ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 崩壊少女と無心少年 完全完結
- 日時: 2010/08/18 21:06
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&
illust_id=11801579
参照の後に、上のURLの続きを合体させてください。
この小説の表紙が開きます。
さじの様にお願いしました。
注意
設定上、グロ描写があります。
そこだけはよろしくです。
お客様
使い魔の猫様 空様 月兎様 時雨様
神無月様 白兎様 風水様
スペシャル様 ミコト様 阿嘉狐様
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- Re: 崩壊少女と無心少年 番外編 ( No.241 )
- 日時: 2010/08/17 19:41
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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おれの体力のせいかもだけど、自転車での片道25分はかなりキツい。 体力テストはいつも下から数えるほど。
シャトルランなんて、あのドレミが聞こえただけで憂鬱になる。
誰だっけ……同じクラスの……、さめだ? さめはだ君? とかゆう奴は、かなりヤバい運動神経だ。
ありゃダメだわ。 やばいわ。
なんでシャトルランが164回いけるんだ。 バカか。
「……遅くなったな」
自転車をとめて、すっかり真っ暗の暗闇を歩く。
広い家……屋敷といった方がいいかもしれない。 屋敷の玄関をあけて、靴を脱ぎ、夜なので鍵をかける。
別にとる物もないけど、一応。 オウカさんもいるし。
「……オウカさん?」
そういえば、おれが外に出るってオウカさんに言ってないな。
でもあの人……おれの声とか聞こえてるのかな。
時々、おれの存在が不透明になって、消えてしまいそうで、少し怖い。
「ただいま」
どうせ返事は帰ってこないだろうけど、そう言っておいた。
どうせ、返事なんて、
「おかえり」
背筋が、少し泡立った。 鳥肌が腕に現れて、おれを人間から遠ざけようとさせる。
オウカさんが、立っていた。
いつも、誰かに支えられてないと立てやしない人が。
久々の彼女の声に、鼓膜が微かに、震えた。
「……………」
オウカさんは、血だらけだった。
両手から血を滴らせ、廊下に染みを作っている。 どうしてかと思い、その両手に目をやると、ガラスを握りしめていた。
「オウカさ、「どこ行ってたのひどい私を置いて行くなんて信じらんないいつもなら私に一言言ってくれたのに」
は?
言葉の羅列が早すぎるのと、普段絶対喋らない彼女が綺麗な声で喋っているのを聞いて、頭が追いつかない。
「私を置いて行くなんて絶対に許さない」
「オウカさん、喋れたんだ」
驚き過ぎて、逆に冷静になってしまう。
場違いな言葉を言うと、オウカさんが走っておれの腕を掴み、思い切り押し倒してきた。
「ねえどこ言ってたの私に言えないような所なのまさかまさかねえ、まさかまた私を追い出そうとして誰かに言ったのねえってば」
「オウカさん、痛い……」
頭を床にガンガン叩きつけられて、鈍く痛む。
- Re: 崩壊少女と無心少年 番外編 ( No.242 )
- 日時: 2010/08/17 20:02
- 名前: 阿嘉狐 (ID: 16/cv9YI)
オウカさんどうしたんですか!?
えっ…壊れました?
崩壊しちゃいましたか? ああああああああああああああああああ続きが凄く気になる!
- Re: 崩壊少女と無心少年 番外編 ( No.243 )
- 日時: 2010/08/18 06:53
- 名前: 風水 (ID: STEmBwbT)
お久しぶりです
オウカさんが一番ヤンデレだと思うのは私だけ??
ユウゴ君が可愛い……病んでるけど、萌えr
- Re: 崩壊少女と無心少年 番外編 ( No.244 )
- 日時: 2010/08/18 07:21
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
崩壊というか、元から壊れてるんデス
生まれた時から、ずっと。
>阿嘉狐さん
そうですねぇ……ハルキはヤンデレというよりは、ヤントモみたいな……。
タダトモ! みたいなノリで笑
>風水さん
- Re: 崩壊少女と無心少年 番外編 ( No.245 )
- 日時: 2010/08/18 08:15
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
.
痛みは全ての感覚を麻痺させて、痛みだけを強調させる。 感覚器官が衝撃をとらえて、脳に伝わる。
「痛い!」
一瞬痙攣して、オウカさんが止まった。
瞳孔が縮小したり膨張したりして、口の端から唾液が流れてる。
顔、キレーだな。
「落ち着いて、オウカさ」 「好き大好き世界で一番キミが好き光里も好きだけどキミも大好きだから私を置いて行かないであかね、あかね、あかね、あかね」
名前を呼ばれて、頬に冷たい手を添えられて。
気づけば、おれより大人のはずのオウカさんを抱きしめていた。
すすり泣く。 今まで感情を壊死させていた分、その反動が大きいらしい。
「あかね、あかね、あかね」
依存。
依存心が、溶け出して。
絡みつく。
まだ、残ってる心が。
「ずっとね、ずっと、頭がオカシイ子の真似してて、そしたらみんな、みーんな私といてくれる。 私の世話してくれる。 お父さんもお母さんも、私だけのもので、それでね」
両手からも血は染みだして、おれの頬に痕を残す。
跡を残す。
「でもね、みんな私の事好きじゃなかった。 私の事嫌いだった。 変なコを見る目で見ていたんだよ最悪最悪最悪。 だけど、あかねと光里だけが違った。 だって、変な目で私を見ないよ」
光里さんはハッキリした好意だけど、
おれは?
おれはどんな目でオウカさんを見てた?
「だけどなんでなのにどうしてそれでも、あかねは私を置いてくの? さっきだって勝手に家から出てって死ぬほど心配して死んじゃうんじゃないかと思った!」
違うんだよ、オウカさん。
おれは、べつに。
「違いますよ……」 安心させるため、敬語になった。
「オウカさん、落ち着いて。 落ち着いてください。 大丈夫ですから」
「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「大丈夫。 大丈夫ですから」
オウカさんの、仮面が剥がれて。
おれが感じ取ったのは、残っていたオウカさんの感情だけだった。
完全に心を失っていれば、いいのに。
心は、目ざわりだ。
人間てものは、一々感情を起伏させて、笑ったり泣いたり忙しい。
そんな事なら。
「心なんて、消えてしまえばいいのにね」
オウカさんが、叫ぶ。
モスキート音のような音と、黒板を爪で引っ掻くような音が混ざって。
鼓膜に、?
つきささる。
痛い、痛い、これが痛み?
耐えがたい。 虫唾が走って、ここで痛みを全て捨てたくなる。
捨てたい。 この、痛み。
やめろ、突き刺さるな、痛む。 痛いんだよ。
どうしても、捨てたくなる。
そんな痛さ。
「オウカさん」
力なく放たれた言葉は、消えてしまって。
オウカさんの悲鳴にかき消されて。
「おーかさん」
そんなに叫んで、息、きれない?
「叫ばないでください、」
染み込む。
染み込む。
染み込む。
心がぐちゃぐちゃになって。
おれも、ムチャクチャに叫んだ。
頭がわれる。 痛い、忘れたい、捨てろ。
「捨てろ!」
捨てろよ、はやく!
どうでもいいから、はやく。
心が、なくなれ。
痛くなくなれ。
「ひっ……」
オウカさんが、持っていたガラスの破片で、思い切り手を刺す。
自分の、じゃない。 おれのだ。
「あがががががあがががが、」
ガラスでぐりぐり傷口をほじくって。
オウカさん、何がしたいんだ。
「っ!」
蹴りあげる。 オウカさんは軽い。 子供のおれでも、腹に蹴りあげる事は容易い。
オウカさんは咳き込みながらも、あらゆる体の穴から液体を出し、奇声をあげる。
「うるさい」
うるさい。
ああ、このうるさいという感情すら消し去りたい。
捨てろよ。
もう、捨ててしまえよ。
「捨てろよっ」
オウカさんが、驚いた眼でおれを見る。
なんだ、おまえ。
心を捨てたふりをしてたわりに、心を捨てるのを躊躇っているのか。
人間は、やっぱり人間か。
「………………光里」
「っ」
だけど最後はやっぱり。
「おれじゃないのか」
オウカさんが呼んだのは、おれじゃなくて。
「両想いじゃん、お兄さん」
おれなんかじゃ、なくて。
ギリギリギリと、腹にガラスを埋め込むオウカさん。
肉、出るよ。 血、出てるし。
「うぎゃあああああああああああああああ」
静動脈を掻き切ったのか、大量に血が噴き出る。
悲鳴をあげながら、痙攣させながら、オウカさんが倒れる。
人の、死に様。
これが人の死に方。
汚い。 汚い。
「 」
そしておれは、
心を捨てた。
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