複雑・ファジー小説
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- アカシアな二人
- 日時: 2022/04/16 22:27
- 名前: 梶原明生 (ID: UfViuu4R)
理想的な容姿と充実した高校ライフを送っている二人の高校生。ひょんなことから回りに勧められて付き合い出したのだが・・・二人は愛し合えなかった。「何かが違う。」その違和感を拭えないでいた。そんな時互いに別の異性との出会いがあったのだが。それは悲劇の愛の始まりだった。アカシアの花を通じて知り合った、52歳の男女だったのだ。しかし世間はこれを純愛とはせず、あらゆる憶測、いじめ、引裂き、誹謗中傷の嵐に晒す。果たしてこの四人の愛は没落なのか。それとも真実の愛なのか。神々の授ける運命は愛する者達を翻弄する。
- Re: アカシアな二人 ( No.48 )
- 日時: 2022/12/05 11:46
- 名前: 梶原明生 (ID: IGWEqUps)
・・・それは変装した春香だった。まだ裏若い娘とくれば油断したのか、ドアを開ける浩二。「何かな。・・・う、テメェ。」ガンッと革靴を挟む藤堂。「やぁ、また会ったな。」必死に閉めようとする彼に抗い開け放つ。縦拳が浩二の顔面を直撃。後ろ手に取り押さえて叫ぶ。「二人共早く。」緊迫した声に慌てる毅と春香。「何だよお前、何でこんなことするんだ。」叫ぶ浩二に耳打ちする藤堂。「いいかよく聞け。念のため俺の仲間にあの後連絡してお前を調べさせた。秋の葉銀行でかなり悪どい仕事したそうじゃないか。葉山工業。このキーワードわかるな。」「ぐ・・・」急に押し黙る浩二。「簡単だ。今回の件で捕まるより、葉山工業の件で捕まるほうが地獄だろ。黙っててやるから俺たちの事は警察に言うな。」大きな闇に引きずりこまれた気になった彼は、藤堂に頷いた。「一ノ瀬さん。」手錠でポールに繋がれていた静香とハーネスに繋がれた幼稚園児の娘の姿があった。「中山さん・・来てくれたのね。」「ああ。心配でたまらなかったから。さぁ、ここを出よう。」「中山さん、一ノ瀬さんをこれで。」取り押さえつつもポケットから万能ツールナイフを出して投げた。ペンチのような形をしている。「そのままペンチとして使えます。とりあえず鎖とハーネスを切って。」「わかりました。」手際よく切断して、毅達に付き添われて部屋を出る静香と娘。部屋に残った藤堂は浩二を引き連れて先程のポールに行く。「お誂え向きに沢山手錠があるじゃねーか。趣味が仇になったな。」彼の部屋にはお仕置き用の道具が部屋中に置かれていた。今度は浩二をポールに手錠で繋ぐ藤堂。「良かったな。これで趣味の部屋と一体化できて。」「畜生・・・」悔しくて項垂れる浩二。足がつかないスマホで通報する藤堂。一ノ瀬に渡す。「あなたが通報するんだ。」「はい。」一部始終をオペレーターに話す静香。「俺たちのことは喋らないでください一ノ瀬さん。もしあなたに心があるなら。」サイレンの音が聞こえてきた。最後に毅を見た。「わかりました。でも、中山さん。あなたのこと、諦めてないから。この娘(春香)といるのがあなたの幸せとは思えないから。いつかまた。」「わかった。・・・」一ノ瀬母娘を残して警察官と入れ違いでマンションを後にする毅達。睨まれた一ノ瀬の視線が春香を硬直させる。毅がいつの間にか彼女の手を握りこんでいた。「大丈夫。大丈夫だよ。」その優しい一言だけが春香を暖かい気持ちにさせてくれた。レンタカーに乗り込むと、彼女のスマホが鳴る。「助けて、春香。殺される。」そう電話してきたのは、イジメの首謀者だった金子仁美だ。「今どこなの。」「家。お母さんが、いや。」スマホ越しに誰かに叩かれる音がした。「藤堂さん、もう一つお願いがあります。仁ちゃんのところへ行ってもらえますか。」・・・続く。
- Re: アカシアな二人 ( No.49 )
- 日時: 2022/12/04 00:23
- 名前: べにまる (ID: 8D3YhS6K)
すごいです!今日始めたばかりなので見習います!
- Re: アカシアな二人 ( No.50 )
- 日時: 2022/12/04 14:24
- 名前: 梶原明生 (ID: IGWEqUps)
↑ん?間違い投稿?じゃないですよね。小説を始めたと言う事でしょうか?自分の小説は参考になるかは不明ですが、読んでいただけたことは感謝いたします。この後、春香、毅、志乃、優也の行き着く先は楽園か、それとも・・・乞うご期待ください。梶原明生より。
- Re: アカシアな二人 ( No.51 )
- 日時: 2022/12/17 07:39
- 名前: 梶原明生 (ID: WTiXFHUD)
・・・「何をバカな。響探偵事務所の包囲網を掻い潜るだけでも大変だったのに、この上また都内を移動しろだと。できない相談だ。それにましてやその仁美と言えば君をレイプさせようとしたイジメの張本人だぞ。助ける義理はない。」「それでも。」語気を強めて言う春香。「それでも仁美は親友だから。」「どこまでお人好しなんだ。そして依頼主の懇願に根負けする俺も飛んだ大馬鹿野郎だ。」レンタカーのドアに両腕を乗せながら明後日の方向に叫ぶ藤堂。「それじゃあ・・・」「ああ、乗れ。依頼主は君と中山さんだからな。」車は一路、金子仁美の家に向かった。「あんたはどうしていつもいつも、忌々しい目で見るの。」母親の暴力はエスカレートしていた。「あの女がいけないのよ。私の大事な夫を奪うから。お金じゃない。あの人に帰ってきて欲しいのよ。」手切金だろうか。札束を掴んで仁美に投げつける。「何よ、何なのよ。あなたも私をバカにする気。IT企業の部長がそんなに偉いのかよ。」殴って首を絞める母親。「ピンポーン」とインターホンが鳴る。ぴたりと止める母親。「は、はーい」憔悴しきった顔を出す母親。「おばさん、仁ちゃんの友達の春香です。」「ああ、あなた。どうしたの、仁美に何か用かしら。」そう言っている隙にドア裏に潜んでいた藤堂がドア枠を掴んだ。「あんた、娘を虐待してるんだってな。」「何、何なんですかあなた方は。春香ちゃんどういうこと。」「ごめんなさいおばちゃん。」ズカズカと家に上がる春香達。「これって・・・仁美、大丈夫。」ズタボロになった親友に駆け寄り、肩を支える春香。「来てくれたんだ。私は・・・私は・・あんたをあんな酷い目に合わせたと言うのに。」わけがわからなかった。わけがわからなくとも涙は溢れ出ていた。憎かったはずの親友。それでも親友。母親が割り込んできた。「思い出したわ、あなた中年男と駆け落ちしてたよね。そんな子が何様のつもりよ。警察呼ぶわよ。」藤堂が憮然と言う。「ああ、すればいい。捕まるのは娘を虐待してた母親であるあんただけだ。」つい躊躇する母親。「行こう、仁美。」彼女の手を取り玄関に走る二人。続いて中山藤堂も家をあとにする。多少足止め工作を行う藤堂。レンタカーに仁美を乗せて走り去った。「本当に助けに来てくれたんだ。でもどうして。どうしてなの。」「仁ちゃんこそ何故私に助けてって連絡くれたの。」「憎らしかった。」「え・・・」「憎らしかったと同時に苦しい時最初に浮かんだのは春香だった。本当は春香が眩しい存在だったんだと思う。どんなに追いかけても届かない憧れ。それが春香。」「仁ちゃん、どんな事があろうと私は仁ちゃんの親友だからね。」彼女の手を握ると再び涙する仁美。・・・続く。
- Re: アカシアな二人 ( No.52 )
- 日時: 2022/12/23 12:48
- 名前: 梶原明生 (ID: 3p1tWxjm)
・・・やがて佐山警察署の近くに駐車する藤堂。「仁ちゃん、一人で大丈夫。」「うん、だいぶ落ち着かせてくれたから。」颯爽とドアから降り立つ仁美。「本当にありがとう。幸せになってね。春香のことは誰にも言わない。」笑顔で手を振りながら向かった。「本当にこれだけで良かったのかな。」「無理だ。それに彼女、思っている以上にタフだよ。心配ない。」藤堂が春香を元気付けた。車を走らせて帰る途中、広い道端で何やら黒いセダン車とワンボックスカーに前後を挟まれてしまう。「何だこいつら、」藤堂が悪態つくと、スーツ姿の男達数名が出てきて取り囲もうとした。「探偵の恥晒しが。未成年者略取に加担しやがって。」若い探偵達が血気に任せて殴りかかる。小田課長の制止も聞かずに。「コラッ、早まるな。相手は自衛隊空挺団だぞ。」しかし案の定制圧される面々。藤堂はドアをいきなり開け放ち、先鋒を挫くと共に次鋒、中堅に肘打ち、下段足刀。前蹴りを下段回し受けした後、縦拳突きにフックを叩き込んだ。副将、大将はさすがに躊躇した。キッと睨む闘魂逞しい仁王像に、既に戦意喪失。「だから言わんことじゃない。やめろとあれほど。・・・ああ、すまない事をした。うちの若い者が血の気が多いものでね。落とし前はつけられないが、あんたらに聞きたいことがあったもんでね。」「そういうヤクザみたいな物言いやめてもらえませんかね。」「いやいやこれは失敬。わかりやすい例えのつもりだったんだがね。場所を変えて話し合いませんか。」「断る。急いでるもんでね。」「なら手短にここで。・・・私達はひび・・」「知ってる。響探偵事務所の人だろ。どうせ俺の名前も調べ済みだろ。」「さすが、お察しが早い。私はそこで課長を務めております小田と申します。志楽優也君をご存知ですよね。」その名前が出た途端に春香は車を降りた。「どうして優君を。」「何を出てるんだ。車に戻れ。」藤堂の言葉にも意に介さない春香。「彼の事はほっといてください。」「そうは行かないんだよお嬢さん。彼の母親である志楽乙女氏に依頼されてるもんでね。」「え、優君のお母さんが。」「そうだとも。まっ最も、私個人としては、人の恋路に戸は立てるなだがね。仕方ないんだよ。これも仕事なもんでね。さて、暑い炎天下だから短刀直入に言うが藤堂さん、志楽優也君は今どこにいますか、教えてくださいよ。もし教えていただけないなら貴方達を警察に届け出ますが、いかがです。」不意に笑い出す藤堂。「ハハハッ、小田さん。切り札のハッタリだったつもりでしょうが噴飯ものですよ。もし、それができるならとっくの昔にやってるはずだ。そうはできないのは志楽乙女氏が人気作家という立場だからだ。違いますか小田さん。」「う、く・・・・」・・・続く。
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