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*7*
第4話「マダツボミのとう、ちょうろうとのバトル」パート2
ヒビキ現在の手持ち
ワニノコ、オタチ、イシツブテ、オニスズメ
外に出ると、家々の屋根が淡い紫色とどこか控えめだった。
「うーん、風が涼しいぜ」
ヒビキは腕を伸ばして背伸びした。
「このキキョウシティは和風にこだわっていてね、建物や町並みとか古風な感じにしているんだ」
「へえ、古風ねえ、そう言われてみりゃ、あっちの方にでけえ寺があるもんな」
ヒビキが指を指すとそこには池をまたぐ橋の向こうに一回り大きな塔があった。
「ああ、マダツボミのとうだね」
「マダツボミ・・・?」
ヒビキが何でマダツボミなんだ、と解らなそうな顔をした。
「中に入れば解るよ、着いて来て、ヒビキくん」
ツクシはヒビキの手を掴んで彼をとうへと案内した・・・。
<マダツボミのとう>
ヒビキとツクシはマダツボミのとうに入った。とうの内部は頑丈な長持ちする木の素材で作られており、僧侶達がポケモン達と修行をしていた。
「お、こいつは何だ、やけに揺れてんじゃねえか」
ヒビキはある物に、目をやった。それはとうの中心で左右にリズムよく揺れている柱だった。
「このとうを支えている柱だよ」
ツクシはそう言って柱について説明した。
「ある説ではこの柱の中には巨大なマダツボミがいてそれがとうを支えているらしいよ」
「うげ、そんなでけえマダツボミがいるのか?!」
マダツボミの話を聞いてヒビキは心臓を射抜かれたようにビックリした。
「ま、まあ、あくまで一説なんだけどね。それからこのとうはポケモン修行の場でもあるんだよ。君を鍛えるのにぴったしかな、と思ってね」
「へえ、修行の場か。いい所に連れてってくれるじゃん。よっしゃ、やる気が出てきたぜ」
ヒビキは腕をめくって握り拳を作って俄然やる気になった。
「とうの最上階でちょうろうさんが相手をするみたい、油断せずに行こうね」
「おうよ、じゃあ進むとするか」
早速歩くヒビキ達、道中では修行しているぼうず達が待ち構えていた。
「さすが寺だけあって坊さんが多いな。頭がピカピカして眩しいぜ・・・」
「まあ、僕とヒビキくんのコンビがあれば問題ないよ」
「そうだな、よし行くぜ!」
ヒビキとツクシはポケモン達を駆使して進んでいく。そしてあっという間に最上階に到着した。
「おーし、着いたぜ。あとはちょうろうさんとのバトルだ」
「待って、ヒビキくん」
ヒビキが進んでいこうとすると、ツクシが止めに入った。
「何だよツクシくん」
「誰か戦ってるみたい・・・」
「え?」
二人が奥の間を覗くと、すでに戦いが始まっていた。おしょうと戦っていたのは・・・。
「あの赤髪に黒の長袖、紫のズボン・・・まさか」
「あいつだ!」
そう、ヨシノシティでヒビキと戦ったレイである。激闘の末、レイが勝利を収めた。
「見事、そなたの戦いは実に本物であった。このフラッシュの技マシンを持って行きなされ」
ちょうろうのコウセイはレイの強さを認めて技マシンを渡した。レイはその技マシンを奪い取るように強引に手に取った。
「ふん、ちょうろうと言う割には大したことはないな。当然だ、愛情だとか優しさが必要だとか甘いことを言う奴に俺が敵うわけがない」
レイのその言葉を聞いて、ちょうろうのコウセイは表情を変えず静かな面持ちでレイに言った。
「そなたは確かに強い。ですがポケモンにたいして厳しすぎる。もう少しいたわり労ってやるべきですぞ。厳しさだけでは相手はついてこない。ポケモンは戦いの道具では・・・」
「弱い奴の説教を聞く暇はない。俺は更に強くなる、弱いポケモンなんかどうでもいいのさ」
レイは話を切り上げて、あなぬけのヒモを使ってとうを一瞬で抜けた。
「ヒモを使って・・・」
「あんにゃろ、年寄り相手にもあんな態度か。年長者は敬うもんだろうが!」
「ヒビキくん、落ち着いて」
思わず血相を変えて怒りそうになるヒビキをツクシが必死で宥めた。そして落ち着いて、
「頼もーっ、ちょうろう。挑戦者が来たぜ!」
ヒビキは元気よくちょうろうのコウセイに声をかけた。
「おお、来ましたか。拙僧はこのとうのちょうろうコウセイ。よくぞここまで来られた。そなた達の強さを試させてもらいますぞ、ではいざ!」
コウセイはボールを投げてマダツボミを繰り出した。
「先程、一人のトレーナーと戦いましてな。今、戦えるのはこのマダツボミのみ。ですが私のマダツボミは強いですぞ。心して来なされ」
コウセイのマダツボミは眉を尖らせてやる気に満ちていた。
「お、中々手強そうじゃん。負けられねえぜ、行っとくか!」
「うん、ヒビキくん!」
ヒビキはワニノコとオタチ、ツクシはトランセルとコクーンを出してこれに挑んだ・・・。
続く・・・。