複雑・ファジー小説

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アカシアな二人
日時: 2022/04/16 22:27
名前: 梶原明生 (ID: UfViuu4R)

理想的な容姿と充実した高校ライフを送っている二人の高校生。ひょんなことから回りに勧められて付き合い出したのだが・・・二人は愛し合えなかった。「何かが違う。」その違和感を拭えないでいた。そんな時互いに別の異性との出会いがあったのだが。それは悲劇の愛の始まりだった。アカシアの花を通じて知り合った、52歳の男女だったのだ。しかし世間はこれを純愛とはせず、あらゆる憶測、いじめ、引裂き、誹謗中傷の嵐に晒す。果たしてこの四人の愛は没落なのか。それとも真実の愛なのか。神々の授ける運命は愛する者達を翻弄する。

Re: アカシアな二人 ( No.43 )
日時: 2022/11/13 00:48
名前: 梶原明生 (ID: Ve/IoWsn)

・・・そうとは知らず、愛の巣を謳歌している春香達。マンションの部屋で夕食を毅と作りながら、思わずスマホを取り出して見つめる春香。母からは毎回のようにメールや電話があるが居場所を特定されたくなくて沈黙していた。「やっぱり、電話しようかな。」迷った挙句電話した。「あ、はい。春香なのね。そうよね。良かった無事で。ちゃんと食べてるの。」抑えていたつもりがまだ17歳の女の子。涙がポロポロと頬を伝う。「ごめんねお母さん。私、私。」「いいのよ。それより中山さんとはうまくいってるの。幸せなの。」「うん、勿論だよ。毅さんがいれば何もいらない。て言ったら嘘になるかな。今日味噌買い忘れちゃった。ハハハッ」泣き笑いながら話す春香。エプロン姿で調理しながら彼女を見つめる毅。「春香、お父さんのことなら心配いらないわ。お父さん、災害派遣に言ったから警察には通報してない。折を見て説得してみるから安心して。それよりも体を大事にして、幸せにね。」「うん。お母さんも・・・でも料理はてんでだめ。毅さんに頼りっぱなしだもん。それじゃあまた。」電話を切るや否や、手を洗った毅が後ろから抱きつく。「無理しなくていいんだよ春香ちゃん。もし、帰りたければいつでも言って。君との思い出だけで俺は生きていけるから。」腕に縋り付いて思いっきり泣く春香。「いや、それなら私死んだ方がまし。毅さんと一緒にいたい。」しばし抱きしめ合う二人。煮込むカレーも更に熱く煮える。そして唐突に聞く春香。「幸せが壊れてしまいそうでずっと言えなかったことがあるの。」「何だい。言ってごらん。」「信ちゃん・・・て誰なの。」「う。・・・」それは一番聞かれたくないワードだった。「毅さん。」抱きしめていた手を離して、泳ぐ目のやり場に苦しみながら覚悟を決める毅。「今まで何故君を抱けないのかって聞いてたよね。抱けないわけじゃないんだ。ただ。」「ただ、何なの。」「私は人殺しなんだ。」「え・・・」ショッキングな言葉から始まる話。内容は先に書いた通りの昔話を聞かせる毅。「そんな、人殺しだなんて。でも、言い方悪いかもだけど、その榮倉信子さんも勝手すぎない。振られて辛い経験したからって昔告白した毅さんを今更頼るような真似して、それで毅さんに断られたからって自殺したんでしょ。それなら毅さんは人殺しなんかじゃない。」「たった一度だけ。たった一度助けるチャンスはあったんだ。それを俺は。・・・」ポケットから出した古い写真を握りしめて机に跪く毅。「だから君を抱く資格なんて本当はないんだ。でも君への思いもある。そんなジレンマの中君を愛した。」涙を抑えきれない毅の背中にてを当てて寄り添う春香。「はっ・・・」その時、信子の亡霊を見た気がした。「信子さん。もう許してあげて。彼は何も悪くないの。」一部始終をドア前で聞いていた志乃は恐れをなした。何も知らない優也がプレートを抱えながら志乃を不思議がった。「何してるの。今日は入居祝いだから四人で飯食べようって言いだしたの志乃さんじゃないか。」「そうね、そうよね。ごめんなさい。」インターホンを鳴らす志乃。・・・続く。

Re: アカシアな二人 ( No.44 )
日時: 2022/11/20 12:20
名前: 梶原明生 (ID: OxFItNy1)

・・・我に帰った二人は気持ちを切り替えて玄関へ応対する。カレーに、冷やし中華にそうめんが並び、ちょっとしたパーティになった。「そうだ、藤堂さんも呼ぼうよ。一人なんて可哀想だし、もう私達家族も同然だしね。」優也がカレーを頬張りながら口出しする。「バカだな。きっと藤堂さんなら、俺はあくまで雇われたボディガードだ。君達とは違うとか言い出すよ。」「それでも。・・・下の階で一人寂しくコンビニ飯なんて可哀想だよ。私電話する。」スマホを取り出し、彼を呼ぶことに。賑やかな夏の夜は静かに更けていった。テレビを見ながら談笑していた時、トイレに立った優也がテーブルに雑然におかれた雑誌を見た。「フフッ、もう求人雑誌買ってる。俺もバイトとかはじめないとな。ん・・・」その下には古い原稿用紙が。そこには見たことのあるタイトルの小説が。「これってまさかハンドルネーム山中さんの小説。そうか、中山をひっくり返すと山中。」思わぬサプライズに自分達四人の深い結びつきを感じる優也であった。夜は更けて行き、志乃達も自室に戻って就寝した。朝四時半頃。眠れない優也はベランダに出てきた。まだ空は群青色に明るみが刺し始める頃。しばらく景色を眺めていると、何やら人とも、獣とも取れぬ呼吸音が聞こえてきた。下界を見ると、マンションの緑地帯で街灯に映える白い姿が見えた。「もしかして。」居ても立ってもいられず、爆睡している志乃を横目に部屋を出た。緑地帯に降りてくると、そこには湯気すらはっきり見えるほどに汗だくになり、道着に黒帯を絞めた藤堂が空手と自衛隊格闘術の鍛錬に明け暮れているのが見てとれた。最後、気合いの正拳突きを決めて優也に気付く。「おお、優也君。どうした。」「いや、その、凄いなって。やっぱり格闘技やってたんですね。」「見てたのか。まぁな。正確には剛柔流空手拳法。クラブマガに自衛隊格闘術をマスターしてるんだがな。ああ、あまり知らないか。」「あのう、・・・」再び型稽古に戻る藤堂を呼び止める。「俺、守りたいんです。強くなって志乃さんも皆も守りたいんです。教えてください。護身術を。」あの浩二とか言う男が浮かんだ。突き飛ばされて手も足も出せなかった自分が情けなかった。「いいだろう。ただし俺は基本的な手解きしか出来んぞ。」「構いません。」東の空が白むまで藤堂の指導は続いた。朝食が始まる中山家志楽家。春香はつとめて昨日の信子の話は出さないように明るく振る舞った。毅もまた、そんな彼女を気遣って普段通りを装った。ベーコン、卵焼きに焦げたパンケーキ。「ごめんなさい。慣れないから焦がしちゃった。」「とんでもない。春香ちゃんが初めて作った朝食。美味しいよ。」笑い合いながら楽しい朝を満喫した二人。午前中は求人サイトと睨めっこになる。「マストロイヤルか。未成年でもアルバイト募集。ここがいいかな。」言っていると江藤美沙おばちゃんが電話してくる。・・・続く。

Re: アカシアな二人 ( No.45 )
日時: 2022/11/27 14:29
名前: 梶原明生 (ID: gYh1ADSg)

・・・「浴衣持ってきたけん、マンションどこかな。」「ありがとうございます。今下降りて迎えますんで。はい。」早速春香は階段を駆け降りて、それらしき軽四に手を振る。「こっちです。」「ありがとうわざわざ来てくれて。見て、これ。昔アイドルイベントで着ちょった浴衣。キレイでしょ。」「うわーキレイ。しかもレア物じゃないですか。」「いいのいいの。どうせ今の私じゃ着れんし。春香ちゃんに着てもらえたら本望よ。」車から降りるなり見せてきた美沙おばちゃん。エレベーターを上り、中山邸へと足を踏み入れる。「へー、いいお部屋ね。ここが春香ちゃん達の愛の巣になるんやね。家賃6万円とは思えん。」開口一番に感激する美沙おばちゃん。「いらっしゃい。この度は本当にありがとうございます。」「あら、中山さん。堅苦しい挨拶せんでよもう。さ、祭りは人多くなるけん、早めにいかないとね。」春香に対し、着付けを行う美沙。無論、髪飾りはアカシアの花。「うわー、キレイだよ春香ちゃん。」「そう、似合ってる。」「うん、とても。」言いつつもつい、昭和の信子の浴衣と重なって見えた。布袋寅泰のBOOWYやブルーハーツに渡辺美里の曲が流されてたあの時代。志乃達と夏祭りに出かけて息を呑んだ信子の浴衣姿はもういない。「さ、まだ暑いけど、私の車で別府駅に行こう。」「うん。志乃さん達も誘うね。」こうして藤堂も交えて別府駅へと臨んだ。駐車場を降りて駅内に向かうと、山手と海手に別れるエントランスに着く。海手側の開口部を抜けると、毅と買い物をしたトキハ百貨店に続く商店街が立ち並ぶ。右手側には映画館もある。まだ三時過ぎだと言うのに、やや人手は多く感じられた。「あちゃー。皆同じ考えだったか。春香ちゃん大丈夫。」「平気です。それよりワクワクします。大分七夕まつりがどんなものか。ね、毅さん。」「う、うん、そうだね。」冷や汗掻きながら腕を掴む春香に苦笑い。藤堂も指摘する気になれなくなってきた。やがて赤いトレインは早々とトンネルを抜けて東別府駅、西大分駅と経て、目的地の大分駅に着く。「うわー先進的。もっと田舎かとおもってた。」「おいおい、大分県民に謝れよ森本。」優也が笑いながらけしかけてくる。「わーごめん。そんなつもりじゃなかったのにな。」皆に元気が戻ってきた。暫く開催時間まで豊後系喫茶店で時間を潰すことに。大分駅は2010年代に高架化工事が施され、新しく生まれ変わった駅だ。単に駅の改修だけではない。「AMUプラザ」と言った複合型ショッピングモールも併設されていて、オシャレに生まれ変わった。「うわー人多いね。うわー何あの光る御神輿は。」駅広場に出て直ぐにトキハ本店前の大通りが見えるが、春香が真っ先に気がついた。「あれはね、府内ぱっちんて言うの。紙で出来た、そうまさに光る御神輿よ。形や絵はさまざまなデザインがあってね。地元の侍や神楽から人気のアニメキャラまであるのよ。」「へー凄ーい。美沙おばちゃんと来て正解。私達だけじゃわからないもん。」「ありがとう。さて皆さん。横断歩道渡ったらテッタコ前側を歩きましょう。」人混みに押されながら大通りを渡ると、盛況な祭り囃子が大音量で迫り来る。「見て見て毅さん。あれ、アニメキャラ。」手を引っ張る春香の浴衣姿を煌びやかで美しいと感じた。身長は154センチだが、スラリとしたモデルさんにも見える。はしゃぐ彼女が愛おしかった。それは優也もだった。志乃はさすがに浴衣を持ち合わせていなかったが、それでも頑張って着たフェミニンな服装が、二人のデート感覚を後押しした。藤堂は全員をなんとか把握してボディガードの任を果たそうとしていたのだが。「しまった。森本春香を見失った。」いくらプロとは言え、人混みの中で五人も警護するのは至難の業。「藤堂さん、春香を知りませんか。」「すみません中山さん。私も見張ってはいたんですが、こう人混みが多いと。」その頃春香は若草公園前にいた。OBS広場が開催されていた。「どこ、皆。はぐれちゃったどうしよう。」スマホが鳴って出た。「春香ちゃん、今どこ。」「何か、OBS広場が開催されてるとこ見たい。」言うや否や金髪に派手なシャツの男とその取り巻きらしき少年が声をかけてくる。「ねぇ、君地元の子。俺県外の都会から来たんだけどさ。良かったら俺たちと遊ばない。」「あ、ごめんなさい。私、連れがいるんです。じゃあそう言うことで。」「じゃあはないだろ、つれないな君。」いきなり腕を掴む金髪青年。「いや、離して。何するの。」振り切って逃げる彼女の先に、明るい電飾を体に施したメタルヒーローが現れた。「か、仮面ライダー・・・」祭りだからかとも思ったが、そのヒーローはフリップを持ちながら歩いていた。「大分仮面戦士キャバン・・・」・・・続く。


Re: アカシアな二人 ( No.46 )
日時: 2022/11/27 19:06
名前: 梶原明生 (ID: gYh1ADSg)

・・・フリップには「自警パトロール中」とある。春香はふとアメリカの「スーパーヒーロー自警団」を思い出した。ヒーローのコスチュームに身を包み、街を自警活動していく人々がいるとのことで、大変関心した。だから思わずつい助けを求めていた。「すみません、付き纏われて困ってます。助けてください。」「え、それは大変だ。」思わず喋ってはいけない規則を破るキャバン。「お嬢さん、悪ふざけはやめようよ。」「あ、すみません。彼女嫌がってるじゃないですか。やめましょう。」「あ、何だオメー。ヒーローみてぇな格好しやがって。どいてろ邪魔すんな。」「いけませんよ。」立ち塞がるキャバンに他の取り巻きが突き飛ばそうとするが、柔術技で押さえ込まれる。「話し合いましょう。暴力は良くないです。」「何だよお前。」金髪男がキャバンに向かおうとしたところを、藤堂が蹴りを入れる。「何だまた邪魔かよ。」「コラーッ何やってる。」「ヤベっ警察だ。」一目散に逃走する金髪男達。春香は気を取り直してお礼を言う。「ありがとう藤堂さん。そして、キャバンさん。」「いやー、どういたしまして。」キャバンがそう言うと、さっきまでキャバンの取り巻きをしていた女子高生三人組が話しかけてくる。「大丈夫でした。私達が警察呼びに行ったんだけど。」「あ、大丈夫です。ありがとうございます。キャバンさんの関係者ですか。」「ううん、いやいや、彼とは今日祭りで初めて会ったから。面白くって何だか付いてきてしまって。・・・あなた、高校生よね。何歳。」「あ、17歳の高二です。」「やば、タメだよあたし達。どこん学校。」それを言われて顔が曇った。まさか青川学園とは言えず。「あー、私実は東京から来てて。・・・」「え、東京の高校。ヤバッ東京なんっ。」「うん。で、あなた達は。」見知らぬ制服が妙に眩しかった。一人は白と黒のセーラー服のようでセーラーでない学生服。もう一人は白いブラウスにタータンチェックのスカート。そして三人目は白襟のセーラー服に赤いリボン。グレーのスカート学生服。「私達、中学からの親友で、たまたま今日学校の補講が重なって七夕祭りに制服のまま行こうってなったんよ。私はせっちゃん。明野にある板大高校で、みぃちゃんは同じく明野にある諜報学園高校。凄い名前でしょ。そして萌ちゃんが大分営業高校。」「そうだったんだ。あ、毅さん。」怖かったせいもあり、人目も憚らず毅に抱き着く春香。「ごめん、見失ってしまって。もう離さないよ。」藤堂は不味いと思ったが後の祭り。いや祭りは今なのだが。・・・「いけない、私。」きっとドン引きされてるだろうなと後ろを振り返ると、そんな顔は微塵もない。せっちゃんが声をかけた。「彼氏いたん。羨ましいなぁ、ラブラブで。」「え、私達のこと、何とも思わないの。」「え、何で。誰が誰を好きになろうと、誰が誰を愛していようと構わないことやないん。」涙が出そうなくらい感動する春香。「ありがとう。私の名前は森本春香。よろしくね。」「春香か。いい名前ね。はるちゃんでいい。」「うん、せっちゃん。」こうして意気投合した五人は、毅達と共にキャバンを警護員にして祭りを練り歩いた。りんご飴にたこ焼き焼きそばと、祭りの定番を楽しんだ。「私、大分の街も大好きになった。楽しかった。」「そう、はるちゃん気に入ってくれてありがとう。」こうして皆の祭りは終わった。春香はせっちゃん始め三人とキャバンの連絡先をゲットして交流を始めた。月曜からはそれと同時に本格的な職探しに専念する。「マストロイヤル。別府湾を臨む高級ファミレスか、応募しよう。」スマホを押す彼女。「別にいいのに。僕が稼いでくるから。」「ううん、毅さんだけに頼るのは嫌だから。それに、私も働く事覚えないと。」それは優也も同じだった。志乃の資産にばかり頼りたくなかった。トンカツ屋のアルバイトに応募していた。・・・続く。



Re: アカシアな二人 ( No.47 )
日時: 2022/12/02 21:31
名前: 梶原明生 (ID: IGWEqUps)

・・・そんな時、毅のスマホに電話が。何と静香からだった。躊躇する毅だったが、出てみることに。「あ、中山さん。良かった。繋がった。」その声は悲痛とやつれた雰囲気に満ちていて、事の重大さを物語っている。「どうしたの、何があったんだい。」「今、元夫にマンションに監禁されてて。助けて。秋の葉銀行佐山支店前のマンション407号・・・」そう言って電話はこと切れた。「もしもし、一ノ瀬さん。大変だ。」早速藤堂に電話する。玄関に駆けつけてきた。「何かありましたか。」「はい、実は・・・」今までの経緯を話してみた。「あの時の元夫が監禁してるんですね。警察に匿名で通報しましょう。そうすれば解決・・・」「ダメなんです。」突然の叫びに驚く藤堂と春香。「彼女は同じ職場の同僚です。彼女は警察でなく私を頼ってきた。見殺しにはできない。貯金に退職金はまだ余裕があります。だから藤堂さん、行かせてください。もう見殺しにはできない。」それを聞いてハタと気がつくことがあった。依頼主を調べるのは昔からのクセで、中山のことも調べていた。志乃との共通点。それは自殺した榮倉信子と親友だったこと。後に自動車暴走運転で若くして死亡する立野と言うクラスメイトが信子と付き合って振っていたことだ。そこで浮かび上がる毅の心情を悟っていた。「もしかして中山さん、あなたが人を見殺しにできなくなった原因は、好きだった榮倉信子さんを自殺させてしまった罪悪感から来てませんか。」「うぐ・・・」図星に何も言えない毅。やがて信子とのやりとりを告白するにまで至った。「やっぱり。どうしても行きますか中山さん。」「はい。」「わかりました。ですが、あの銀行マンもいます。(浩二)あなただけ行かせるわけにはいかない。」「よろしくお願いします。ただ、彼女を置いて行くわけにはいきませんから。」早速支度をして、再び東京へ舞い戻ることになった。毅と春香を変装させた上で国東市の大分空港に行き、飛行機で成田空港を目指した。レンタカーを借りて都内の秋の葉銀行を見つけ出し、向かいのマンション407号室を特定した。「本来なら面がわれてない要員を行かせるのが正攻法なんですが仕方ない。その一ノ瀬さんと娘さんは、中山さんの顔見たら落ち着くだろうし、俺がサポートしながら救出するのがベストでしょうね。」藤堂独自の救出作戦が始まった。とあるテクニックを使い、3人共マンションに忍び込む。「防犯カメラを避けるにはこれがいいん・・・」藤堂が軽口を叩こうとした刹那、女性の悲鳴と男の怒号がドア越しに飛び込んできた。「ヤバい。」藤堂は春香に目配せした。「あのう、隣の松永です。折り入ってご相談したいことが。」・・・続く。


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