完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~ 200~ 210~
*192*
第33話「りゅうのあな、ちょうろうの試練」パート2
ヒビキ現在の手持ち
オーダイル、コンパン、アローラロコン、ルージュラ、ホウオウ、アクジキング
「着いたぜ・・・」
目の前にそびえ立つ厳かな祠をヒビキは見上げていた。中は一体どうなっているのか。
「たのもーっ!」
扉を開けて中に入る。
「何者だ貴様!」
「聖なる祠に土足で上がり込んで来るとは!」
ちょうろうを守っているだろうトレーナー達がボールを構えて群がって来る。
「これこれ、そう身構えるでない、折角来た客人なのじゃから」
いきり立つトレーナー達を宥める老人の声が聞こえて来た。
「お、あんたは?」
トレーナーの中をかいくぐり見てみるとジジーロンが現れた時に登場したあの老人が髭を撫でて立っていた。
「あの時の爺さんじゃねえか!」
「じ、爺さん?!」
「無礼者!」
遠慮ない台詞にトレーナー達が一斉にヒビキを睨んだ。
「ほう、お主はジジーロンに助けてもらったあのトレーナーか。ほっほ、まさかここに来るとは・・・イブキに何か言われたのであろう」
「ああ、そうなんだよ、俺が勝ったって言うのに負けを認めねえんだからさ」
「やれやれ、あ奴にも困ったものじゃ、まあ、ここに来たと言うからには、わしの試練を受けに来たのであろう?」
座布団から起き上がってヒビキの前に歩み寄る。
「お、おう、そうだった、爺さん、俺はあんたの試練を受けに来たんだ」
「ほっほ、そう身構える出ない、何も勝負をしようと言うのではない、わしの試練は、わしが今から言う質問にお主の正直な気持ちを伝えてくれればいい、さあさ、こちらに」
ちょうろうに薦められて座布団に座る。
「では、始めるぞ、まずは一つ、お主にとってポケモンとはどんな存在か?」
トレーナーにとってのポケモンとは何か、ヒビキは正直に答えた。
「決まってるだろ、ポケモンは大事な仲間だ、俺のオーダオイルなんかタマゴにかえった時からの付き合いだぜ、色んな奴等と出会って来て皆、俺に懐いてくれてる、俺にとっては皆は大事な仲間だ」
「ふむふむ、では二つ、バトルに当たっては何が大事だと思う?」
「そりゃあ、作戦だろ、相手の動きや技を見てどう出るのかが大事だもんな」
「ふむふむ、ではポケモンを育てるにあたっては何が必要だと思う?」
「そいつは簡単、愛情に決まってるだろ、ポケモン皆に俺は愛情を注いでいる、捨てたりなんかは絶対しないぜ!」
「ほうほう、ではお主は強いトレーナーと弱いトレーナー、どちらと戦いたい?」
「どっちもだ、来るものは拒まずって言うだろ、俺はどんな奴でも大歓迎さ!」
「ふむ、では最後に、お主は強いポケモンがいいか、それとも弱いポケモンがいいか?」
「どっちもさ、街で出会った姉さんが強いポケモンも弱いポケモンも人の勝手だって言ってたから、それに俺はどんなポケモンだって大歓迎さ!」
「ふんふん・・・」
質問が終わりしばしの沈黙が流れる。互いの目を見つめ合う、ちょうろうの顔が険しくなったり沈んだ顔になったりする。ヒビキは緊張して唾を飲んだ。
「ふむ、お主は・・・・合格じゃな、ほっほっほ!」
「合格?」
「ふむ、実に小気味よい、実に清々しい若者じゃ、そうじゃ、その気持ちが大事なのじゃ、お主はトレーナーとポケモンの何たるかをよく解っておる、それを認めてこれを渡そう」
ちょうろうの指図でトレーナーがある物を運んで渡した。それをヒビキに手渡す。
「これは?」
「フスベシティに伝わる秘法、ドラゴンZじゃ、幸いお主はZリングを持っておる。これを使えばいかなるZ技も強化出来るであろう」
「いいのか、こんな大事な物?」
「ふむ、お主は正しい心を持ったトレーナー、必ずや使いこなせるであろう、ふむ・・・」
「どうした、爺さん?」
「そろそろイブキが来る頃じゃな・・・」
扉が開き、イブキがやって来た。
「どうだったかしら?」
「おう、今終わった所だぜ」
口を尖らせて口笛を吹いた。
「無理だったでしょう、貴方なんかがちょうろうに認められる訳が無いもの、解ったでしょう、実力の違いと言うものが・・・」
「こりゃ、イブキ!己の基準で判断するでない!」
「え、え?」
ちょうろうの喝にイブキは戸惑ってしまう。
「この者は見事にわしの試練を合格したぞ!」
「そんな、まさかそんなはずが!」
「ほーら、ちゃんとその証もらったぜ」
そう言ってリングに装着しているドラゴンZをイブキに見せた。
「ド、ドラゴンZ!そんな、私はまだ認めてもらえてないのに?!」
「え、おいおい、ちょうろうさんに認めてもらえてないだって?!それでよく俺に・・・」
「お前は自分の才に慢心してこの者を過小評価しておったな。だがこの者はわしの言う質問に完璧に答えた、さあ、観念してバッジを渡さぬか!さもなくばこの事をワタルに申し渡すぞ!」
「ワタルさんの事知ってるのか、じいさん?」
イブキは拳を振るわせて歯ぎしりをしている、歯を食いしばらせながらヒビキに歩み寄る。
「これがライジングバッジよ、さっさと受け取りなさいよ!」
「お、おう、たく素直に渡せばいいのによお、全く根性ねじ曲がってるよなあ、あんた」
「うるさい!余計なお世話よ、そんなにバッジをもらえて嬉しい訳、調子に乗っていきがって!何よ何よ、何でなのよ!こんな奴なんかに!」
わめき散らしながら祠を去って行った。
「何なんだ、あいつ?」
「はあ、まだ本当の強さの意味が掴めぬとは・・・」
ちょうろうは溜息を吐いて頭の汗をぬぐった。
「どうした爺さん?」
「ヒビキとやら、ポケモンリーグに行くのに時間があるのなら、どうかイブキの事を見て頂けぬであろうか?」
「ええ、あいつを?」
「ふむ、あの者は確かに腕はある、トレーナーとしての強さはある、じゃが、何かに欠けている様な所があるのじゃ。どうか、イブキを正しく導いてくれぬか・・・」
「う〜ん・・・」