複雑・ファジー小説

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アカシアな二人
日時: 2022/04/16 22:27
名前: 梶原明生 (ID: UfViuu4R)

理想的な容姿と充実した高校ライフを送っている二人の高校生。ひょんなことから回りに勧められて付き合い出したのだが・・・二人は愛し合えなかった。「何かが違う。」その違和感を拭えないでいた。そんな時互いに別の異性との出会いがあったのだが。それは悲劇の愛の始まりだった。アカシアの花を通じて知り合った、52歳の男女だったのだ。しかし世間はこれを純愛とはせず、あらゆる憶測、いじめ、引裂き、誹謗中傷の嵐に晒す。果たしてこの四人の愛は没落なのか。それとも真実の愛なのか。神々の授ける運命は愛する者達を翻弄する。

Re: アカシアな二人 ( No.27 )
日時: 2022/09/12 01:34
名前: 梶原明生 (ID: rrGGtC6v)

・・・「お婆ちゃんね。おじいちゃんとは駆け落ち婚だったのよ。今で言う格差婚でね。で、賢二が生まれた。・・・本当はまともな形で送り出したかったけど、中山さんて人を知ったらあなたの気持ちもわかる。ごめんね、あの手紙実は封を開けて読んでたのよ。あなたが私の名義で文通してたからね。」「ううん、そんな事許すも許さないもないよ。ありがとうお婆ちゃん。きっと。きっと認められる夫婦になってまた帰ってくるから。それまで・・・」泣きながらお婆ちゃんに抱きつく春香。「よし、行こう。」玄関を出てリュックにボストンバッグ姿で歩き始める。賢二も菊子もまさか娘がある計画を進めていようとは思わなかった。やがて終了式にのみ参加するために駅のロッカーに荷物を預けて登校する春香。嵐の前の終了式は厳かに執り行われる。「今日で一学期は終わり、いよいよ明日から夏休みです。」校長挨拶が長きにわたり話された後、教頭が来賓相手にドヤ顔になって演壇に立ち、生徒代表挨拶を告げる「えー、続きまして、生徒代表挨拶ですが、あの、大ベストセラー作家、志楽乙女氏の御子息。志楽優也君にしていただきます。」騒つく来賓を横目に優也は颯爽と演壇に上がる。「ご紹介に預かりました、青川学園高校二年B組の志楽優也です。」教頭とは既に例の話は解決済みとの認識で和解していた。そのつもりだった。「それでは皆さん、有意義な夏休みを送ってください。以上何ですが・・・お遊びはここまでだ。」ギクっとする生徒諸氏。「僕には今、真剣に愛している人がいます。」「何を言っとるんだ君。」「教頭先生。」校長が何故か首を横に振る。優也は続ける。「その人は52歳の女性で、とても魅力的な人で、人目惚れでした。僕は未成年で取るに足らない年齢なのかもしれない。でも、全てが不安定な交際なんでしょうか。全てがいけない愛なんですか。いえ、違うと思います。、、愛に境界線なんてない、、誰が誰を愛してようが、誰が誰と結ばれようがいいじゃないですか。俺は、瀬西志乃さんを愛しています。」校外のベンチに座る瀬西にもそれは聞こえた。「さようなら皆。」驚愕する仁美や先生を尻目に、春香の所まで走っていき、腕を掴んだ。「さぁ行こう。俺達の楽園へ。」「うん、マブダチ。」二人はあくなき逃避行へと旅立つ。やっと我に返った先生達が追いかけるも、講堂を出たら何処へ行ったか全くわからない。「手分けして探しましょう。」走り回る先生達のすぐ側にいたのに気づかない。実は昨日、藤堂から春香がレクチャーされていた「スカウトの隠匿術」を実行したのだ。それを優也にメールでレクチャーし、実行に移した。かつて藤堂が小倉の第40普通科連隊にいた頃に習得した「隠匿偵察術」である。人は「肩と頭があるから人になる」逆に肩も頭もない言わば「塊」を人とは認識できない。呼吸を制限し、目立たぬ生きた背景の一つとなれば、人は錯覚に陥る。忍者も恐らくは似た事をしていたに違いない。「今だ。」隙を突いて一気に走り出す二人。藤堂の言った通り、余裕で校門を抜けられた。「志乃さん。」「優也君、春香ちゃん。本当にこれでいいの。」「いいに決まってるじゃないですか。さ、行きましょう。」「瀬西さん、私達のためだよ。」三人はタクシーに乗り、二人の荷物のある駅に向かった。その頃、中山は院長に呼び出しを食らっていた。「中山君、君の噂は既に患者さんにも広まっている。おまけに苦情の電話や誹謗中傷のネットの書き込み。このままでは当院の信頼は失墜しかねない。言いたいことはわかるね君。」その圧力はなくともわかる。つまり病院をやめろと言いたいのだ。「あ、はぁ。」「とは言え、きみは長年よく頑張った。君のおかげで良くなって退院した患者さんには未だ手紙を送ってくれる人もいる。手厚い手当てや退職金は今日中に振り込んでおいたから、自由につかいなさい。せめてもの餞別代わりだよ。」「何から何まで、今までお世話になりました。」深々と頭を下げる中山、部屋を出ると一ノ瀬が駆け寄る。・・・続く。

Re: アカシアな二人 ( No.28 )
日時: 2022/09/14 12:45
名前: 梶原明生 (ID: 9nuUP99I)

・・・「まさか、辞めさせられるんですか。」「いや、そうすぐには・・・」「嘘。私院長に掛け合ってきます。」「やめてください。」中山は一ノ瀬の腕を掴む。「あ、すみません。でももういいんです。色々お世話になりました。」頭を下げて立ち去る中山。そんな時、一ノ瀬の娘の幼稚園に身長186センチの大柄な銀行員が営業に訪れていた。「私共秋の葉銀行は色んなオプションをご用意できます。・・・お、渚。」銀行員は娘を発見した。「パパ。」「覚えていてくれたか。よしよし。」園長が驚く。「あら、渚ちゃんのお父さんだったんですか。」「ええ、妻が浮気して出て行ったもので。」銀行員お得意の小芝居が始まる。一方、三時で早上がりさせられた中山は、ロッカーを整理してから自宅へと戻った。「ん、メールきてたのか。気づかなかった。」スマホを手にとれば一通のお知らせがあった。「近くのカフェにいます。来てください。」とある。早速そのカフェを訪れた。「春香ちゃん。瀬西、何で君が。」驚いた。親友だった彼女が今ここにいるのだから。「不思議な縁ね。まさかあなたが春香ちゃんの恋しい人で、私とあなたがかつての級友で。そして。」「お初にお目にかかります。志乃さんと交際してます志楽優也と言います。」何がなんだかと言った感じで席に着く中山だったが、瀬西と春香のこれまでの経緯を話すと、彼は納得した。「そこで提案があります。勝手ではありますが、僕たちと、ダブル駆け落ちしませんか。」「何だって。」普通なら断るのが関の山だろう。しかし幸か不幸か、中山にある現象が起こり始めていた。「信ちゃん・・・」「え。」森本に榮倉信子が重なってしまった。「ごめんよ。あの時助けられなくて。もう後悔したくない。行こう、君とどこまでも。」春香は信ちゃんと言う名前が気になったが、今は時間との勝負。中山が切り出した。「四分くれ。出て行く荷物を取ってくる。」優也は承諾した。「わかりました。」早速マンションに取りに行く中山。夕日が差し掛かる中、自家用車のXトレイルを出して春香達を乗せる。途中藤堂とも合流し、あくなき逃避行の旅は始まった。「瀬西さんと優也君ははじめましてでしたね。藤堂聖です。よろしく。」「こちらこそよろしくお願いします。」「皆さんのボディガードを務めさせていただきます。」頼もしい味方ができて尚更テンション上がる皆。しかしこの事実を乙女が知ったのは随分後からだった。「何言ってんのあんた、そんな大事なこと何で黙ってたの。」ヒステリーな剣幕で叱る乙女。「申し訳ありません。うっかりしていました。」「もう、あの子は何考えてるの。」ソファに倒れ込む彼女を尻目にほくそ笑む乾。無論、わざと報告を遅らせたのは言うまでもない。乙女は響探偵事務所に連絡した。警察では返って事を大きくすることを恐れたからだ。その頃関越自動車道から上信越へと入ろうとしていた中山達だったが。「ん、優也君。何処へ行きたいんだ。」藤堂が不審に思い聞いた。「とりあえず僕の計画ではうちが所有してる別荘に向かおうと思います。」「それは危険だ。恐らく警察だろうと、お母さんが雇ってる探偵事務所にしても君の関わる場所には網を張るはず。別荘なら尚更だ。」「えー。」意外にもそこまで考えが回っていなかった。「中山さん、南に向かってください。上信越自動車道は避けましょう。」「わかりました。」藤堂の指示に従い、道路を変えて潜行した。春香達の楽園への、短くも熱い夏休みが始まった。・・・次回「私達の楽園」に続く。

Re: アカシアな二人 ( No.29 )
日時: 2022/09/25 11:12
名前: 梶原明生 (ID: UMqw536o)

「私達の楽園」・・・「んーっ気持ちいい青空だねー。」サービスエリアで翌日、春香は車から降りて背伸びした。「春香ちゃん、ちょっとお金下ろしてくる。」「うん。行ってらっしゃい。」中山はATMに急いだ。これからは現金払いがいいと藤堂に指導されたためだ。キャッシュカードだと使った場所を特定されるから。響探偵事務所くらいなら朝飯前だろう。彼は退職金と給料を一部引き出した。利用している銀行は秋の葉銀行。戻ってみると皆いない。鍵もしている。「どこへ。ん。」メールが届いた。今サービスエリアのショップにいると。「名古屋名物のソフトクリームになります。」店員が春香に手渡す。「わー、美味しそう。」すっかり旅行気分の春香に藤堂も癒される。「ああ、すみません出てきてしまって。メール見ましたか。」「ええ、見ましたよ。すっかり旅行気分ですね。」「こうして見ると、これまでの悲壮感が嘘のようです。」春香は次に優也と志乃を従えて隣のお土産屋に興味惹かれる。「見て、美味しそう。」「本当ね。」志乃がそう言った矢先、店員がつい心ないことを。「あ、お母さんですか。家族でご旅行ですか。」「え、・・・ま、まぁそうね。長男と長女でして。」機転を利かせてそう言ったものの春香の顔色は曇った。優也は春香を気にかける。「大丈夫か。」「う、うん、大丈夫。」いくつか土産品を買った三人は毅と合流し、車に戻るのだが。「やっぱり世間て年齢で人を見るんだ。」今度は毅の助手席に乗った春香が呟く。「し、仕方ないさ。ある程度は芝居しないと。それにその方が潜伏しやすいし。ねぇ、藤堂さん。」「はい、その通りです。しばらくの辛抱です。落ち着くまで。」それでも窓外を見て景色ばかり見る春香。一方その頃、一ノ瀬は非番で休みだったのだが。彼女のコーポに女性が訪ねてくる。「すみません。区役所の者ですが。」「はーい。」一ノ瀬はついドアを開ける。「何の御用ですか、・・・はっ」いきなりドアは放たれて大きな壁が入ってきた。「はい、約束の金。」男は女に金を握らせて帰した。「浩二、あなた。」「久しぶりだな、え、随分探したぜ静香。この落とし前どうつけるんだ、あ、このクソアマ。」殴る蹴るの暴行が始まった。「やめてー。」「はぁ、じゃあ何だこの男は。わざわざ写真盾に自分と載った男の写真入れやがって。誰だこいつは。」さらにエスカレートする浩二の暴行に耐えられず、口走る静香。「そ、その男は、確かに付き合ってた人だけど、渚に性的な悪戯する男だったのよ。」「何、渚本当か。」キョトンとそばにいた彼女は、母のアイコンタクトに答える。「うん。」「畜生、ぶっ殺してやる。」「おまけに今、女子高生連れて失踪してるの。確か秋の葉銀行を利用してたはず。名前は中山毅。」怒りの矛先は静香から毅に変わりつつある浩二だった。・・・続く。

Re: アカシアな二人 ( No.30 )
日時: 2022/09/23 16:30
名前: 梶原明生 (ID: UMqw536o)

・・・銀行に電話する浩二。「みっちゃん。調べてほしいことがあるんだが。」「何よ。私との関係は切れたはずでしょ。」「そう言うなって。中山毅って人の最近の利用データ調べてくれないか。」「いいけど。また破産者なの。」「いや、ある意味俺が破産させたい相手でね。」ほくそ笑む浩二。「ちょっと待って。・・・あー、その人なら、名古屋市近郊のサービスエリアから50万円の引き出しがあったみたい。ついさっきよ。」「何、わかった。みっちゃんありがとう。」電話を切る浩二。「待ってろよ。」車に乗り込む浩二。そんなことも知らずに日産Xトレイルを走らせている毅。助手席の春香が場の空気を変えようと藤堂に話しかける。「藤堂さんて、車の免許持ってるんですか。」「まぁ、そうだね。」「なら、毅さんと交代してもらえたら・・」「春香ちゃん。」毅は彼女を牽制したのだが。「いいですよ中山さん。気にかけなくても大丈夫です。・・・あれは確か10年前。」これまでの経緯をかい摘んで話した。「以来、運転恐怖症に苛まれてね。だから自衛隊を首になった。車両運転できない自衛隊員なんて話にならないからね。おまけに妻からも首になった。元々自衛隊合コンで知り合った仲でね。妻にとって、空挺部隊員の妻というステータスが欲しかっただけだから。自衛隊を辞めた俺なんかに興味はなくなったんだろう。ただ・・・」「ただ。」「一人娘だけが気掛かりでね。もう随分と会ってないんだ。7歳の時に別れたから丁度17歳・・・君と同い年かな。」「え、そんな年の娘さんいたんですか。」「ああ。それでしばらくふらついてたら、先輩自衛官から電話があってな。その人が自衛隊を辞めてから主宰したバルエージェンシーって大手探偵会社に就職した。そして2年前に独立したってわけ。」「へー、そうだったんですか。」関心する春香。そんな中、志乃が毅に頼み込んでくる。「あ、中山君守山区の幸先町2の4に向かって。」「幸先町ってまさか。」「そのまさかよ。狭間先生の家。覚えてるでしょ。」「ああ忘れないよ。僕たちの青川学園の恩師なんだから。」・・・続く。

Re: アカシアな二人 ( No.31 )
日時: 2022/09/26 12:38
名前: 梶原明生 (ID: UMqw536o)

・・・「え、狭間先生って方が青川学園にいたんですか。」春香が驚く。「そうよ。まさに才色兼備な先生でね。それでいて生徒に情が熱い先生だった。男子の憧れでもあったのよ。」「へー、そんな先生が。」一瞬紺野先生を思い出した。今どうしているだろう。「着いたよ。」毅が言うとそこには立派なペンションが建っていた。名古屋市内近郊の丘の上にそれはあった。幸先町は市内と山間の中間に位置し、便利さと癒しの空間がテーマの町だ。狭間葉子先生は高校教師定年退職後、主人の実家である名古屋市幸先町に越してきた。元々洋館宿泊所を代々経営していたが、息子夫婦がそれを叔父から受け継いだため、居抜き改装を経てペンションを開いた。言わばそこに入って、今では息子夫婦を手伝っている状態。五人は車を降りてペンションに入った。「いらっしゃいませ。お泊まりで・・・瀬西さん、中山君まで。」初老過ぎの老婦人に紅潮が差した。「わかるんですか先生。」「わかりますとも。私の大事な教え子ですもの。」「よかった。今日ここに泊まっても。」「ええ、見ての通りのガラ空きだし、大歓迎よ。アレ、お子さん。二人結婚してたかしらね。」「その事なんですが。」志乃の不安気な表情に何かを悟る狭間。「母さん、お客さん。」そこへ年の頃30代半ばの精悍な男性が仕入れ食材を抱えて奥から現れた。その傍らには瀬西と変わらない年齢の女性と子供二人。「ああ、紹介するね。この子は息子の拓司。それからお嫁さんと孫達よ。」「こんにちは。」軽く挨拶を交わして、青川学園卒業生の教え子だということも話した後、部屋に通された。怪しまれないよう、三部屋借りて、毅、志乃の部屋。優也、春香の部屋、そして藤堂のシングル部屋という形にした。折を見て志乃と春香が入れ替わる算段だ。「お部屋の具合はいかがです・・・瀬西さん、ちょっと。」部屋の様子を尋ねるフリで志乃を呼び出す狭間。空き部屋を相談所代わりにして入った。「瀬西さん。もしかして何か深刻な事抱えてないかしら。失礼だけど、二人のお子さん二人のどちらにも似ていないものだから。」もう隠していられないと腹を括った志乃は、狭間先生だからこそ真実を全て打ち明けた。「そう、そんな事があったの。因果かもね。」「え、・・・」「いやね、うちの息子も年の差婚でね。しかもお相手さんは子連れで再婚だったのよ。それはそれはお父さんが生きてた頃は大反対で。半ば駆け落ち同然で結婚。ああ、今のおチビちゃん二人はその連れ子さんじゃなくて、後で生まれた子供。連れ子さんはもう独立して働いてるんだけど。でもね。不思議なものね。孫が産まれて見せられたら何も言えなくて。幸せそうな二人を見て思ったの。世間体や体裁よりも、息子が誰といて幸せなのかってね。おかしいでしょ、教師のくせにそんな事も忘れてたのよ。それで許したのよ。・・・四人共二人でいて幸せなの。」「はい。それはだれが何を言おうとも変わりません。」「それを聞いて安心した。アカシアの花言葉知ってるかしら。」


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