二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- cross×world
- 日時: 2018/09/05 23:26
- 名前: 柊 (ID: PF4eFA6h)
こんにちは、柊と申します!
掛け持ちですが、またも小説投稿をさせていただきました!
下記は注意事項になります、大丈夫な方はどうぞお楽しみください!
・私得クロスオーバー
・オリキャラが主人公
・他作品同士のキャラのCP、オリキャラとキャラのCPがある
・主人公がキャラの子ども
・主人公以外にもオリキャラあり
・流血、暴力表現あり
・ところどころねつ造入る
・気まぐれ更新
・都合により、登場させられないキャラクターがいます。遅くて申し訳ありません
もしかしたら注意事項は増えるかもしれません。では、よろしくお願いいたします!
本日、2016/12/01に閲覧が1000突破しました!
いつもありがとうございます!しかも今日誕生日だから余計に嬉しくて…本当にありがとうございます、これからも頑張ってまいります!
登場作品、目次 >>1
お知らせ>>148
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- Re: cross×world ( No.54 )
- 日時: 2016/05/26 08:33
- 名前: 柊 (ID: YrPoXloI)
いくらなんでもおかしい乱の様子に厚は嫌な予感がし、たまたま近くを通りかかったファルコにそれを報告して、ファルコは慌てていた。その反応に嫌な予感が的中したか、と思わず舌打ちしそうになる。
「あそこはマスターハンドの管轄なんだが、今はいねえ。そうなると何が起こるか分からねえんだ!」
「え、で、でも、大丈夫ですよね!? だって」
「いや、一番考えられるのは敵がそこを占拠していることだ。もしそこで敵と遭遇していたら……」
「オレは全員に伝えてくる!
間違っても先に行こうとなんてするなよ!」
ファルコが走り去る。姿が見えなくなるまで見つめた厚はふとたまえを見た。
たまえは震えていた。メガネ越しに見える目には涙が溜まっている。
厚はしまった、と思った。いくら予想ができても言うべきではなかった、と。
ぽん、とたまえの頭に手を乗せて彼女の頭を撫でる。
「え」
「大丈夫だ。乱が追いかけたんだ。あいつはそんな簡単にやられるやつじゃない」
そう言ってから厚は門の方を見やった。乱は格好こそ少女でもれっきとした刀剣男士。さらに言うなら、練度もかなり上がっている。
……とは言え、彼は真亜空軍に対し恐れを抱いていた。恐怖心は余計に体力を削る。早めに見つけてやり、共に戦う方がいいだろう。
厚は眉間に皺を寄せながら、ファルコが戻ってくるのを待つしかなかった。
「あ、の。一つ、いい?」
「ん?」
厚がたまえを見ると、たまえは顔を伏せたまま、昨日のことを話し出す。すべて話し終えると、厚は怒ることもなくやっぱりか、と呟いた。
「やっぱり?」
「ああ。服装こそ変えなかったけど、同じようなことがあってな」
「そうなの?」
たまえが問うと厚が頷く。
「俺たちを率いる大将たち……審神者って言うんだけど、演練っていうもので乱がたまたま異性装が嫌いな審神者を見つけたんだよ。
その審神者が、乱がいることにも気付かないでそこの乱や次郎さんに「変だ」、「おかしい」、とか言ってたらしくて……その日から妙に大将の世話を焼くようになった。とは言え、大将はそこまで世話焼かれる人でもないし、すぐに気が付いたんだけどな」
「じゃあ……」
「……思い出したんだろうな、その時のこと」
たまえはまた黙り込む。頭の中では何てことを言ってしまったんだろう、と後悔ばかりが押し寄せる。
まさか、これほどまでに重大なことだったとは。
また微かに震えたたまえに気が付いたのか、厚は大丈夫、と言う。
「さっきも言っただろ。乱はそう簡単にやられやしない。
……ちょっと傷付けられたくらいで見捨てるほど、白状でもない」
そう厚が言えばたまえが彼を見上げる。
そして今度は森の方を見た。二人はファルコが戻るまで、そこを動かなかった。
第6話-END-
今回は少し短め。
コメントOK
- Re: cross×world ( No.55 )
- 日時: 2016/06/09 12:26
- 名前: 柊 (ID: gfjj6X5m)
第7話
森の中。まる子たちは全員で紫の猿ーーエイパムを追いかけていた。しかし器用にするりするりと逃げていくエイパムを捕らえることができない。
エイパムがちらりとまる子たちを見てはくくくっ、と笑う。それが何度か繰り返された後、突然エイパムは髪留めをネネに投げた。受け止めて思わず足を止めるとエイパムはどんどん遠ざかり、笑顔で手を振った。
それはまるで、「遊んでくれてありがとう!」と言わんばかりの笑顔だった。
「も、もしかしてあの猿……」
「あ、遊んでほしかっただけ……?」
「め、迷惑な……」
ハナたちが息を切らせながらエイパムの去っていった方向を睨む。ネネは髪留めをしっかり握って息を整えている。
「っざけんじゃ、ないわよ、あの猿ぅ〜……」
「だ、大丈夫ですか? ネネちゃん……」
「大丈夫……。あ、もうそろそろたまえさん来ちゃう!」
「そうね、戻りましょう!」
そこまで言って……ようやく気が付いた。
「ここ……どこ?」
自分たちが、森の奥深くに入ってしまっていたことに。しかもエイパムを追うのに必死で、誰も来た道を覚えていない。
ひやり、全員の背中に冷たいものが伝う。
そして、近くの茂みが音を立てた。
「きゃあっ!」
「な、何!?」
茂みは彼女らの悲鳴に止まることなく音を立て続ける。怯えるカナたちを守るように、電、ハナ、メイルが前に立つ。とは言えど彼女らもまた微かに震えていた。
がさり、と茂みが少しだけ動き、そこから黄色い体に赤い頬、ギザギザとしたしっぽ、そして帽子をかぶったポケモンーーピカチュウが現れた。帽子をかぶったピカチュウは傷だらけでふらふらしている。
「えっ、トネールちゃん!?」
トネールーーそれは中央館にいる、ファイターの一人として数えられるピカチュウだ。なお、カナが、ちゃん、と言っているがれっきとしたオスである。
だがトネールはいつもお気に入りの緑のバンダナを着けているはずだ。チームカラーのためにかぶる帽子も赤を基調にした物であり、このピカチュウがかぶっている帽子は違う物だった。
「この子、トネールとは違うんじゃない?」
「すごく傷だらけ……何とかしてあげられないかしら?」
ハナが帽子をかぶったピカチュウを抱き上げ、ネネが心配そうに見つめる。
そんな時。空からゆっくりと、黒い粒が降ってきた。
「え、こ、これって……!!」
「ま、まさか……!」
恐怖心を煽るようにゆっくり、ゆっくり降る黒い粒に全員が顔を青くする。この黒い粒には、見覚えがあったから。
黒い粒は一ヶ所に集まり、形を作っていく。それらは、あの忌まわしい敵ーープリムを作り出した。
- Re: cross×world ( No.56 )
- 日時: 2016/06/09 12:31
- 名前: 柊 (ID: gfjj6X5m)
乱は息を切らせて走っていた。先ほどから枝が細かな傷を彼に付けていく。それらを気にしていられるほどの余裕はないが。
ああ、着替えれば良かったな、なんてぼんやり考えて首を横に振る。そんな暇はなかった。いや、ないに決まっている。
それでもあの声が脳内でこだまし、乱の心をすり減らしていく。
どれくらい走っただろうか。ようやく聞こえたのは、まる子たちの悲鳴だった。
そちらに全速力で駆けて行けば、そこにはあの本丸を襲撃し、自分を遊ぶように追い詰めたプリムたちが今度はまる子たちを囲い、ゆっくりと追い詰めているところだった。
早く行かねば、彼女らがどうなるか分からない。なのに乱の足は、そこに根付いたかのようにピクリとも動かなかった。
ーー怖い!
あの時の恐怖が蘇る。足どころか体が震え、歯がカチカチと音を鳴らす。
乱は思わず自分の体を抱きしめた。
ーー怖い、逃げたい!!
視界が滲み、つつ、と頬に冷や汗が伝う。
ーーああ。そうだ、他の人を呼んでこよう、そうすれば大丈夫。それくらいまでなら何とかなるだろう。
そう考え、乱は彼女らを見る。
彼女らは前に立つハナ、メイル、電を除けば身を寄せ合って涙を流していた。よく見ると、傷付いた生き物を抱えているようだ。ハナたちも顔色が悪く、微かに震えている。
「あ……」
ーーそうだ。
「あの子たちは」
ーー自分よりも、ずっと無力な
「ただの」
ーー人間の、女の子じゃないか。
そう思い出した時には。
「やめて!!」
乱は、『乱藤四郎』を抜き去り、彼女たちの前に立ち塞がっていた。
- Re: cross×world ( No.57 )
- 日時: 2016/06/09 12:36
- 名前: 柊 (ID: gfjj6X5m)
「み、みだ、」
「もう大丈夫、すぐにこいつら倒しちゃうから!」
まる子の震えた声に、目の前のプリムへの恐怖が怒りへと変わっていく。だが怒りに支配されてはならない。
少し目を閉じ、ふぅー、と長めに息を吐いて目を開ける。不思議と心は落ち着いていた。
そして、彼は妖艶に微笑ってみせる。
「さあ、乱れちゃうよ!!」
その言葉を開戦の合図とするように、乱とプリムたちはお互いに攻撃をしかけた。
ビームソードを持つプリムーーソードプリムは少ない。ほとんどは普通の何も持たぬプリムだ。とは言え、数はあちらが圧倒的に多い。
せめて遠戦ができる刀装があれば。襲撃時に刀装は壊され、残っていた刀装たちも奪われたか壊されたか。何にせよ、今ここに現れることはない。
それならば、プリムを上回る速さで殲滅すればいい。周りの木々を利用できればさして難しくはないはずだ。が、あまり彼女らのそばを離れないようにしなくてはならない。
ちょっと大変かも、なんて考えながら向かってくるプリムを一体一体倒していく。後ろからは一体のプリムの拳が迫っている。
「お触り禁止っ」
そう冗談ぽく言いながらプリムを突き刺せばすぐさま黒い粒となって消えていく。
そんな風に戦う乱の姿はまるで舞っているかのよう。好き放題に暴れる髪は少しだけ入る陽に照らされ、キラキラと光っている。
「……」
まる子はそんな彼に見入ってしまっていた。
格好は女の子なのに。いや、だからこそこんなにも……いいや。
格好なんて、関係なかった。彼がどんな格好だろうと今、戦う彼に抱く感情は一つ。
ーー綺麗。
なんて場違いな、と思われるかもしれない。だけどそう思ってしまうのだから。
彼の一撃一撃が、プリムを倒していく。恐ろしいほどに正確な一撃はプリムたちに反撃を許さない。
「油断、大敵ぃっ!!」
これまでより大きく薙いだ一撃は、複数のプリムを倒した。そんな彼の背後から、数少ないソードプリムが襲いかかる。
「乱くんっ!」
「! しまっ……!」
気付くのが遅かった。とてもではないが避け切れない。
乱が目をきつく瞑る。
次に来るのは、斬撃による激しい痛み。……だと、思っていた。
「ドカーン!!」
そんな声がして、後ろのプリムは何者かによって倒された。乱は後ろを向いてからその声の方を見る。
そこにはドラえもんや、竜太たちがいた。
- Re: cross×world ( No.58 )
- 日時: 2016/06/09 12:41
- 名前: 柊 (ID: gfjj6X5m)
「乱さん、しゃがんでください!!」
竜太の声でとっさにしゃがむと竜太が抜刀する。打刀が振るわれ、複数のプリムを吹き飛ばした。
それによってできた隙に、薬研がまる子たちのそばに、竜太と厚が乱のそばに駆け寄る。ドラえもんは少し離れたところでその手に付けた銀色の筒から出る見えぬ弾でプリムたちを次々に倒していく。
彼の後ろからヨッシーとヨッシーに乗ったマリオ、そして浦島が来ていた。
「大丈夫か、乱」
「うん、大丈夫」
立ち上がりながらそう言えば、厚はそうか、と笑った。そして乱にしか聞こえないような小声で頑張ったな、と言う。
それに笑って返し、また構え直す。あと数体。
「よし、仕切り直しだよ!」
乱が、その銀に煌めく刃をもう一度振るえばプリムは黒の粒へと戻っていく。
残り少なくなっていたプリムは、二分とかからずに全て倒された。
乱や竜太たちがその刀を鞘に収める。乱がふぅ、と息を吐く。
「ありがとう、えっと、ドラえもんさんだよね? 助かったよ」
「どういたしまして」
「それにしてもよくここが分かったね」
乱が言うとドラえもんがある杖を取り出した。ドラえもんがこれのおかげだよ、と言う、
しかしただの杖にしか見えない乱は首を傾げた。
「これはね、『たずね人ステッキ』って言って、人や物を探せるんだ」
「すごーい! そんな便利なものがあるんだね!」
「ちなみにこれは『空気砲』。空気の塊を発射するんだ」
「あ、さっきのあれは空気だったんだ」
乱とドラえもんが話していると、後ろからおずおず近づいてくる気配がある。それに振り向けば、そこには気まずそうなまる子がいた。
「あ、もも子ちゃん! 怪我はない? 大丈夫だった?」
「あの、その……ごめんね!」
「えっ?」
「昨日、あんなこと言って、本当にごめんね。
あたし、ここに来てからずっと不安で怖くて……八つ当たりみたいにあんなこと言って、乱くんを傷付けたよね、ごめんね、ごめんね……」
そう言ってまる子はまた泣き出した。乱はそれを黙って見つめて、まる子の頭にそっと手を乗せた。
「大丈夫」
「え……」
「もも子ちゃんは普通の女の子なんだもん。怖くて不安なのは当たり前だよ。
確かにちょっと傷ついちゃったけど……ちゃんと謝ってくれたんだし、もうもも子ちゃんを責めることなんてないよ。っていうか、責めるつもりないし!」
「乱くん……」
「でも、八つ当たりはダメだよ?」
「うん、うん……!」
泣き続けるまる子に乱は苦笑いして泣かないで、と言った。けれど、涙が止まることはない。
「あ、そ、そうだ! この子が……!」
カナの声に全員の視線がそちらへ向く。そのカナに抱えられていたのはあのピカチュウだ。
「トネール!?」
「いや、トネールは中央館にいたよ。となると、このピカチュウは……」
マリオがそっと触れるとピカチュウはぴくりと動く。そして掠れた声でピカピ、と鳴いた。
「……とにかく、戻ろう。この子も治療しなくちゃいけないしね」
「そうですね〜」
ヨッシーが相も変わらず気の抜けた声で返事をする。全員がそれぞれのペースはあれど戻っていく。
乱も戻ろうとすると、まる子があのね、と話しかけてきた。
「ん?」
「……やっぱり、変じゃないよ。よく似合ってるよ」
「……! ふふ、ありがとっ」
乱はそう言って笑うと、まる子も笑う。二人もその場をゆっくりと後にした。
しかし戻っている最中、乱はあ、と声を出す。
「そういえば、もも子ちゃんは戦いたくない、というか、戦えないんだったよね?
確かカナちゃんとモナちゃんも」
「え? ああ、そうだよ」
「……でもあまり、眠りたくはない、よね?」
「……うん」
「ならボクに任せて! いいこと思いついちゃった!」
「え?」
乱はそう言ってまる子にウィンクする。それが様になっているものだから、ついまる子は顔を赤くした。
その後、乱がまる子たちは“後方支援として戦う”とクレイジーハンドを説き伏せたのはまた別の話。
第7話-END-
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