くだらない青春時代に。

 これはそれなりに平和だったかもしれない僕と馬場の七か月間。
その始まりのはなし。

****************
ーーーとある昼放課


「は??…えっと、シーナ、何言ってんの?」

「だーかーら!!言ってるでしょ、協力してって」

「うん……それが分かんないんだけど」

 シーナこと椎名葵は、変わり者ばかりいるこのクラスの中でも特に目立つ存在である。
見た目に問題は…ない。”女子の制服”を校則を守って着こなしている。問題は”彼”の性別だ。彼は男だ。れっきとした。つくべきものはついているし、ついてないものはついていない。

 所謂”男の娘”という奴だ。

「あのね!!日向君さあ、二週間くらい前から満月くんと仲イイじゃん、気持ち悪いぐらいに!!…んもう、悔しくないのッ??」

「…何が?」

「…馬場くん、最近ケートとつるみだしたでしょ!!取られちゃうよ!?…っていうかボクが耐えられないんだけどー!!」

 二週間前の”あの日”、僕と馬場は”親友”になった。
そして次の日から、僕と馬場は一緒にいるようになった。周りに自分達が”親友”だと認識させるために。

(ケート……ああ尾田慶斗ね。確か幼馴染なんだっけ…。でもその件については僕もあんま分かってないんだよな…)

 尾田慶斗と馬場が最近よくつるんでいることは勿論僕も知っている。…僕だって耐えれてる訳じゃない。馬場本人にだって聞いてみたのだ。なのに。

(…アイツってば、僕がそっち向いてても、直接聞いても、”苦笑い”するぶんなんだよな…。”ミズキ”も最近出ないし)

 苦笑いしているってことは、詮索するなってことなのだろう。
”それ”を僕が詮索するのは、”約束”を破ることになる。
だけど。


「−−−シーナ、昔、尾田慶斗となにがあったの?そんなに拘っているのなら、ずっと近くで見てればいい。なのになんでそれをしないの?」

「それ、は…」




「−−−−−いつまでそんな”振り”をするつもりなの?」


”偶然”知ってしまったのなら問題はないはずだ。
ーーー僕は”情報屋”。”依頼”には応えるべきだ。


「いいよ。”依頼”を受けてあげる」

「……」

「お代は、君の持ってるその”情報”。君と尾田慶斗の昔のはなしでも何でもいいよ。…安いもんでしょ、っていうかほぼほぼタダだよね。誰かの弱みが知れるわけでもないんだから」


 少し怯えた顔でこちらをみる椎名葵。同じクラスなんだから知ってる筈だ。”情報屋としての僕”の苛烈さなんて。
いつもの態度が”素”ではないことなんて分かっているだろうに。


 僕は笑顔で椎名葵に言った。


「知ってる事、全部話せ」

Re: 当たる馬には鹿が足りない≪更新再開≫ ( No.12 )
日時: 2016/06/06 02:33
名前: 羅知 (ID: ycR5mxci)

「ホントにさ…日向君って”ギャップ”がありすぎ」

 そう言って諦めたように、僕の目を見つめる椎名。先程までの怯えた表情はただ顔がこわばっていただけだったらしい。
その顔はさっきまでの彼より、自然に見えた。

「…ギャップ?」

「そう”ギャップ”。…そんな女の子みたいな可愛い顔してて、それこそボクみたいな恰好したらまんま女の子!!って感じなのにさあ……急にとがったナイフみたいにボクの”大事なトコロ”刺してくるんだもん。びっくりしちゃった」

「……女の子みたいとか言わないでよ。気にしてるんだから」

 僕のその言葉に噴き出す椎名。
 …どうやら僕の”ナイフ”はとんだなまくらだったようだ。
じゃなきゃこんな顔されるはずない。
もっと苦しそうな顔にさせるはずだったのに。


 ーーーーもっと僕のことを”嫌い”になるはずなのに。

「それで?早く話してよ……”お代”の話」

 自分のそんな動揺を誤魔化そうと、話を急かす。
それでようやく彼もその”顔”を止め、真面目な顔になり。


 話し始める。


「…ボクとケートの話ねえ…。ふふふ今でも思い出すと笑えてくるんだ。一緒にいた頃は幸せだったから」

「………」

「あの頃に死んでれば、今でも幸せだったのかな?…ケートは優しいからなあ…毎日墓参りにきてくれるんだろうなア…ふふ」


 うっとりした顔でそう話す彼は”異常”だ。
いつも変わってる彼だけれども、その〝眼”はいつも”光”に満ちていた。
だけれど今の彼の”眼”には明らかに、心の奥底の”闇”ーーー病みというべきかーーーが漏れている。


「ボクとケートは保育園から一緒でねーーーケートは人付き合いの苦手だったボクの手をいつも引っ張ってくれたんだ。小学校に行ってもそれは変わらなかった」

「………」

「この頃はまだ、この”性質”隠しててさ…だけどケートにはーーケートにだけは話そうと思ってそれでーーー小学三年の冬、ケートに話した」

 そこで話を切り、僕ににっこりと笑いかける椎名。

「どうなったと思う?」

「どうなったって………今こうなってるんだから、クラスの皆にバレたんでしょ?…尾田が言ったの?」

 だいせいーかーい!!と、言いながらニヤニヤとする椎名に違和感を感じる。

「…ふふふ、ケートはね、とっーても優しいんだア…」

「は?何…どういうこと」

 椎名の真意の読めない発言に思わず苛立ちもあらわになる。
いやーーーー違う。

 僕が苛ついているのは”そこじゃない”。

 先程からずっと漏れ続けている”彼”の”彼”に対する”感情”。

 一人の人間が一人の人間に渡すにはあまりにも重すぎる”ソレ”


「…ケートは、僕のこの”性質”を知っても、僕の事を気持ち悪いなんていわなかったよ。それどころか」




「ケートは”ソレ”が”周りの人間”にも”受け入れられる”−−−−−そう思ったんだ。…そんな訳ナイのにね」



 少年と少年のお互いの”ズレ”が、彼をここまで狂わせた。
ーーー人が人を思う”愛”のせいで。

 だから僕は嫌いなんだ。この”愛”が。

 最初から嫌ってしまえれば何も問題はないのに。


「結果は大惨事。…ボクはクラスから孤立した。まあわざとでもあったよ、こうなってしまえば下手すればケートにまで被害が及ぶからね。−−−−それだけは避けたかった」

「…馬鹿だね、君をそんな目に合わせたのは”彼”だっていうのに」


 ”彼”を侮辱されたと思ったのか、椎名は僕を睨む。
ーーー明らかにその目には”殺意”がこもっている。


(狂ってるな…どこまでも)


 その程度のことで”殺意”が生まれる”彼”も。
その視線をどこか心地よく感じてる”僕”も。

Re: 当たる馬には鹿が足りない≪更新再開≫ ( No.13 )
日時: 2016/06/08 02:29
名前: 羅知 (ID: ycR5mxci)

「…まあいいや、日向くんにはこれから”借り”をつくることになるもんね…許してアゲル」

「は、は…そうしてくれればありがたいよ」

 そう言って椎名は僕を睨むのを止めた。それと同時に”ヒナタ”になりかけていた僕の精神も現実に戻される。

(……危ない危ない)

 ”あんな姿”クラスの皆にみせたらもうこの学校に来れなくなる。
”中学生の時”みたいに学校に行けなくなるのはもうごめんだ。
 
 ーーーーまたあの”白い部屋”になんか戻りたくない。



「…日向くん?どしたの?」

「…う、あ、ごめん。ボーっとしてた」

 考え込んでいると、外の感覚が曖昧になっていたようで椎名が心配そうに僕の顔を見つめていた。
 その表情には、さっきまでの”殺気”はない。
 彼は”許す”と言ったあと本当に気持ちを切り替えたらしい。
ーーー極端すぎてびっくりする。

「顔が真っ白。…体調でも悪いノ?」

「ん、いや大丈夫」

「ふーん、それならいいけど…あ、そうだ」

 そう言うと椎名は意地悪そうににいーっと笑い、器用にその場でくるっと回り僕にびっと指をさす。
 ……なんだか悪い予感がする。

「イイ事思いついちゃった♪今日放課後、一緒に帰ろうよ?……来なかったらユルサナイから」

 なんだかよく分からないけれども、僕は放課後トンデモナイ目にあわされるのかもしれない。

 運悪く予冷のチャイムも鳴ってしまった。

 覚悟しなければならない、そう思いながら僕は静かに自分の席に着いた。

********************************

 −−−同時刻。

 馬場満月は、一人堂々と廊下を歩いていた。向かう場所はただ一つーー屋上へ行く階段の踊り場。
 
 そこには一人の男子生徒が待っている。

茶髪に染められた一見軽薄そうに見えるその生徒は、馬場を見つけるとニカッと笑い手を大きく振った。

「ごめんなー、馬場?」

「大丈夫だ。そろそろ俺も慣れてきたしな」

 そう言って、申し訳なさそうに頭をかく男子生徒。

 

 彼の名は尾田慶斗。椎名葵の親友であり、現在はーーー

ーーー馬場満月の”依頼主”である。

Re: 当たる馬には鹿が足りない≪更新再開≫ ( No.14 )
日時: 2016/06/10 00:43
名前: 日織 (ID: x2W/Uq33)

おひさしぶりです!
見に来たら更新されていてテンションが上がりました←
このなんとも言えないドキドキ感がたまらんです!(笑)
続きも楽しみにしております!

Re: 当たる馬には鹿が足りない≪更新再開≫ ( No.15 )
日時: 2016/06/11 07:25
名前: 羅知 (ID: ycR5mxci)

>>14 ありがとうございます(o^—^o)ニコ
今年一年はじで始まりんで終わる奴があるのでなかなか更新できませんが、一週間に一回はせめて更新したいです。

小鳥ちゃんはもうすぐ出ます!!メイン回はもう少し先になりますが…。ご期待に応えれるような作品に仕上げたいです。


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