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第5話「キキョウジム、VSハヤト」パート3
ヒビキ現在の手持ち
ワニノコ、オタチ、イシツブテ、オニスズメ
「戻れ、オタチ!」
ヒビキはオタチを戻してワニノコを出した。
「行っておく、俺のピジョンもただのピジョンとは違う。さあ、ピジョン、これを使え!」
ハヤトはある物をピジョンに向けて上に投げた。それはロウソクに火を灯した燭台だった。ピジョンは頷くと翼から羽根を2,3本飛ばした。羽根はロウソクの火に当たって燃え、炎の羽根になってワニノコに向かって来た。
「何い、ワニノコ、みずでっぽうだ!」
「ワニ!」
ヒビキの指示でワニノコはみずでっぽうを飛ばして火を消した。消化された羽根はゆっくりと落ちた。しかし、ピジョンがでんこうせっかで急襲してきた。
「ワニ?!」
ワニノコは転ばされ、ピジョンは立て続けにでんこうせっかで連続攻撃して、上空に戻った。
「どうした、反撃も出来ないか?それ、ピジョン!」
次にハヤトは豆電球をピジョンに投げた。ピジョンは羽根を飛ばしたこれを割り、羽根に電流が付いた。電撃がほとばしる電流の羽根がワニノコに刺さった。
「ワニ二二二二?!」
ワニノコの体に電気が走った。ワニノコはダメージを受けて転んだ。
「火の次は電気かよ・・・」
「まだまだ行くぞピジョン!」
ハヤトが氷を投げてきた。ピジョンは羽根を飛ばし氷の羽根を放った。羽根は足場に刺さって凍らせて、ワニノコを滑らせた。そしてピジョンはワニノコを掴み、上空に上げた所で離してかぜおこしでワニノコを地面に叩き付けた。
「ワニノコ!!」
「どうだ、こんな戦いが出来るのは俺のピジョンだけだ!」
ピジョンは勝ち誇ったように宙返りをした。
「中々芸達者なことしやがる」
「ハヤトさんの作戦だよ、ピジョンを使う時は必ずこの戦い方をするんだ・・・」
「洒落たことをしやがらあ」
ツクシが解説すると、ヒビキは鼻を擦って作戦を考えた。ピジョンはハヤトが投げるアイテムによって羽根の能力が変わる。となれば話は早い。
「戻れ、ワニノコ!」
ヒビキはワニノコをボールに戻した。
「行け、オタチ!」
そしてオタチを出した。
「そいつで来るか?だが、どんな相手でも同じだ!」
ハヤトは石をピジョンに投げた。羽根で石を砕かせていわおとしをしようとした。
「オタチ、どろぼうだ!」
「オタチ!」
ヒビキがオタチにどろぼうを指示した。オタチは素早く動いてハヤトから石を取った。
「何?!俺のアイテムを!!」
ハヤトが見ると、オタチはぶんどった石をお手玉のように転がしていた。
「く、ならこれで!!!」
ハヤトはけむりだまを投げたがこれもオタチにどろぼうされてしまう。
「ぬぬぬ、まだまだだーーーーーっ!!!」
「オタチーーーーーーっ!!!」
ハヤトはあらゆるアイテムを投げて、その度にオタチはそれらをぶんどっていった。そして・・・、
「く、これで・・・・、あれ?しまった!!」
ハヤトは愕然とした。アイテムを全て使い切ってしまったのだ。一方、ぶんどったアイテムは山のように積まれていて、その上でオタチは一回転していた。
「アイテムぶんどり作戦、成功だ!ワニノコ!」
ヒビキはワニノコを出した。ワニノコはジャンプして慌てているピジョンにこおりのキバでダメージを与えた。これが決め手となってピジョンは力尽きたのだった。
「やりーっ!」
「ワニワニ!」
「オタチ!」
ハヤトに勝利してヒビキとワニノコ、オタチが、ツクシもガッツポーズをして喜んだ。
「ち、ちくしょう・・・。父さんからもらったポケモン達が・・・」
ハヤトは意気消沈して気力が抜けたようにうなだれるのだった。
そしてしばらくして、
「ふう、大分落ち着いてきた・・・。すまなかった。俺としたことがやきが回ってしまって、大人げないことをしたな」
ハヤトは神妙な面持ちでヒビキに激情したことを謝った。
「い、いやあ、あんたが落ち着いてくれて良かったよ・・・」
「負けた以上、これを渡すしかないな。キキョウジム公認のこれを受け取ってくれ」
ハヤトはヒビキにウイングバッジを手渡した。同時にはねやすめの技マシンも渡す。
「これがバッジか。よっしゃあ、この調子でドンドンバッジを集めていくぜ!」
ヒビキはジャンプしてジム戦の初勝利を喜ぶのだった・・・。
その夜、ポケモンセンターでヒビキ達は一夜の寝泊りをすることになった。ヒビキはぐっすり寝ていたが、ツクシは外に出て、夜の光に惹かれて舞うむしポケモン達を見ていた。
「おい・・・」
そこへ、ハヤトがやって来た。ツクシも手を少し上げて挨拶する。
「ハヤトさんも、空を見に来たの?」
「いや、どうにも寝付けなくてな。気晴らしに夜の風に吹かれたくなったのだ」
「そうなんだ。今日のハヤトさん、怒りに任せてて、らしくなかったな・・・」
ツクシがそう言うと、ハヤトはムッとして反論した。
「な、違うぞ、あれは俺の愛するひこうポケモン達が馬鹿にされ続けてな、少しでもひこうポケモンの魅力を・・・!」
ハヤトは熱くなってひこうポケモンのなんたるかをツクシに延々と話し続けた。ツクシはやれやれ、と苦笑いしながら、大人しく聞くしかなかった。
「ふう・・・、あのヒビキって奴。俺のバッジを手に入れたな。と、なると次はお前の所だな・・・」
「そうだね・・・」
「あいつはお前の本職を知らなさそうだったがな・・・」
「うん、まだ言ってないからね。いつかはその日が来るかもしれない。でも、覚悟は出来ているよ・・・」
ツクシは涼しく笑って、ハヤトと共に夜空を見ていた・・・。