二次創作小説(新・総合)

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逃走中#CR03 カービィ!バトルデラックス!!【完結】
日時: 2020/05/26 22:10
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1332

どうもです、灯焔です。
マイペースに我が道を進んでいく逃走中#CR03!前回異世界のゲートが完全復活し、ボルテージも盛り上がりも限界突破中!
今回の舞台は、某カービィの大乱闘ゲーとも呼ばれる『カービィ バトルデラックス!』より『バトルデラックス会場』。デデデ大王がカービィを倒す為用意したエリアで、逃走者とハンターとの駆け引きが三度、始まる―――!

前回、遂に道化師が動き始め緊迫した様子の運営本部。どうやら彼ら、『JOKER』が生きていると断定し魂を消滅させようと動き始めているようで…。果たして『JOKER』、どこにいるんでしょうかねー。
ミニドラマはカービィ&バンワドがバトルデラックスで大暴れ!コピー能力を駆使して、逃走者の力も借りデデデ大王の罠をかいくぐって優勝せよ!
神々、人間、魔族。それぞれの思いが交差し世界は更に変化を遂げていく―――。



<ルール>
逃走エリア:『バトルデラックス会場』 
デデデ大王がカービィをコテンパンにやっつける為、自ら創り上げたアトラクションが豊富なエリア。
本来は10個のアトラクションに挑戦できるのだが、今回は逃走中verの為、デデデ大王と運営本部によって選ばれた5つのアトラクションとエントランスを繋いだ逃走エリアとなっている。
また、『地下には会場を創ったデデデ大王ですら分からない秘密』があるのだとか…?
エリア詳細 >>1
ミニドラマ紹介 >>2


逃走時間:80分

賞金:48万(1秒100円)

ハンター:初期4体(OPゲーム会場のハンターボックスに2体)


<参加者>

【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細>>3
DTO
ハジメ
ジャック

【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細>>4
エリウッド
ヘクトル
リンディス

【白猫プロジェクト】より (3人) 詳細>>5
チタ・チタ
クレア・スチーブンソン
シェリル・コーエン

【ハイキュー!!】より (3人) 詳細>>6
日向翔陽
影山飛雄
月島蛍

【ぷよぷよシリーズ】より (3人) 詳細>>7
アルル・ナジャ
アミティ
あんどうりんご

【作者枠】 (3人) 詳細>>8
おろさん
Ga.c=evo.
konakun.

【逃走中#02 MVP】 (2人) 詳細>>9
七海千秋
キュベリア

計20名



逃走中#CR04 次回作出場権(シード枠)争奪予想アンケート実施中!
※締め切りました


逃走中#CR04 次回参加者募集中! 逃走&確保MVP投票受付中! 
※締め切りました
作者枠発表 >>135

※『お手伝い』として参加してくださる方向けの案内※
 版権キャラ応募用紙 >>136 ※5/25(月) 20:00まで


◎AfterBreakTime

 ①『新しい希望の朝』 >>10
 ②『全知全能を司る神』 >>26
 ③『炎の紋章を掲げて』 >>39
 ④『その蒼き目は何を見る』 >>47-48
 ⑤『我ら、虚構の魔術師』 >>67
 ⑥『全知は語る、全能は悟る』 >>72
 ⑦『はじまりの作戦会議』 >>79
 ⑧『幼き姿の神』 >>82
 ⑨『救出作戦、始動』 >>98
 ⑩『道化師と呼ばれた男』 >>103
 ⑪『勝ってくるぞと勇ましく』 >>109-110
 ⑫『打ち上げパーティ』 >>141-142 >>145-146 >>149



以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。

Re: 逃走中#CR03 カービィ!バトルデラックス!! ( No.107 )
日時: 2020/05/16 21:57
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)

どうもです。灯焔です。
いちかちゃんに連日ぼろ負けです。何とか1曲解禁できるポイントは貯まりましたが、これはかなり苦行な気がします。ですが、ポップンをやる為ならば私諦めませんからねいちかちゃーん!



>>junris 様

どうもです。いつもコメントありがとうございます!
そうなのです。デデデ大王は操られていたのです。原作でもスマブラでも洗脳されまくりの彼。報われる日は来るんでしょうか。ヴィルさんが『JOKER』だと遂に口にしましたね。現在は力を抑えているようですが…本来の彼の力はMZDにしか分かりません。

さあ、どういう結末を迎えるのか。どうかお見守りくださいませ。



>>おろさん 様

どうもです。いつもコメントありがとうございます!
ミッションクリアまであと少し!というところまで来ましたね。果たして彼らはデデデ大王の洗脳を解くことが出来るのでしょうか!結末をどうかお見守りくださいませ。
道化師の目的…。本当に『JOKER』の力を手に入れ、人間と神を殲滅するだけなのでしょうか。そこも気になります。





いつも暖かいコメントありがとうございます。執筆の励みになります。

Re: 逃走中#CR03 カービィ!バトルデラックス!! ( No.108 )
日時: 2020/05/16 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)

【10:15】





~天空のデデデマッチ会場~





デデデ『グググ……呪縛ゾイ。いや違うゾイ。貴様ら、だからワシを抜いて話をするなとさっき言ったゾイ!!ハンマーが重くなった気がするが、そんなこと気にしてられないゾイ!そいやぁー!!』

ジャック「デデデ大王が攻撃を仕掛けてきたぞ!エリウッド、障壁を割ってくれ!」

エリウッド「分かった。君達もどうか怪我をしないようにね!」



デデデがハンマーをジャック達に向かって振り下ろしてきました!ジャックはそれを上手くかわし、エリウッドにベリトを捕まえるよう言いました。彼は一つ返事で承諾し、障壁のある場所まで走って行きます!
デデデもそれに気付きエリウッドに照準を合わせようとしますが、アルルとクレアが壁になってエリウッドに近づけさせません。



クレア「エリウッドさんの元へ行くならば、私達からなんとかしてください!絶対に近づけさせませんよ!」

アルル「早く正気に戻ってよデデデ大王ー!」

デデデ『ワシは端から正気ゾイ!どいつもこいつもワシをコケにしおって!どうせどこぞのエスカルゴンやカスタマーサービスのように貴様らもボコボコにしてやるゾイ!ワシのハンマー攻撃を舐めるなぁー!お前らは愉快なサザエさんにしてやるゾイ!』

ジャック「使っている意味合いが違う!くそっ、当たったらひとたまりもないな!」



3人が壁を作るようにエリウッドへの道を妨害している為、デデデ大王は上手く攻撃が当てられません。
その間にエリウッドは障壁へと一気に走り、魔力で壁を触ってみます。確かに全力でぶつかれば通り抜けられそうなほどに薄くはなっているようです。彼は一旦壁から離れ、深呼吸。
そして―――



エリウッド「一気に、駆け抜ける!!」

ベリト『シ、シマッタ―――』



障壁に向かって全力で走り抜けます!エリウッドにぶつけられた壁は、彼の勢いのまま魔力のかけらとして粉々のガラスのように床へと落ちていきます。ベリトはまさかエリウッドが自分でぶつかるとは思っていなかったようで驚いてしまい、デデデへの魔力の供給も一瞬途絶えてしまいました。
その隙をエリウッドは逃しません。真っ直ぐベリトのところまで走って行き、彼の腕を掴み卍固めの要領でベリトの動きを止めました!



ベリト『は、話の流れェーーー!!!』

エリウッド「リョウマ殿から教えて貰った『クミワザ』がこんなところで役に立つとは思わなかった。相手の動きを攻撃せずに止めるならば相手に何もさせないようにすればいいからね」



一方、デデデの攻撃を避けていた3人にも変化が。魔力の供給が途絶えたことによりデデデ大王の動きが鈍くなったことで、『封印の壺』とハンマーを両方持って攻撃できなくなってしまいました。
壺だけは渡すまいとハンマーを手放し両手で封印の壺を持って逃げ出そうとしますが、そうは問屋が卸しません。



アルル「今のデデデ大王ならボクの力でもだいじょーぶ!そりゃー!」

クレア「お手伝いします!」

デデデ『なぬっ?!や、やめるゾイ?!ぎゃーーー!!!』



デデデが足を踏み出した瞬間を狙い、背後からアルルがデデデ大王の背中を押し、彼を転ばせます!そして、すぐさまクレアが落とした壺を拾い上げました!



クレア「『封印の壺』奪いました!影山さん、床に置きますね!」

影山「安定した場所に置いてくれればそこ狙います!いつでもいけるッス!」

クレア「はいっ!」

デデデ『やめるゾイ、やめるゾイ!折角子孫の身体を乗っ取れたのに、壺が割れてしまえばワシは成仏してしまうゾイ?!』

ジャック「乗っ取っていたのは先祖だったのかよ…。はた迷惑な先祖だなぁ」

ベリト『ぐっ…ハナセ…ハナセ…!』

エリウッド「離さないよ。君達の負けだ」



冷徹にエリウッドが言い放ちます。クレアが壺を床に置いたと同時に照準を壺に合わせ、魔石をボールに見立てて影山が深呼吸。そして、助走した後―――





影山『サーブ、行きます!!!でやぁーーーっ!!!』



バンッ!!!





魔石は影山のジャンプサーブの勢いに乗り、封印の壺に真っ直ぐ飛んでいきます!そして―――







パリン…………







デデデ?『やめるゾイ…。止め、ぐお、ぐおおお、ぅおおおおおおお!!!!!』

アルル「クレア!デデデ大王から離れて!憑き物が取れてる!」

クレア「は、はいぃー!」



影山が放ったジャンプサーブは見事壺に命中!当たったところから日々が入り、壺が粉々に砕け散ります!
同時にデデデ大王が苦しみだし、彼の頭から紫色のもやが。それがデデデを洗脳していた原因だったのですね。そのまま様子を見ていると、もやは完全にデデデから離れ…そして近くを彷徨った後、消滅してしまいました。
洗脳が解けたデデデは、そのまま前のめりに倒れて気絶してしまいました。



デデデ「…………」

クレア「だ、大丈夫ですかー?!」

アルル「気絶してるだけみたい…。よ、よかったぁ~。無事に助けられて…」

影山「倒れたままだと危ないんで、壁近くまで運びましょう。そっちの方が安全です」



ベリト『そ…ソンナ…。メフィスト様からの頂き物が…』

ジャック「案の定『道化師』絡みか。何で逃走中の妨害をしたのか、後で洗いざらい吐いてもらうぞ!」

エリウッド「こっちも戦意喪失、か。クミワザは解いても大丈夫そうだね」

クレア「何はともあれ、これで無事ミッション④クリアです!強制失格は回避ですよ!」





【07:38】
ミッション④ クリア







ピリリ ピリリ








~牢獄ルーム~





リン「通達が来たわ!おろさん殿、読んでいただけるかしら?」

おろさん「わ、分かった。えーっと…。『ジャック、エリウッド、クレア・スチーブンソン、影山飛雄、アルル・ナジャの活躍により、『封印の壺』が破壊されデデデ大王の洗脳が解かれた。よって強制失格は回避される。ミッション④クリア』
     や、やったーーー!!!ミッションクリアだーーー!!!」

Ga.「一時はどうなるかと思ったけど、何とかなるもんだよなぁ。これこそ『逃走中』だよ!」

konakun.「終わり良ければすべてよし!ってことで!ヾ(*´∀`*)ノ」

ヘクトル「最後の最後までエリウッド活躍しやがって。俺も生き残れてたらここまでやってたんだがなー」

りんご「初っ端で捕まったわたし達が言える台詞ではありませんよ、ヘクトルさん」

キュベリア「あとは、あのイカサマたまご絡みだが…。あれは何とかするだろ。私達は残り7分、5人の逃走者が逃げ切るのを祈るだけだ」

DTO「珍しくキュベリアがやる気だなー。明日は槍でも降るうへか」

ハジメ「不吉なことを言わないでください!でも、ここからが正念場っすし、気を抜かないで行ってもらいたいっすよね!」

アミティ「アルルー!みんなー!がんばれー!逃げ切ってー!」



お見事、ミッション④クリア!一時はどうなるかと思いましたが、無事にクリア出来て良かった良かった。
後は7分30秒、ハンターから逃げ切るだけ!…と、言いたいところなんですが…。どうやらまだデデデが気絶している場所で何やら起こっているようですねぇ…。





~天空のデデデマッチ会場~





ベリト『…………』

ジャック「こいつ、口を割る気はなさそうだな。本部の奴に連絡して身柄を拘束させるか」

エリウッド「うん。早いところそうしたほうがいい。今緊急用の連絡を―――」



壺が壊されてしまい、戦意を失ったまま俯いているベリト。このままにはしておけないと本部に回収をお願いすることにしました。エリウッドが電話をかけようとしたその時…『それ』は現れました。





『あ~あ、べリアに続いてベリトまで作戦失敗かよ。今まさに『駒』の洗脳も解けちゃったぜ。ま~ったく、これが『ヒーローの逆転力』ってやつですか~?』

クレア「その声…もしかして、メフィストさんですね?!」





不気味な声が部屋中に広がったと思ったら、ベリトの近くに『影』は現れ人型になりました。
赤と紫が混じったような禍々しい色をした髪の毛を垂らした、大きな帽子を被った『派手な衣装の男』…メフィストで間違いありません。
彼はそのままベリトに魔法をかけ、彼を先に魔界へと逃がしてしまいました。



アルル「あーっ!逃がしたなー!ずるいぞー!」

メフィスト『アイツにはまだやってもらうことがあるんだよ。ここでぬけぬけとテメェらに渡すわけねーだろ。ククっ…それにさぁ。これから俺は『処刑場』に用があんだよ。だから、テメェらの邪魔はこれ以上しないでやるよ!」

クレア「何が『しないでやるよ』ですか!散々逃走中の邪魔をしてくれちゃって!ちゃんと責任とってください!」

影山「クレアさん、話が通じない相手にそれは禁句ッス」

クレア「でも言いたかったんです!デデデ大王さんを危険に冒して…。魔族ってみんなこんな人ばっかりなんですか?!」

デデデ「…………うぅ」(目がぐるぐる)

エリウッド「大丈夫かい、デデデ大王。自分に起こったこと覚えてる?」

デデデ「なーんか頭がぽやぽやして気分が悪い…。んー、なんだぁ?赤と紫のもやもやした髪の毛が目の前にいるぞー…?」

ジャック「しっかりしろ!目の前にいる奴に今の今まで操られてたんだよお前!」

デデデ「操られ……?んなーーーっ?!オレ様また操られてたのかー?!不甲斐ない~!」

アルル「道化師が現れたなら好都合だよ!ここでけちょんけちょんにしてやる!」

メフィスト『囚われのヒロインもそろそろ救出されそうだしぃ?ま、俺はここにベリトを迎えに来ただけだからここいらでトンズラしてやるよ。せーぜーゲーム終了まで頑張りな、下等生物さんよぉ』

アルル「いちいち癪に障る話し方だなぁ!」



どうやらメフィスト、作戦失敗したベリトを鼻で嘲笑っているようです。鼻歌を歌いながら逃走者達を見下した後、そのまま消えてしまいました。
いつまでもその場にとどまっているのも駄目だと確信し、逃走者達はデデデを連れて通常エリアまで戻ることにしたのでした。




【06:00】 ミッション④終了時 逃走者詳細


確保者 15名 ※()内はペアベストの色


あんどうりんご ヘクトル キュベリア

チタ ハジメ(赤)

月島蛍 アミティ 日向翔陽(黄色) Ga.c=evo.(桃色)

リンディス(緑) konakun.(青) 七海千秋(紫) シェリル(赤)

DTO おろさん(紫)



既存逃走者 残り5名 ※()内はペアベストの色


ジャック(緑)

エリウッド(黄色)

クレア(桃色)

影山飛雄

アルル(青)




何とか逃走者側のミッションはクリア!デデデ大王も無事でよかったです。
…しかし、何故に道化師は逃走中を、運営本部を目の敵にして襲ってくるんでしょうね?何か悪いことをした覚えなど無いはずですが。
それはともかく、ゲーム終了まで6分!逃走者5名 vs ハンター4体!果たして結果はどうなることやら。見逃し厳禁ですよ!


To be continued……

ABT⑪『勝ってくるぞと勇ましく』-1 ( No.109 )
日時: 2020/05/16 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)

~処刑場 搖動作戦場所~





アイク『せぁぁぁぁぁっ!!!!!』

エフラム『…………!!』



ガキン、と鈍く響く金属の音。処刑場の入り口では、未だ操られた3人と本部の搖動軍が戦っていました。
ベレス達がMZDとソティスを救出する為本格的に動き出したとはいえ、彼らがたどり着いたことが知られる訳には行きません。彼らの気を引く為、搖動軍は力の限りを3人にぶつけていました。



アイク「とはいうものの…!流石にこのままだと押し切られるかもしれん!」

エイリーク「アイク殿!私も援護します!」

アイク「下がっていてくれエイリーク。あんたが今出たら怪我をするかもしれない」

エイリーク「し、しかし!このままでは兄上に押し切られてしまいます…!」



後ろでアイクとエフラムの戦いを見守っていたエイリークでしたが、アイクが徐々に劣勢に立たされていることは薄々感じていました。援護するとジークリンデを持ってエイリークも前線に立とうとします。しかしアイクはそれを許しません。実の兄妹が争う光景など、彼は見たくなかったのです。
どうにかしてエイリークに手出しをさせず、エフラムを何とかしようと彼はエフラムに全力で剣をぶつけます。



エフラム『…………!!』

アイク「しまっ―――!!!」



考えているのが見抜かれたのか、エフラムの一撃がアイクの剣を弾き飛ばし、ラグネルはゴトンと重く鈍い音を響かせながら地面へと落ちました。そのままエフラムは彼の、首に、槍を――――――





エイリーク『てやぁっ!!!』(ガキン!)

エフラム『…………!!』





アイクの首を貫きは―――しませんでした。咄嗟の判断でエイリークが間に入り、エフラムの槍を防いだのです。しかし、彼女の力と兄の力の差は歴然。つばぜり合いもすぐに押し切られてしまい、エイリークは吹き飛ばされてしまいました。



エイリーク「ああっ…!」

アイク「エイリーク!だから前に出るなと言ったのに…!」

エイリーク「しかし!たとえ操られている兄上だったとしてもです!貴方を貫く姿は、見たくなかった。それだけです。兄上!正気を取り戻してください!」



エイリークは必死に剣を構えながら、目の前にいる兄に声をかけます。『元の優しい兄に戻ってほしい』そう願いながら。思いは必ず届く。その希望を…彼女は諦めていませんでした。
アイクが止めるのも無視し、彼女はエフラムへと歩み寄ります。



エイリーク「兄上。貴方は誇り高きルネス王国の王子です。こんなところで…敵に操られるようなお方ではありません。勇敢で、勇猛な、一人の戦士。かつて『槍一本で世界を渡る』と言っていたではありませんか。ルネスでは無理でしたが…この世界ならば!『1人の戦士』として認められるこの世界ならば!兄上がかつて夢見ていたものに手が届くのではないのですか?!」

エフラム『…………』

エイリーク「お願いします。兄上。どうか攻撃の手を止めてください。友を傷つけるくらいならば…私が相手になります!」

アイク「やめろ!いくらなんでも無茶だ!くっ…!ラグネルを取りに行っている間にやられてしまっては…!」



エイリークはアイクを守るように彼の前で両手を広げます。アイクは彼女に逃げるように促しますが、エイリークはそこを立ち退きません。兄に槍で貫かれても、友を守る…。今の彼女はその決意が宿っていたのです。
エフラムはそんな彼女の決意を嘲笑うかのようにゆっくりと近づき、彼女を真っ二つにしようと槍を振りかざします。思わず目をつぶるエイリーク。しかし…襲ってくるはずの『痛み』は、彼女に降りかかっては来ませんでした。
代わりに彼女が目にしたのは―――



エフラム『う……ぐあぁぁぁぁあぁ……!!!』

エイリーク「兄上?!どうなされたのですか?!」

エフラム『えい、りー、く……。おれから、はなれ、ろ……!』

エイリーク「兄上?!私が分かるのですか?!」

アイク「あいつから紫色のもやが?…まさか?!」



地面に落ちる槍の音。そして、頭を抱えて苦しむエフラムの姿でした。頭上からは紫色のもやが飛び出ています。あれ?これってまさか。
どうやらエフラムだけではなく、フェルディナントやマリアンヌにも同事象が起こっているようです。



フェル『ぐ…ぐぅぅぅぅ…っ、せ、せんせ……!』

クルーク「様子がおかしいよー!どうしちゃったんだろ?」

カラ松「もしかして、逃走者が『壺』を壊してくれたのか…?!」

アカギ「自我を取り戻しているみたいだ…。様子を、見よう…」



マリアンヌ『せ、せんせ…ベレス、せんせい…たすけて……ぁぁ……!』

リピカ「ぎゃーーっ?!ペガサスから落ちそうさー!!」

マルク「いいから彼女を支えるのサーーー!!!」



そうです。逃走者が『封印の壺』を壊してくれたおかげで、エフラム達3人にかかっていた洗脳も一緒に解けたのです!
苦しんでいた3人の様子を見る一同。しばらくのたうち回った後…ぱたっと、操り糸が解けたかのように同時に倒れてしまいました。



エイリーク「兄上!!大丈夫ですか?!兄上!!!」

エフラム「…………」

アイク「…安心しろ。気絶しているだけのようだ。命に別状はない」

エイリーク「兄上…!良かった…!」



張りつめていた緊張が解けたのでしょう。穏やかな表情で眠っているエフラムを前に、エイリークは膝から崩れ落ちます。
フェルディナントとマリアンヌもどうやら気絶してしまったようで、アイク達の元に彼らを背負ったメンバーが徐々に集まってきます。



アカギ「アイク、エイリーク。大丈夫か…?」

アイク「ああ。何とかな。逃走者達がやってくれたらしい」

マルク「ベレスの生徒達も無事なのサー!本当、骨が折れるかと思った…」

カラ松「あとは下っ端の道化師を何とかしてエレベーターに戻ればオレ達の役目は終了だ。神様とソティスの救出がどうなっているかは知りたいが…」

チョロ松「そこは僕達が手出しできる領域じゃない。無事に救出できることを祈ろう。…とにかく、僕達の目的は達成できたんだし、そろそろ本部に戻ろうよ」

エイリーク「はい。これ以上の長居は無用ですから…」



サクヤの指示通り、3人の保護に成功した為搖動軍は本部へと戻る決断をしました。…MZDとソティスを無事救出できることを祈りながら。







~処刑場 檻~





MZD「なんだか周りが騒がしいな。何かあったのか?」

ソティス「うーむ…。力が奪い取られているせいで察知も何もできぬ。敵だったらまずいのう」



べリアによる思わぬ発言の後、大人しく助けを待っていたMZDとソティス。何やら周りが騒がしいことに気付きます。
檻越しに外を見てみます。…どうやら監視にあたっていた道化師がほぼ全員出払っているようですね。それもそのはず。本部の面子が派手に暴れていた為、道化師の殆どがその戦闘に割かれていたのです。



MZD「監視の人数が減ってるみたい。多くて1人、2人って感じだな」

ソティス「何が起こっておるのじゃ?あの女の言う通り、大人しく助けを待つほか『はぁぁぁぁぁっ!!!!!』―――?!」



突如鳴り響く聞き覚えのある剣の音。その方向を向いてみると、そこには天帝の剣を道化師に向けて振るうベレスの姿が―――。
思わず彼女の名前を呼ぶソティス。ベレスにきちんと声は届いたようで、剣を振るいながらもこちらを見て小さく手を振ってくれました。



ソティス「ベレス…!来てくれたのか!」

MZD「大切にされてんなぁお前さん。ベレスと一緒に先に逃げ『何が『大切にされてるなぁ』だ。その『大切にされてる者』には自らが含まれていないとでも思ったのか?』 ……え?」



突如檻の近くに優しく響く声。思わず辺りを見渡すMZDでしたが、檻の前に―――。マルスを担いでいるヴィルヘルムが現れました。顔を見られるわけにはいかなかったのか仮面を被ってはいましたが、その金色の眼からは優しさが伝わるのを、MZDは感じていました。
彼は素早くマルスを下ろし、彼に檻を破壊するよう指示します。



マルス「今から檻を破壊する。2人共、下がって!」

MZD「わ、分かった!」

ソティス「こうじゃな」

マルス「―――ふぅ。『シールドブレイカー』!!!」



彼の鋭い一撃は、いとも簡単に檻を粉々に砕きました。先端こえぇ。
その間にヴィルヘルムは檻の中に侵入し、MZDとソティスの手錠を外しました。彼曰く、どうやらこの手錠『魔族の魔法』が使われており、そのせいで神の力が封じられていたんだとか。随分と用意周到ですねぇ。
ベレスも道化師2人を戦闘不能にし、ソティスの元へ駆け寄りました。



ベレス「2人共、大丈夫?怪我はしてない?」

ソティス「特に何もされておらんぞ!神の力が奪われていたのはこの手錠のせいじゃったのだな!随分とてこずらせおって!」

MZD「オレ達が暴れないように、保険には保険を重ねた結果だろ?全く、陰湿ったらありゃしない。まだ本調子じゃないけど、大分神の力は戻ってきたように感じるぜ。ありがと、2人共」

マルス「ううん。お礼を言われる程のことはしてないよ。きみ達が無事で本当に良かった」

ヴィル「全くだ。…とにかく、今のうちにここから退散『させると思うカイ?』」

ソティス「現れおったなイカサマたまご!それに…メフィストもいるのじゃろう?現れ出でよ!」

『い、イカサマたまごとはシツレーな!カービィですら言わないヨォソンナコト!』

『…ククク、ばれてたなら仕方ねぇ。こいつらを渡す代わりに、ちゃーんと『交換するブツ』、持ってきたんだろうなぁ?』



『イカサマたまご』と侮辱されたのかかなり不機嫌な声色を残してマホロアが。そして、コツコツとした靴の音を響かせメフィストが現れました。彼はマホロアとは対照的にかなり上機嫌のようです。
そのまま要求したものを寄越せと手を伸ばすメフィスト。しかし、彼らがその要求に応じるつもりは一切ありません。



マルス「ぼく達は彼らを助けに来ただけだ。きみ達の要求に応じるつもりはないよ」

ベレス「そもそも、勝手に奪っておいて『交換条件』とは。随分と分が悪いね?せめてもう少し対等な条件にしてよ」

マホロア「フン!だからオマエラは甘ちゃんなんだヨォ。ボクに勝てなかったせいで一度さらわれたのモウ忘れちゃったのカイ?」

メフィスト「…まぁ、お前らが素直に要求に応じるとは思ってねぇさ。なら…ちょっと強引だが―――餓鬼共を少し痛めつける必要がありそうだなぁ?」

ソティス「ひっ……!」

ベレス「…………」



彼らが『JOKER』の首を持ってくるはずがないとメフィストは読んでいました。彼は強引にでも要求に応じさせる為、MZDとソティスに向かって呪いのようなものを飛ばします。
思わずベレスの後ろに隠れるソティスと、彼女を守るように前に立つベレス。しかし―――その『呪い』は……。



メフィスト「んなっ―――?!」

ベレス「消えた…?」

ヴィル「……随分と姑息だな。そんなに『JOKER』が欲しいか」

マホロア「オマエ、何を言ってるんだヨォ?連れてきてるならトットトダセヨォ!」



『男』―――ヴィルヘルムが手を伸ばした瞬間、メフィストが放った『呪い』は彼の手に吸収されてしまいました。『呪い』を吸収できるのは、自らよりも地位の高い魔族のみ…。メフィストはそのことを知っていました。…目の前の男が、自分よりも『格上』だとは想像が出来ませんでしたが。
ヴィルヘルムはそのまま被っていた仮面を脱ぎ、自らの魔力をピストルのように仮面に装填しました。



ヴィル「貴様らには『絶望』よりもっと深い『闇』を見せねばな?」

ソティス「なぬ?!」

MZD「待って!止めて!こんなところで魔法を使ったら―――!」

ヴィル「彼奴等には少しばかり『教養』をせねばならぬ。―――随分と『JOKER』を甘く見られたものでな。非常に腹が立っている」

マホロア「な、ナンナノォ?!コノ『圧』ハ―――!」

メフィスト「テメェ、ただの『魔族』じゃねえな…?」



MZDが止めるのも無視し、彼はそのまま自らの魔力で仮面を『撃ち抜いて』しまいました。打ち抜いたところから仮面がボロボロと崩れていった瞬間に、彼の周りの―――いや、『処刑場全体の空気』が重苦しくなるのを感じました。
彼は今完全に自分のことで怒りのボルテージが最大で、周りが見えなくなっている。何とかしてマルス達は被害から守らねば、と彼らに叫びました。



MZD「…あーもう!周りが見えなくなってる!仕方ない。―――マルス!オレが『いいよ』って言うまで向こうで伏せてて。ヴィルの姿を見ないで!」

マルス「どういうこと?!」

MZD「多分、ヴィル『永久』を使おうとしてる。オレだって死にかけたのに…あれに普通の人間じゃまず耐えられない!死にたくないなら伏せて!!」

ベレス「分かった。マルス、ソティス。しばらく後ろに下がって伏せてよう」

マルス「うん!」



MZDがいつになく真剣な表情をしているのを受け取り、ベレスはマルス、ソティスと共に後ろに下がり彼の姿を見ないよう伏せました。
―――それと同時に、彼は神の力で3人に加護をかけ、どうにかして助けようとやりくりを始めました。…目の前でほくそ笑む男の肌が、指が、身体が。少しずつボロボロと崩れていくのを間近で見守りながら。



ヴィル『憐れで愚かなる道化師共よ。『永久』に溺れるがいい。貴様らが辿り着く先は――――――』

























『久遠の闇 だ』

⑪『勝ってくるぞと勇ましく』-2 ( No.110 )
日時: 2020/05/17 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)

~処刑場 エレベーター付近~



アイク「はぁっ!!!」

チョロ松「でやぁーっ!!!」

道化師『ぐわああああっ!!!』



ザシュ、という風を切る音と共に、彼らを追ってきていた道化師が次々と倒れます。まだまだ無数の道化師がいるのか、キリがありません。しかし、エレベーターも近い。保護した3人を背負っている面子を優先してエレベーターに乗せ、次々と地上へと戻っていきます。
しんがりを務めているアイク達とエレベーターの距離ももう少しです!



ジョマンダ「もう少しでエレベーターだ!あいつらに追い付かれる前にさっさと乗り込めー!」

カラ松「保護した3人ならば既に本部へと連れて行っているだろうからな。あと少しだ!」

アイク「だが、キリが無い。ここは一気に片を付けて乗り込む時間を稼ぐ!」



アイク、しっかりと最後までしんがり役を引き受けるかの如くラグネルを構えました。カラ松とチョロ松も一緒に残るようで、道化師に向かって威嚇しています。
その間にジョマンダは残りのメンバーを連れてエレベーターに乗り込みます…が、その瞬間。彼の目に『異様な光景』が見えたのです。



ジョマンダ「なんだ…ありゃ…?」



まるで、地下に『空』が。『宇宙』が。『闇』が生み出されたような。そんな感触を彼は覚えました。
灰色一面だった処刑場は、上部分が真っ暗闇―――まるで、『ブラックホール』のようなものが上に渦巻いていました。そして、彼はそれに『悪寒』を覚えます。『巻き込まれたら、死ぬ』そう、決定づけたのです。
その悪寒が現実になるように―――彼の目線の先で、次々と道化師達が『闇』に吸い込まれていきました。



『な、なんだあれはぁぁぁ!!!』

『す、吸い込まれるぞーーー!逃げろ…うわぁぁぁぁぁぁ!!!』

『嫌だ、嫌だ、死にたくない!死にたくないぃぃぃぃ!!!』



道化師達の叫びも無残に響き渡り、容赦なく『闇』は呑み込んでいきます。アイク達もその異様な光景に気付くのに時間はかかりませんでした。
目の前で戦っていた道化師達が…『闇』の引力に逆らえず、呑み込まれていく姿を。流石の彼らも戦っている場合ではないと気付いたようです。



アイク「な、なんだあれは…!」

チョロ松「驚いている場合じゃないよ?!飲み込まれた道化師達が吐き出されるまでもなく闇に溶けちゃってる!…あれに吸い込まれたら終わりだぁぁぁ!!!」

カラ松「世界の裏―――『闇』を生み出しているみたいじゃないか!神の力なのか、これは…?」

チョロ松「考察すんのは後でいいバカラ松!!幸い僕達とは距離が離れてるから影響は少ないみたいだ。早くエレベーターに急ごう!」

アイク「あぁ。巻き込まれたら元も子もない!!」



3人はエレベーターまで急ぎます。既に他の面子は地上へと戻っているようで、周りには誰もいませんでした。そのまま扉を開き、飛び込むように部屋の中に入り、地上へのボタンを押しました。
扉が閉まった瞬間、先程まで感じていた『重苦しさ』が一瞬で消え去りました。



アイク「みんな無事だな」

チョロ松「はぁ…はぁ…はぁ…。何だったんだあれは…」

カラ松「でも…ちょっとカッコよかったな!」

チョロ松「こんな時まで厨二病発動するのやめてくんない?」



目の前でみた『闇』に感動しているカラ松は置いといて、そのまま彼らは地上へと戻って行ったのでした。








~処刑場 『闇』付近~



マホロア「あ、アレが、『トワ』って呼ばれるチカラ…『セカイを手に入れるチカラ』ってヤツなのカイ?」

メフィスト「……クク、ハハハ…。そうかよ。この世に反する究極魔法『永久』。世界を支配するほどの強大な力…!」



ヴィルヘルムが『永久』を使用し闇を創り出した後、部下である道化師が次々と飲み込まれていく様を見てメフィストは確信しました。
『永久』の魔法は強大だと。『世界を支配し得る力を持つ』ものだと。…そして、神々などに渡してはならない程に魅力的な力だと。
そして、そんな魔法を軽々と操るあの男こそが―――自らの求めていた『JOKER』だと。気付いたのです。



メフィスト「…お前が。お前が『JOKER』だったのかよ…。そりゃあ完全にぶっ殺すなんて無理な話だったよなぁ?!テメェの不手際のお陰で無意識に『盾』が出来ちまったんだからよ!!…でも、分かったのなら話は早えぇ。テメェの魂を潰して、あの餓鬼の呪縛を解いちまえばいいんだからなぁ!!!」



メフィストは間髪入れずにヴィルヘルムに向かって仕込み杖からレイピア状の剣を取り出し、貫こうと突進してきました。しかし…彼は表情を変えず、ただ頭上に広がる『闇』を増幅させています。
あと少しで彼の胸を貫こうといったところで、彼のレイピアは光に弾かれました。光の方を向いてみると…そこには、彼を守るように『少年』が浮かんでいたのです。



MZD「まだ理解できない?『永久』ってさ、使い方を誤れば世界すら簡単に飲み込ませるとんでもない魔法なの。それを創り出した『JOKER』本人ですら『『永久』へと辿りつけた者』にしか継承させないって言ってるくらいなんだから。御伽話に詳しいお前さんなら、それくらいすぐ分かるよね?」

メフィスト「だから何なんだよ?あの力さえあれば、人間と神々なんて一瞬で滅ぼすことが出来る。…俺様に仇名する奴もろともなぁ!!!」

MZD「確かに一瞬で滅ぼせるだろうな。でも、滅ぼしたとしてどうするの?自分が神にでもなって世界を支配する?」

メフィスト「…ククク、それもいいかもなぁ。俺様が頂点に立つ世界、実に響きの良い言葉だぜぇ!」

MZD「…お前さんにはぜーったいに渡せないね!…お前を倒すよりヴィルを止めて『闇』を消した方が多くの道化師も助けられるよ」

メフィスト「できんのかよ?あの雑魚魔術師ごときに捕まったテメェがなぁ!…それに、俺はあんな雑魚道化師を部下だと思ったことはねぇ。唯の駒だよあれは」

MZD「お前さん、とんだ荒んだ心持ってんのね。少しでも理解しようと思ったオレが馬鹿だったよ」



話は平行線を辿り、MZDとメフィストの攻防は続きます。その間にも、逃げ切れなかった下っ端の道化師や魔法使いは次々と闇に呑まれ、魂が消えていく…。マホロアは、そんな『圧倒的な力』に、少しの感動と多くの恐れを抱いていました。



マホロア「マスタークラウンの時とはワケがチガウ…。一瞬でも油断したらボクが飲み込まれてしまいそうなほどのチカラ…」



思わず『闇』に近付くマホロア。自分が崖の上に立っていることすら忘れて前に進みます。…その時でした。



マホロア「…ウワッ?!」

MZD「―――!! どけメフィスト!!今はお前に構ってる暇じゃねーんだよッ!!!」

メフィスト「なっ……!くそっ、前が見えねぇ!……うわぁーーーっ!!!」



マホロアの意志に関係なく、急に身体が浮かび上がります。そして、徐々に自分に近付いてくる『闇』―――。
襲い来る闇に耐え切れなかったのだと、マホロアは瞬時に理解しました。急に恐れを抱いた彼は、ひたすら闇からもがこうと空中を移動しようとします。あの闇に呑まれたら自分も死ぬ…。世界を支配したくとも、自らが『死ぬ』ことは魔術師でも嫌でした。急に背中に襲い来る『死』に、彼はいつの間にか恐怖で覆われていました。


死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。
無意識に涙が流れ、雫が空中に浮かびます。無意識に『しにたくない』と口から言葉が零れます。



マホロア「シニタクナイ…シニタクナイヨォ…タスケテヨォ カービィ…!」



闇が眼前に広がり、『もう駄目だ』と思った瞬間でした。
重力に逆らうように『手を引かれます』。



MZD「マホロア!あの『闇』を見るな!全力で別のことを考えろ!!!」

マホロア「ナッ―――?!どうしてオマエが…!」

MZD「いいからオレの言うこと聞いて!死にたくないんでしょ?!攫われたからって、敵だったって、目の前で誰かを失うのはもうウンザリなんだよ!!助けられる命なら助けたい!それがオレの『神のとしての役目』!気持ちだから!!」

マホロア「…………」



自分を助けたのは、攫ったはずであったあの子供でした。必死に自分に『闇を見るな』と呼びかけています。
彼は本気で自分を助けようとしている…。それだけは、真っ直ぐに彼の心に伝わったような気がしました。
マホロアはMZDの手をぎゅっと握り、彼にすがります。『タスケテ』と。



MZD「…よくできました!そんじゃちゃんと捕まっててね!」



『神』は魔術師を優しくなでた後、『闇』に光を打ち込み、一瞬だけ引力を弱らせます。その隙に、マルス達の隠れている場所に向かって彼を投げました!何も投げる必要なくないですか?!



マホロア『アァ~~~~~!!!ナンデ投げるノ~~~~~!!!』

MZD「でも、攫われて檻に入れられたのは許さないからな!これでチャラ!」



…彼も少しは怒っていたようですね。マホロアが乱暴にマルス達の隠れている位置の近くの地面にめり込んだ後、彼はすぐさまヴィルヘルムの『闇』を止める為、彼の元へ向かいました。
彼は未だ『永久』の魔法を解放する気はないようで、目の前に現れた『大親友』を見ても表情を変えませんでした。所々が空洞になっている痛々しい姿を見て、MZDの表情は歪みます。そして、彼に向かって告げました。



MZD「…もうアイツらに『永久』の恐ろしさは充分伝わったよ。もうやめよ?」

ヴィル「いくらお前の頼みとはいえども、聞き入れる義理は無い。今『常闇』に覆わなければ、被害が増大する。それに―――お前を一時的にとはいえ傷つけた報い…晴らさねばなるまい」

MZD「確かにオレを攫われて怒る気持ちは痛いほど伝わった。でもやりすぎだよ!どんだけ何も知らない道化師が被害遭ったと思ってんの?!確かに道化師はオレ達の敵だよ?でもさ、だからといって…ここまでする必要ないよ。ヴィルの身体だってギリギリのところで崩壊を免れてんだからさ。これ以上やったらお前も消えちゃうよ!」

ヴィル「…構わない。お前を守れるならば、私の魂など『いい加減にしろ!!!』」



いくら論理的に話をしても、怒りに感情を支配されている今のヴィルヘルムには何も届きません。
挙句の果てに『消えても良い』と言ってしまった為、MZDの堪忍袋の緒が遂に切れてしまいました。



MZD「…オレ、1回もヴィルの事『ただの補佐役』とか『道具』って思ったことないよ?!確かにハテナがまともに動けなくなっちゃって、オレの補佐役として選んだのは事実だ。だけど、オレはお前の事『仲間』だって、『家族』だってあの時から…14回目のパーティの後からずっと思ってる。だから…消えてもいいとか言われるの、嫌なんだよ!!!」

ヴィル「…………」

MZD「お前がどんだけ怒って『永久』を最大火力で使おうと思ったのかは分からない。けど…自分の身をそう簡単に滅ぼすようなこと、しないで?お前が消えて悲しむヤツなんて、『JOKER』時代ならどうだか知らないけど!今は沢山いるんだからな!!
   ミミも、ニャミも、ハテナも、ジャックだって、みんなみんな。オレだって。お前のこと大切に思ってるんだから!!!だから…もういいよ。メフィストもオレが気絶させた。マホロアだって地面にめり込ませた。これ以上、お前も含めて無駄な犠牲を創るのは止めてくれ!!!ヴィル!!!」



MZDは必死に怒りを鎮めようとヴィルヘルムに話しかけます。ただ『永久』を止めたいからじゃない。ヴィルヘルムに消えてほしくなかったから。ひとりぼっちだった自分に、時は経過してしまったが『友達になる』と約束を果たしてくれた相手だから。
自分の腕をつかむ小さな両手が震えているのが分かりました。彼は『感情を自分にそのままぶつけているのだ』と、そう感じました。…彼の白い肌に涙が1粒伝った瞬間、処刑場を覆う『闇』が引いていくのが見て分かりました。

そして、かつて『闇』があった場所から…呑み込んだ多数の道化師達が地面へと振り落とされました。上手く着地が出来なかったのか、ドサリという鈍い音が次々と鳴り響きます。
処刑場を覆っていた闇は消え去り、全力での『永久』を使用した反作用でボロボロになっていた身体も魔力が安定したことにより、元に戻りました。直った彼の仮面が再び彼の魔力を封印し、その場から本部の部屋へと転送されます。



ソティス「……む?急に重苦しい空気が消えたぞ?」

ベレス「神様が、ヴィルヘルムを止めたのかな?」

マルス「そうみたいだね。…一応マホロアを地面から抜いておこうか」



よいしょっと、と王子らしからぬ言葉と共に地面にめり込んでいたマホロアを引っこ抜きました。その後、彼の耳を掴んだままマルスはベレスとソティスの元へと掛けていきます。



ヴィル「…すまない。お前の言葉…魂に染みた。私は…自分で思ってたよりもお前に大切にされていたのだな」

MZD「ったく。普段冷静なのに怒りのボルテージが妙に低いのは何とかならないのかねぇ。それに、いつも言ってんだろ?オレは『神』としてお前のことを大切に思ってるだけじゃなくて、『オレ個人として』お前と大親友だって思ってるんだから!」

ソティス「のう。闇に呑まれた道化師はどうなったのじゃ?」

MZD「オレの力で闇から引きずり出した。怪我人は結構いそうだけど、犠牲はほぼ0のはずだよ」

マルス「そう、なんだ…。無駄な犠牲を出さないで済んで良かったよ」



生きていると知った道化師達が、お互いを抱擁し喜んでいます。…道化師だって1人の『命』。無駄に奪われることなどあってはなりません。無駄な犠牲が出なかったことを知ったマルスは、安堵したように微笑んだのでした。
『そろそろ帰ろう』誰が言ったのでしょうか。サクヤも心配しているでしょうし、本部に戻った方がいいでしょうね。
そう思って5人が足を踏み出した瞬間。『背後』から、鋭い鉄が―――



ヴィル「―――読めていぬとでも思ったか」

メフィスト「……ククク。流石は『JOKER』。今の俺じゃ手も足もでねぇってか」



神を貫こうとしていたその剣は、ヴィルヘルムによって遮られていました。彼に触れられた場所からパキン、と真っ二つに折れ、レイピアは地面へと転がります。地面に落ちた刀身を見ながら、彼は『ククク』と不気味に笑います。



メフィスト「お陰で良いものが見れたぜ。…いずれ『JOKER』の力も、『永久』の魔法も。必ず『俺のモノ』にする。『JOKER』!それに、『道化に守られし神』よ!!…その魂が潰える時を、待っているんだな!!……ククク、ハハハハハ!!!!」



そう高らかに叫ぶと、マルスが掴んでいたはずの気絶しているマホロアを強引に奪い取り、闇に溶けて消えてしまいました。
マホロアは『永久』に恐怖を抱いていたはず。彼ですら『道具』としか扱っていないことがよーく分かりましたよ。



MZD「去り際の台詞だけ印象的なヤツは小物に見えるって次会ったら教えとこ。…多分、今のアイツじゃお前に敵いっこないって相手も分かっただろうから、今後対策練ってくると思うよ。攻撃、一層激しくなるかも…」

ヴィル「やはり、あの場にいては迷惑になるだけだ。去った方が…」

MZD「だーかーらー!出ていかなくてもいいの!オレがお前の背中守る!お前がオレの背中守る!それでいいの!」

マルス「いて貰わないと困るんだけどな?ぼくも貴方の正直な気持ちを聞いて…もっと貴方と仲良くなりたいと思った。貴方が『JOKER』かどうかなんて関係ないよ。…それじゃ、理由にならないかい?」

ソティス「おぬしの作る料理、まだまだ堪能しきれておらんからのう!それに、おぬし以外の料理上手がこぞって運が最低レベルの奴じゃ!料理が無事に出来ても魔物が襲撃されてもしたら安心して飯が食えんぞ!ふん、わしの舌を唸らせられること、誇りに思うのじゃな!」

ベレス「素直に『本部にいてほしい』って言えばいいのに。自分も…もっと貴方のことを知りたい。だから、一緒に本部で逃走中を盛り上げていこうよ」

ソティス「やかましいわ!!黙っておれベレス!!」



4人の暖かい言葉を受け、ヴィルヘルムは少しだけ…心の中がほんのりと包まれたような気がしたのでした。



MZD「本当にさ。よかった……っ、ぅぅ……」

ヴィル「…な、何故泣いているのだ?何か気に障ることでも」

MZD「だって……本当にきえちゃうかとおもって……!」

ヴィル「…………。…世話のかかる『弟』だ。だが、ありがとう。お前の気持ちは…真っ直ぐ伝わったよ」




あーらら、MZD泣いちゃって。…でも、ちゃんとお互いの気持ち伝えられて良かったですね。
無事作戦大成功!ということで…。終わり良ければ総て良し、ですかね!

Re: 逃走中#CR03 カービィ!バトルデラックス!! ( No.111 )
日時: 2020/05/17 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)

【06:13】





~vsロボボンカース会場~





クレア「まさか、私がここまで残れるとは思いませんでした!」



デデデを連れて会場へ戻った後、彼は無事だったワドルディによって医務室へ連行されました。
逃走者達はゲーム終了まで精一杯逃げることを誓い、各々行動を開始しています。そのうちの1人、クレアは会場で隠れ場所を探しながらそんなことを呟いていました。



クレア「最初はルーントレインを見れればよかったんですが…ここまでくると、ルーントレインの為にも逃走成功を果たしたくなりますね!…もちろん、じーくんさんの敵も討ちたいですし!」



死んでない死んでない。確保はされましたが。同じ桃色ペアとしても、逃走成功を果たしたいという気持ちが強いようです。



クレア「全力で逃げ切りますからね!見ててください!」



頑張ってください!











~あつめて!リンゴマッチ会場~





エリウッド「あと6分か…。ここが正念場、というところかな」



そう言いながらリンゴマッチ会場を歩くエリウッド。彼はクレアとは対照的に、ゲーム終了まで隠れずにエリアを歩く作戦に出たようです。
…随分大胆な行動ですが、自身がハンターに見つからない自信でもあるんですかね?



エリウッド「そういうわけではないけど…。ゲーム終了までどこかに隠れている選択をして、逃げ道が塞がれたら意味がないからね」



確かに一理あります。前回、前々回、今回と隠れて凌げなかった逃走者は何人もいますからね。



エリウッド「そうだね。油断したら一瞬の終わり―――来た!」



話している途中で走り出すエリウッド。そう、実は――――――





































ハンターBW『…………!!』





ダッダッダッダッダ!!!!





ROCK ON 【ELIWOOD】





ピーーーーーーーーーーーー





何と、追いかけてきていたのはハンター!
エリウッドは素早く気付き、ハンターから逃げ出します!





エリウッド「中々しぶといね…!」



ハンターBW『…………!!』





エリウッド粘る!しかし、ハンターは逃走者が視界から消えるまでどこまでも追い続けます。
次第にエリウッドの体力にも限界が―――。







~バトルロイヤル会場~





エリウッド「くっ…ここまでか…!」



ハンターBW『…………!!』



バトルロイヤル会場まで粘りましたが、ハンターの猛追を回避することは出来ず……。









ポンッ








【04:59】
エリウッド 確保 残り4名





エリウッド「ここまで頑張れたから良しとするか。翔陽には申し訳ないことをしてしまったかな…」



限界まで走り切って確保!これでFE勢は全滅です。お疲れ様でした。








ピリリ ピリリ








ジャック「な、なんだ?!『エリウッド 確保 残り4名』 あと5分だってのに…!」

アルル「あのエリウッドさんが捕まっちゃうなんて…!一瞬の油断が命取りになる…。こわいよー!」

影山「あと5分…。ここが正念場っすね」

クレア「いい隠れ場所が見つかりません…」



エリウッド確保の通知を受けた残り4人の逃走者!そして、残りのゲーム時間が5分を切りました。
ついにラストスパート!ハンターの猛追を振り切り、逃走成功できるのは誰―――









ハンターME『…………!!』





ダッダッダッダッダ!!!!





ハンターが4人のうち誰かを捉え確保しに向かいます!
狙われてしまったのは――――――。


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