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ポケモンストーリー ハートゴールド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 215ページ)
関連タグ: ポケモン 冒険 友情 第7世代要素有り 
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第34話「届け、ジジーロンの思い イブキが掴むクリスタル」パート5

ヒビキ現在の手持ち
オーダイル(戦闘中)、アローラロコン、コンパン、ルージュラ、アクジキング、ホウオウ


「ジャラランガ、行け!」
 ジジーロンの励ましもあってイブキは強い心を持ったジムリーダーに成長していた。その実力を評価されてフスベシティのジムリーダーとなり、挑戦に来たトレーナー達を悉く返り討ちにしていった。
「素晴らしい!」
「さすがはイブキ様だ!」
 トレーナー達もイブキを認め、彼女を称える様になっていた。トレーナーとしての強さとプライドを手に入れたイブキだったが、それでも尚、越えられない壁があった。
「イブキ様は強くなられたが、やはりワタル様だよな」
「ああ、あの方こそが最強のドラゴン使いだ」
 ジムリーダーにはなっても、ワタルを称え称賛する声は止まなかった。彼の方が自分よりも人一倍強く、カントーの地方で四天王になり、遂にはチャンピオンになったのだ。彼がチャンピオンになってから、自分とワタルの間に大きな差が付いてしまった。
「私だって努力しているのに・・・」
 彼女の中で大きな焦りが見え始めていた。自分もその気になればワタルを超えるトレーナーになれる、イブキは更に修業を積んだが成果は中々でない。ワタルに勝負を挑んだ事もあったが、
「今の君では俺には勝てない」
 越えようと言う焦りが優先して思う様に戦えず、敗けてしまった。
「このままじゃ駄目よ・・・!」
 以来、イブキは強さを求める様になってしまった。誰とも交流を避け、強い相手とだけ戦い、慰めや労いを拒む様になっていき、いつしかジジーロンの慰めもつまらない気休めとしか映らなくなっていった。
「私はあの頃とは違うのよ!もう貴方の慰めなんか必要ない!」
 いつも自分に優しくしてくれたジジーロンから遠ざかり、距離を取る様になっていった。自分が弱く思われるのを嫌い、甘えと見られるのを避けて、ジジーロンから離れていった。


「これを、ずっと肌身放さず・・・」
 小さい頃にあげたキバをずっと大事に持っていてくれた事、自分がどれだけ辛く当たり、放れていても、これをずっと持ち歩いていた。思い出の品を放さなかった優しさに瞳が熱くなる。
「貴方の優しさが嬉しかった。慰めてくれて、側にいてくれて、そのお陰で強くなれた。けど、いつしか自分の事しか考えられなくなって、貴方の優しさも疎む様になってた。それでも、ずっとこれを・・・ごめん、ごめんね・・・!」
 傷付き、倒れているジジーロンの顔を抱いて涙を流す。ヒビキ達は神妙な面持ちで見ていた。優しさを取り戻したイブキにジジーロンが涙を流した。一滴の涙が光に変わってイブキの手にあるキバを包んで、形を大きく変えていった。
「は・・・!」
 キバは眩く光るクリスタルに変わっていた。ドラゴンタイプ、ジャラランガのためのクリスタルだ。
「そいつは待ってたんだ、あんたが優しさを取り戻してくれるのを!」
 ジャラランガZをイブキは強く握りしめた。
「感動タイムはオワリマシタカーっ、ソロソロスタートシチャイマスよーっ!」
 したっぱのクロバットがくろいきりで翼を大きく変えて来た。
「ジャラランガに、それを・・・」
「え、おう?」
 イブキの頼むでヒビキはモモンのみをジャラランガに与えてどくを治した。
「お願い、彼を守るために力を貸して・・・!」
「やっと素直になってくれたか、そのつもりさ!」
 ヒビキとイブキはクロバットに視線を向ける。クロバットが急降下して迫って来た・・・。


続く・・・。

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