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第34話「届け、ジジーロンの思い イブキが掴むクリスタル」パート2
ヒビキ現在の手持ち
オーダイル、アローラロコン、コンパン、ルージュラ、ホウオウ、アクジキング
ジジーロンは穏やかな瞳でイブキを見つめていた。険しい表情に変わるイブキだったが、このポケモンはイブキを宥める様に頭を下げて来る。
「何で、何で来るのよ!私はもう貴方の慰めはいらないと言っているでしょう!」
ジジーロンに対してイブキは突き放す様に強く厳しい口調で言う。しかし頭の中では色んな思い出が浮かんでいた。始めて出会った日、仲良く遊んでいた幼かった頃が浮かぶが首を振って割り切った。
「ヌウ〜・・・」
イブキの気持ちを案じているジジーロンは頭で撫でようとする
「やめて、来ないで!私はもう弱虫だったあの頃とは違うのよ、貴方の気休めなんか必要ない!慰めもいらない!私は強くなるの、誰の助けもいらない、早く行って!」
拒絶されたジジーロンは切ない顔をした、悲しげに鈍い声を上げて去って行った。そのジジーロンの姿を岩陰から覗いている存在がいた。
「ワーオ、コレハメズラシイポケモンデスネーっ、アノポケモンヲツカマエレバ、ボスモヨロコブハズデース!」
黒服のRのマークの付いた帽子を被っている男は一足先にジジーロンの住処に向かって行った。
「・・・・・・・」
イブキは険しい顔をしたまま立ち尽くしていた。仲の良かったポケモンを冷たく突き放してしまったのではないか、これでいいのかと言う気持ちがよぎるがすぐに振り切ってしまった。
「ふ、ふん、いいのよ、これで・・・。私は誰にも負けないトレーナーになる、甘えとか慰めなんてかえって迷惑よ・・・そうよ、これがいいやり方なのよ・・・」
ジジーロンの寂しそうな顔が浮かぶも、首を振って割り切ろうとした。
「きゃ!」
突然、頬に冷たい感触がする。振り向くとサイコソーダを手に持ったヒビキがいた。後ろにはツクシとアカネがいる。
「あ、貴方達?!」
「あんた、何かあったのか?まあ、取り敢えず休憩しようぜ、飲み物とか食い物とか持って来たからよ」
「ほい饅頭」
切り株に座るとヒビキはイブキにいかりまんじゅうを差し出した。
「甘い物は太るから結構よ」
「屁理屈言ってんなあ、頭を活性化させるには糖分がいいんだぜ、なあ、ツクシくん?」
「え、僕に振るの?まあ、疲れた時なんかは食べたくはなるよね、僕もそうする方だし・・・」
「ジムリーダーになってもお菓子を食べるなんてお子様ね」
「べらんめえ、いいじゃねえかまだ食いたい盛りなんだよ俺もツクシくんもアカネちゃんも。文句ばっかいってねえで一つまみしろい」
ぶっきらぼうな台詞を言ってイブキに饅頭を置いた。
「強引ね、一つだけよ・・・」
拗ねた顔をして饅頭を頬張った。
「見てたぜ、さっきの」
「な、何がよ・・・」
「あのポケモン、ジジーロンだっけ、あんたの事、心配してる感じだったぜ」
「それは貴方が勝手に思い込んでいるだけでしょう?」
「まあ、思い込んで勝手に心配してるんだけどな。けどよお、あんたの事をかなり気遣ってくれてた様に感じたぜ、それをあんなきつく言って冷たく突き放す事はねえんじゃないの?」
「貴方には関係ないでしょう・・・」
小さくか細い声で言い、そっぽを向いてしまう。
「べらんめえ、あんた本当にひねくれてんな。ちったあ素直になったらどうだ。そんな風だとつまらないだろ?」
「う、うるさい!貴方に何が解るって言うのよ、私は他の誰よりも人一倍努力している、貴方とは背負っている物も違うのに、何で貴方なんかに!」
「なあ、あんた、一人のつもりでいるのかい?」
「え?」
「自分一人で戦ってると思ってんのか。あんたには仲間のポケモンがいるじゃねえか。ポケモンってさ、何のためにトレーナーの言う事を聞くと思う。トレーナーが只言うこと聞かせて指示出して動くから?そうじゃねえ、ハートだよ」
胸を叩いて話を続ける。
「ポケモンってのはトレーナーのハートの熱さを感じてそれに共感してさ、気持ちが通じ合った時にトレーナーの力になってくれるもんじゃねえの?」
「・・・・・・・」
「俺、そんなに完璧じゃねえんだぜ。ツクシくんに間違いを指摘されたり、ついついポケモンを頼りにしちゃったり、俺、一人じゃ何にも出来ねえんだ。だから皆に力を貸してもらって自分なりに努力して何とか頑張ってるのさ」
「ふん、楽観主義ね。困った幸せ者だわ・・・」
「あ、笑ったな今・・・!」
「む、違うわよ!」
「でも笑ってたでさっき!」
ヒビキとアカネが茶化すとイブキがムキになって来る。そんな中、ジジーロンのいる住処では・・・。
続く・・・。