二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- cross×world
- 日時: 2018/09/05 23:26
- 名前: 柊 (ID: PF4eFA6h)
こんにちは、柊と申します!
掛け持ちですが、またも小説投稿をさせていただきました!
下記は注意事項になります、大丈夫な方はどうぞお楽しみください!
・私得クロスオーバー
・オリキャラが主人公
・他作品同士のキャラのCP、オリキャラとキャラのCPがある
・主人公がキャラの子ども
・主人公以外にもオリキャラあり
・流血、暴力表現あり
・ところどころねつ造入る
・気まぐれ更新
・都合により、登場させられないキャラクターがいます。遅くて申し訳ありません
もしかしたら注意事項は増えるかもしれません。では、よろしくお願いいたします!
本日、2016/12/01に閲覧が1000突破しました!
いつもありがとうございます!しかも今日誕生日だから余計に嬉しくて…本当にありがとうございます、これからも頑張ってまいります!
登場作品、目次 >>1
お知らせ>>148
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- Re: cross×world ( No.79 )
- 日時: 2016/08/11 19:43
- 名前: 柊 (ID: SLJTIlvx)
第11話
「くそっ」
真亜空軍、アジト。テオは拳を机に叩きつけた。机の上に散らばっているのは、深海棲艦に変化させた影虫の資料や作戦、そしてその作戦の報告。
「まさかあいつらの仲間がトロピコアイランドにいたなんてな……!!」
資料には、潜水艦娘たちの写真。真亜空軍が全く予想もしていなかった四人だ。
……しかし、真亜空軍が四人を見つけられる可能性がなかったのかと言えば、そうではなかった。きちんとトロピコアイランドまで監視が行き届いていれば、見つけられなかったはずはない。
「あのドラゴンめ……!!」
ここを任せたメスのドラゴンが浮かび、テオは苛立つ。そもそも夕立が脱走したのだってそのドラゴンが油断し、お気に入りの“オモチャ”に夢中になっていたせいだ。引き離そうとも考えたが、あのドラゴンの実力は充分だとタブーがそれを許さなかった。
テオは苛立ちをそのままに、部屋を出て廊下を歩く。目的はあのドラゴンに文句を言いに行くため。せめてそれくらいは罰など当たらないだろう。鳴る靴音は彼の苛立ちを表しているようだ。
途中、一つのドアから小さくではあるが少女の声が聞こえる。そこでテオが思わず足を止めた。そのドアの先には、夕立の姉妹たちが閉じ込められた牢獄があり、普段なら見張りがドアの外に立っているはずだが、今はいない。
テオは舌打ちすると、ドアを開けた。中には本来外にいるべき見張り。その見張りが一人の髪を牢屋越しに掴んでいる。少女の声が小声というのもあってか他の姉妹たちはぐったりと眠っており、気づいてはいない。
「おい」
「っ!? て、テオ様っ!?」
「何をしている。貴様の仕事は見張りであって女の尋問ではないはずだが?」
「そ、それは、あのっ」
慌てて言い訳をしようとする見張りは少女の髪から手を離す。少女はそれと同時にへたり、と座り込んでしまった。彼女がテオを見ているようだが、テオは一切気にしていない。
見張りの首を掴み、見張りを宙に浮かせる。見張りが苦しそうな声を上げた。
「いいか、人質には命令があるまで一切手出し無用。タブー様のお言葉は絶対だ。
今回は尋問だったとして特別に見逃してやる。次はないと頭に刻め。分かったな?」
「はっ、はいぃ゛……!」
苦しそうな返事を聞くとテオは首から手を離した。急に解放され、見張りは尻もちをつきながら咳き込む。
「分かったなら貴様の仕事に戻れ」
少しばかり声を低くして言えば見張りは情けない悲鳴をあげて逃げていく。とは言え、外に立っているだろうが。
ちらりと少女を見れば、髪を掴まれた時に牢にぶつかったのか、右の頬が赤くなっている。それを見たテオは慌てることなくポケットから湿布を取り出す。
その湿布をそっと少女の右の頬に貼ってやった。
「え……」
「すまんが、今はこれくらいしかない。我慢できるか?」
「で、できるけど……どうして? あなたは」
「ああそうだ。お前たちを捕らえた真亜空軍、しかも幹部だ。
しかしタブー様のお言葉だ。それに、理由はどうであれ、ほぼ無抵抗に近い女に暴力を奮う輩が大嫌いなんでな」
抵抗してくるならば、容赦はしないが。言葉にせず呟き、頬から手を離して立ち上がる。
ああ、余計に苛立った。この苛立ちをあのメスドラゴンについでにぶつけようか、そんなことを思いながら部屋を出ようとする。
- Re: cross×world ( No.80 )
- 日時: 2016/08/11 19:48
- 名前: 柊 (ID: SLJTIlvx)
「待って」
少女がテオを声で引き止める。それを無視して行くこともできたが、テオはわざわざ足を止めて振り返った。少女も立ち上がってテオを見ている。
「なんだ」
「名前、聞いてもいい?」
「……はぁ?」
まったく予想していなかった言葉に、つい間抜けな声が出る。しかし、無理もない。何故、少女は敵である自分の名前を聞きたがるのか。
目を見るがその目はまっすぐで名前を聞いてどうこうしよう、などとは考えていないことが伺える。いや、そもそも聞いてどうなるという訳でもあるまい。
「何故だ?」
「聞きたいって思ったから。それに、あなたは完全に悪い人じゃなさそう」
「……呆れた。勘というやつか? 馬鹿馬鹿しい」
本当に、馬鹿馬鹿しい。本当に悪い人じゃなければこんなこと、しているはずもないのに。
チクリとどこかが痛む。
「でも、悪い人だったら、あたしの治療なんてしてくれないはずでしょ? だって、ケガなんてそのタブーとかに告げなきゃいいんだから」
「……それは」
「ねえ、ダメかな」
少女の声が、目がテオに真っ直ぐに向く。それがどうしようもなく眩しい気がして、テオは目を逸らした。
「……テオ。テオだ」
「テオさんね。あたしは白露」
少女ーー白露はにこりと微笑む。その微笑みだってまっすぐで眩しくて。
テオは何も返せないまま、部屋を出た。あの見張りが怯えたように敬礼をしてくる。見張りも無視して、歩くのはあの“メスドラゴン”の元だ。
- Re: cross×world ( No.81 )
- 日時: 2016/08/11 19:55
- 名前: 柊 (ID: SLJTIlvx)
……アジト最上階。そこで一匹のドラゴンがにたにたと笑いながら足元に転がる少年と青年を見ていた。
青年はボロボロの布を纏う、金髪の美青年。少年は黒髪で、耳にはピアスをしている。どちらも、目は青い。……しかし、その目には光がなかった。
「愉快、愉快。やはりぬしらで“遊ぶ”のは楽しいのぅ」
実に楽しそうにドラゴンは笑う。どちらも反応はない。
「……反応もせぬか。やはり、所詮は『写し』、『真贋すら曖昧な存在』と言ったところか」
嘲るようにドラゴンが鼻を鳴らした。今の言葉に、青年がピクリと反応するが、それまでだ。
だが僅かな反応を見逃さないドラゴンはまたにたりと笑う。
また言葉を紡ごうとした時、ドラゴンの背後にあるドアが開かれた。ドラゴンが不機嫌そうに顔を顰める。開かれたドアの近くには同じく不機嫌そうなテオが立っていた。
「またやっているのか、“ゴンババ”」
「こんな時に何用じゃ。興が冷めたではないか」
「興、ね。ずいぶんと悪趣味なことだ。その無駄な時間を周りの警戒に費やせばいいものを」
「なんじゃと?」
「『夕立』の脱走に加え、周りにいたやつらの味方を発見できず影虫で作った『深海棲艦』も全滅させられた。普通だったら厳罰が下ってもおかしくはない。
タブー様のお言葉でお前はここにいることを忘れるな」
テオの言葉にゴンババはふん、と鼻を鳴らす。少しだけ見える目は明らかにテオを見下しており、言葉にせずとも「くだらない」と語っていた。
くだらないのはお前の興だ、そう言いたくなるのを抑え、ただゴンババを見るに……いいや、睨むに留める。
「ふん、犬めが。幹部だからと調子に乗るでないわ」
ゴンババが吐き捨てるように言えば、その巨体をテオに向けた。足が上がり、床に付く度に部屋が小刻みに揺れた。
「よいか、戦えば勝つのはわらわ。つまり実力はわらわが上。それをゆめゆめ忘れるでないぞ」
ゴンババが明らかに見下した態度でテオを見下ろす。
テオが何も言わずにいるのを沈黙の了解だと勝手に解釈したゴンババはまた鼻をふん、と鳴らした。……その鼻息に紛れたため息には当然気付かずに。
またドアが開き、テオがドアの方を向く。筋骨隆々とした肉体に厚い唇。その灰色の肌と四本の腕は普通の人間ではないことを知らせている。
「終わったか、カイリキー」
カイリキー、と呼ばれた生き物はテオの言葉に一回頷いた。それを見たテオはご苦労、と声をかけた。
「いいかゴンババ。今後同じようなことがあってみろ。次はないぞ。
それと、今回の失態への罰は『ここに保管されていた付喪神』の回収のみとする。その二振りは好きにしろ」
そう言い残して、テオはその場を去っていく。
……テオの後ろ姿が、誰かと重なったのだろうか。
青年と少年は、誰にも聞こえないような声で「きょうだい」と、呟いた。
彼がドアの向こうに消えた瞬間。アジトには、警報音が鳴り響いた。
第11話-END-
コメントOK
- Re: cross×world ( No.82 )
- 日時: 2016/09/29 19:00
- 名前: 柊 (ID: 0O230GMv)
第12話
耳を劈くような警報音。それに顔を顰めながら竜太は片耳を塞いでいた。竜太の上着はなく、その下のミリタリーシャツが竜太の体を包んでいる。
「まったく、オレたちが侵入するまで警報音すらなかったとは……ザル警備にも程があるな」
「まあ、その分今までは楽じゃったきに。そう気にせんでも」
敵のアジトの警備がザルならザルで楽、と漁馬が少し遠回しに言う。確かに体力は温存するに限るから、別に不利だということではない。
遠くから足音が聞こえる。この警報音を聞いてようやく自分たちに気付いた者たちがこちらに集まるのが分かった。
その多さに動揺することなく、むしろ妥当な数だと考えながら竜太はすぐさま打刀を鞘から抜いた。他にも山伏や乱が抜刀し、漁馬、一心、マリオ、ゲッコウガが身構える。
リュカ、電、伊19、伊58、伊168、伊8、夕立、このははブラックスカル号で待機している。電、夕立は言うまでもなくあの戦闘での大破、中破が理由で、このはは残念なことに戦力外、その他の面々は二人の護衛としてだ。
竜太が通信機を取り出し、その先にいるであろうトオルに一言だけ告げた。
「戦闘に入る」
と。
- Re: cross×world ( No.83 )
- 日時: 2016/09/29 19:05
- 名前: 柊 (ID: 0O230GMv)
一方、ブラックスカル号。ここでも響く警報音に耳を塞いでいた電は目の前の島を見上げた。
島と言うには岩山ばかりで、ゴツゴツとしている。その表面に申し訳程度の苔や雑草が生えていて、頂上に不自然なほど綺麗に並んだ木々が微かに見えた。
この中で、竜太たちが戦っている。大破さえしていなければ、多少は手伝えたかもしれないのに。歯がゆい気持ちを表すように、電の手は自然と島に乗り込む前の竜太が貸してくれた上着を握り締めていた。
「大丈夫っぽい」
「え?」
唐突にした夕立の声にそちらを向けば、夕立は毛布を羽織りながら笑っていた。その後ろでは伊58たちが微笑んでいる。
「竜太は、ばみくんたちといつも稽古してたでしょ?
だから大丈夫っぽい! それに、今は刀剣男士のみんなだけじゃなくて、マリオさんたちもいるしこれで負ける方が難しいっぽい?」
「そうよ。それに竜太はあの提督の子どもなのよ?」
「心配するようなことは何もないでち、電!」
三人に言われて、電のざわついていた心が少しばかり落ち着いてきた。そうだ、まだ勝つと決まったわけではないが、負けるとも決まったわけではない。
はい、と笑顔で頷けば五人がほっとしたような笑みを浮かべる。その後ろで、慌てたようなリュカが周りを見渡していた。
「? リュカさん、どうかしましたか?」
「あ、あの、このはくん見ませんでしたか!?
いつの間にかいなくなっちゃって、船内も見たんですけど……!」
「え、ええっ!?」
彼女らも慌てて周りを見渡すが、このはの小さな姿はどこにもない。
「……まさか」
電が見たのは、目の前の島。他の面々もさぁ、と血の気が引いた顔でそちらを見る。
この船内にいないなら、あとは一つ。
全員の目を盗んで、島内へ入ってしまったのだと言うこと。
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