複雑・ファジー小説

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アカシアな二人
日時: 2022/04/16 22:27
名前: 梶原明生 (ID: UfViuu4R)

理想的な容姿と充実した高校ライフを送っている二人の高校生。ひょんなことから回りに勧められて付き合い出したのだが・・・二人は愛し合えなかった。「何かが違う。」その違和感を拭えないでいた。そんな時互いに別の異性との出会いがあったのだが。それは悲劇の愛の始まりだった。アカシアの花を通じて知り合った、52歳の男女だったのだ。しかし世間はこれを純愛とはせず、あらゆる憶測、いじめ、引裂き、誹謗中傷の嵐に晒す。果たしてこの四人の愛は没落なのか。それとも真実の愛なのか。神々の授ける運命は愛する者達を翻弄する。

Re: アカシアな二人 ( No.13 )
日時: 2022/08/12 14:00
名前: 梶原明生 (ID: mkDNkcIb)

・・・その後は折角のデートが、生きた心地のしない修羅場のように化した。優也はと言うと、カフェで一日中語り明かしていた。まるで10年は付き合っていたカップルみたいに止めどなく。「この後どうする。私の家に・・・来る。」まるで10代に戻ったかのような恥じらいで優也を見つめる志乃。「ええ、是非。」彼女の手を握る優也。「あれ、志楽君じゃない。」いきなり声をかけてきたのはクラスメイトの智美だった。急いで手を離す二人。「や、やぁ奇遇だな、こんなところで。」「本当。で、どなた。」「ああ、その、うちのマネージャーさん。」微かに志乃の顔が曇る。「そうだったんですか。すみません失礼します。」その場を立ち去りレジに向かうのだが、「嘘ばっかり。へー、志楽のやつ。あんなおばさんが趣味なんだ。」不敵な笑みを浮かべて店を出る智美。一抹の不安が二人を襲った。時は夕方に差し掛かり、ようやく一ノ瀬から解放された二人は、せっかくの初デートが疲れるだけに終わった事に辟易していた。日産Xトレイルの車中で終始無言になる中山と春香。都内に入ってから口を開く春香。「疲れた。・・・」「ごめんね。まさか職場の人と会うとは思わなかったから。」「ううん、中山さんが謝ることじゃないよ。第一いきなりディズニーデートなんて言いだしたの私だし。調子こいたなー。考えないと・・・」「一ノ瀬さんは悪い人じゃないよ。ちょっと馴れ馴れしいところはあるけど。」「違う。あの人・・・」言いかけて止めた。今後の中山の職場を考えたら言いたくても言えない。「何でもない。」追求したい中山だったが、運転に集中したいがために溜飲を飲み込んだ。紆余曲折はあったものの、無事初デートを終えた春香と優也。月曜日には二人とも付き合ってるふりで登校した。「どうだった、このイケメン。」「よく言うよ。そっちこそパパ活はどうだったんだよ。」「パ、パパ活だなんて失礼な。れっきとした恋愛です。・・・デートは、うまくいったよ。」「俺もだよ。」「おっはよー、春香。ね、春香借りるね。」仁美が挨拶と共に優也から引っ張り出す。「ねぇ、智美から聞いたんだけどさ。優也君、浮気してるみたいだよ。」「えーっ」ワザと大袈裟に驚いてみた。「しかも、熟女なオバサンだって。カフェで二人でいるの見たらしいよ。」仁美は何か違和感を感じた。私だったら居ても立っても居られないのにと。「春香、あんた本当に優也君のこと好きなの。」「え、何で。」「だって、私だったらそんな顔してられないから。」「いや、違う違う違うっその、頭の整理がつかなくて。あ、遅刻するよ。」うまく誤魔化して教室に向かう春香。紺野が入ってきた。「はーい注目注目。席について。出席を取る前に、一言。もうすぐ夏休みが始まります。」紺野の一言と言う長い説教が始まる。・・・続く。

Re: アカシアな二人 ( No.14 )
日時: 2022/08/11 23:22
名前: 梶原明生 (ID: mkDNkcIb)

・・・こうして

Re: アカシアな二人 ( No.15 )
日時: 2022/08/13 20:08
名前: 梶原明生 (ID: mkDNkcIb)

・・・こうして静けさ漂う学園生活が過ぎていく。昼休みに優也は隠れてスマホを見ながらいつも見ているケータイ小説を閲覧していた。しかしそのお気に入りの作家の小説に変化を感じた。「ん、凄いな。こんなに生き生きと文章が進んでる。何かあったのか。」彼はコメントしてみた。「山中さん、最近捗ってますね。何かいいことあったんですか。若い彼女が出来たとか。」コメントが更新されたのをたまたまスマホで中山も見ていた。ドキッとする瞬間。ちなみにペンネームは中山をひっくり返した「山中」にしていたのだ。中山も返信してみる。「はい。ハルカちゃんと言う子がね。」「ハルカ・・・森本・・まさかね。」そのまさかが本当と知らずに。渡り廊下から戻ろうとする優也だったが、仁美に呼び止められる。「ねぇ、優也君。」「おう、何だよ金子。」「オバサンと付き合ってるって本当。」一瞬ドキッとする優也。「本当なら、春香は何なの。付き合ってるんじゃないの。何のために私諦めて・・・」そこから先は言葉が詰まった。言えるはずもない。「諦めて・・何だよそれ。」「私、優也君のことはじめから好きだった。」爆弾発言とはまさにこれだった。いつも冗談を春香達と言い合う仲間的にしか思っていなかったからだ。「マジか。お前マジで言ってんのか。」「こんなこと冗談で言えるわけない。ねぇ、私じゃダメ。私と付き合って。」「おいよせっ、何だよ。」いきなり抱きつく仁美に困惑する優也。「悪いけど、俺にはもう心に決めた人がいる。」教室に戻る優也を睨む彼女。誰もが冷やかしの目を向けてくる。「私に恥をかかせて。許さない。」彼女も教室に戻り、春香に浮気を伝えようとしたが、教室にいない。トイレだと智美に聞いたが、何となく春香が置いていった小さいバッグが気になった。「もうあの子管理甘いんだから。」机の下に戻そうとした時、開いていた口から見えたプリクラが気になった。「これ・・・あいつも。」それは中山と撮ったプリクラ写真だった。やがて憎悪は優也から春香へと移っていく。「どうした。」「ううん、何でも。可愛いバッグだなって。」戻ってきた春香に苦笑いで返す仁美。何事もなく学校生活を過ごして、またもや優也と下校するのだが。「待ち遠しいね週末が。」「ああ、中山さんと会えるからだろ。」「うん。あれ、メールだ。ちょっとごめんね既読しないと。え、・・・」一瞬固まってしまった。SNSを通じて知らないアカウントである写真が拡散されたからだ。「どういうこと。どうしてこれが。」それは中山と撮ったプリクラ写真だった。おまけに「パパ活春香がやることやってまーす。」と言う文言まで追加されている。「本当だ。バカな、森本、まさか誰かに見せたのか。」「そんなはずない。バッグに入れてて、はっ。」一瞬仁美を思い出したが、すぐに打ち消した。彼女がそんなことするはずがない。「とにかく、否定文を送りつけるんだ。」「うん。」それでひとまずは収まるはずだった。・・・続く。

Re: アカシアな二人 ( No.16 )
日時: 2022/08/14 14:06
名前: 梶原明生 (ID: djZseB/4)

・・・そうはならないのは周知の通り。翌日登校すると、春香ばかりでなく、優也も羞恥の目で見られる始末。ロッカーを見ると中身がない春香。「え、どうして、教科書も無くなってる。」「どうしたの春香」「あ、仁ちゃん。ロッカーの中身知らない。」「いや知らない。酷いね、誰が盗んだんだろ。」しらばっくれる仁美に優也がキレる。「嘘つけ。お前だろあのプリクラ拡散しやがったの。昨日の腹いせかよ。」「あら、暴力。何のことかわからないんだけど。」「優くん。」春香は優也の腕を掴んで制した。「お前どうして。」「大丈夫。仁美は中学からの親友だよ。こんなことするはずない。」「森本、何言ってんだ。」春香自身、何となく気づいている。しかし、それを認めれば全てが崩れる気がしてならなかった。「ほら、春香だって違うって言ってるでしょ。変な言いがかりやめてよ。」「う、く、・・・」珍しく優也は怒りを噛み殺した。樹と智美が心配そうにしてる。「どうした、三人とも。」「ダメだよ、朝っぱらからケンカしちゃ。」紺野がタイミング良く教室入りする。「はい皆。席に着いて。出席とります。」いつになくトーンが下がってる紺野。「・・それから、森本さんと志楽君。昼休み終わったら職員室に来るように。「え、あ、はい。」嫌な予感が的中した。時間は過ぎて言われた通り職員室の紺野を訪ねるのだが。「これ、森本さんの物ね。」「それ・・・」間違いなく紺野の机に置かれた教科書等は春香のものだ。「グラウンド付近の緑地に捨てられてたそうよ。もしかして、イジメにあってる。」「いえ、そんなことは。」「そう。なら一応返すけど。問題はそれじゃないのよね。こんなのが職員室のポストに投函されてたの。これ、あなたよね。」それはメールに添付されていた画面をそのままプリントアウトしたものだった。おまけに優也の噂話まで書かれている。「これが事実なら、保護者にも来てもらって相談しなければならなくなるけど。どうなの。」怪訝そうにして座っている紺野を、もじもじして悩むようにして見る春香。強がっていてもまだ17歳の女子高生。いきなり大人の社会に突き出された子供のようだ。しかし。「森本は違います。きっとこれ合成ですよ。俺が熟女と付き合ってる腹いせに誰かがイタズラで作ったんですよ。」庇う優也の姿に触発され、自分だけ逃げるのは卑怯に感じた春香。「いえ、志楽君は私を庇おうとしてるだけです。おっしゃる通り、私もその男性と真剣に交際してます。」「何言い出すんだ森本。先生、違います。彼女は・・・」「もういいの。」少し強めに叫ぶ春香。「ごめん。庇ってくれたのはうれしい。でも、私だけ隠し通して知らんぷりなんかできない。それに、覚悟決めたよ。私、もう逃げない。もう隠さない。堂々と愛したい人を愛したいし、一緒にいたい。優くんも同じでしょ。」困惑する紺野だが、春香のその言葉に彼女の過去が抉り出された気になった。「けしからん。」何と実年男性教頭が割り込んできた。「わが青川学園始まって以来の恥だ。パパ活に美人局か。そんなものは我が学園にあってはならない。」睨むように歯向かう春香。「違います。私は彼を真剣に愛しています。」嘲笑うかのような顔になる教頭。「何が愛だ、くだらん。紺野先生、早速親御さんに電話を。場合によっては退学もやむなしだ。」「待ってください教頭。まだそこまでは。」「紺野先生。自分の生徒を庇いたい気持ちはわかりますがね。今は昔と違って、こういう噂はネットを通じて世間に広く伝わってしまう。幸いもうすぐ夏休みだ。こういう恥の芽は早めに摘まないと。」「恥の芽だなんて。生徒の言い分も聞いてあげてください。」「我が青川学園の校風が第一優先です。」怒鳴るように言って立ち去る教頭。「はーっ・・・とにかく二人共,放課後に再びここへきなさい。」「はい。」返事する二人だったが一抹の不安は隠せなかった。

Re: アカシアな二人 ( No.17 )
日時: 2022/08/18 11:21
名前: 梶原明生 (ID: f9c/TndF)

・・・そうは言ってももう引き下がれない状況。やるしかない。放課後、案の定母菊子が呼び出された。「お母さん。」「春香、あなた何やらかしたの。」紺野が割り込む。「森本さんのお母さん。先ずは待合室でお待ち下さい。追ってお話します。」先ずは春香を相談室に連行する紺野。「森本さん、お入り下さい。」一時してから紺野が声を菊子にかけた。教頭が口火を切る。「わざわざお越し頂き申し訳ありません。実は・・・」掻い摘んで一通り経緯を話す教頭。「いわゆるパパ活なる、ふしだらなことを。」「教頭先生、それは言い過ぎです。彼女も真剣だと。」「紺野先生は黙ってて貰おうか。」圧力をかける教頭。菊子はすっかり大人びてしまった我が子をみた。ついさっきまではよちよち歩きの可愛い娘だったのに。「本当なの、春香。」「お母さんには黙っててごめんなさい。でも信じて。パパ活とかそんなはしたないことしてない。真面目に交際してるから。」「愛してるのその人を。」「うん。」それは女の目だった。かつて自分が17歳だった頃と同じだと感じる菊子。その旨を伝えるのだが。「お母さんまでそんな。いいですか、こんなまだ高校二年生の娘に手を出すやつにロクなやつはいませんよ。とにかく、場合によっては都の未成年者条例違反になりかねない事態です。今後その男性との交際をやめなければ、退学処分もやむなしとなります。」「そんな。」紺野と菊子はつい同じ言葉を発してしまった。その頃、森本賢二三等陸尉は練馬駐屯地普通科連隊の格闘訓練に参加していた。「違うぞ八田三曹。もっと引いて抑え込む。わかったか。」「はいっ」気合い十分に迷彩服と迷彩装備で汗だくになりながら最後まで訓練した。休憩に入ると、代表者が個人のスマホを取りに行く。今日は特別に休憩中のスマホ使用が許可されていた。そこで一際休憩室で騒いでる人垣がある。森本三尉が気になって近づいた。「何だ。」「ああ、森本三尉。見て下さいよ。パパ活女子が拡散されてて、うちの娘の友達から送られてきたメールなんですが、俺にも送ってきたんすよ。何でもその友達、青川学園らしくて。」「あ、青川学園だと・・・」まさかとは思ったが、確認せざるを得ない。「こ、これは・・・」「どうかしましたか森本三尉。」「いや、何でもない。けしからん話だなと思ってな。」「本当ですよ。どこの誰の娘か知りませんが、親の顔が見たいですよ。」笑いが起こる中、一人苦笑いで後にする賢二。「またあの悪夢をまさか娘で・・・」かつて賢二は一等陸尉だった。三佐昇進も夢ではない矢先、事件は起きた。自分が主催した飲み会で部下が未成年の女子高生を飲酒させ、ホテルに連れ込んで淫行したのだ。無論、賢二が知らぬところでの一部の不届き者のせいではあったが、それは連帯責任を重んじる自衛隊組織。監督不行き届きの責任を負い、三尉降格処分となり、九州の駐屯地に飛ばされた。だからこうした事案には普段からピリピリしていたのだが、まさか身内から出るとは。「春香のやつ、許さん。」コンクリートの壁を殴る賢二。上官執務室に入る。「よろしいでしょうか。以前、お断りした有給休暇消化の件で・・・」息巻いた賢二は車で駐屯地を後にした。・・・続く。


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