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- 崩壊少女と無心少年 完全完結
- 日時： 2010/08/18 21:06
- 名前： アキラ （ID: STEmBwbT）
- 参照： http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&
illust_id=11801579
参照の後に、上のＵＲＬの続きを合体させてください。
この小説の表紙が開きます。
さじの様にお願いしました。
注意
設定上、グロ描写があります。
そこだけはよろしくです。
お客様
使い魔の猫様 空様 月兎様 時雨様
神無月様 白兎様 風水様
スペシャル様 ミコト様 阿嘉狐様
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- Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.55 )
- 日時： 2010/07/19 08:46
- 名前： アキラ （ID: STEmBwbT）
.
ⅴ
目が似てると言われてから、それまで気にしてなかった彼女を気にするようになった。
どんなに苛めを受けても、彼女はそのままの彼女だった。
いや、違うかもしれない。
本当は心のどこかが削れて、感じなくなってしまったのかもしれない。
幸せを、憎んでいたのかもしれない。
- Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.56 )
- 日時： 2010/07/19 09:52
- 名前： アキラ （ID: STEmBwbT）
.
第３章
幸せの在り処
幸せは嘘つきだと、ハルキは昔言っていた。
幸せなんて壊れやすくて、亀裂さえ入れればすぐに脆くなると。
そしてそれは、あながち間違ってはいない事を、オレは知っていた。
幸せだの不幸だの、紙一重。
一つ引っくり返せば、良くも悪くもなる。
だけど。
心が不幸な場合は、なかなか幸せに満たされないのも事実で。
「………眠いな」
そんな事を思いながら、殺人犯に殺されるため、オレは夜道を一人で歩いていた。
光里さん、心配してるのかなー。 何も言わずに来ちゃったから、絶対に怒られるな。
その夜遊びの理由が、殺される為、だもんな。
「…………………」
後ろから誰かにつけられているのは、もう既に分かってる。
後は、そいつがズブリとオレを殺してくれたらいいだけの話。
早くしてくれよ。 オレだって暇でここにいるわけじゃないんだ。 いや、暇だけど。
「……………………」
一向に動こうとしないようなので。
オレは街灯のない路地で立ち止まる。
振り返らず、どこかポケーとしたような感じで。 演技派じゃないけど、これくらいならできる。
近づいてきた。
「………………っ」
ゆっくり近づくのかと思ったら、走ってきたので慌てて振り向き、腕を押さえつける。
小柄で華奢な体が封じられる。
「うあっ」 「あっぶな……」
反射的に、そいつが持っていた包丁を掴んでしまい、手のひらにかなり痛い。
「…………気づいてたんですかー」
「いろいろと、です」
貝原アサヒが、フワリと笑う。
「夕空さん、だから嫌いなんですー。 ポケーとしてるようで、してないんですもんー」
「オレは、貝原さんの事嫌いじゃないんですが」
「またまた〜。 そんな大嘘言って〜」
ギチリッと包丁を押しこまれる……っていだだだだ。
あびきょーかん。
「貝原さんでしよね。 連続バラバラ殺人事件の犯人」
「なんででしょー」
痛さに耐えきれず、思わず包丁を離す。
貝原さんは襲ってこず、包丁を下に向けてつっ立っている。
「キミが、秋色ハルキの妹だから」
率直に言えば、答えはそれだ。
貝原アサヒが、ハルキの実の妹だから。 だから、人を殺してる。
「ん……なんで分かったんですか〜？ 私がハルキちゃんの妹だーって」
「顔が綺麗ですから。 似てるんだよ、キミとハルキは」
一目見た時から、親戚かなと思った。
もっとも、ハルキは前髪が長くて、顔なんてあまり見えなかったから、他の生徒は気付いたかどうかは知らないけど。
「名字が違うのは、糞親父とママが離婚したからですー。 貝原はママの旧姓でー。 ハルキちゃんだけあの親父の所に残ったんですー」
- Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.57 )
- 日時： 2010/07/19 10:00
- 名前： 神無月 （ID: XOYU4uQv）
うわぁ、まさかの妹・・・。
殺人犯、ですか・・・。人が人を殺すのに理由はあるんでしょうかねぇ。
- Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.58 )
- 日時： 2010/07/19 10:28
- 名前： アキラ （ID: STEmBwbT）
.
「なんで、人を殺したんですか」
「探偵さんは、動悸を説明してこそ、シャーロックさんじゃないんですかー」
「そうですけど」
キミの動悸を知っているからこそ、理解ができない。
「説明、してください」
「……幸せって、壊す事ができるんですよ」
ひどく当然の事を言いやがった。
沈黙して、次の言葉を待つ。
「ムカつくんです。 人の幸せ見てると。 壊してやりたくなるんです。 壊せ、壊せってざわつくんです。 もう、疲れたんです」
「オレに幸せかって聞いた時、あれは、オレを殺そうとしたんですか？」
包丁をこちらに向け、貝原さんの表情がかわる。
「んー、ビミョーというかー。 夕空さんなら、幸せじゃないかなーって。 目、死んでるし。 だからー、この人は私と同じだって思ってたんですけどー」
包丁が、飛んでくる。
「間違えました」
幸せを恨んで、幸せな人を見ると殺したくて。
無意味に殺戮を繰り返して、貝原アサヒの何かはとっくに壊れていたはずなのに。
甘かった。
包丁を２本持ってるとは思わなかった。
「夕空さんは、分かってくれると思ったんですけど」
「残念ですが、分かりません」
ハルキの父親もオウカさんも貝原さんも。
変な人の考えてる事なんてサッパリ分からないし、分かろうとも思わない。
包丁を掴んでる手首を掴んで、引き寄せる。
左手の包丁が、右手首を掴んでいるオレの腕をブッ刺した。
「あああああっ……ぐっ」
悲鳴をなんとか抑え、血が出るほど唇をかみしめる。
実際出たし。
「痛いですよねー。 みんな、最初は痛いって泣くんですけどー、大丈夫ですよ〜。 そのうち全然痛み感じなくなりますからー」
腕を貫く勢いで、貝原さんが包丁を捻じ込んでくる。
生理的に涙が出てきて、視界がぼやける。
肉を爆ぜる音と、血の匂い。 頭痛までしてきた。
「…………腕一本、いらないかな」
「え？」
蹴った。
思い切り。 貝原さんの腹を。
包丁が腕に刺さってるにも関わらず。
「があああッ、ッ」
貝原さんが包丁を離してくれてなかったら、腕、切断するところだった。
だけど、予想通りに貝原さんは不意打ちの蹴りに戸惑い、包丁を手から離した。
激しく咳き込む貝原さん。
あっちもあっちで相当苦しそう。
やがて、それは収まって、ピクリとも動かなくなった。
「…………ッ、」
痙攣する右手を放っておいて、左手で携帯を取り出す。
利き手が左で良かった。
「……あ、光里さん？ ちょっと警察呼べますか？ あと、できる事なら救急車も。 ……いや、説明云々の前に、お願いします」
すっごく慌ててたけど、切った。
ふー………かなり痛い。
ジンジンというかギシギシする。 骨の軋む音か？
「…………………眠いな」
あーあ。
早く来ないかな、光里さん。
早くしてくださいよねー。 心からそう思います。
- Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.59 )
- 日時： 2010/07/19 10:29
- 名前： アキラ （ID: STEmBwbT）
色々、あるんだと思います。理由。
むしゃくしゃしてやった、というのは理由にもならないし、最低だと思いますけどね
＞神無月さん
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