二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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妖怪ウォッチ〜3つ目の妖怪ウォッチ〜
日時: 2018/04/21 10:51
名前: ちーちゃん (ID: 4rycECWu)

この世で起きる不可解な出来事はすべて妖怪の仕業。

そんな妖怪達を見ることが出来る時計。

それが、妖怪ウォッチ。

一つ目、白色の腕時計は普通の少年、天野景太に。

二つ目、桃色の懐中時計は霊感を持つ、木霊文花に。

二人と、その友達妖怪の活躍により、巨悪妖怪による人間界の危機は去った。

そして、夏が過ぎると共に、運命の糸は交わる。

三つ目、金色の懐中時計は孤独な少女、守野虹花に。

これは、守野虹花と、彼女を取り巻く人々の不思議な日常の物語。

**

おはこんばんちは!ちーちゃんと申します。
主人公はオリキャラとなりますのでご了承ください。

主人公
名前:守野 虹花(かみや にじか)
性別:女
年齢:11歳
容姿:肩あたりの黒めの茶髪、白のシュシュとピンクのヘアピンをつけており、ハーフアップサイドテールをしている。きれいな黒目。白のフリルのついたシャツと青チェックのプリーツスカートを着用。向日葵のついたサンダルを履いている。
性格:元気がよく、猪突猛進。
設定:ムゲン地獄の空間の乱れが戻ったあと、さくら第一小学校に転校してきた。
親を交通事故で亡くして親戚もおらず、引き取り手がいないため、現在はあんのん団地に一人で暮らしている。
アニメ、ゲーム、ボーカロイド曲を好み、世間一般的にはオタクと呼ばれる人種。
体術を習っていたため、どんな強い相手だろうと生身で立ち向かう。
妖怪ウォッチのデザイン:小型な懐中時計。金色のふちでアンティーク。胸ポケットにチェーンで繋いでいる。

名前:虹歌姫
性別:女
種族:プリチー
容姿:黒髪で、水色のリボンでポニーテールをしている。目は緑色。ピンクの着物と青色のはかまを模したスカートを着用。歌姫の羽衣と呼ばれる、薄紫色の羽衣をつけている。靴はローファー。
性格:情け深く、温厚。
設定:虹を司り、様々な音色を出せる、妖魔界の歌姫。この妖怪を見つけるとその日は一日中虹が出ているらしい。
虹花のお供妖怪であり、百鬼姫と一緒に虹花の家に住んでいる。
両親のいない虹花のために、母親代わりとして家事をこなす。
技一覧
攻撃:はりたおす
妖術:大雨の術
必殺技:虹の音色…きれいな虹と自慢の歌声で味方を癒し復活もできる。
とりつく:歌姫の励まし…歌姫の声で励まされ、HPがどんどん回復する。

オリジナル妖怪の募集は終了しました。申し訳ございません。

本編執筆開始>2014.8.26

本編完結>2017.12.24

サブクエスト執筆開始>2017.12.31

皆さん、不思議な日常へようこそ!

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妖怪ウォッチ〜3つ目の妖怪ウォッチ〜SQ ( No.183 )
日時: 2018/04/22 00:43
名前: ちーちゃん (ID: 4rycECWu)

こんばんは、ちーちゃんです。
課題が多すぎて目が回ってます。
なんてこった/(^o^)\
今度演劇部の方で新入生歓迎公演をやります。で、その時に警察の役をやることになりました。
逮捕する権限を獲得しました。やったね!
ではコメ返。

のらねこさん
ヲタ恋すんごく好きです!
毎週見るのが楽しみです。
虹歌姫は虹花のお母さん代わりをやろうと奮闘してたりします。虹花と出会ってからはちょくちょくコンサートをやるようにして、生活資金を稼いでいるっていう設定です。
サブクエストになってから戦闘シーンを全く書けていないので、早く戦闘シナリオ書きたいですねぇ。

そんなことは言いつつ、今回も戦闘シーンはありません。
ムービーンが撮影する映画の話です。
いやぁ、1回演劇やらせたかったんですよ!
今回は
のらねこさんの闇小町(設定>>169)

ホシゾラさんのサク・ランボー(設定>>25)
が登場します!
では、どうぞ!

〜不思議探偵社事件簿 case3 Fumika in Yokailand〜
こんにちは、守野虹花です!
今日はフミカちゃんのおうちでイナホちゃんも一緒にクッキーを作っています。
祝賀会的なお菓子パーティー(本編最終話参照)をした時にフミカちゃんが持ってきてくれたクッキーが美味しかったので、それを伝えたところ「作りにおいでよ」と言ってくれたので、今日はおじゃましています!
「あとどのくらいかな?」
「そろそろできるよー」
「あ、十秒切りました!」
みんなでオーブンを覗き込む。
「「3、2、1……」」
焼き上がりを知らせる音を聞いて、オーブンを開ける。
鉄板の上にはいい感じに焼きあがった様々な形のクッキー。
「「できたー!」」
「フミカさん凄いですね、女子力が高い」
「ね、1人でお菓子作れるのすっごーい」
「えへへ、照れるなぁ」
クッキングシートからクッキーを取り、お皿に盛って、フミカちゃんの部屋に持っていく。
「みんな、紅茶入ったわよ」
ちょうどそこへフミカちゃんのお母さんが紅茶を持ってやってきた。
「あ、ママ。ありがとう!」
「ふふ、ごゆっくりー」
「じゃあ、食べよっか」
「「いただきまーす!」」
手に取ったクッキーを一斉に口に入れる。
「……あっつい!!!」
口の中に広がったのはバターの香りでもなければ香ばしいクッキーの香りでもなく、じゅっというなにかが焼ける音と、クッキーの中に残っていた180℃の熱。
「ごめん!冷ますの忘れた!」
「ひええ舌火傷したっ!!」
「おっお茶っ!」
ティーカップに手を伸ばし、紅茶を口に含む。
「「いったい!!!」」
火傷した舌にほぼ熱湯に近い紅茶が注いだら、それはもう激痛。
またもや悲鳴が揃う。
みんなで顔を見合わせること数秒、なんだかおかしくてみんなで吹き出してしまった。
「「あはははははっ!」」
「みんな動きおんなじなのすごい!」
「熱い!いろんなものが熱い!」
「めちゃくちゃどったんばったん大騒ぎしてる!」
ひとしきり笑ったあと、少し冷めたであろうクッキーを一口かじる。
「いやー、クッキーって冷めてないとじゅって言うんだねー」
「ホントびっくりしましたー」
「でもできたてが一番美味しいよねー」
「さて、お茶会再開しよう!」
なんて笑いながらふと、昔絵本で見た光景を思い出す。
「……お茶会って言うとアリス思い出すよね〜」
「あっ……そういうこと言ったら」
私の言葉を聞いて、フミカちゃんが何やら青い顔をして上を見た。
つられて上を見ると、妖怪達を召喚する時に出てくる陣が出ていた。
「……フミカちゃん。あれ、なに?」
「ニジカちゃん、イナホちゃん、連帯責任だよ……」
「「へ?」」
誰かの声が聞こえた瞬間、意識は途切れた。

**

「う……」
目を開けると、目の前には謎の花畑が広がっていた。
「……え!?」
辺りを見回すと、フミカちゃんとイナホちゃんも同じように倒れていた。
違うところを述べるなら、服が変わっている点。
フミカちゃんは水色のエプロンドレスを着ていて、ポニーテールには黒いリボンがついている。
イナホちゃんは中世ヨーロッパの貴族が着ていたようなフリル袖のシャツと燕尾のジャケットを着ている。
私も同じく、フリル袖のシャツとリボンのついたスカートの礼装、そして何故かとても大きな帽子をかぶっていた。なんなら「10/6」って書いてある値札っぽいのついてる。
もしかしなくても、これはもう、あれだよ。
「異世界トリップーーー!!!フゥーーーー!!!」
黒歴史夢小説あるある展開その1、気がついたら作品の世界へじゃないですかヤダー!
「虹花ちゃん?」
「その格好、なにかあったんですか?」
起き上がった二人は私の格好を見て不思議そうにしている。
「二人とも自分の格好を見て」
「「……なんじゃこりゃーーー!!!」」
二人とも自身の着ている服を見たあと、目を大きく開いて叫んだ。
「もしかしてワタシ達、アリスの世界にトリップしちゃったんですかね!?」
「やっぱりそう思うよね!?」
「……いや、違うよ。これから地獄が始まるの」
フミカちゃんが何かを悟ったような目をしていてすごく怖い。
「「え?」」
「いやー!急にお呼び立てしてスミマセンデシター!」
突然空から、椅子に座っているアフロの監督っぽい格好をした何かがやってきた。
「ああ……やっぱりムービーンかぁ……」
フミカちゃんが頭を抱える。……何なのこいつ。
「ワタシは『天才映画監督妖怪』Mr.ムービーンデース!」
「「……はぁ?」」
「前ね、わたしの顔と鬼の体を合成したリア〇鬼ごっこの映画撮ったの。ケータくんなんか西遊記って名前だけのガ〇使とかダチョ〇倶楽部的なバラエティ映画撮ったらしくて……」
「つまり、クソ映画監督、ということですか?」
「うん、業界受けはいいらしいけどね……」
ふと右腕が動いて、ムービーンを殴っていた。
「監督を殴るとは何事デスカー!」
「おだまり!
あんたみたいなのがいるからマンガの劇場版実写化はろくなもんができないんだよ!
NO MORE劣化実写化!!」
「「キュウ〇ネコカミ!?」」
全世界の原作ファンはみんな思ってる(はず)。
「イケメン俳優とかジャ〇ーズ使っておけばそっちのファンが群がって儲かるから」って言ってキャラ容姿が原作と全く違って誰だお前になるとか、「母親より恋人が死ぬほうがわかりやすいから」って言って強いヒロインポジ殺すとか、舞台外国なのに下敷き日本だからって名前変えたり存在消したりするとか、ほんとろくなの無いし!!
(※あくまでも個人の意見です、気にしないでください)
「めんどくさい人連れて来チャイマシタネー」
「ホントのことじゃん」
「イイデスカ、これはFumika in Yokailand。不思議のアリスの設定を元にしたパロディデース!!!」
「ぱ、パロディ……」
「アナタ見たところそういうの好きデショ」
「待って、そういうのすこすこのすこ……」
確かに学校パロとか大正パロとか楽しいし大好物。でも、ここで屈するわけには行かない!
「しかもここだけの話、メインキャストは全員人型、白兎×アリスのラブコメ展開もありマース」
「あぁ〜いっぱいちゅき〜……」
は?無理。なにそれ尊そう。その展開見たい。
「というわけで撮影に参加してクダサイネー?」
「ぁぃ……」
「虹花ちゃんの主張を曲げるなんて……」
「Mr.ムービーン、恐ろしい子……!」
「それでは撮影開始デース!ほかの役者を呼んでキマース」
そう告げ、ムービーンは野原の向こうへ消えた。
「……やっといなくなった」
「……これは逃げた方が懸命ですね」
なんて言ってたら、フミカちゃんが死んだ目をして言った。
「逃げられないんだよね、この世界に放り込まれたら撮影終わるまで」
衝撃の事実を聞いて驚きを隠せない私たち。
「「嘘でしょ」」
「軟禁状態じゃん」

**

「連れてきマシター」
ムービーンに連れられていたのは見たことある二人。
「ケータくんとマオくん!?」
ケータくんはうさ耳のついたミニシルクハットとショートパンツの礼装。大きな時計をショルダーバッグのように肩から下げている。
マオくんは表が黒、裏が赤のマントをつけた王様みたいな格好。赤い王冠を被り、ハートが彫られたルビーと金の杖を持っている。
……なんだ、女装じゃないのか。
「とりあえずキャストは揃いマシター!」
「えーっと……わたしはアリス?」
「私は帽子屋だよね」
「オレは白兎……」
「僕はハートの……王?」
「男の子だし、多分王様でいいんじゃないかな」
「ワタシはなんですかね……」
イナホちゃんだけなんのキャラかわからない状態。こういう時は特徴から考えるのは基本だよね。
「特徴かくにーん!」
「はいっ!」
「洋服は!」
「フリル襟と青い燕尾ジャケット、タイトスカートです!」
「持ち物は!」
「蝶が彫ってあるキセルです!」
「わからん!」
「ちょっとぉ!」
わからない。Alice in Musicland(OSTER projectさん楽曲参照)のKAITO兄のキャラはたしか原作にはいなかったし……。
みんなで考えていると、フミカちゃんが口を開いた。
「あっ……青い芋虫?」
「「……それだー!!!」」
確かに芋虫なら成長したら蝶になる。みんなで納得したが、ひとつ足りないことに気づく。
「はい監督!」
「ナンデショウ?」
「チェシャ猫がいません!!」
「いるわぁん」
私の言葉のあとに、ねっとりとした話し方の艶めかしい声がした。
「……人型妖怪がいるということで、ファイナルアンサー?」
「イエース!」
妖怪ウォッチのサーチライトを当てると、猫耳と尻尾をつけた妖艶な女性が現れた。
着ているのはホルターネックとドレープのスカート、紫のチュールがセクシーなデザインのドレス。
「チェシャ猫役は闇小町サンデース!」
「おチビちゃん達、よろしくねぇ」
そう言って闇小町はウインクをする。あかん、ハート射抜かれる。
これで主な役は揃ったはず。
「今回も脚本はムービーン?」
「違いマース!今回はラブコメ界の巨匠、サク・ランボーサンに脚本を書いていただきマシター!」
そう言ってムービーンは脚本をみんなに差し出した。
しかし、展開と数行のセリフが書かれているだけ。
素人が書いたものよりも酷い。支部にもこんなのなかなかないよ。
「これほとんど真っ白でぺらっぺらじゃん!」
「ムービーンに言われたとおりに書いただけよ。
なんか不満があるならぶちのめしてやるけど?」
そう声が聞こえた。
後ろを振り向くと百鬼姫とよく似た、全身桜色の女の子がいた。
「私はサク・ランボー。あなた達、エチュードって知ってる?」
「即興劇の事?」
「うん。今回はそれでやってもらうわ」
「「ええー!?」」
「あら、いいわね。楽しそうじゃないの」
闇小町がくすくす笑う。
「監督!どうしてエチュードでやろうとするんですか?」
「ソレは大人の事情デース!」
「さてはアンチだなオメー」
私は静かに中指を立てる。
すかさずフミカちゃんがその指を隠した。
「流石にそれはやめてね?」
「……ハイ」
「なかなか面白くなりそうね、楽しみだわぁ」
「期待してるわよ、帽子屋ちゃん」
2人が何故か私の方を見る。
そんなに期待されても困るんですがそれは。
「デハ撮影を始めまショー!
まずはアリスと白兎の出会いから!」
カットの時に使われるやつをムービーンが取り出し、鳴らす。
さて、私も楽しませてもらいましょうか!

今回はここまで、では!

Re: 妖怪ウォッチ〜3つ目の妖怪ウォッチ〜 ( No.184 )
日時: 2018/04/24 16:58
名前: のらねこ (ID: dZvWwzVY)

こんにちは。もうすぐ大型連休ですね。

実写映画話は私も同意します。
制作するスタッフの方々には申し訳ないですが
『本当に売れると思っているのかな?』
という言葉が出てきてしまいます。
特に最近は原作無視しているのが多い。
アイドル使いたいならドラマでいいだろー(>△<)
漫画にしていいモノ、悪いモノぐらいは考えて欲しいです。

では、感想にいきます

演劇は楽しそう! 遠い昔、脚本志望で入ろうかなと思っていました。
映画でもアリス・イン・アンダーワルドもありましたし
ベストチョイスかなと。金髪碧眼フミカもいい
それと闇小町がでていて感激です。
しかも猫耳付なホルターネック&ドレープのスカートで
ハリウッドのセクシー女優風な猫。

闇「あらん、私はお色気妖怪じゃなくて詐欺士妖怪なんだけどなぁ」

フリコメ鷺「サギー、お嬢は詐欺士でもあるけれど、
着物を着崩して肩を晒しているから仕方ないサギー」

フリコメ鷺2「サギー、B級監督なら悪趣味なお色気シーンや
男引きつける意味不明なシャワーシーンがあるからギャラも上げホーダイ!」

闇「えー、ケータ君にはおっぱい見られちゃったけれどなぁ、
ギャラが1000なら考えてあげても良いかなぁ?」

ムービーン「1000ウォンですか?」

闇「1000億円よん♪ 払えるかしらん?」

ムービーン(……制作費はブレアウィッチ並に低いのは黙っておこうデース。
だから台本もないし……つか高すぎるデース)


摩訶不思議の国のアリス、できるのか!?

妖怪ウォッチ〜3つ目の妖怪ウォッチ〜 ( No.185 )
日時: 2018/05/15 21:05
名前: ちーちゃん (ID: 4rycECWu)

こんばんは、ちーちゃんです。
ゴールデンウィークも終わっちゃいましたし、2週間後にはテストです。
あと課題多すぎて死にそうです。毎週何個出せば気が済むんだってくらいに出てます、しかもなぜか習ってないところが出るし難しい。
まあそんな愚痴はさておきコメ返。

のらねこさん
脚本書くのいいですね!
実は今度、文芸・演劇・シネマ研究の三部合同作品を作ろうという話が出てまして、それの脚本書くことになりました。結構楽しいですが書き方的に黒歴史をえぐられるというカウンターっぷり。
闇小町さん、そちらの小説で男性陣をメロメロにしていたのが本当に面白かったので、お色気要素が多くなりました。
あとで出演料の話は出ますので乞うご期待。

じゃあ続きです。今回は演劇パートですね。演劇パートの切り替えで**を使っています。
ではどうぞー!

**

アリスが花畑で摘んだ花を使って花冠を作っている。
色とりどりの花で作られたそれは、とても少女が作ったものとは思えない完成度だった。
「よーし、帰ったらママに見せよう!」
「君、花冠作るの上手いね」
そこに、大きな時計を肩にかけ、頭にうさぎの耳が生えている少年がやってくる。
「……君は誰?」
「オレは白兎!」
名乗った白兎はにっと笑う。
「わたしはアリス。君はどこから来たの?」
「オレは……しまった!約束に遅れちゃう!」
白兎は肩にかけている懐中時計ではなく妖怪ウォッチを見て言った。
「肩にかけてる時計は何の意味があるの!?」
アリスがツッこむ。
「これ、かばん!」
「なるほど!」
「じゃあね、アリス!また会えたらいいね!」
白兎は手を振り、足早に花畑の向こうへ駆けて行った。
「待って、白兎くん!」
興味を持ったアリスが彼を追いかけるも、姿はない。
「あれぇ……確かにいたはずなのに」
アリスが引き返すために一歩踏み出す。
が、そこにあったのは大きな穴。
「きゃあっ!?」
アリスの体が穴に消えていった。

**

それと同時にカットの声が掛かる。
「イヤーカンペキな演技デース!」
ムービーンが拍手をしながら言う。
「今回は割とまともそうでよかった……」
ケータくんが安心したように言う。
「……フミカさんが帰ってきてませんけど」
イナホちゃんが言うと、花畑の奥の方から声がした。
「たすけて、この穴深い〜……」
「フミカちゃん!?ちょっと待ってね、今助けるよ!」
ケータくんと私でなんとか引き上げる。
フミカちゃんの服は土まみれ。
「ムービーン!ちゃんと出れるようにしといてよ!」
「次のシーン行きマスヨー」
「話を聞いて!」
話を聞かずにムービーンは指を鳴らしてセットを変えた。
先程の花畑はドアがたくさんある大広間に。
「なにこれなにこれ、どうやったの!?」
「ワタシの妖術デース!」
「じゃあ次は大広間シーンよ」
小瓶とかケーキとかのあれか。
「アリスには落ちてもらいマスヨー」
「またー!?」
そのままフミカちゃんはムービーンに連れていかれた。
「じゃあ私が合図するわ」
今度はサク・ランボーがカットの道具を持qち出した。
ケータくんはそれを見て名前を聞いた。
「それ、なんて言うの?」
「カチンコって言うんだって。
とりあえず、始めるわよ。よーい、アクション!」

**

アリスが部屋の上から落ちてきた。
「っと」
しかし、そのまま落ちず、上手に着地した。
「普段こういうのやっておいて良かった……。あれ?」
壁にはアリスと同じくらいの大きさのドアと、鍵のかかった部屋とても小さいドアが並んでいた。
そして机の上にはとても小さな鍵と、綺麗な青色の液体が入った小瓶が置かれている。
「なんだろう、これ」
小瓶には「Drink me」つまり「飲め」と書かれたタグがついていた。
「……押すなよ押すなよ、の原理かなぁ」
アリスはそれを飲まずに、大きなドアの方に進んだ。

**

「ちょーい!カットカット!!飲みなさいよ!飲めって書いてあんだろおぉい!」
壊れるんじゃないかと思うほどカチンコをガンガン鳴らし、怒鳴るサク・ランボー。
戻ってきたフミカちゃんが抗議の声をあげる。
「だって、色がなんか体に悪そうなんだもん!変なの入れてないよね!?」
「ちゃんと食べられるもの使ってるから安心して飲めっての!!」
私の中であの液体の正体がなんなのか知りたいと言う好奇心が芽生えた。
フミカちゃんの安全のためにも、私が実験台になってやろうじゃないの。
落ち着いたサク・ランボーに話しかけてみる。
「ねえねえ、私にもあれちょうだい」
「いいわよ」
セットに置かれている小瓶と同じものが渡される。
「ちょっと、虹花ちゃんやめた方がいいんじゃ」
「そーれいっき!」
「あー!」
マオくんの静止を聞かず、そのまま液体を飲み干す。
「……うっ」
「「う!?」」
「うわあっまぁ!!」
「「!?」」
口の中に広がる爽やかな香りと甘ったるい味。
「これ、かき氷のシロップだ!」
「なるほど!」
「色的にラムネ?」
「っぽいですね」
「っていうわけだから、安心して飲みなさい」
「了解です!」
フミカちゃんが敬礼した後、またムービーンに連れられて上へ行く。
「じゃあさっきの途中からにしましょうか」
サク・ランボーが再びカチンコを鳴らした。

**

小瓶には「Drink me」つまり「飲め」と書かれたタグがついていた。
好奇心旺盛なアリスはその小瓶の中身を飲んでしまう。
「……え!?」
すると、アリスの周りの景色がだんだん大きくなっていく。
見上げると、先程の机が体の何倍もの大きさになっていった。
「わたしの体が小さくなっちゃったの?」
アリスの体は目の前にある、鍵のかかったドアと同じくらいの大きさになってしまった。
これならこのドアは通れるが。
「鍵、置きっぱなしだ……」
そのドアの鍵は、机の上に放置されたままなのだ。
この体では、大きい方のドアなんて通れない。
「どうやったらここを出られるかなぁ」
アリスが悩んで歩いていると、机の脚付近になにか落ちていることに気づく。
「ケーキだ」
箱に入ったそれは、チョコレートのスポンジにホワイトチョコレートがかけられているもの。先程の小瓶と同様に、表面には「Eat me」の字。
「……美味しそう」
先程の小瓶の中身よりは怪しくなさそうだったため、アリスはケーキを一口食べた。
「……わぁ!?」
すると今度は逆に、体が大きくなってしまった。元の体の大きさに戻れたため、アリスは安堵した。
「今度は鍵をちゃんと持って……あっ!小瓶の中身飲み干しちゃった……」
アリスは仕方なく鍵だけを持ち、鍵のかかっていないドアの方へ向かった。

**

「はい、カット!やれば出来るじゃないの」
「やればって言われてもなぁ」
フミカちゃんが苦笑いで言う。
「次はなんのシーン?」
台本を開き、次のシーンを確認する。
「えーっと……白兎を追いかける」
「なるほど」
戻ってきたムービーンがセットを変える。
「こんな風にサク・ランボーさんと交代しながら監督をしマース!
じゃあ次のシーンに移りまショー!」
ムービーンがカチンコを鳴らす。

**

扉を抜けた先は、ただ道があるだけだった。
そして、そこにはなぜか小さな扇子がひとつ、ぽつんと落ちている。
「誰かが落としたのかな?」
どんなデザインなのか見ようと、アリスは扇子を開く。
すると、周りの景色がどんどんと大きくなっていく。
「……また小さくなっちゃったよ!」
今度は扇子を開かないようにしながら先に進む。
ふと、見覚えのある白い耳が視界に映った。
「白兎くん!待って!」
アリスは全速力で駆け、白兎に追いつく。
「どうしたの、アリス」
「これ、落としたでしょ」
白兎は扇子を受け取り、笑顔でありがとうと言った。
「そうだ、アリス。オレの家に招待するよ」
「え、いいの?」
「もちろんだよ、落し物を届けてくれたお礼にね」
白兎の後をアリスはついていった。

今回はここまで、では!

Re: 妖怪ウォッチ〜3つ目の妖怪ウォッチ〜 ( No.186 )
日時: 2018/05/24 19:14
名前: 若紫 (ID: A6nvNWRl)

ちわっち!若紫です。
新学期に髪を切って学校に行ったら、イナホみたいだと言われました(実写映画の方)。
視力もすごく落ちてメガネをかけてなきゃいけないので。

感想
『天才映画監督妖怪』Mr.ムービーンの新しい映画は不思議の国のアリスですか。
Drink meって書いてある何の液体かわからないものを飲むなんて、ニジカさんさすがです!
でも、あれかき氷のシロップですよね。
飲んだら舌が青くなって、しゃべっているときにめだちそう。
不思議の国のアリスも妖怪ウォッチのキャラクターたちでやると、
原作とはちょっとちがった感じになっておもしろいです。
大河ドラマとかもやってみたらどうでしょうか?
そして、妖魔界で放送。Mr. ムービーンも有名になりますよ、きっと。
Fumika in Yokailand頑張ってくださいね。

妖怪ウォッチ〜3つ目の妖怪ウォッチ〜SQ ( No.187 )
日時: 2018/06/14 10:22
名前: ちーちゃん (ID: lwQfLpDF)

どうも、様々な教科の点数が真っ赤と真っ青で考えることを放棄したちーちゃんです。
あまりにも点数が酷い。
うちの学校赤点が60点で、再試すら受けられない点、通称青点が40点。
要するに60点未満のテストがいっぱいということです。
くそかな?
虹歌姫「作者がちゃんと日頃勉強しないのが行けないんですよ」
分かってる!そんなん分かってる!!
でもぉ!勉強が難しいのよぉ!
ていうか教科も多い!14とか捌ききれるかコノヤロウっ!
……何でこんなことやってんだろう。
虹花「受け入れろよ、それが運命(進路)だ」
うぬんぬ……。
あ、ちなみに国語のテストが自己紹介書けとか言う意味わからない問題がありました。座右の銘の欄にとりあえず「好きな事して生きていく」って書いておきました。
コメ返行きまーす。

若紫さん
キャラに似てるとか言われたことないですね。ちょっと羨ましい。
今回の作品は自分で書きやすいよう、ガンガンアレンジ効かせてます。
現段階書いてて結構な量になってますし、これ以上やると登場人物とか多くなりそうなので、ムービーンの話はこれっきりかなと……。

はい、じゃあ続き行きます!

**

「カットデース!」
順調に進んでいる。
映画とかドラマとかってもっと何回も取り直しするもんだと思ってた。流石何回も出演してるだけある。
これなら早く帰れるかな、早く帰ってみんなで作ったクッキーが食べたい。
「あれ、闇小町は?」
ふと気づくと闇小町の姿がない。
「自分の出番まで暇だからって、携帯持ってどっかいったわ」
自由だなあ。
「じゃあ次は白兎の部屋からね」
「セットチェンジしマース」
ムービーンが指を鳴らすと、見たことある部屋が出てきた。
「ってこれ、オレの部屋!!」
ケータくんが叫ぶ。
「白兎くんの部屋でしょ?」
「確かにオレの部屋だけど!実際のオレのだと世界観ぶち壊しじゃん!」
「ん!?どこですかここ!」
「ウィスパー!?」
部屋は空間ごと移動されてきたらしく、ウィスパーも一緒にくっついてきたようだ。
「ケータくん!マオくんも!一緒に遊んでたのにさっきから姿が見えないと思ってました!二人とも遊びに行ってたんですね?
お母様が心配されてましたよ!」
なんか虹歌姫みたいなこと言ってる。
「ムービーンに無理やり連れてこられたんだよ。心配かけてごめんね」
マオくんが言った理由でウィスパーは納得したようだ。
「ふーむ、それは災難でしたね……。
ところでムービーンさぁん、ワタクシの役って、あったりしません?」
ウィスパーがムービーンに向かっていう。
「ありマース!ただ最後の方に出てくる役デース」
「ぜーんぜん大歓迎でうぃす!ワタクシも晴れて真面目に映画デビュー!」
くるくる踊るように浮くウィスパー。何か役あったっけ?台本を捲るとひとつ、空いている役があった。
「……ジャックハートかぁ」
「不憫な役だね」
「何かおっしゃいました?」
「「なんでもない!」」
「始まるのでそこからどいてくださいね!」
ウィスパーの気を逸らす。
もう一度セットを見るとちゃんと「白兎」の部屋のセットが用意されている。
「じゃあ行きマスヨー」
カチンコが鳴る。

**

白兎の家は煉瓦の小さな家で、装飾もそんなにされていない、至ってシンプルなものだった。
「ちょっと待っててね、お茶を淹れるよ」
アリスを席に座らせ、白兎はキッチンに行った。
アリスは落ち着かない様子で周りをきょろきょろと見回す。
「……あ」
ふと棚を見ると、大広間にあったものと同じ小瓶が置かれていた。
あの時見つけたものと容器は同じだが、液体は綺麗な桃色。アリスはそれに惹かれて、つい飲んでしまう。
「さっきのとは違う味だ……きゃあっ!」
途端にすべてのものが小さくなる。
「く……くるしいっ……!」
大きくなったアリスの体は部屋の中に詰まってしまった。
キッチンから戻ってきた白兎は巨大化したアリスを見て、目が点になるほど驚いた。
「どうしたの!?」
「ご、ごめんなさい……綺麗な色だったから、つい小瓶の中身飲んじゃって……」
「ちょっと待っててね」
白兎は前にアリスが口にしたケーキと同じものを取り出した。
「これで元の大きさに戻るはずだから」
アリスはなんとかそれを口に入れ、飲み込む。
するすると縮むアリス。
「……戻っ、た?」
「体、痛くない?」
元の大きさに戻ったアリスの元に、白兎が駆け寄る。
「あっ、大丈夫……ごめんなさい」
「気にしないで。
それより、何でもかんでも口に入れないほうがいいよ」
「どうして?」
アリスは首をかしげた。
「もしそれに毒が入っていたらどうするの?」
「……そうだよね。でも、白兎くんのおうちにあったものだし、大丈夫だと思ったの」
「アリス……」
白兎は心配そうな目でアリスを見た。
「そうだ、君はこの世界じゃ生きにくそうだから、あのキノコを取ってくるのをオススメするよ」
「あのキノコ?」
「名前は知らないんだけど、そのキノコを食べると体の大きさを変えることができるんだ」
「へぇ、そんなキノコがあるのね」
アリスは小瓶やケーキばかり頼っていられないと思い、キノコを取りに行くことにした。
「その場所、詳しく教えてくれない?」
「森の一番大きな木の下にあって、そこには確か……青い蝶の一族がいるから」
「その人達に会えばいいのね?」
「うん、気をつけてね」
アリスは白兎と別れ、森へ足を踏み入れた。

**

「カットデース!
NGもだいぶ少なくなってきましたネー!」
ムービーンが満足そうに言う。そんなこと言われたらますます緊張するんだけど。
「フミカちゃん、さっきの小瓶の中身なんだった?」
「かき氷のシロップの桃味だったー。そろそろしょっぱいものが欲しい……」
「元祖屋の塩飴あるよー」
マオくんがポケットから塩飴の袋を取り出した。
「ありがとー」
あ、おいしそう。元祖屋なら家の近くだし、今度買いに行こ。
「じゃあ次は青い蝶のシーン!」
「「青い蝶?」」
「え、ワタシってイモムシの役では?」
イナホちゃんがそう言うと、サク・ランボーの目付きが鋭くなる。
「……ちょっと、ムービーン。衣装に不備があるみたいだけど?」
「え?」
「この子青い蝶の役でしょ!?これじゃイモムシじゃないの!」
サク・ランボーはイナホちゃんの肩をガシッとつかみ、ムービーンに訴える。それで衣装がほかのものに比べてシンプルなわけだ。
「羽が足りなかったんですか」
「そうちゃーく」
「よいしょー」
サク・ランボーが持ってきた羽がピッタリと衣装に着く。
「よーし、再開するわよ」
「待って、キノコって何で出来てる?」
フミカちゃんがサク・ランボー聞く。変なものだったら困るもんね。
「マシュマロよ」
「食べるー」
「はい」
「虹花ちゃん完全に毒味役になってる」
キノコ型マシュマロを1口かじる。
あっめっちゃもふもふ、美味しい。
そのまま全部口の中に入れる。
「どうですか?」
「ふふーほはふはほ」
「なんて言ったの?」
しっかり飲み込んでもう一度言う。
「ふつーのマシュマロだよ」
「じゃあ大丈夫だね」
それを確認してフミカちゃんとイナホちゃんがセットへ向かう。
「じゃあ行くわよ、よーいアクション!」

**

アリスが森の奥深くまで来ると、1番大きな木を見つける。
「多分、これだよね」
「ん、どうかされたんですか?」
大樹の葉の上で寝転がる青い蝶が、アリスに声をかけた。
「体の大きさを調節できるキノコが欲しいんだけど、ある?」
「あのキノコを持っていくんですか」
「うん、どうしても必要なの」
それを聞いて蝶は自身の乗っている葉のすぐ下を指す。そこには様々なキノコがいくつも生えていた。
「そこの……青いキノコがそうです。それ、持っていっていいので」
アリスは青いキノコを手にした。
「そのキノコは、一方をかじれば大きく、反対側をかじれば小さくなれます」
「そうなのね、ありがとう」
「あ、ちょっとお願いがあるんです」
蝶は戻ろうとするアリスを引き止めた。
「なぁに?」
「ワタシ、孵化したばっかりで飛べないんです。
帽子屋さんのところにお使いに行くので、一緒に行ってくれませんか?」
「分かったわ」
アリスはキノコを少しずつかじり調節しながら元の大きさに戻る。
「これなら肩に乗れるでしょ?」
「ありがとうございます!」
肩に蝶を乗せて、アリスは森を抜けた。

**

「カット!1発OKよ」
「やったー!ちゃんと出来ました!」
戻ってきたイナホちゃん、だいぶはしゃいでる。
「新人だから心配してたけど、大丈夫で安心したわ」
「ワタシの配役、及び役者選びに狂いはありまセーン!」
蝶とアリスが出会ったから、次は……。
「私の番かぁ……」
「頑張ってください、案外行けますよ!」
「マジでー?」
もう一度台本を見返して、いうべきことを覚える。
この台詞長いなぁ……。
「帽子屋ちゃん、大丈夫?」
「へあっ!?はい!虹花行けます!」
庭園のセットに用意されたアンティーク調の椅子に腰掛ける。
心臓がうるさい。多分絶対台詞全部抜けた。
全く勉強していないテストの前の謎の余裕みたいな感じになって、突然いけると錯覚した。
「それじゃあ、よーいアクション!」
カチンコが鳴らされた。

**

アリスは蝶の案内により、ある家に辿り着く。
「こんにちは」
「あ!ようこそ!『終わることのないお茶会』へ!」
「……?」
「帽子屋さん、頼まれていたメープルです」
アリスが帽子屋の発言が理解出来ていない中、蝶が瓶に入ったメープルを帽子屋に渡す。
「ありがとう!これでタルトが作れるよ!
それでお嬢さん、あなたは誰?」
「私の名前は」
「あなたは名前なの?」
名乗るところを遮られ、アリスは少しイラッとする。しかも支離滅裂なことを言っている。
「アリスよ。そういうあなたは誰?」
「帽子屋、だよ。このお茶会の主。
そうだ!あなたもお客様なんだし、お茶はいかが?」
「ちょ、ちょっと」
「まあいいじゃないですか」
アリスは無理やり椅子に座らされ、帽子屋からお茶を貰う。
色が紅茶の色をしていないが、試しに一口飲む。
「うえっ……なにこれ、変な味」
「ラベンダーとカモミールと……あと、なんかの葉っぱのお茶だよ。
そのフレーバー、お気に召さなかったんなら普通のにするね。ふっつーの」
帽子屋は『普通』をやたら強調して言う。
「普通は嫌いなのね」
「嫌いだよ、つまんないもん。
あ、そうだ、お茶請けも用意しなきゃね」
帽子屋が取り出したのは籠に入ったクッキー。
「美味しそうなクッキー」
「これはちゃんと普通のだよ、さぁどうぞ」
少し不格好で硬いが、可愛らしいアイシングがされている。
味もなかなかのもの。
アリスがクッキーに舌鼓を打っていると、帽子屋が口を開いた。
「ねえ、暇だからなぞなぞでもしようよ」
「なぞなぞ?」
「うん!そうだなぁ……『カラスと書き物机が似ているのはなぜ?』
さぁ答えてみて!」
「カラスと……書き物机?」
アリスは頭をひねって答えを出そうとする。
「あー、これは難しいかも」
帽子屋はニヤニヤと笑いながらアリスを見た。
「わかんない……答えは?」
「答えはねー……『さっぱり見当もつかない』でした!」
「……」
アリスの冷たい視線にも物怖じしない帽子屋。
黙ってクッキーを咀嚼する蝶は、何も掴めていない模様。
「ねえ帽子屋さん。ワタシさっぱりわかんないです」
「だから、答えはないの」
アリスは答えのないなぞなぞをを出した帽子屋に対して呆れる。
「……イカれてるね」
「なんとでもどーぞ」
そんな事よりも、アリスはひとつ気になっていることがあった。
「ねぇ、さっき言ってた『終わることのないお茶会』って、なんなの?」
「あぁ、それね。
私が音楽会で歌った『キラキラコウモリ』って曲、どうも王様は気に入らなかったらしくて『時間殺し』って非難されてね。
で、王様から死刑宣告をされて以来、何故か時間が止まっちゃったんだ。
『即興で歌を作れ』って言われたから作っただけなのになぁ」
帽子屋がクッキーを1枚かじる。
「あ!さっき蝶が持ってきたメープルを使ったタルトでも食べない?美味しいよ」
「ああ、いいや」
好き勝手に振舞う帽子屋についていけないアリスは、席を立った。
「もう行くの?」
「うん。楽しかったよ」
アリスは2人に手を振って、歩き始めた。
すると、少し離れた所にドアのついた木を見つけた。
「ここにはどんな………あれ?」
入ってみたそこは、アリスが最初にやってきた広間だった。
「そうだ、このキノコで小さくなれば……」
アリスはキノコで背を調節し、持っていた金の鍵を使い、今度こそ小さな扉を通る事ができた。

では今回はここまで、では!


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