複雑・ファジー小説
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- アカシアな二人
- 日時: 2022/04/16 22:27
- 名前: 梶原明生 (ID: UfViuu4R)
理想的な容姿と充実した高校ライフを送っている二人の高校生。ひょんなことから回りに勧められて付き合い出したのだが・・・二人は愛し合えなかった。「何かが違う。」その違和感を拭えないでいた。そんな時互いに別の異性との出会いがあったのだが。それは悲劇の愛の始まりだった。アカシアの花を通じて知り合った、52歳の男女だったのだ。しかし世間はこれを純愛とはせず、あらゆる憶測、いじめ、引裂き、誹謗中傷の嵐に晒す。果たしてこの四人の愛は没落なのか。それとも真実の愛なのか。神々の授ける運命は愛する者達を翻弄する。
- Re: アカシアな二人 ( No.83 )
- 日時: 2023/05/08 00:35
- 名前: 梶原明生 (ID: aDJkQigu)
・・・「それが何よ。いいから優也を探して。あの女よ、瀬西志乃とか言う女。あいつまだうちの優也と密会してたのよ。これって即懲役物よね。すぐに捕まえて。」「ええ、わかりました。ですが今職員が出払ってまして。戻って来次第向かわせます。」言った矢先何をする風でもなく、ただ座ってるだけになる。「志楽優也か。こりゃ厄介だな。」そう呟くと何やらスマホを取り出し、誰かにメールを打ち始める。志楽乙女に関しては、ゴーストライターがいたくらいでは罪にはならない。奈央はその程度の罠で満足するはずはない。もう一つ爆弾を用意していたのだ。小説の節々に盗作を行ない、しかも売れなかった古文学の小説から引用していたため、気付く者はいなかったのだ。それをネット上で暴露したために大炎上。著作権侵害で訴えられていた。刑事課が沸き立つ。「課長、志楽乙女が最近スマホに電源を入れたらしく、位置情報掴めました。」「よし、すぐに署員を向かわせろ。」刑事数名が覆面パトカーに乗車する。タイミング悪く、逢瀬を終えた優也がアパートに戻ってきた。「只今、母さん。」「今までどこ行ってたの、言いなさい。」「いや、友達と出かけてただけだよ。」「嘘おっしゃい。あの女と会ってたんでしょ。どうして、どうしてどいつもこいつも私を裏切るの。」そう叫んだ矢先、スマホが鳴った。「あの女・・・」手に取り、画面を指でなぞる。「お久しぶりです乙女さん奈央です。お元気ですか。」「ふざけんな。あんたどのツラ下げて・・・」「いいんですか。怒ってる暇はありませんよ。たった今刑事課の刑事が慌てて出て行きましたよ。電源を入れたタイミングで出てるところからして、位置情報バレたんじゃないんですか。急がないと捕まりますよ〜。」ややふざけた態度で喋る奈央。「何ですって、どいつもこいつも何が面白いのよ。」スマホを畳に投げつける乙女。「母さん落ち着いて。とにかく逃げよう。」バッグに荷物を入れ始める優也。「優也。」先ほどとは打って変わって落ち着き払った優しい声になる乙女。しかしそれが返って彼に気付かせてしまう。「は、か、母さん何してんだ。」乙女は隠し持っていたナイフで優也を両手で振り下ろして刺し殺そうとしていた。間一髪で躱す。「もうダメ。優也ゴメン、一緒に死のう。お母さんもすぐに後を追うから。」「何バカなこと言ってんだよ母さん。」なりふり構わず問答無用で刺しに来る乙女。優也は半身で掌の内受けでまたもや躱す。「お前どこでそんな技学んだの。」藤堂に仕込まれた護身術を思い出していた。別府市のマンション下で学んだ技。「優也っ。」渾身の体当たりをするも、虚しく受け止められてしまう。・・・続く。
- Re: アカシアな二人 ( No.84 )
- 日時: 2023/05/13 01:59
- 名前: 梶原明生 (ID: qh2qVUY5)
・・・相手の力に逆らわず、力の方向に押してやる。すると人間はそれに抗おうとし、結果それに合わせて掴んだ両手を反転させて脚の膝裏に引っ掛けながら倒すと、意外にもあっさり人は倒れる。「離して母さん。刃物を、離して。」必死に掴もうするが、乙女はナイフを離さない。「何やってるんだ。」突入した捜査員達がづかづかと入ってくる。「いやー息子を殺させて。私も死ぬから。」息子と母親を引き離した捜査員だったが、二人がかりでナイフをとりあげる。「全く、著作権侵害の件で来てたら殺人未遂に出ぐわすとはな。連行しろ。」「はい。」署員達が一斉に乙女をパトカーに乗せていく。「違うんです刑事さん。母は俺のこと、殺そうとなんかしてないんです。あれは・・・」「よくあるんだよ、子供が母親を庇うなんてことは。君も一応署まで来てもらう、いいね。」やむなくパトカーに乗せられる優也。以来、マスコミがこぞって報道合戦を開始した。ゴーストライター、著作権侵害、狂ったシンママ、殺人未遂、などなど、話題に糸間はない。数日後、優也は解放された。アパートに戻れば隣近所に迷惑がかかる。仕方なくセキュリティーの面でしっかりした元いた豪邸に戻らざるおえなかった。「すみません、粕谷電気です。お風呂とエアコンの調子が悪いと言うことでまいりました。」「うちはそんなの頼ん・・・と、藤堂さん。」カメラ越しに彼の顔を見て、慌てて鍵を開ける優也。「こんちわー粕谷電気で〜す。お邪魔しま〜す。」「どうしてここへ。」「話は瀬西さんから聞いた。一応森本春香の件は片付いたんでな。」「本当ですか。春香元気にしてますか。失踪したって聞いてから気が気じゃなくて。」「安心しろ。今は本家で休養中だ。しかし厄介なのはその乾奈央とか言う元マネージャーだな。」「いくら行方を追っても探し出せないんです。警察は乾を容疑者扱いせず、うちの母ばかり責め立てるんです。」「わかった。すぐに乾奈央の潜伏先を探す。警察に先を越されたら君のお母さんのせいにされるだけだしな。」「よろしくお願いします。」こうして藤堂は乾奈央の足取りを探ることとなった。翌日、春香の方は久々の青川学園登校となった。菊子が付き添ったが、春香からしたら必要なかった。季節はもう10月。暑さはあるものの、9月よりは秋を感じさせてくれる。エントランスに着くと、紺野が待ち構えていた。「先生、おはよう御座います。その説はご迷惑をお掛けしました。」「そんなに畏まらなくてもいいのよ。事情は聞いたわ。でも、一言相談には乗って欲しかったなぁ。先生そんなに頼りないの。」「いえ、そんなことは。」言うなり涙が溢れてくる春香。「あ、ごめんね。責めるつもりで言ったんじゃ。・・・」続く。
- Re: アカシアな二人 ( No.85 )
- 日時: 2023/05/22 22:42
- 名前: 梶原明生 (ID: aOtFj/Nx)
・・・「そうじゃないんです。こんなに先生暖かいんだなって思ったらつい。」「わかったから。さ、もう泣かない泣かない。さ、新しい教室に行くわよ。覚悟はいい。」「はい。」促されてその教室まで行く春香。しばらく空き部屋だった教室が、見事に改装されて新しい教室としてスタートを切っていた。その名も「藤木教室」だ。「さぁ、中に入って。」そこには春香とは比べ物にならないくらいお腹が大きくなった生徒や、すでに生まれた赤ん坊を抱えてる生徒までいる。「これってもしかして。」「そう。文科省の通達でね、昔みたいに退学勧奨とかせずに、女子生徒を通えるようにしなさいってことでね、校長先生が早くからこの学級新設に尽力してたの。皆と仲良くしてね。」「は、はい。」教室に入るや否や、紺野からそう説明を受けた。自己紹介しようとしたら、奥の席にいるロングヘアーの生徒が野次を飛ばす。「知ってるよ。森本春香。二年生でしょう。中年親父にやられたって子だろ。」笑う子と引き攣る子が半々か。「ちょっとやめてくださいよ沙耶香さん。」「何、本当の話しただけじゃん。あんたもサッカー部の連中に回されたんだろ。」「回されてません。三年の先輩を好きになって・・・とにかく、」言ってる矢先に前列の子が挨拶する。「これからよろしく。私あなたとタメの菱野ありさ。」「あ、よろしく。もしかして学年成績トップを1年の時取ったあの菱野さん。」「あ、わかる。結構有名なんだ。」他愛ない話で和むクラス。しかし、青川学園にまさかこれだけの妊娠生徒がいるなんて想像すらできなかった春香。ざっと数えて12人。ここから春香の出産と学業の修行が始まったようなものだ。智美が訪ねてくる。「これ、二週間分のノート。春ちゃんのために授業の移しといたんだ。」「ありがとう。これで遅れを取り戻せる。ごめんねここまでしてもらえて。」「ううん、気にしない気にしない。それより、ガンバだよ。」「うん、もう逃げない。私絶対青川学園卒業する。」「そのイキそのイキ。それでこそ春ちゃんだよ。」二人は意気投合して互いをはげましあった。その頃、金子仁美が身を寄せた親戚が経営してるビジネスホテルで、サングラスにマスク。クロッシェ帽を目深く被った女がでてきた。チェックアウトを済ませたらそそくさと出て行く。「あの人毎回あんな感じよね」奥さんが耳打ちする。「そうだな。まぁ、しかしお客さんだし。」「そうは言ってもねぇ〜。」旦那の意見に微妙な顔になる。その噂の女は、外で数時間潰すと、四時頃にまた舞い戻ってくる。「あ、叔母さん、手伝うね。」学校から帰ってきた仁美が率先して動いた。「あらいいのよ仁美ちゃん。あなた酷い目にあってたんだから。」「いえ、甘えてばかりじゃ悪いんで。あ、お帰りなさいませ。」
奈央は相変わらず無愛想だが、つい言うはずのない言葉を発した。「ただいま。・・・」「あれ、この声・・・まさか。」仁美は以前、何度か偶然奈央と会うことがあった。直接接したことはないが、声は聞き覚えがあった。「優君ちのマネージャー。」・・・続く。
- Re: アカシアな二人 ( No.86 )
- 日時: 2023/05/28 15:18
- 名前: 梶原明生 (ID: 0K0i.3Zc)
・・・その予感は当たっていた。一方、藤堂も助手の水沢と共にだいたいの見当をつけて乾奈央を追っていた。「藤堂さん、いい加減本業に戻ってくださいよ。そりゃ乾を追いますけど、仕事俺一人じゃ捌ききれませんて。」「わかってる。一年の辛抱だ。そのために森永ちゃんに応援にきてもらってんだろ。」「えー、あの女やり辛いっすよ。」「あの女とか言わない。とにかく当たりをつけるぞ。乾奈央はこのビジネスホテルに滞在してるんだな。」「あくまで可能性ですが。」早速藤堂はそのビジネスホテルに向かった。エントランスに入り、フロントに声を掛けようとしたのだが。「すみま・・・君は。」「いらっしゃいま・・・と、藤堂さん。」「名前覚えてたんだ。でもまさか君がこんな所で働いていたなんて知らなかったな。」「いえ、身を寄せた親戚がたまたまビジネスホテルやってて、手伝ってるだけです。あ,それよりお泊まりですか。」「いや、実は人を探しててな。乾奈央って人物知ってるか。」「やっぱりあの人が。」「いるんだな。」「助けてもらったお礼にお教えしましょう。はい、います。403号室です。名前は加藤寿々佳ってなってますが、声でわかりました。」「ありがとう。」早速部屋に向かう藤堂。直接対決の始まりだ。インターホンの呼び鈴がまるでゴングに聞こえる。「どなた。」「乾奈央さんですよね。志楽乙女氏のマネージャーだった。」渋って出てこないかと計算していたが、チェーン越しにすぐドアは放たれた。「あら、意外なお客さん。藤堂聖。私立藤堂探偵事務所の所長でもある。」「あんた、何で俺を知ってる。」「あら、あなたらしくもない。こう見えて響探偵事務所の若手の探偵とお友達なものだから。」一瞬小田課長の部下を思い出す。反感的な態度だったのは確かだ。奈央は続ける。「大体の見当はついてるわ。私に志楽乙女の著作権侵害の無実を証明しろと言いたいんでしょ。」「そこまで察しがついてるなら話が早い。ま、とは言え、はい、そうですかと罪を認めるような玉じゃないよなあんた。いいぜ、その代わり、あんたを色々調べさせてもらった。色々悪どいことしてきたよな。こっちはその証拠全て握ってる。」勿論これはハッタリだ。あの短い期間にそれだけ調べ上げるのは不可能。「あら、随分と調査が早いのね。いえ、早すぎかしら。フフフッ」不敵な笑みに見抜いたのか見抜いてないのか、掴みどころに苦慮する藤堂。「いいわ。なら罪を認めてあげる。その代わり条件があるわ。森本春香。なかなか面白い子よね。愛着が湧くからさ、その子に説得させてごらん。少しは考えてあげる。」煮湯を飲まされる思いになる藤堂だったが、二つ返事で承諾せざるおえなかった。翌日、藤木学級で各学年の各クラスのウェブカメラで繋げた各席に、設けたパソコン画面を通じて授業を行っていた、春香も受けていたのだが。・・・続く。
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- Re: アカシアな二人 ( No.87 )
- 日時: 2023/05/28 19:57
- 名前: 梶原明生 (ID: 0K0i.3Zc)
閑話休題・・・・主要人物の身長。森本春香、154センチ。 中山毅、176センチ。 志楽優也、180センチ。 瀬西志乃、162センチ。 藤堂聖、178センチ。 紺野先生、160センチ。 森本賢二、178センチ。 森本菊子、156センチ。 志楽乙女、164センチ。
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