REVERSE WORLD
作者/ 将軍

第3話
「よし、全員配置された場所に移動したな」
尾崎教官が確認を取ると戦車の中に入っていった
「いいか、敵が来たら対空迎撃砲で先制攻撃を開始しろ」
「「ハイッ」」
対空迎撃砲に配置された候補生たちが一斉に返事をした
野々村は扇状に展開された候補生の中でも後ろの方を守る役目で
美鈴は別に編成された強襲部隊に入っていた
「敵が来るまで5…4…3…2…1…撃てっ!」
ドンッ ドンッ ドンッ と対空迎撃砲が火を噴いた
しかし、敵のヘリには一発も当たらなかった、お返しとばかりに敵も撃って来て
敵兵もどんどんと地上に降りてきた
「迎撃砲はそのまま撃ち続けろ、地上に降りてきた奴らは俺らが叩くぞ
強襲隊も背後から回りこめ」
教官の言う通りに従い、迎撃砲は撃ち続け、地上の部隊は敵と壮絶な撃ち合い繰り広げていた
バンッ バンッ バンッ バンッ
地上の敵とは戦車がある分まだ有利に戦えていたが
「対空迎撃砲1番大破、使用は不可能です。」
「チヌーク1機撃墜」
「対空迎撃砲2番小破、使用は可能ですが砲撃班1名負傷」
「戦闘ヘリの武装を破壊」
「戦車爆破、中に乗っていた教官1名、候補生2名死亡」
無線が聞こえてきていたが、野々村は敵を倒すことで手一杯だった、しかし次に聞こえて来た無線は無視できなかった
「強襲隊は敵の伏兵により大損害、隊員20名の内3名死亡10名負傷です。至急増援を請う、場所は第3格納庫急いでください」
この無線を聞いた瞬間、野々村は持ち場を離れ第3格納庫に向かった
「野々村候補生何処へ行く気だ」
尾崎教官が訊ねてきた
「決まっているでしょ、強襲隊を助けに…」
「強襲隊は切り捨てる」
「何故だっ」
「強襲隊に増援を送ると我々が戦線を維持できない、現にこちらは30名中教官1名、候補生3名が死亡し13名が負傷している」
「それがどうしたっ! 俺は一人でも強襲隊を助けに行く」
「待てっ言う事を……」
全部は聞かずに無線を切った
(待ってろ美鈴必ず助けに行ってやるから)
その頃強襲隊は
「教官、増援はまだ来ないのですか?」
バリケードの中で銃のマガジンを入れ替えながら、美鈴は訊ねていた
「切り捨てられたのかもしれない」
「そんなっ」
美鈴は絶望した顔になった
(こんなところで死ぬのは嫌だ、ジン助けてくれるっていったじゃない、助けに来てよ)
「ジンッ」
美鈴が叫んだ、直後にさっきまでの銃声が止んだ、おそるおそるバリケードから顔を上げると、そこには野々村がいた、血まみれになりながらもそこに立っていた
「よかった、間に合って」
野々村がバリケードの中に入ってきた
美鈴は目に涙を溜めながら抱きついてきて
「助けに来てくれてありがとう」
「約束したからな、お前を死なせないって」
「でも、どうやってあの人数を倒したの」
このバリケードの周りは少なくとも20人以上取り囲んでいた、いつもの野々村ならすぐにやられていたであろう
「なんかもう無我夢中で俺もようわからん」
おもむろに懐から無線を取り出し
「こちら野々村、強襲隊の救助完了しました」
「…………」
「尾崎教官?」
「…野々村か、助け 出せた なら 早く 戻って来い」
妙に弱弱しく、間が空いていた
「どうしたんですかっ!」
「ちょっと 銃で 撃たれた だけだ 候補生が 倒れた のを助けに 行った時」
「それと 敵が 集結 しつつ ある から 早く 戻れ」
「了解です」
「どうしたの」
美鈴が聞いてきた
「尾崎教官が撃たれた、そして敵が集結しつつあるらしい」
「うそっ」
「だから、早く戻るぞ」
「うん」
強襲隊の隊員と野々村は走って、本隊がいるところに戻った

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