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崩壊少女と無心少年 完全完結
日時: 2010/08/18 21:06
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&

illust_id=11801579



参照の後に、上のURLの続きを合体させてください。
この小説の表紙が開きます。


さじの様にお願いしました。





注意

設定上、グロ描写があります。
そこだけはよろしくです。


お客様

     使い魔の猫様  空様  月兎様 時雨様
     神無月様  白兎様  風水様
     スペシャル様  ミコト様  阿嘉狐様

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Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.40 )
日時: 2010/07/17 08:56
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

.





たとえば。
その人が自分を求めているとする。 必死で自分だけを求めて、他の誰もいらないというくらいに。
だけど、その人の存在が自分にマイナスしかもたらさないとしたら、どうすればいいんだろう。

「手、止まってるよ」
「すみません」

病室で、二人きり。
誰との接点もない空間で、オレはハルキの髪をといていた。
黒く細い髪はサラサラしてる。 さわり心地がいい。

「ん、終わり」
「ありがとー。 すっごいサラサラになった」

ニコッと笑って、ハルキがベッドに潜り込む。
8時だけど、秋のせいか外はほんのり暗い。 電気を消せば、暗闇になる。

「ねーむー」
「オレもそろそろ帰らないと」

そう言うと、少し不満そうな顔をする。

「また、きてくれるんだよね」
「また来ますよ。 いつでも」

ハルキはまた笑い、オレはその笑顔を見ながら、


電気のスイッチを、消した。


「うわああああああああああああああっ!! 」


そのとたん、聞こえてきた絶叫に思わず耳を塞ぐ。
どこか獣じみた叫び声。
あわてて電気をつけると、ベッドの上で悶えているハルキが目に入った。

「ハルキ?」
「くらいくらいくらいくらいくらいくらいくらいくらいくらいくらいくらいくらいくらいくらいくらい」

両耳を塞ぎ、体を丸め、震えている。
痙攣のような体の動き。
嫌な汗がバアッと溢れてきて、だけど体は冷たい。

「ハルキ」
「くらいのやだッ! きらい、だいっきらい! しんじゃえ。 きしょくわるいッ! こわいこわいッ」
「落ち着けよ」

手を掴み、目を合わせる。
焦点は完全にはずれ、意識の全てが過去のトラウマに移動する。

「たすけてよッ」
「助けるから、落ち着いて!!」
 
大きく怒鳴ると、ハルキが動きを止めた。
じーっとオレを見て、呼吸を整えて。

「あかね」
「………………なんですか」
「あかねと私、どこかで会った?」

記憶の片隅に映るオレを見つけた。
やっと、見つけてくれた。

だけどオレがどれだけ自分の事を説明しても、ハルキには理解できないだろうから。

「まだ、秘密です」

それよりも。 
そんな事よりも。

「大丈夫ですか?」
「なにが? 私は、平気、だよ」

今にもハルキが消えてしまいそうで。
少し怖い。 
心からそう思う。

Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.41 )
日時: 2010/07/17 10:12
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

.





ハルキが眠るまで傍で待って、電気はつけたまま病室から出ると、姫里さんが仁王立ちしていた。

「だから言っただろ。 ヤボにあの子に近寄っちゃダメだって」
「……………………」
「心配して光里も来てる。 待合室で待ってるから、二人で帰んな」

そういえば、もう9時過ぎてるな。
あの人心配性だから、わざわざ迎えに来てくれたのか。

「あの………姫里さん」
「なんじゃい」
「ハルキは、昔の事を覚えてないんですか」
「その可能性は高いね。 ただ、忘れてるだけなんだけどさ」

自分が苛められていた事、オレの事。
ハルキは覚えているはずだけど、忘れてる。

「あの子にとってそういう想い出は危険なんだ。 少しでもあの男の事を思い出したら、混乱してパニックになる。 暗闇も同じだろうね」

エレベーターで一階に下りると、待ちくたびれた様子の光里さんが立っていた。

「なにしてたの」
「……………………………」
「コラ」

ぺちっと頭を叩かれた。 全然痛くない。

「光里、アンタ本当にあかね好きだなぁ。 ブラコンかブラコンー」
「………姫里姉さん、うるさい」
「本当に似てませんよね、お二人とも」

光里さんが呆れたようにオレを見て、腕を掴んだ。

「帰るよ」
「すみません、光里さん」

素直に謝ると、ギョッとした顔で見られた。

「……………なんですか」
「いや、お前やけに素直だなと。 可愛くなった?」
「よく言われます。 でも否定します」

ドロドロの泥水しか流れていないオレのどこが素直で可愛いんだよ。

姫里さんに見送られて、二人で夜道を歩く。
散歩が好きだと光里さんは言ってたから、車は持ってない。

「お前、あまり変な所に首突っ込むなよ」
「え?」
「すぐ一人で抱え込むから、心配なんだ」

待合室で、姫里さんからハルキの事を聞いたのか?
そうじゃなくても知ってるか。
ハルキのした事はニュース沙汰になったんだから。

「その秋色ハルキって奴……あいつだろ。 昔色々あったやつ」

やっぱり、覚えてるか。

「お前が何しようとしてんのか知らないけど、危ない事すんなよ」
「しませんよ」

ここでオレはまた一つ、嘘をつく。

「オレはこう見えて、自分が一番大事なんです」

Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.42 )
日時: 2010/07/17 13:18
名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: BwWmaw9W)

あかねぇぇぇぇぇ!!!
こういうあかね系のキャラ好きだわぁーw

昔、ハルキと何があったんでしょう…
物凄く気になります!

Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.43 )
日時: 2010/07/17 14:23
名前: 風水 (ID: STEmBwbT)

お久しぶりです(^^)/

このお話も面白いですね。

個人的に光里さんと、あかね、ハルキが好きです。

乙羽さんはムカつきます((笑

さだめくんとあかねのコンビも面白いです

Re: 崩壊少女と無心少年 ( No.44 )
日時: 2010/07/17 14:40
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

あかね君、惚れられてます(^.^)
幸せだなー
>空さん


お久です(^^ゞ
こんな小説まで足を運んでくれてドモデス♪
>風水さん


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