二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- cross×world
- 日時: 2018/09/05 23:26
- 名前: 柊 (ID: PF4eFA6h)
こんにちは、柊と申します!
掛け持ちですが、またも小説投稿をさせていただきました!
下記は注意事項になります、大丈夫な方はどうぞお楽しみください!
・私得クロスオーバー
・オリキャラが主人公
・他作品同士のキャラのCP、オリキャラとキャラのCPがある
・主人公がキャラの子ども
・主人公以外にもオリキャラあり
・流血、暴力表現あり
・ところどころねつ造入る
・気まぐれ更新
・都合により、登場させられないキャラクターがいます。遅くて申し訳ありません
もしかしたら注意事項は増えるかもしれません。では、よろしくお願いいたします!
本日、2016/12/01に閲覧が1000突破しました!
いつもありがとうございます!しかも今日誕生日だから余計に嬉しくて…本当にありがとうございます、これからも頑張ってまいります!
登場作品、目次 >>1
お知らせ>>148
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- Re: cross×world ( No.69 )
- 日時: 2016/07/04 20:51
- 名前: 柊 (ID: eOcocrd4)
「……」
「ゆうちゃーん、こっちトロピコマンゴーパフェちょうだい!」
「あっ、はーい!」
お客の注文にハッとして笑顔を見せるゆうちゃんこと夕立。彼女はすぐに厨房へお客の注文を告げ、また考え込む。
昼に来た少女、電について。
彼女は自分を見て目を見開き、次には嬉しそうに顔を明るくした。そうして、彼女は「夕立さん!」と駆け寄ってきたのだ。
無事だったんですね、心配しました、そう言う彼女に夕立はつい、言ってしまった。
貴方は誰? と。
それを聞いた彼女はまた目を見開き、今度は悲しそうに顔を歪めた。嘘ですよね? そう言って。
しかし夕立に彼女の記憶はない。だから心苦しくも嘘じゃない、と首を横に振ると彼女は泣き出してしまった。
それにどうしていいか分からずにいたらまた来たのは複数の少年たちと二人の男(乱は女の子かと思ったが違った)。その内の数人は電同様自分を知っていたようだった。当然、彼らのことも分からなくて……。そう告げれば、彼らも信じられない、という顔をした。
彼らは少し取り乱したけれど、すぐに冷静になってくれた。泣きじゃくる電を宥め、夕立にも一体どういう関係だったのかを説明してくれたけど、どうしても信じることができない。
自分が艦娘と呼ばれる存在で、深海棲艦という者を相手に戦っている、だなんて。
だけど仮にそれが嘘だったとしても、夕立には彼らが大切な存在だったように思える。今は何の確証もないけど。
「……思い出せたらいいな」
今までの記憶を、すべて。マルコは無理に思い出さなくていいと言ってくれていて、自分もそれでいいと思っていた。でも今は違う。
思い出したい。電たちに会って、強くそう思う。
「やっぱり、電ちゃんたちは私にとって、大切な存在……かな?」
そうじゃなかったら、きっとそう思わないだろうから。
夕立は出来上がったトロピコマンゴーパフェをおぼんに乗せて、お客の元へと運びに行った。
- Re: cross×world ( No.70 )
- 日時: 2016/07/04 21:03
- 名前: 柊 (ID: eOcocrd4)
……翌朝。電は海を見つめていた。今身につけている艤装を使えば、電はこの海をスケートのように滑っていける。ここに来るまでにそれをしなかったのは、燃料が限られているからだ。
電を含めた艦娘はどこかで補給できなければ今積んでいる燃料や弾しか使えない。しかも電は遠征の直後に真亜空軍の襲撃に遭い、補給もできていなかった。
弾は問題ないけれど、燃料は少ない。確か半分か少しそれより少ないかくらいだ。
なら何故今艤装を付けているのかと言えば、少し海を滑りたい、と思ったから。だけど燃料を無駄遣いできない、と今更思い直して、海を見つめるに止まっている。
ふぅ、と息を吐いて海を見つめ続け……。
「えっ、あれは……!?」
開店前のレストラン。すでにエプロンを付けた夕立はレストランの席の一つですやすやと眠っている。夕立がここに来てからすっかり馴染みとなった光景だ。
「あれ、夕立……?」
そこに竜太がやって来た。レストランがまだ開いていないのは分かっていたが、飲み物はここでしか貰えないという不親切さからわざわざ開店前のレストランに来たところだった。
「おや、確かキミは竜太くん」
「マルコ……さん」
「すごく嫌そうにさん付けしないでもらえるっ!?」
「静かにしてください。夕立が起きます」
「あ、ああ、これは失礼。で、ここに何を……」
「今度から飲み物は部屋に準備するなりルームサービスにすることをお勧めします」
「そう言うことか」
鼻が長く、黄色の肌をしたマルコが確かにその通りだね、ゆうちゃんが運んだらさらに売り上げアップ、と言うものだから竜太は思い切り彼を睨んだ。
「い、いやね、お金はあるけどどうせなら」
「意見は昨日のままでしたか」
「ゆうちゃんはうちの看板娘だから」
小声でマルコと竜太が言い争う。
そんな時だった。
「!!」
夕立が勢いよく起き上がったのは。その余りの勢いに二人が言い争いをやめ、夕立を見ている。
夕立の頬に、つぅ、と汗が伝う。
「……来た」
彼女はたった一言、そう呟いた。
- Re: cross×world ( No.71 )
- 日時: 2016/07/07 16:35
- 名前: 柊 (ID: eOcocrd4)
「あれは……駆逐、イ級……! それに……」
海岸の遥か遠くに元の世界で対峙している深海棲艦の姿を捉える。多くはイ級。その他にロ級、ハ級の姿がある。
それらを率いるは……。
「重巡、リ級……!」
重巡リ級。あの中にいる深海棲艦としては最も人間型に近い。ーーその分、厄介でもあるが。
ドクリ、ドクリ。鼓動が早く強く打ち始める。今ここで深海棲艦に太刀打ちできるのは、電のみ。夕立は記憶を無くしている。戦い方も忘れていると考えていいだろう。
……数でも、戦力でも、勝てる見込みは零に近い。けれど、ここで戦わなくては……。
「みんなが……」
電は少しだけスカートを握り、顔を上げる。
小さな水音。それの後に唸る音。
「……暁型駆逐艦、四番艦、電。出撃します」
聞いている人は誰もいない。それでも口にして、決意を改める。
電は、海を行く。
一人で、少しでも食い止めるために。
第9話-END-
コメントOK
- Re: cross×world ( No.72 )
- 日時: 2016/07/20 23:12
- 名前: 柊 (ID: YnzV67hS)
第10話
「来た……? 何が来たんだい、ゆうちゃん」
「マルコさん……えと、私もよく分からない。けど、この島に何か悪いものが来てる、そんな気がするの……」
「何か、悪いもの?」
竜太の言葉に夕立が頷く。
ーーこんなことが、以前にもあった。あれは確か……。
竜太がおぼろげな記憶を引き出そうとした時。外から、轟音が響いてきた。
轟音に三人が驚いて外に飛び出す。
「なっ!?」
「ななな、何、あれは!?」
マルコの声に竜太は答えることができない。遠くにいるが、あの黒い体は間違いなく倒すべき敵、深海棲艦。
ほとんどが駆逐艦ではあるが、数が多すぎる。数多くの深海棲艦は何かに狙いを定めているのか、こちらに攻撃を仕掛けるようなことはなかった。
深海棲艦は、船を食らって生きる。だがまだ修理途中であろうブラックスカル号がわざわざ出向くとは思えない。となると、奴らが狙う“何か”は簡単に分かった。
「あ、あれ……? 電ちゃん!?」
今この島で唯一戦える艦娘、電。彼女以外あり得なかった。
電は小柄な体で次々襲い来る砲弾をかわし、身に付けた主砲などで確実に砲撃を当てている。
「電殿!?」
「い、いったい何じゃあいつらは!」
一心と漁馬の声に振り向くと、そこには二人以外にも山伏と乱、ゲッコウガ、マリオ、リュカにこのはもいた。
このはは深海棲艦の存在を見るや否や眉間にしわを寄せている。
「深海棲艦だ」
「深海棲艦……」
「戦っているのは電ちゃん一人!? 早く助けに……っ」
助けに行こう、そう言いかけてマリオは口を閉ざした。
電も深海棲艦も、海の上で戦っている。電だって艤装があるから浮いていられるだけで、マリオたちには海の上を行く術はない。
「ぼ、ぼくがPKフリーズで海を凍らせます!
その上を行って……」
「いや、ダメだ。それは時間がかかりすぎる……!!」
「ならどうすれば……!」
「リュカ、あそこに攻撃を届けられる?」
「遠すぎて難しいかと……。仮に届いても、コントロールできるかどうか……」
リュカが申し訳なさそうに言う。だが仕方のないことだ。もしこれで放って電に当たってしまえば電が危ない。
しかし、そうだとしてもあのまま電を一人で戦わせていいはずがない。どうにかあそこまで攻撃を届けられないか、マリオが必死にで考える。
どこか高いところから何かを投げる? いや、それこそ電に当たってしまうかもしれない。リュカの言った通り、海を凍らせてそこを走る? それも時間がかかる上に滑りやすい、得策とはあまり言えないだろう。
「どうすればいいんだ……!」
- Re: cross×world ( No.73 )
- 日時: 2016/07/20 23:17
- 名前: 柊 (ID: YnzV67hS)
「……」
夕立はただ海の上の戦いを見つめていた。あれを見た瞬間、夕立の体が奮いたつような感覚に襲われたのだ。
ーーあれが、艦娘の戦い。
まるでパズルのように、一つ一つの記憶のピースが集まっていく。
ーー『夕立、大丈夫かい?』
優しい声。その声の持ち主であろう黒髪の少女は微笑みながら聞いてくる。黒髪の少女は自分と同じように髪が跳ねていて、同じようなセーラー服を着ていた。
ーー『よぉーし、いっちばーん!』
元気な声。その声の持ち主であろう茶髪のショートの少女は笑顔で駆けていく。彼女の前には誰もおらず、確かに一番だ。彼女も、夕立と同じようなセーラー服を着ていた。
ーー『もう、 姉さんってばー』
明るい声。その声の持ち主であろう、白いツインテールの少女はクスクスと笑っていた。よく聞き取れなかったが、先ほどの少女が姉のようだ。彼女もまた、同じようなセーラー服を着ていた。
ーー『ま、待ってくださーい!』
幼めの声。その声の持ち主であろう、ピンクのサイドテール(よく見ると毛先は水色になっていた)の少女は慌てたように彼女らを追いかける。そして彼女もまた例外なく、同じようなセーラー服を。
彼女ら以外にも様々な少女や女性が浮かんでくる。それでも思い出せない。
「っ、思い、出さなきゃ……!」
思い出したい、ではない。思い出さなくてはいけない。そんな思いが夕立を焦らせていく。
「思い出さなきゃ、あの子……!」
思い出さなくては、どうなる?
「思い出して、あたしっ!」
刹那。
夕立の頭に、鋭い痛みが走った。
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