二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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cross×world
日時: 2018/09/05 23:26
名前: 柊 (ID: PF4eFA6h)

こんにちは、柊と申します!
掛け持ちですが、またも小説投稿をさせていただきました!

下記は注意事項になります、大丈夫な方はどうぞお楽しみください!
・私得クロスオーバー
・オリキャラが主人公
・他作品同士のキャラのCP、オリキャラとキャラのCPがある
・主人公がキャラの子ども
・主人公以外にもオリキャラあり
・流血、暴力表現あり
・ところどころねつ造入る
・気まぐれ更新
・都合により、登場させられないキャラクターがいます。遅くて申し訳ありません
もしかしたら注意事項は増えるかもしれません。では、よろしくお願いいたします!

本日、2016/12/01に閲覧が1000突破しました!
いつもありがとうございます!しかも今日誕生日だから余計に嬉しくて…本当にありがとうございます、これからも頑張ってまいります!

登場作品、目次 >>1

お知らせ>>148

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Re: cross×world ( No.94 )
日時: 2016/10/31 20:10
名前: 柊 (ID: ucWXZRi/)

眩い光が部屋を包み込む。その光に驚き、友蔵が動きを止めた。

光はゆるりと引いていき、二つの人影を映し出す。

とん、と二人の足が床に着いた。

一人は長い紫の髪の青年。金色に輝く鎧を身に付けた彼の顔立ちは優しげで、目の前のこのはたちを視界に入れるとふわりと微笑んだ。

一人はこちらも紫の髪の青年。しかしこちらは彼に比べれば短めで、ゆるりとした癖が付いている。明らかに上物と分かる着物を身に付けた青年の胸元を、一輪の牡丹が彩っていた。

「はちにぃに! かせんにぃに!」

「無事だったんだね、このは」

「このは、にぃにはやめさないと言っただろう? 僕のことは、なんと呼ぶのだったかな?」

「かせんにーさま!」

「よくできました」

歌仙はそう言って微笑んでこのはを撫でた。蜂須賀もこのはを撫でた後、乱に向き直る。

「蜂須賀さん、歌仙さんっあのっ」

「大丈夫だ、乱」

「全て、見ていたよ」

「あっ……そのっ、あの人たちは悪くないの!
あの人たちはっ」

「分かっているさ」

「……老人にあのような振る舞い……雅じゃない」

「歌仙、雅である以前に人とは思えない所業だよ」

「それも、そうだったね」

蜂須賀と歌仙が怒りを必死で押し留めているのが分かる。……きっと、それを抑えなければ目の前の老人たちに怒りの矛先が向いてしまうだろうから。

それをぶつければただの八つ当たりでしかないことを分かっていた。この怒りは、彼らを操る人間に向けられるべきだ。

「行こう、歌仙。彼らをこのまま見捨てるわけにはいかない」

「ああ、もちろんさ。乱はこのはたちと下がっていてくれ」

乱はそれに素直に頷いた。今の自分では、足手まといであることがよく分かっていたから。

「このは、まだ一振り、顕現できそうかい?」

歌仙の問いに、このははこくりと頷いた。少しばかり顔色は悪いが、無理をしているようではない。

それを見た二人はこのはに微笑み、立ち上がる。

「蜂須賀虎徹、いざ征くぞ!」

「我こそは之定が一振り、歌仙兼定なり!」

二人の刀剣男士は、己の本体を構えた。

Re: cross×world ( No.95 )
日時: 2016/10/31 20:15
名前: 柊 (ID: ucWXZRi/)

二人は真っ先に太刀に狙いを定める。少しばかり傷が付いてしまうかもしれないが、それでも友蔵の手から太刀が離れれば。

途中で、ガタンと音がした。次には、空を切る音が。

「歌仙!」

蜂須賀の声と共に甲高い金属音。そちらに少しだけ視線をやれば、矢が折れて床に落ちている。

カラクリは投石だけではなかったようだ。幸い、銃撃はない。

「蜂須賀、頼めるかい?」

「任せてくれ」

短いやり取りで蜂須賀はすぐに矢が飛んできた方向に向き直る。僅かではあるが蜂須賀の方が気配を察するのが得意だ。僅かな差でも得意な者に矢などを対処してもらった方がいいと判断した歌仙はそのまま足を進める。

もう片方、投石はゲッコウガが“みずしゅりけん”で落としている。

「ありがたいね。助かるよ」

歌仙が呟くように言えばゲッコウガは『気にするな』と言うように頷いた。それにくすりと笑って、友蔵を見る。

「にげて、くれぇ! まるこを、まごを連れてっ、逃げ、てく、れぇ!」

「……どうやら、僕は普通に見えるようだね」

刃と刃が混じり合う。金属音が響く。

「逃げて、くれ! ワシは、ワシはぁ!」

「よく聞くんだ! 貴方の孫はここにいない、貴方は操られているんだ!
大丈夫、すぐに解放しよう!」

「まるこ、まる子ぉ!」

「貴方は、孫を斬っていない!」

歌仙の言葉に友蔵はピクリと反応する。心なしか、力も弱まった。

「ワシ、は」

「そうだ、斬ってない。貴方は孫を斬ってないんだよ」

「まる子、」

「大丈夫だ、貴方の孫はきっと無事さ。貴方の孫だけじゃない。他の二人の孫だって無事に決まっている」

友蔵の目に涙が浮かび、握っていた手の力が抜け、太刀が離れていく。それを何とか宙で拾い、距離を取れば操られた三人が襲いかかる。

しかし体力をほぼ消耗した老人が、若い男の姿をした刀剣男士に敵うはずもない。歌仙が蜂須賀に太刀を渡し、蜂須賀はそれを持ってこのはに駆け寄る。歌仙は振り返り、ゲッコウガと共に三人の拳などを受け流していく。

「このは、頼むよ!」

「ん! ししにぃに、もどってきて!」

Re: cross×world ( No.96 )
日時: 2016/10/31 20:20
名前: 柊 (ID: ucWXZRi/)

桜が舞い、光が瞬き……顕現したのは、金髪の少年だった。小柄な少年は黒を基調とした服装に身を包み、肩には何らかの黒い塊を乗せている。その塊には猿のような顔が付いていた。

「……悪い、無理させたな。このは」

にこりと微笑んだ少年ーー獅子王はくったりとしたこのはの頭を撫でる。

「乱も、よく頑張ってくれた」

次に、乱の頭を。

「お前も、このはを連れて来てくれてありがとうな」

次にメェークルの頭を撫でた。

「獅子王、早速で悪いけれど……」

「構わねえよ。……じっちゃんたちをあんな風にこき使いやがって。許せねえ!」

蜂須賀を見上げる獅子王は、太刀男士の中では一番小柄だ。見目も若く、言葉遣いも若い方だろう。

しかし。

「見えるかい?」

「ああ。バッチリな。……じっちゃんたちを操る黒い糸が」

侮るなかれ。

「では、あとは任せても?」

「おう」

彼は、平安に打たれた太刀なのだから。

ギラリと獲物を求める獣のように光る刃は今か今かと待ち焦がれる。その刃で、老人を痛めつける黒い糸を断ち切りたいと。

グッと体制を低くした獅子王はまさにその名の通り、獅子の如く飛び出した。

「下がれ!!!」

獅子王のその声に歌仙とゲッコウガはすぐに下がる。同時に、獅子王とすれ違う。

獅子王の刃はたった一閃で友蔵の黒い糸を断ち切る。いきなり自由になった友蔵が戸惑う前に、龍之介と蔵安の黒い糸も切り捨てる。

たったそれだけ。たったそれだけのことで、彼らは身体の自由を返還された。

「あ……身体が……?」

「タカオ、タカオは……!?」

「まる子、まる子は」

「じっちゃんたち、あんたらの孫はここじゃないぜ」

獅子王がにっこりと笑ってそう告げた。黒い糸が切れたことに、上機嫌になりながら。

ちらりとまだ宙を舞う黒い糸を見れば、しゅわ、しゅわりと小さな泡がはじけるように消えていった。
第13話-END-

Re: cross×world ( No.97 )
日時: 2016/11/20 00:16
名前: 柊@小烏丸入手 (ID: hBEV.0Z4)

第14話
「ぐぅっ……」

ポタ、ポタリ。床に赤い血が滴り落ちる。山伏には二筋の刀傷ができていた。

目の前には己の血で汚れた打刀と脇差を持つ二人……山姥切国広と堀川国広。山伏と同じ堀川派の刀剣男士だ。

何故二人が斬りかかってきたのか。山伏には分からなかった。しかし、二人のあの綺麗な瞳には光がない。操られているのか。

「山伏殿!!」

「なんじゃあいつら! 山伏殿、兄弟言うとったが……」

「あの二人が、山伏殿のご兄弟と申されるのか? ならば何故!!」

「平常心を保つのだ、一心殿」

「や、山伏殿……」

「兄弟は操られているのだろう。でなければ、兄弟がこのようなことを、するはずがない」

そうだ。あの二人は……真っ先に“子ども”を狙うような真似はしない。

ほんの一瞬、それでも兄弟を疑ったことを恥じる山伏は己を殴りたくなった。しかしそんなことをすればケガに響くのは間違いないし、そんな場合ではない。

二人を元に戻す。それが今この場で優先される。

山伏は漁馬と一心に共に戦うように言おうとする、が、それは微かに聞こえてきた足音によって、引っ込んでしまった。

「な、なんじゃこの足音……!」

「! あれは……!」

「!! プリム!」

廊下からまた大量のプリムが迫ってきている。この部屋には出入口は一つしかない。数から見て扉を閉めてもほんの数秒程度の時間稼ぎにしかならないだろう。

「……一心殿、漁馬殿。お主らはそちらを頼めるか」

「! し、しかし山伏殿!」

「カカカカカ! 何、気にすることはない」

確かに二対一は分が悪い。かと言ってこちらに迫ってくるプリムの大軍を一人で退けるには難しい。

ならば手負いでも戦いの経験が多くあり、その上で二人の戦いを見てきた自分が二人の相手をするのがいい……というのは、建前だ。

今の二人を見る度に、本丸が襲撃される前の二人を思い出す。

堀川はいつでも周りに対しての気配りを忘れない。戦場に出れば邪道な戦術を躊躇わなかったが、優しいひとだった。

山姥切はよく自分を卑下し、積極的に他者とも関わろうとしない。けれど周りをよく見ていて、危機に陥った仲間をいの一番に助けるのは彼だった。とても頼りになる、そんなひとだった。

そんな彼らを、自らの手で助けたいと思った。例えこの身が朽ち果てようと、助けたいと強く願った。

ひどく自分勝手な願いだ。山伏は己を笑う。

「ああ、平常心を保てておらぬのは、拙僧の方か」

山伏はそう呟いて、本体を鞘から抜いた。先ほどの斬撃で受けた傷によるヒビが少しだけ入っている。それでも強く輝く刃は、彼を表しているようだった。

二人がまた斬りかかってくるのを静かに見ながら、山伏は構えた。

Re: cross×world ( No.98 )
日時: 2016/11/20 00:21
名前: 柊 (ID: hBEV.0Z4)

背後から聞こえる金属音、山伏の雄叫び。それを聞きながら一心はヒーロー着ーーウオザムライに身を包み、唯一の出入り口から次々と湧いて出るプリムたちを倒していた。

背後の金属音を聞くたびに、心が痛む。

ーー何故、兄弟で争わねばならないのだ。

一心は山伏たちと滝行をしていた時に、彼の兄弟である山姥切国広と堀川国広のことを聞いていた。自慢の兄弟だと。

しかしその自慢の兄弟は、何があったのかは分からないが操られ、山伏に刃を向けている。

一心に、兄弟と呼べる存在はいない。幼い頃から店の手伝いをしており、周りには自分よりもひと回りふた回り年上の男女ばかり。だがそれでも、一心には大切な存在で。

その人たちに刃を向けられたらとても正気ではいられない。あるいはショックで動くことすらできないだろう。

想像しただけでも心が壊れてしまいそうなのに、それに直面してしまった山伏はどれほどの痛みを抱えているのだろうか。

「一心殿」

「!」

いつの間にか、眼前に迫っていたプリムを漁馬が消滅させていた。無論それだけで倒し切れたわけではないが。

「すまぬ」

「いや、構わん。が、敵の前でぼうとしちょると、袋叩きに遭うきに。注意しとうせ」

「……ああ」

「……山伏殿なら心配なかろ」

「! しかし」

「気になるんは、山伏殿の兄弟ぜよ」

漁馬の言葉に一心は首を傾げる。山姥切国広と堀川国広は操られているのは明確なはずだ。

「気付かんか? さっき攻撃を仕掛けてきた時、どちらもどこか動きがおかしかった」

そう言われて、ハッとした。思い出してみれば、少し違和感を感じる。

まるで、怪我をした箇所を庇うような動きだった。

「おそらく……捕らわれてからどれくらい経ったのかは知らんけんど、長い間酷い扱いを受けていたと考えられる。
……人を洗脳する方法、知っとるがか?」

「知らぬ……知りたくも、ない」

今の話の流れで、洗脳という単語。それによって一心はすんなりと漁馬が何を言いたいのか分かってしまった。

だから、聞こうとは思えなかった。

暴力は少なからず人に恐怖心を植え付ける。暴言は心を容赦なく斬り刻む。それら二つが合わさればどうなるか……大抵の人間は抵抗する気力を奪われる。

山姥切と堀川は付喪神。多少はそれらに耐性があるかもしれないが山姥切は卑屈な性格だと聞いた。先に山姥切がやられ、その次に堀川が。

どうにかなりそうな怒りの中、放つ攻撃はどうしてか強くなっていたような気がする。


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