二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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cross×world
日時: 2018/09/05 23:26
名前: 柊 (ID: PF4eFA6h)

こんにちは、柊と申します!
掛け持ちですが、またも小説投稿をさせていただきました!

下記は注意事項になります、大丈夫な方はどうぞお楽しみください!
・私得クロスオーバー
・オリキャラが主人公
・他作品同士のキャラのCP、オリキャラとキャラのCPがある
・主人公がキャラの子ども
・主人公以外にもオリキャラあり
・流血、暴力表現あり
・ところどころねつ造入る
・気まぐれ更新
・都合により、登場させられないキャラクターがいます。遅くて申し訳ありません
もしかしたら注意事項は増えるかもしれません。では、よろしくお願いいたします!

本日、2016/12/01に閲覧が1000突破しました!
いつもありがとうございます!しかも今日誕生日だから余計に嬉しくて…本当にありがとうございます、これからも頑張ってまいります!

登場作品、目次 >>1

お知らせ>>148

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Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.134 )
日時: 2017/01/25 23:50
名前: 柊 (ID: /IDVKD3r)

またもカイトが、今度はナガレと突撃してくる。

「またか。懲りない奴らだ……!」

熱斗は二人より少し遅れ、右目側へと移動している。……本当に懲りない。

テオの右目は、確かに見えない。しかしそれを補うかのように右耳の聴力が良くなった。それからは特に意識しなくとも足音でだいたいどれくらいの人数が、どれくらいの距離にいるか。それくらいは分かった。

だからさっきのナガレの奇襲も焦ることなく冷静に対処できたのだ。

今だって、熱斗の足音が聞こえる。

一度止まった、また歩き出した、また止まってこちらに。

冷静に聞きながら、ナガレが撃ち出すエネルギー弾を避け、カイトの拳を受け止めて流す。

それから剣を振るい、距離を置かせる。恐らく二人が近付いた頃、熱斗も剣が届く距離にいるだろう。

剣を構える。足音はまだ遠い。

手に力を込める。足音はまだ遠い。

体制を低くする。足音は……。

「!?」

唐突に、真横に足音を感じた。驚いてそちらを見れば、熱斗がロックバスターだった腕をソードに変えてそれを振り上げている。

「なーー」

あり得ない。確かに足音はまだ遠かったはずなのに。

ああ、でも。

これで。

ーーもう、人を苦しめないでいいのかな。

熱斗の驚きに見開かれた瞳には、ようやく解放された喜びに微笑む自分がいて。

ソードは、テオを斬りつけた。

Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.135 )
日時: 2017/01/25 23:55
名前: 柊 (ID: /IDVKD3r)

テオが吹き飛ばされ、壁に身体をぶつけた。その衝撃でテオは激しく咳き込む。

それだけではなく、テオの体に大きな切り傷ができている。たった一撃でテオが戦闘不能に陥ったと理解するには充分だった。

瞬間、全員の姿が元に戻り、全員が呆然とテオを見ていた。

「か、勝った……?」

「や、やったな熱斗! エリアスチール、だっけか。すげえな!」

「あ、ああ」

カイトの賞賛に、熱斗は素直に喜べずにいる。ちらりと見ればテオは肩で息をしていた。

ソードで斬りつける直前、確かにテオは微笑んでいた。その意味が理解できない熱斗は、ただ困惑するしかない。

しかしテオは生きている。何故微笑んだのかくらいは聞けるかもしれない。

熱斗が話しかけようとすると、彼らの耳に入ったのは耳をつんざくような爆発音だった。

「なっ!?」

「……ここは、俺が負けると自動的に爆発して消える仕組みになっている。巻き込まれたくはないだろう」

冷静に言い放つテオ。彼の言葉の後にブォン、という音が聞こえてそちらを見れば部屋の隅が光を放っていた。

「そこはワープゾーンになっている。それで外に出られる」

「お前は、どうするんだよ!?」

「俺も死ぬのはごめんだからな。お前らが出た後にでも使わせてもらうさ」

「なら一緒に……」

「はっ、バカなのかお前ら。敵に情けをかけてもらうくらいなら死んだ方がマシだ。それくらい分かれ。
ほら、行け」

テオの言葉に三人が顔を見合わせる。そうしている間にも、爆発音は響いている。

「……ぜってえ来いよ!!」

カイトがそう言って、ワープゾーンに入っていく。それに続いて熱斗も。

ナガレが入る前にテオを見た。

「待ってますから!」

ーーああ、本当に、バカな子どもたちだ。

ついさっきまで戦っていた敵だと言うのに、心配なぞして。

ナガレがワープゾーンを踏み、消えていく。まだ彼はこちらを見ている。

「……敗者に、生きる価値なんぞないに決まってるだろ、バカ」

そう呟いた言葉が聞こえていたのか、ナガレは目を見開き、こちらに手を伸ばした。けれどワープゾーンはそのままナガレを消してしまう。

爆発音が鳴り響き、部屋が揺れる中、ワープゾーンの起動を示していた光は、消えた。

Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.136 )
日時: 2017/01/26 00:00
名前: 柊 (ID: /IDVKD3r)

「うわぁっ!」

「ナガレ!」

ナガレはすでに外にいた。見れば竜太たちやあの臨時ニュースに映っていた人々もいる。

「大丈夫か!?」

「う、うん。でも、彼が、テオが」

「まだ中に誰か残ってるのかい!?」

ルイージにナガレは頷く。そして真亜空軍の幹部、テオが中に残っていることを告げた。

「けど、あいつすぐに来るって」

「あの人、『敗者に生きる価値なんかない』って言ってた。多分、もうワープゾーンは使えないんだ!」

それを聞くや否や動いたのは、ファイアたちが助けたカイリキーだった。まだ爆発の収まらない要塞の固く閉ざされた扉を力任せにこじ開け、中へ入っていく。

カイリキーを追ったのは、鳴狐だった。

すぐにお供を近くにいたファイアに預け、軽やかな走りで鳴狐が中へ入っていく。

「あっ、ま、待ってください、鳴狐さん!」

五虎退も追おうとするが一際大きな爆発が起こる。悲鳴が所々から上がった。上から要塞の壁の瓦礫が落ちてくる。

このままここにいては巻き添えを食らってしまう。鳴狐が心配で堪らないがここにはいられない。

ナガレたちは、仕方なくその場を後にする。

「ヒトデマン、みずでっぽう!」

「アゲハント、サイコキネシスで瓦礫を止めて!」

カスミやハルカたちがポケモンと力を合わせて人々に瓦礫の被害が出ないようにしている。

「大丈夫かサトシ!」

「しっかりして!」

タケシとケンジがサトシを支え、デントとシトロンがそれぞれ自分のポケモンで襲い来る瓦礫を退けている。

「……あれ?」

……そんな中に、臨時ニュースに映っていた一人である三日月宗近はいない。その理由を知っているのはナガレたち三人以外だ。

しかし今聞くわけにもいかない。ナガレは崩れゆく要塞から逃げるしかできなかった。

Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.137 )
日時: 2017/01/26 00:06
名前: 柊 (ID: /IDVKD3r)

テオは、崩れゆく要塞の中、少しだけ過去のことを思い出していた。

あれは真亜空軍に入れられる少し前のこと。テオは夢だった仕事に就くことが決まった。レスキュー。それがテオの夢だった。

テオの部署は警察と連携をとって見回りなどもする、そんなところだった。

パートナーのカイリキーと時に喧嘩しながらも、人々を助ける。そして働いて稼いだお金を、世話になった孤児院へ寄付して。

そんな中でテオはある一匹のポケモンを見つけた。意地の悪いポケモンにでもいじめられたのかボロボロになっていたそのポケモンーーポッポに突かれながら手当て、世話してやり、ポッポが完治する頃にはポッポに懐かれ、そのポッポを新しく仲間に加えたりもした。

忙しくも充実した日々を送っていた。時に悲しいことも苦しいこともあったけれど、幸せで。

その幸せがあれば、何もいらなかったのに。

唐突にそれは壊された。他でもない、真亜空軍によって。

テオは実力を買われて真亜空軍のために戦わされた。姉のレベッカは実力と頭の良さを買われて戦いに加えて何やら実験をさせられていると聞いた。

弟のトビアスと妹のリディは、人質にされて。

……こんな苦痛、耐えられなかった。

家族を見捨てるなんて到底できない。けれどそのために他の人を犠牲にしたくない。

だから必死で誤魔化した。余計な犠牲が出ないように。

「タブー様のお言葉だ」そんな嘘を吐いてまで好き放題する下っ端たちを止めた。時に嘘ではなかったけれど。

今回だって、自分が負ければ要塞が爆破されると知っていたから人々を逃した。一部は真亜空軍が預かると言っていたから、もういないはずだ。

視界がボヤける。血を流し過ぎたか。

「ああ」

掠れた声が自然に喉から絞り出される。爆発音が近づいている気がする。

頬に、つぅ、と何かが伝う。

彼は意識を失う直前、無意識か、呟いた。

「死にたくない」

と。

Re: cross×world【閲覧1000突破!】 ( No.138 )
日時: 2017/01/26 00:10
名前: 柊 (ID: /IDVKD3r)

ーーとある孤児院。

「院長せんせー」

「あら、どうしたの?」

「院長せんせー、泣いてるの?」

「え?」

院長先生、と呼ばれた老婆は自分の顔に触れる。するといつの間に流れていたのか、涙が手に触れた。

「あらやだ……どうしちゃったのかしら、わたし」

「また、お兄ちゃんたちのこと?」

一人の少女に聞かれ、老婆はそうね、と返す。

老婆はある日を思い出した。

謎の軍団がこの孤児院を攻めてきた時。彼女たちはなす術がなかった。怯えて泣きじゃくる子どもたちを背に隠してやるしかできなかった。

そこに駆け付けたのは、かつてこの孤児院にいた二人の姉弟。一人はレスキュー、一人は医者になった二人はそれぞれのパートナーと共に謎の軍団に立ち向かった。

優勢だった二人がその手を緩めたのは、老婆たちに敵のバズーカ砲と銃が向けられた時だ。

謎の軍団が老婆たちへの攻撃を一切せず、手を引く代わりに出した提案は真亜空軍へ二人が下ることだった。

老婆は必死で叫んだ。やめなさい、彼らを巻き込まないで、お願い。

一発の威嚇射撃。響く悲鳴。それに二人はパートナーを引っ込めた。

ーー分かった。私たちがあんたたちの部下になる。

ーーだからもうここを攻めるのはやめてくれ!

攻撃は止み、二人も、二人の弟妹もいなくなってしまった。

……わたしがもっと強ければ。あれ以来そんな後悔が老婆を取り巻く。

老婆はそっと天を仰いだ。

「どうか、いらっしゃるならば神様。彼らをお救いください。
彼らは、とても優しい子たちなのです……」

老婆は何も知らずに、ただ祈るしかできなかった。
第20話-END-
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