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- 崩壊少女と無心少年 完全完結
- 日時: 2010/08/18 21:06
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&
illust_id=11801579
参照の後に、上のURLの続きを合体させてください。
この小説の表紙が開きます。
さじの様にお願いしました。
注意
設定上、グロ描写があります。
そこだけはよろしくです。
お客様
使い魔の猫様 空様 月兎様 時雨様
神無月様 白兎様 風水様
スペシャル様 ミコト様 阿嘉狐様
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- Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.216 )
- 日時: 2010/08/13 15:48
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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第11章
崩壊と無心と、マイナスだらけ
今、少しだけ疑問が頭に浮かんだ。
なんで、ハルキが死んだのに俺は。
涙一つ流さないなろうって。
ポッカリ穴が開いて、そこからダダ漏れの感情。
塞ごうともしなかったし、埋めようともしなかった。
秋色ハルキが、死んだ。
死因は背後から何度も何度も刺された、出血多量。 しかも肺まで刃は達していて、致命傷だったらしい。
一之瀬さんは逮捕。 警察は、俺じゃなくなんと不知火さんが呼んだ。
なんで不知火さんが、と思ったけど。
そうだ、この人も少し変わった人だったとすぐに思いなおす。
なんの偶然か、不知火さんが昼、ユウゴに拉致されたハルキを見ていたらしい。
そこで助けりゃいいのに、あの人は携帯を持っていないから、そのままダラダラ時間は過ぎて。
不知火さんが来た時は、一之瀬さんも動転して刃を向けたけど。
なんとかそれを避けて、俺の携帯で助けを呼んだ。
「これ、借りじゃきんの。 覚えとけ」
余裕の笑顔でそう言って。
俺の頭を軽く撫でる。 そこで初めて、不知火さんの性別が分かった。
「お前、マジ馬鹿だなっ! 心配しかかけらんねーのかっ」
さめはだ君にも散々怒られて、
「……………っ」
光里さんには無言で抱き寄せられて、
「アンタは一回死なないとその性格治らないのかねぇ」
姫里さんには哀れな目で見られて、
「これ、お見舞い。 言っとくけど、前回のお礼だから。 もう話しかけないから」
乙羽さんには何故か怒られて。
ほんと、馬鹿なのはどっちだよ。
……僕か。
ハルキの葬式は、手短に行われて。
遺族なんて、誰も来なかった。 いつでも一人。
あの子は、少し不思議な人生に生まれた、可哀想な子なんだ。
「自嘲か?」
空を、見上げる。
精神病院の屋上は、ここらの建物で一番空に近い場所だ。
「……けっきょく、告白できずじまいだ」
ハルキの事は、好きだった。
だけど。
それは中学生までの事で。
今までのハルキの事を好きかと聞かれると、
「どうなんだろう」
好き、と答えるには、時間がいる。
好き嫌いを超えて、あの子は俺にとって特別だった。
「目が、似てるね」
ハルキの口真似を、真似してみる。
気持ち悪い。
「目、ねぇ」
光を見て、
空気を感じて、
音も無い世界で、
「さよなら」
しっかりと自分自身を抱きながら、ふわりと体の力を抜く。
あとは……何を言い忘れたっけ。
あ、そうだ。
坂田ユウゴは、生きてます。
それだけ。 じゃ。
.
- Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.217 )
- 日時: 2010/08/13 16:08
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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『さめはだ&光里』
「あ、そういやあかねの周忌明日なんだけど、来るか?」
「行くに決まってるデショ」
大学生になって、やっと酒が飲めるわけだけど。
この人の前では絶対に酒は飲まない。
「てか、結婚しないんスか?」
「メンドクセーだけだもんよ。 お前はすんのか?」
「俺は……考えてねーっす」
チラリと、乙羽の事が頭をかすった。
「あかね、生きてたら絶対ハルキと結婚しそう」
「いや、それはねぇわ」
「え、ないんスか?」
ある意味、お似合いだと思うんだけど。
「あいつ、お前の名前も覚えてなかったろ。 女の顔も忘れんじゃねぇの?」
あー。 あり得る。 あかねだったらあり得る。
俺の事、けっきょく 「さめはだ」 で終わったし。
「俺はさだめだっつーの」
「墓の前で言ってやれ」
ケタケタと、光里さんが笑う。
この人、あかねが自殺した後はなんか……しょげてたっぽいのに、切り替え早ぇのな。
「髪」
「え?」
「髪、切ってやろうか?」
あかねの、長めの髪を思い出す。
そういや光里さんに寝てる間に切られたって、キレてたな。
「………タダっすか?」
「だあほ。 金取るに決まってっだろ」
「えー」
『不知火&姫里』
「就職しないわけ?」
「する気ないもんは、しゃーなしじゃきて」
何しにきたのかしら、この子。
そろそろ困るんだけど。 もうすぐでお昼休みだから。
「でも……もう二十歳超えてるんだから。 ニートてわけにもいかないだろ」
「ヒメちゃん、わしを養子にしたらえんちゃん?」
「アンタを養子にしてメリットはあるのか」
絶対嫌だわ、こんな子。
「あ〜ぁ。 わしの家ボンボンじゃき、脛かじりしょっても金は無くならんきになぁ」
「いいな、キミの所は。 はい、もう帰れ」
「つれないのう。 わし、4年前ヒメちゃんの甥ッ子救ったじゃろ〜?」
「そんな昔の恩、忘れた」
嘘、忘れるわけない。
あの無心少年を助けたのは、ある意味この子なんだから。
「引きこもりにはなってないのに、なんでそうグウタラなの?」
「……生きる意味、よお分からんきに」
「それを探すのが、生きる意味だよ」
不知火が、目を急に輝き出す。 こういう幼い表情は、少しアイツに似ている。
「ヒメちゃん、さっすが!」
「……帰れ」
『そして誰かの呟き』
墓の前で、手をあわす。
あの子のためじゃない、この子のために。
直接的関係はなかったけど、一応面識は少しあったから。
「もう終わり?」
「はい、終わりました」
「もう帰ろう、おなかすいたぁ」
成人になったのに、全然就職活動なんてしてないいろは。
長すぎる髪は、バッサリ切った。
「今日はハンバーグが食べたい年頃でーすっ」
「作りましょうか」
「やったぁっ! 蛍大好きッ」
違うんだけど、それは凄く正解なんだ。
振り向いて、墓を見る。
「………友達、だったんだけどな」
呟く。
だけど僕は、彼女の死も彼の死も、悔やまない。
それは彼らが選んだ頃で、後悔がないのなら。
「それだけの事」
そうだろ? 夕空あかね君。
(完)
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- Re: 崩壊少女と無心少年 完結 ( No.218 )
- 日時: 2010/08/13 19:49
- 名前: 阿嘉狐 (ID: u3k5ctnm)
完結おめでとうございます!結局不知火さんの性別は?!…あかねは死んだんですね……お疲れ様でした!。うーむナルホド、程々に 完結させたが良いんですね。分かりました!本当にお疲れ様でした!!
- Re: 崩壊少女と無心少年 完結 ( No.219 )
- 日時: 2010/08/13 22:24
- 名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)
か、完結ううううううううう!!!!!
泣いた、泣いてしまった・・・!!みんな死んじゃったし!!(ちょっと違うw)
こういうのは、また新しいヴァージョンですね。
そして・・・いろは?え、あのいろは?
出た・・・出たんですね!!もう興奮してんだか悲しんでんだか分かりませんよ!!(だばーっ)
とりあえずはお疲れさまでした!!
今回の作品も、とても面白かった・・・というか、悲しくて、深くて、良い物語でした。
良い物語をありがとうございました^^
- Re: 崩壊少女と無心少年 完結 ( No.220 )
- 日時: 2010/08/14 06:37
- 名前: 月兎 (ID: QuEgfe7r)
か、完結したぁぁぁぁ!!
やば、涙が…うぅ。。。
ハルキが死んで、あかねが自殺して、、、
崩壊少女と無心少年の最期はせつないものがありました…
残された人々…残された、ではないのか。
生きている、あかねとハルキに面識のあった人たちには彼らの分まで幸せに、笑顔で暮らしてほしいものです。(あ、でも彼らも幸せだったのかもしれない、幸せでなかったとはいわない)
最後には夕衣といろはが!
お墓は近くに造られたのでしょうか、ね。
本当にいつも深く心に響く作品をありがとうございます。
お疲れさまでした、これからもアキラ様の小説が楽しみで楽しみでなりません。
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