二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- cross×world
- 日時: 2018/09/05 23:26
- 名前: 柊 (ID: PF4eFA6h)
こんにちは、柊と申します!
掛け持ちですが、またも小説投稿をさせていただきました!
下記は注意事項になります、大丈夫な方はどうぞお楽しみください!
・私得クロスオーバー
・オリキャラが主人公
・他作品同士のキャラのCP、オリキャラとキャラのCPがある
・主人公がキャラの子ども
・主人公以外にもオリキャラあり
・流血、暴力表現あり
・ところどころねつ造入る
・気まぐれ更新
・都合により、登場させられないキャラクターがいます。遅くて申し訳ありません
もしかしたら注意事項は増えるかもしれません。では、よろしくお願いいたします!
本日、2016/12/01に閲覧が1000突破しました!
いつもありがとうございます!しかも今日誕生日だから余計に嬉しくて…本当にありがとうございます、これからも頑張ってまいります!
登場作品、目次 >>1
お知らせ>>148
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- Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.139 )
- 日時: 2017/01/31 12:53
- 名前: 柊 (ID: VOsGN7zX)
第21話
「……ん……」
ゆるりと開かれる赤い瞳。少しばかり瞬きをした彼は起き上がろうとするも、痛みが走る。
少し呻く。起き上がるのを諦めて、彼はゆっくりと寝ていたベッドにまた身を下ろした。
「……俺は……」
「……つまり、結局三日月さんだけは……」
「ああ、三日月様だけは、連れ出すことができなかった」
竜太はナガレと共にある場所へ歩いていた。その道中、三日月はどうしたのかと聞かれて三日月のことを話していた。
竜太たちが無事、外へ出た時。全員が我先にと外へ出る中、三日月だけはゆるりと微笑んでそこから動かなかった。
竜太が首を傾げ、ヒカリが三日月に気付いて彼に手を差し出した。
ーー貴方も、こっちに!
そんなヒカリに、三日月は悲しげに笑ってこう言ったのだという。
ーーすまぬ。俺は行けないんだ。
聞けば、三日月はその見目の美しさでタブーに気に入られ、ある程度散歩と称した移動は許されるが真亜空軍の敷地内だけだと言う。そこから一歩でも出れば、彼ではなく、『総隊長』に着けられた首輪が爆発するのだと。
ーー皆が慕う総隊長を犠牲にしてまで逃げたいとは思えんのだ。すまぬ、すまぬ。
彼が悪い訳でもないのに、三日月は謝り続けてそこを去ったというのだ。
「もしかすると、今回のことで三日月様は散歩も許されなくなるかもしれない……」
「……」
「サトシが力を貸してくれると言っていたが、こればかりは仕方ない」
サトシ。三日月が助けたという少年。彼は三日月を助けたいと、恩返しがしたいと言っていたが彼の身体は衰弱しきっていた。それでは時空を超えるのは危険だと、せめて身体が回復してからと今回は保留になった。
「何だか……悪い方向にばかり行っている気がするよ」
「……そうでもないさ。今回で仲間がまた増えた。
悲観することじゃあない。それに……」
「テオさんのことだね」
爆発し、崩れていく要塞からカイリキーと鳴狐が連れ出してきたのはテオだった。テオはぐったりとしていて、爆発によるものなのかまたいくつかの傷跡が増えていた。
彼を連れて中央館に戻り、急いで治療を施したおかげでテオは一命を取り留めた。……まだ、意識は回復していないけれど。
ナガレと竜太はふと立ち止まり、近くにあった扉を開ける。そっと中を伺えば、ベッドには横たわるテオがいて。その様子からまだ眠っているのだろうと結論づけた二人はまたそっとその場を後にした。
彼が、とっくに目を覚ましているとも気付かずに。
- Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.140 )
- 日時: 2017/01/31 12:58
- 名前: 柊 (ID: VOsGN7zX)
その日の深夜。物音が一切しなくなったことを確認したテオはベッドから起き上がり、なるべく音を立てずに部屋から出る。
痛みが走るが、この後の目的を考えればどうということはない。羽織っただけの上着が落ちないように抑え、静かに廊下を歩く。
すぅ、すぅ、という寝息だけが聞こえて、テオはかつて自分が世話になっていた孤児院を思い出して、つきり、と胸が痛んだ。
ーーもう、あそこに戻ることもないんだ。
思い出に浸りそうになる頭を振るい、また歩を進める。
余計なことは考えないようにとしっかりと、それでも静かに進んでいく。
階段を下り、また廊下を歩いて着いたのは玄関ホール。大きなドアを開け、外に出る。月明かりがテオを……否、テオだけではない。
玄関の前に、誰かが佇んでいる。
短い茶髪に、黒いセーラー服。……白露だ。
「お前……」
「どこに、行くの?」
「関係ない」
「でも、ここにいたら安全なのに」
「安全? どうだかな。ここは俺にとっては敵地だ。
拘束もされていないのに敵地から逃げ出さないやつがどこにいる」
嘘だ。テオもここが安全であることを分かっていた。むしろ、逃げ出した方が危険であることも。
それでも、テオはここを出るしかなかった。
テオは一丁の銃を取り出す。その銃口を白露に向けた。この銃はカイトたちと戦った際に使用したもの。……銃弾は入っていない。
けれど脅しにはなるだろうと、強気に銃口を向け続ける。
「そこを退け。退かないなら、それなりの考えがある」
なるべく怖がらせようと、あえて何をするのかは言わない。それでも白露は退かずにまっすぐとテオを見つめている。
「退かない。だって、ここを退いたらあなたは命を捨てるつもりなんでしょ?」
「!」
テオが動揺する。
そう、テオはここを出てどこか人気のない場所で自らの生に別れを告げるつもりだった。しかしそれを言ってもいないのに、見抜かれたことに動揺していた。
「ナガレくんから聞いたの。あなたは多分、出られないことを知ってたんだって。
……それに、負けた人に生きる価値はない、なんて言ってたって」
白露が悲しそうに顔を歪める。それがテオの心をひどく締めつけると同時に、様々な感情を溢れさせた。
- Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.141 )
- 日時: 2017/01/31 13:03
- 名前: 柊 (ID: VOsGN7zX)
「だからどうしたっ! 負けた者に生きる価値などない、当たり前のことだ!
タブー様に死ぬ以外でどう償えっていうんだ!!」
「そんなの分からないよ!! でも、それが間違いで、あなたが償う必要がないのは分かる!!
それにっ、あなたを命懸けで助けてくれたカイリキーたちに悪いと思わないの!?」
テオの体が跳ね、分かりやすく動揺した。
「ヨッシーさん伝いに聞いたんだ。あの子達はあなたが大好きで、死んでほしくなくて自分たちも死ぬかもしれないのに助けに行ったんだよ。
例え、あなたが逃がした途中で真亜空軍が捕まえていたポケモンたちに、毒ガスでやられていたってそれでも危険を顧みずに助けに行った。
そんな命を、あなたは捨てるの?」
テオの手が、体が震え始める。抑えようにも震えは止まらない。
力が抜けていく。手がだらりと下がり、銃弾が入っていない銃はするりとテオの手を離れた。
視界が歪み、次から次へと目から温かな雫が溢れ出す。
「っ、俺は」
「うん」
「しにたくない」
「うん」
「しにたく、ないんだ」
「……うん」
白露がそっと歩み寄り、テオを抱き寄せる。
「本当は、本当だったら、俺と、姉ちゃんだけが、入るはずだったんだ。隙を見て、逃げ出すつもりだったんだ。
けど、あいつら、妹と弟まで、無理やり」
「うん、うん」
「二人を、盾にされちまって、俺たち、どうしようも、なくなって。
戻れなく、て。本当、は」
「本当は?」
「っ……本当は嫌だった!! すぐにでも逃げたかった!! 何もかも捨てて、忘れて、楽になりたくて!!
でも、できなかった……!! 姉ちゃんたちを、捨てたくなかった、忘れたくなかった!
今回のことも、俺が死ねば姉ちゃんたちは助かると思ったから!!
本当は、死にたくない、死にたくないんだ……!!」
テオは叫んだ。涙を流しながら、今まで溜め込んでいたことを全て。
テオが子どものように泣きじゃくる。白露はそんなテオの背を優しく撫でた。
テオより体の小さな白露が、何でか自分の姉に重なった。
- Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.142 )
- 日時: 2017/01/31 13:08
- 名前: 柊 (ID: VOsGN7zX)
少し時間は遡り、別階廊下。薬研は窓から入る月明かりに照らされた廊下を歩いていた。
無言で歩く薬研の頭をよぎるのは、あの世界にいた時から今日眠るまでのしんのすけの様子。
あれから落ち込むかと思っていたしんのすけはいつも通りだった。まるで何もなかったみたいに。
けれど、薬研はそんなしんのすけの態度の中にどこか寂しそうだと感じたのだ。
しばらく歩いていくと、一つのドアがある。それがしんのすけの割り当てられた部屋だ。
しんのすけが起きてはいけないと静かにドアを開ける。それでも微かに鳴る音は、然程響きはしなかった。
中にあるベッドの上にはしんのすけの他にトオル、ネネ、マサオ、ボーちゃんが丸くなって眠っている。一人で使うにしては大きなベッドは少ししかスペースがなくなっていた。
「ママ……」
「パパぁ……」
トオル、ネネ、マサオは涙を流している。……無理もない。むしろしんのすけとボーちゃんが泣いていないことが意外だった。
特にしんのすけだ。落ち込む素振りがなかったから夜中に部屋で泣いてしまっていないかと心配だったのだが、どうやら杞憂だったらしい。
そのことに安心して薬研がしんのすけたちに背を向けた。
「父ちゃん……母ちゃん……」
微かな声。振り向いてしんのすけを覗き込めば、つぅ、と涙がしんのすけの頬を伝った。
もう一度、父ちゃん、母ちゃん、そして、ひま、と寝言が発される。
ああ、勘違いしてしまっていた。
その勘違いはいつからだったのか、薬研にも分からない。けれど、少なからずこう思ってしまっていた。
ーー勇敢な子どもなのだから、きっと他の子とは違うのだろう。
それは大きな間違い。しんのすけも何ら変わりない子どもなのだ。
ひどく寂しかったはずだ。ひどく辛かったはずだ。
「……すまねえ」
あの時、薬研にもあの裂け目は飛び越すことはできなかっただろう。それでも謝罪の言葉は口から零れていた。
薬研はそっとしんのすけの頭を撫でる。
「必ず、お前の両親をお前の元に戻す。薬研藤四郎の名にかけて……!!」
薬研の心臓部からふわりと綺麗な白の糸が出てきて、その糸はしんのすけの手首に巻き付いた。そうして糸が少し輝いた直後、糸は消えた。
この糸は、刀剣男士と審神者にしか見えない契約の証。これが紡がれると名に誓った約束が成立する。そして、これが再度現れて消えるまでは約束を多少違えることすら許されない。
薬研はそっとしんのすけから離れていく。その胸に、約束を抱えて。
第21話-END-
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- Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.143 )
- 日時: 2017/02/25 13:07
- 名前: 柊 (ID: LIwDSqUz)
第22話
暗い一つの大部屋。そこに押し込められている子どもたちはわあわあ泣いている。
子どもたちは皆、辛うじて服の形にしただけのボロ布を着ていて、やつれていた。
どの子どもも、おとうさん、おかあさん、と泣いていた。
その部屋の奥には、ぐったりと座り込んでいる少年がいる。艶やかな黒髪を赤い髪紐で結っていて、黒い制服を纏っている。その腰には一振りの脇差が差されていた。
少年には痣が所々にあり、明らかに無事ではないことが分かる。
「……いちにい……みんな……」
少年はここに閉じ込められる前のことを思い出した。複数人の男に押さえ付けられた少年とその兄弟たちとは離れ離れに閉じ込められた。
兄弟たちは連れて行かれる中、必死に自分に手を伸ばしていた。少年のことを呼んでいた。
ーー守ってやれなかった
その後悔が、少年の心を締め付ける。
桃色の髪をした無邪気な弟は、大丈夫だろうか。こげ茶の髪をした生真面目な弟は、大丈夫だろうか。
何度も何度も後悔しては、少年はそれに押し潰されそうになっていた。
ガシャン、と音が鳴って部屋にほのかな光が入る。子どもたちの悲鳴が上がる。
またか。そう思って少年は重い体を起こす。
光を背に立っているのはここの全ての元凶。にたりにたりとした笑顔に怒りが湧くほどには少年はこの元凶を嫌っていた。
その元凶と少年はーー鯰尾藤四郎は正面から睨み合った。
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