二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- cross×world
- 日時: 2018/09/05 23:26
- 名前: 柊 (ID: PF4eFA6h)
こんにちは、柊と申します!
掛け持ちですが、またも小説投稿をさせていただきました!
下記は注意事項になります、大丈夫な方はどうぞお楽しみください!
・私得クロスオーバー
・オリキャラが主人公
・他作品同士のキャラのCP、オリキャラとキャラのCPがある
・主人公がキャラの子ども
・主人公以外にもオリキャラあり
・流血、暴力表現あり
・ところどころねつ造入る
・気まぐれ更新
・都合により、登場させられないキャラクターがいます。遅くて申し訳ありません
もしかしたら注意事項は増えるかもしれません。では、よろしくお願いいたします!
本日、2016/12/01に閲覧が1000突破しました!
いつもありがとうございます!しかも今日誕生日だから余計に嬉しくて…本当にありがとうございます、これからも頑張ってまいります!
登場作品、目次 >>1
お知らせ>>148
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
- Re: cross×world ( No.64 )
- 日時: 2016/06/27 19:31
- 名前: 柊 (ID: ak9ikTR3)
……カモメの声も消え、波の音しか聞こえなくなった夜。空は黒くとも月と星が白く輝き、柔らかな光が降り注ぐ。
誰もがマルコが(勝手に)増設した客室で深い眠りについている。起きているのは船長にして睡眠があまりいらないコルテスとその部下くらいのはずだ。
「……ん? なんだ? 妙に騒がしいような……」
コルテスがそう言い、振り返れば生前でも今でも手下である青い炎“エルモス”が浮いている。
「おめえ、外見てこい」
コルテスが短く伝えるとエルモスは頷いて消えた。外を見てくるだけなら一分とかからない。
その予想通りエルモスがすぐに戻ってきた。エルモスは見て分かるほどに慌てている。
外の様子を伝えるとコルテスがなんだと、と声を低くする。
「分かった、俺が出る。人の船を奪おうなんざナメた真似しやがって……!!」
「……ん……」
マリオはふと目を覚ました。どうも、外が騒がしい。目を擦り、いつもの帽子を手探りで探す。
目当ての物を見つけて被り、同室の山伏がまだ静かに眠っているのを見てから廊下に出る。外に繋がる階段まで歩いていく中、外は騒がしいのに中は嫌に静かだ。
それに嫌な予感がし、早足で階段に着くと外が妙に明るいことに気が付く。おかしい、外はまだ夜だし、デッキだけが明るいとはいったいどういうことなのか。
階段を駆け上り、ドアを開ければ……そこには赤い炎の化け物、バブルが乗客を襲っていた。
「なっ!? ば、バブル!?」
「っ、マリオさん!?」
「竜太!!」
見た先にいた竜太は数人の乗客と怯えて泣き続けるこのはを背に庇いながら、何とか残り少ない水でバブルを退けていた。しかし水に怯えて退くだけで数は減らない。
「こ、これはいったい!?」
「分かりません、オレも起きた時にはもう……っ!!」
「にぃに!!」
マリオに気を取られていた時に、竜太の左腕がバブルの攻撃で燃えてしまう。すぐに竜太が水をかけるが、火傷はしてしまっているだろう。
竜太に攻撃をしたバブルはまるで楽しいと言わんばかりに目を歪める。
バブルを竜太は忌々しげに睨みつけた。
「ゲッコウガは!? ゲッコウガなら起きないはずはないよ!」
「ゲッコウガは戦ってくれてはいるんですが、倒しても増えていてキリがないんです!」
その言葉の後すぐに、ゲッコウガの姿を見つける。ゲッコウガは“みずしゅりけん”などでバブルを倒しているがだいぶ長いこと戦っていたのか息が切れているようだ。
ゲッコウガの側では船長のコルテスが竜太よりも多くの乗客を庇いながら戦っていた。幽霊だから少なからず自分を省みない戦いをできる彼だが、キリもない相手に苛立ちを隠しきれないでいる。
加勢しようにも、バブルは炎そのもの。武器がなければまずこちらがダメージを受ける。昔の冒険でバブルと対峙したが、その時は武器はもちろん、不思議な力を発揮する“バッジ”があった。
今はそのバッジもない。せめてかつての仲間であるバレルらがいればまた話も変わってくるのだがその仲間もいない。
このまま指を咥えて見ているしかないのか、マリオは悔しそうに拳を握る。
「はぁあっ!!」
「でりゃあ!!」
突然響いた叫び声。それと同時に現れる、水の衝撃波。
何が起こったのか理解できないマリオの前に、二つの人影が降り立った。
一人は青い侍のような誰か。手には巨大な包丁にも見える青い刀を持っている。
もう一人は武士のようだ。顔は剣道の面貌のようでありながら目しか見えない。手にはどこかサイバーチックな竹刀が握られている。
「大丈夫か、マリオ殿、竜太殿!」
「すまんの、ちっくとばかし遅れたぜよ!」
「その声……一心と漁馬かい!?」
「ああ! あとはこの『ウオザムライ』と」
「『カツオノブシ』に任せちょけ!」
- Re: cross×world ( No.65 )
- 日時: 2016/06/27 19:36
- 名前: 柊 (ID: ak9ikTR3)
一心と漁馬の加勢により、戦況は一気にひっくり返った。二人の攻撃はどうやら水のようで、一撃で多くのバブルを倒していく。
かと言って竜太たちを狙わない敵はない。先ほどよりは少なくなったが、それでもまだ多いほどだ。
「う、うぅ〜……」
目を真っ赤に腫らしたこのはは鼻を鳴らしながら潤んだ目で竜太の足にしがみついている。こんな時でも布は外れていない。このはが不安から竜太を呼ぼうとした時。
目の前にバブルが現れた。
「……!!!! や……」
「このはっ!」
「やぁああ!! こないでーっ!!」
涙とともに放たれた言葉。瞬間、バブルは一気に船の外まで弾き飛ばされた。
「……え?」
「うわぁああああん!! こあいよぉ!! やぁあ!! こないでー!!」
このはの言葉とともにどんどん船上にいたはずのバブルが弾き飛ばされていく。しかもその先でバブルは消えている。
あまりに現実的ではなさすぎる光景にマリオも戦っていたメンバーも乗客も目を丸くしてこのはを見ていた。当の本人はわあわあ泣きながら竜太の足にがっしりしがみついたままだが。
「……え? これ、どうなって……?」
「……その。あの時、刀剣男士さま方を顕現したのはこのは。それは覚えていますよね?」
「あ、ああ、うん。覚えてるよ」
おそらくは薬研たちを顕現した時のことを言っているのだろう。あれはマリオが生きてきた中でも驚くべきことだ。忘れる方が難しいくらいに。
しかしあれが何の関係が? マリオが首を傾げると竜太はそのまま続ける。
「刀剣男士さまを顕現するにはまず霊力が必要なんですよ。で、このははじい様の霊力に似ている霊力で、膨大な量を持っています」
「う、うん? それが何の関係……」
「……今の、こいつの“言霊”ですよ。幼いからコントロールがまだ下手で、感情が爆発すると霊力も爆発的に放出されるんです。
で、今『来ないで』という言霊……まあ命令と言ってもいいかもしれません。対象であるバブルのみがそれに従わざるを得なくなり、やつらも無意識のうちに従い、何故かは分かりませんが消えたんでしょう。
こうなるから別に幽霊に怯える必要ないのに」
「え、えー……」
「わぁあああああん!!」
まだ泣きじゃくるこのはの涙で、竜太のズボンの裾が濡れている。それに気付いていながら竜太はため息を吐くにとどめた。
次第に船上を照らすのが月の光だけになり、薄暗くなっていく。騒ぎが治まればまだ多少の差はあれど乗客たちも落ち着き、船内へと戻っていった。
唯一コルテスだけがこのはを見ていたが竜太が大丈夫です、と声をかけるとその場から消えた。
「ははは……まさかこんな解決のし方があるとはね……」
マリオがつい苦笑いすると、いつの間にかあの変身? を解いて同じように苦笑いする漁馬と一心の姿が。
彼らもまた船内に戻っていく。
「……やはりあの程度ではダメだったか」
上空で、黒い羽を広げて飛んでいる一人の青年の姿に気付かぬまま。青年は背後に現れた裂け目に迷うことなく入る。
そのまま誰にも気付かれることなく、裂け目は月夜に消えていった。
月は、船と、その周りに浮かぶ無数の黒い羽を照らしていた。
- Re: cross×world ( No.66 )
- 日時: 2016/06/27 19:41
- 名前: 柊 (ID: ak9ikTR3)
「よおし、起きろ野郎共! トロピコアイランドに到着だ!」
そんなコルテスの声が、トロピコアイランドの到着と朝を告げる。我先にと乗客たちは船を降りていく。
竜太たちは乗客たちとは違ってゆったりと降りた。彼らに特に急ぐ理由はない。この島にだって調査で来ていたリュカと合流するために寄ったも同然なのだから。
「さて、リュカは……」
「あっ、マリオさん!」
幼く高い声がして、その声の持ち主が前方から走り寄ってきた。金髪で赤と黄色のシャツを着た少年。彼こそがこの島で調査していたリュカだ。
「リュカ、お疲れ様。それに久しぶりだね」
「はい! そちらの方々は事前にクレイジーハンドさんから伺った竜太さん、電さん、このはくん、一心さん、漁馬さん、乱さん、山伏さんですね?」
「初めまして、陣ノ内竜太です」
「じんのうちこのは!」
「電なのです!」
「海鳴一心と申す!」
「維新漁馬ぜよ」
「乱藤四郎だよ。よろしくね、リュカさん!」
「山伏国広と申す。よろしく頼む」
「はい、よろしくお願いします!
では皆さん、到着早々ですが早速行きましょう。亜空軍のアジト内はまだ掴めていませんが、集められるだけ集めた情報を行きながらでも……あ」
「どうかしたかい?」
「ごめんなさい、宿に忘れ物してきちゃったみたいで……取りに行きますね」
リュカがもう一度宿の方へ行こうとする。が、それを電が声をかけて止めた。
「あっ、あの! 私も行っていいですか?
少し、確かめたいことがあって……」
「え? いいですけど……」
電の“確かめたいこと”に首を傾げながらもリュカは頷く。
二人が宿の方へ歩いていく背中をしばらく見ていたが、先に船に乗って待っていようと思考を切り替え、全員が船の方を振り向いた。が、コルテスとエルモスがどこか気まずそうな顔をしている。
「どうしたの?」
「あー、ワリィ。どうやらあの襲撃でブラックスカル号がところどころやられちまってるらしい。すぐに修理はするが、明日までかかっちまうようなんだ……」
全員が思い出したのはあのバブルたちの襲撃。確かにバブルたちはたくさんいて、その上倒しても倒しても増殖していた。それで船に何の損傷もないはずがない。
かと言って竜太たちには亜空軍がアジトにしているであろう島に行く手段はない。(電を除けばだが)
「仕方ないね。今日はリュカのいた宿に泊まろうか」
マリオの言葉にまた全員頷き、リュカたちが向かった先へ向かう。その途中、漁馬があ、と声をあげた。
「襲撃と言えば、あの時のこのはは凄かったぜよ」
「うむ、まさか泣き声だけで敵を退かせるとは」
「もしかして、竜太も言葉一つでできたりして?」
マリオが冗談っぽく言う。しかしそれに乱と山伏が焦ったように竜太を見た。気付く者は、いなかったが。
「無理ですよ」
「え?」
「俺は、出来損ないなんで」
出来損ない。そう口にする竜太はどこか悲しそうだった。
まずいことを言ったか。すぐに気付いたマリオがまた口を開こうとして、宿の方で何か騒ぎがあることに気付く。
早足で駆け寄ると、そこには涙を流す電と、金髪の少女。少女の髪はまるで獣の耳のように跳ねている。その少女は電を見ておろおろしてしまっていた。
「い、電ちゃん、大丈……」
「夕立……?」
「え、し、知り合いなのかい?」
「はい、夕立は電と同じ艦娘です」
同じ艦娘、ということは電は彼女に再会できて、感極まって泣いてしまったのか。そう思っていた。
「元気そうだな、夕立」
「無事だったんだね!」
「無事で何より」
「ゆうねぇね!」
「え、えっ、と……」
竜太、乱、山伏、このはが少女ーー夕立に声をかけていく。しかし夕立の反応はあまり良くはない。
その理由は、すぐに分かった。
「ごめんなさい……貴方たち、誰……?」
夕立の、残酷な言葉によって。
第8話-END-
コメントOK
- Re: cross×world ( No.67 )
- 日時: 2016/07/04 20:44
- 名前: 柊 (ID: eOcocrd4)
第9話
とある島。その島の中に作られた巨大な建物。その廊下を真亜空軍のテオは靴音を鳴らしながら歩いていた。
「脱走者は一人……だが全てを合わせれば何十人か。全く、どう見張りをしていればこんなことになるんだかな」
「同意見ですよ、テオ様」
「……カーロイか」
カーロイ、と呼ばれた少年は美しい金の髪を小さく一つに結い、彼の美術品のような美しい顔は小さな微笑みを浮かべている。彼は燕尾服を着こなしていて、女子が一度でも憧れそうな執事そのものだ。その背には、人間の物ではない『黒い羽』が生えているが。
急に声をかけてきたカーロイをテオはじとりと睨んでいる。
「おや、怖いですね」
「……お前には関係のないことだ。タブー様のところにでも帰っていろ」
「そのタブー様より、スマッシュブラザーズの……もっと言うなら、あの保護された者たちの実力を見極めるよう命じられたのですよ」
「なんだと?」
「僕が見た限り、あの奇襲はたまたま成功しただけですよ。
……ああ、申し訳ありませんね。あれは貴方様が命じられたのではなく、勝手に貴方様の配下のプリムがしたことでした。
それにしても、貴方、最後まで悩んでましたね。
家族の命と他人の命、どちらを取ってもここでは咎められないのに」
「あ?」
テオの声がグッと低くなる。それとともに殺気がカーロイに向けられた。
しかしカーロイはその殺気を受けても微笑みを絶やさない。
「家族なんて所詮、血が繋がっただけの他人ですよ。いざとなれば我が身可愛さに簡単に切り捨てられる……。そういうものでしょう?
僕には理解できません。貴方の姉君と弟君ならともかく、あの役立たずな妹君は……」
「黙れっ!!」
テオが懐の銃をカーロイの眉間に当てる。テオの顔は怒りに染まっており、カーロイを見る目は憎しみに近い。
カーロイは初めて顔から微笑みを消してテオを見た。
「言わせておけば……!!
いいか、今後俺の家族をバカにするんじゃねえ!! 姉ちゃんでも、弟でも、妹の、リディでもだ!!」
「……はあ。分かりましたよ。さっさとそれ、下げてくれません? 不愉快だ」
しばらく二人は睨み合う。しかしテオが舌打ちをして銃をしまい、そのままカーロイに背を向けて歩いていく。
カーロイを一切気にせず、テオは資料を思い出しながら、また舌打ちをした。
「脱走者、艦娘『白露型駆逐艦四番艦夕立』か……面倒なやつを逃しやがって」
- Re: cross×world ( No.68 )
- 日時: 2016/07/04 20:46
- 名前: 柊 (ID: eOcocrd4)
ところ戻ってトロピコアイランド。そこにできた小さめの宿の一室で電はぽろぽろと涙をこぼしていた。
「夕立さん……」
夕立。ここの宿のレストランでゆうちゃんと呼ばれながらウェイトレスをしていた彼女は艦娘などの記憶の一切を無くしていた。
スマッシュブラザーズの中央館に保護されてから初めて見つけた、同じ鎮守府の仲間。電は船上でゆうちゃんの特徴を聞いてから夕立なのではないかという期待を抱き、そしてその通り、ゆうちゃん=夕立だったのに……。
ーーごめんなさい、貴方は、誰?
彼女は何も覚えていなかった。自分のことすらも。
ここの経営者のマルコと従業員のコンポビーによると、夕立はある日トロピコアイランドの海岸に打ち上げられていたのだと言う。その時、夕立の姿はひどくボロボロで……おそらく、逃げてきたか、あるいは何らかの事故でここの世界に飛ばされ、運悪く真亜空軍に見つかったかして攻撃されたのだろう。
そのショックか、彼女は目覚めた時にはもう記憶を無くしていた。名前が分かったのは、夕立の艤装に彼女の名前が書いてあったから。
が、マルコ曰く、艤装を見せて混乱してはいけないとしばらく見せていなかったらしい。(実は彼女の容姿を見てこれは看板娘として売れる! と思ったマルコがあえて見せなかった。現在、彼はマリオと竜太、そして乱にこってりしぼられている)
「う、ひっく……」
ようやく再会できたのに。こんな仕打ち、あんまりだ。
それを吐き出す代わりに、電はまた泣いた。
廊下にいて、彼女の様子を伺っていた山伏、漁馬、一心、ゲッコウガは静かにその場を離れていった。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
この掲示板は過去ログ化されています。