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崩壊少女と無心少年 完全完結
日時: 2010/08/18 21:06
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&

illust_id=11801579



参照の後に、上のURLの続きを合体させてください。
この小説の表紙が開きます。


さじの様にお願いしました。





注意

設定上、グロ描写があります。
そこだけはよろしくです。


お客様

     使い魔の猫様  空様  月兎様 時雨様
     神無月様  白兎様  風水様
     スペシャル様  ミコト様  阿嘉狐様

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Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.146 )
日時: 2010/07/31 17:39
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

.



『                    』





「ここのクラス、気持ち悪いわね」

秋空が、私たちを見てそう吐き捨てた。
まるで自分が支配者みたいな、そんな言い方。

「まったくもって不愉快。 豚みたいな人間を集めて何がしたいのか、サッパリ」

こいつの性格は最悪で、私は血が吐くほど大嫌い。

「お前が豚なんだよ」 言い返すと、すかさずあいつは私たちをバカにしたような目で、

「私が豚? アンタたちみたいな、集団で群がってハヒハヒ言ってて、一人じゃ何もできない人間の方が、世の中のお荷物よ」

制服の胸倉を掴んで、黒板に秋色を押しつける。
昼休みだから、センセーはいない。

「お前はアレか。 世界の中心人物気どりか」

ムカつく。

「私の世界なんて、とっくに無いし。 それより、あまり顔近づけないで。 口くっさいの」

殴ってやった。
もうそりゃ、思い切り。 手加減なんてしない。

鼻血を垂らしながら尻餅をついたソイツは、それでも気品な態度を保ち、私を嘲笑した。

「殴って楽しいならやりゃいいじゃない。 私はこんなのどうって事ないわ。 ただ、アンタは酷く汚い顔をしてるのね〜って、殴られながら思うだけ」

ムカつく。
こいつの、苛められてるくせに気品とした態度が。
親に虐待を受けてるくせに、
いやらしい事されてるくせに、
本当は泣き叫んでるくせに、

「死ねや」
「死んでやるわよ、いつだって。 豚のいる世界なんて、趣味じゃないし」



こいつの、死んだような目が。

Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.147 )
日時: 2010/07/31 21:36
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


・・・なかなかシビアな展開に。
光里さん好きだー!ギャップは萌えるしかないー!昔のハルキすげー!!

みたいな感じです、今。

ハルキが嫌がってたのは、豚とかそういう理由ではないんじゃないかな、とか思ってみたり。

Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.148 )
日時: 2010/08/01 08:17
名前: 風水 (ID: STEmBwbT)

中学時代のハルキ、すげー。

苛められてるにも関わらずあんな態度ですか!

てか私、誰が差出人か分かりました^^

たぶん、ですけど………。

Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.149 )
日時: 2010/08/01 09:48
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

光里さん、29のおっさんなのに
意外に……人気があって……!!笑 嬉しい限りです。
ハルキはどうしようもなく、人間が汚いモノに見えていたんでしょうね
>神無月さん


おっ、ホントですか??
まああの人しかいませんよね笑
>風水さん

Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.150 )
日時: 2010/08/01 10:46
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

.





ずっと、考えていた。

どうしようもない罪を犯してしまったら、その償いは何をすればいいのか。
死……でしかないとすれば、それはあまりにも空しすぎる。 かといって、被害者の傷が癒される事はなくて。

それはきっと、殺人よりも重い。



「人は弱い。 オレが言える立場じゃないですが、少し罅が入ると、あとは崩れるだけです。 立ち直るには、時間がかかります」

例えば、ハルキ。
あいつは時間をかけて壊された分、治るのが酷く遅い。 もう、治らないかもしれないのも、否めないけど。

「完全に壊されたら、あとはもう何もない。 からっぽのまま、生きていくしかないんです」

破片だけがそこに残って、それで内側をズタズタに傷つけて行く。 その自覚は無くとも。
たとえば、貝原アサヒ。

彼女は、ハルキという姉に対する異常な愛情心が破片となり、自身を凶悪殺人犯にまで傷つけてしまった。

「今回も似たようなものです。 そうでしょ? 不知火さん」


不知火一尾が


面倒くさそうにこちらを向く。 せっかく事件のおかけで休日になった一日を、オレに引っ張り出されて怒ってるのかな。

「小僧、わしに何が言いたい。 はよ言え」
「乙羽千尋、その他2名に脅迫めいた手紙を送ったのは、あなたですよね」

こういうの、本当は岬とかでやってみたい。
なんで近くのコンビニの前で、立ち話でこんな事言わなきゃいけないんだ。

買ったばかりのオデンを食べながら、不知火さんは黙ったまま。
オレも大根を租借して飲み込み、続きを話す。

「乙羽さんはハルキが手紙を送ってきたと思ったらしく、昨日オレの家に来たんですよ。 その手紙の内容を聞いて、すぐに分かりました」

黙りこんでる不知火さんに、オレは乙羽さんから預かった手紙を見せた。
茶色くなった紙に、血を連想させる赤色で物騒な事が書かれてある。

「ま、内容はハルキが乙羽さんを恨んでるだの、苛めを忘れて楽しく過ごせて幸せだろうみたいな事ですけど。 でも、最後の一文」

乙羽さんがチラリと言った内容文に、引っかかった。

「“人間は死に方を知ってるんだから死ね”。 これ、あなたがオレに言った言葉ですよ、不知火さん」
「それだけでわしを犯人扱いたぁ、メチャクチャじゃき」

汁を飲みこみながら、吐き捨てる。
身長、オレと対して変わらない。

「不知火さんが学校に久々に登校した時、乙羽さんの靴箱に手紙でも入れたんじゃないんですか」
「……………」
「そこで偶然、栗原さんがクラスメイトの悪口を言ってた〜とか、苛めてた〜とか言うのを見たんでしょう。 次のターゲットは、こいつだと」

思ったわけだ。
不知火さんが、視線で紙でも切れるんじゃないかと思うくらい、鋭く睨んでくる。

「……そう勝手にオレは解釈してますが、何か間違ってる個所はありますか?」

不知火さんが。
オデンを捨てて、オレの胸倉を掴み、コンビニの裏に誘導させた。
抵抗なんて考えてないから、そのままにしてたら、物凄い勢いで壁に背中を押しつけられる。

「小僧、あんまわし舐めんなきに。 怒る時ぁ、怒るんじゃ」
「………質問、きいてました? オレは正解率を聞いてるんです」

あなたの個人的感情なんて、どっちでもいい。

「……あたっちょる。 わしがあのケバい女に手紙送ったんじゃ。 あいつが秋色ハルキを苛めてたみたいやからの」
「……誰から聞いたの」
「本人じゃ」

電光が、走った。
あまりにも突然すぎて、本当に体がビリッと痺れる感覚を抱いた。

「……………………え?」
「秋色ハルキ本人が、そういっとった」

ハルキが?
昔の記憶なんて無いはずのハルキが?

「精神科に行ったら、あいつに声かけられての。 友達になろうか〜て。 そんだら、あいつ無邪気さの欠片も無くなって、吐き捨てるようにいっとったで」





『豚みたいなあいつら、消えればいいのよ』




その口調は、中学生のハルキそのものだった。
不知火さんが、手を緩めて。

「わしは、のうのうと生きちょる奴がすかん。 痛みを忘れて自分だけ楽に生きちょる人間なんて、虫以下じゃきて」

3年の前田がしてきた苛めは、相当酷いと聞く。
不知火さんにもそれは伝わっていたんだろう。

「なんで、自殺を促すようにしたんですか」
「殺したら捕まるき」
「そうじゃなくて。 もっと、別の」

他の、何か。

不知火さんは薄く笑って。

「別に大した理由じゃない。 人間が好かんってだけじゃ」


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