ダーク・ファンタジー小説

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リアルゲーム
日時: 2017/06/21 00:50
名前: 電波 (ID: iruYO3tg)

皆さん初めまして、電波と申します!
ここで投稿するのは初めてなので少し緊張しているのですが、よろしくお願いします。
また、文才ないのでうまく書けないかもしれませんがご了承ください!
それとそれと!
この作品には過度な暴力表現とグロテスクな描写が(たまに性的描写も)あります。それがダメな人は回れ右してください!

・注意事項

暴言や荒らしなどの行為はやめてください。


以上です。

・ゲームのルール

1.『全校生徒で殺し合いをする』

2.『期間は7日間。それまでに校内の生存者は2人にしておくこと。また、期間内に規定の人数に到達しなかった場合、全員失格。死刑になる』

3.『ゲーム途中に校外へと出た者は罪(ペナルティ)となり、失格となる』

4.『全校生徒にはそれぞれ戦うための異能(スキル)が配布される』

5.『殺し方や戦い方に縛りはない』

6.『校舎内に『鈴木さん』が徘徊する』

7.『クリア条件は2種類。1つ目は7日間以内に生存者を2人にすること。2つ目は校舎を徘徊する『鈴木さん』を殺すこと。その場合は、生存者の数に関係なくゲームがクリアとなる』


Re: リアルゲーム ( No.60 )
日時: 2015/04/16 18:01
名前: 電波 (ID: dFTsrC3s)

勝平はついさっきまで会議が行われていた席に座らされ、それに対面するように生徒会長が席に着く。机の横には役員メンバーが二人づつ着席し、視線を勝平へと集中させている。

「さて、どこまで聞いていたのかしら?」

机に両肘を着け、両手を組む桐ヶ谷。まるで某指揮官を思わせるような仕草で勝平を問い詰める。

どうせ気づいてるくせにと心の中で愚痴を零しながら、勝平は口を開いた。

「桜山さんがお腹空いた辺りのくだりから」

ありゃりゃ、と桜山が和やかに言う。それを横目で見ながら、桐ヶ谷は続けて質問をする。

「この体育館へは正規ルートから入ったのかしら?」

「渡り廊下の入り口が閉鎖されてたからもう一つの入り口から入った。身体チェックも受けて」

「それを証明する人は?」

疑り深い、勝平から見た桐ヶ谷に対する第一印象はそれだった。確かにこんな現状では疑心暗鬼にもなる。クラス内では複数の生徒が殺しあいを行ったのだ。

疑わなくては生き残れない。勝平もそれを十分に承知していた。

「入ってくるときに金谷さんからペットボトルを受け取ったから、彼女が証人になると思う」

「本当かしら?」

桐ヶ谷の視線は勝平から金谷へと移動した。まるで肉食動物に狙われた草食動物のように体をビクッと反応させた金谷。

とりあえず何か言おうと言葉を出すが緊張のあまり舌を噛んで口を手で覆う。

金谷は涙目になりながら必死にごにょごにょ言うが勝平からはさっぱり何を言っているのか分からなかった。

「なるほど、確かにあなたの言った通り金谷さんはあなたにペットボトルを渡したようね」

(なぜ通じる……)

軽いコントのようなやり取りで空気が和んだかに思えたが次の一言で一気に空気が変わる。

「さて、この人の処遇はどうしましょうか」

桐ヶ谷の一言で勝平の背筋に冷たいものが走った。そんな気がしたのかそれとも物理的なものかは分からないが確かにそう感じる勝平。

それに勝平は自分に向ける桐ヶ谷の目には何かを企んでいるような気がしてならなかった。

「特に何をしたというわけでもないから保留で良いんじゃないですかねぇ」

桜山が笑みを浮かべて言った。この空気の中でよくヘラヘラとしていられると勝平は感心する。

そして、桜山が話した後すぐに柏崎が口を開いた。

「私も千里ちゃんに賛成です」

「貴様ら!」

村上が立ち上がりながら怒鳴る。うるさい奴だ、と迷惑そうに顔をしかめながら村上を睨みつける。

しかし、逆にありがたい。

この状況で勝平に対して口を開くのは限られたことだけ。生徒会が何を考えてるのかを言うものはそうそういないなだろう。

だがこの村上と言う女に鎌をかけてやるのはどうだ。

感情的になりやすい性格なのか余計な事までしゃべり始める。うまくいけば何を企んでいるのか聞きだせる。

それに答えが聞けた後は脱出手段はちゃんと考えてある。

ロープで縛られた両手は既に半分ほど解けかけている。脱出ゲームなんかではこういった拘束状態をリアルに再現しており脱出方法も詳しく記されていた。

ゲーマーである勝平はその辺を熟知しており、自宅で実践した程だ。

あとは聞き出すだけだ。

そう考えている時、桐ヶ谷は村上へと視線を向けずに言う。

「止めなさい村上さん。彼女たちは自分の意見を述べただけよ」

「しかし……!」

何か言おうとする村上だが言ってもまともに聞いてくれないと判断したのだろう。そのまま口を閉じて、席に着いた。

「金谷さんはどう考えてるの?」

桐ヶ谷はそのまま話を続けて金谷へと話を振る。

「私からはなんとも………」

弱気な姿勢でそう答える金谷。曖昧な答えに村上はムッと口をへの字に曲げた。

「じゃあ村上さんは?」

桐ヶ谷が村上に意見を求めた瞬間、村上は席から再び立ち上がりこう言った。

「もちろんこの男をここから追放するべきです。人の会話を盗み聞きするような輩は信用が出来ません!何を考えてるか分かったものじゃない!」

言葉の最後にはバンと机を叩いてそう叫んだ。

(……きた)

勝平はそう思いながら表情を不満気にしてみせた。これなら不自然ではない。いかにも村上の言葉に癪(しゃく)に障(さわ)る男を演じる。

「随分な言い様だけどそんな行いをさせたのはあんた達のせいだろ」

「何!?」

「あんた達はここにいる皆んなを眠らせた。わざわざペットボトルに催眠薬を入れてな!」


「それがなんだと言うのだ!貴様らには関係のないことだ!」

よし、この調子だ。相手も少しずつだが感情が高ぶってきている。勝平はもう少し相手を刺激しようと行動に移す。

「第一お前らの考えていることはショボすぎるんだよ!」

「訂正しろ貴様ッ!会長の計画を愚弄するか!!」

「計画?お前らのやっていることが?なに言ってんだよ!お前らのやっていることは俺からしてみればただの小学生の遊びだよ!」

「知りもしないくせに知ったような口を聞くな!」

一瞬、周りへと視線を配るが誰一人勝平の芝居を疑う様子はない。ただ、ああ喧嘩してるな〜ぐらいの印象しかないようだった。

これならいける、そう判断した勝平はついに言う。

「だったら何をしようとしてるんだよ!お前がそう必死こいて言うものは!」

一瞬、場の空気が静まり返った気がした。勝平は周りへと意識を向かせ疑われていないか確認する。

しかし、勝平の見る限りでは特に変わりはない。村上は感情を剥き出しにたり、他の役員は自分の世界に入っている。

「良いだろう!私たちが計画してるのはーーーー」

「口を閉じなさい村上さん。感情的になりすぎよ」

見えてた希望が閉ざされた瞬間だった。思わず桐ヶ谷へと視線を投げる。

そこには腕を組んで、目を閉じる生徒会長の顔をした彼女がいた。

桐ヶ谷の叱咤を受けるとハッと我に帰る村上。今自分が何をしようとしていたのかに気がつくとすぐに桐ヶ谷へと頭を下げた。

「申し訳ありません会長!私がとんだミスを!」

「気にしなくて良いわ。ミスは誰にでもあるもの。それに、今日はこのくらいにしましょう。この人の処分は明日でも良いでしょ」

桐ヶ谷は目を開け、冷静な口調で言った。そして、その言葉に桜山を始めとする役員メンバーが立ち上がった。

「会長はどうするんですかぁ?」

桜山が声をかけると桐ヶ谷は薄く微笑んだ。

「後で行くつもりよ」

「分かりましたぁ。ではお先に〜」

「ま、待て桜山!私はまだ謝りきれていないのだ!」

ほら行くよ〜と桜山は一向に頭を上げない村上を引きずりながら歩いて行った。

村上は必死に抵抗するが見かけによらず意外とあっさり引っ張られている。

部屋に残ったのは勝平と桐ヶ谷の2人だけ。

人が少なくなったせいか、部屋の室温が低くなった。急な冷えに体をつい震わせる勝平。

桐ヶ谷は席から立ち上がり、コツコツと歩きながら勝平に近づいてくる。

勝平自身決意を固めた瞬間、スッと桐ヶ谷は通り過ぎた。

「頑張って誘導したところ悪いけど今は聞かれるわけにはいかないわ」

その時、勝平の中で何かが突き落とされる。まるで奈落にでも落とされたかのような感じだった。

扉をギィィと開けると彼女は桐ヶ谷を見ずに上を少し見上げた。

「脱出するなら今のうちよ。ロープは自力で解けたんでしょ?」

そう言うと彼女は階段へと降りて行った。残された勝平は歯を軋ませた。人生の中でこんなに圧倒的な敗北を味わったのは初めてだ。

両手のロープを外し、考えを巡らす。


このままで終わらせない。


終わらせたくない。

Re: リアルゲーム ( No.61 )
日時: 2015/04/17 00:08
名前: 猫又 ◆yzzTEyIQ1. (ID: .v5HPW.Z)

 こんにちは作者様。猫又と申します。
読ませていただきましたが臨場感があって面白いです(=^▽^=)
 私もこういう手に汗握る展開を書いてみたいのですが、
なにぶん文章がまどろっこしいので、電波さんには憧れます。

 頑張ってください。それでは、

Re: リアルゲーム ( No.62 )
日時: 2015/04/17 18:46
名前: 電波 (ID: dFTsrC3s)


猫又さんへ

コメントありがとうございます!
まさか憧れるという言葉が出てくるなんて思いもしませんでした!
とても嬉しいです!
自分の文章は分かりにくい所が多いもんで心配だったんですけど普通に読めれたようで安心しました!
精一杯頑張ります!

Re: リアルゲーム ( No.63 )
日時: 2015/04/27 21:52
名前: 電波 (ID: dFTsrC3s)


部屋から出てきた勝平はさっきまで自分が寝ていた場所へと戻り腰を下ろした。

これからどうするのか考えものである。勝平に残された手段と言えばここに残り、生徒会によって罰を受けるかこのまま服部を置いて逃げるかの選択肢しかなかった。

今のところ生徒会のメンバーは動き出す気配はないがいつ動き出すか分からない状態。

早いところ決断をしないとどんどん不利な方へと引きずりこまれる。

(どうする……このまま手をこまねいても時間の無駄だ。かと言って、ヘタに手を打って事態がややこしくなるのも避けたい)

顎に手を添え、考える勝平。

その時だった。

「困りごとのようだな」

「!?」

勝平は声のした方へと視線を移す。そこにいたのは勝平から少し離れた距離に座る人物。制服からして男子生徒なのが伺えたが明かりがないのもあって顔ははっきりと視認できない。

状況が状況のため警戒をする勝平。すると、それを察したその人物は。

「そんな警戒すんな…って言いたい所だけどまぁ、無理だろうな」

「………」

この男子生徒は雰囲気はいい感じだが、底が知れない。この体育館内では生徒会長率いるその他の役員メンバーが統率しているおかげで、相手は派手な動きはできない。

しかしとりあえずは様子を見るのが勝平にとっては最善の選択だった。

長い沈黙が続く中、男子生徒ははぁ…と溜め息混じりにこう言いはじめた。

「俺は伊吹 和麻(いぶき かずま)。3年C組に所属していた。これから俺が提案することはアンタにとっても俺にとっても良いものだ。もし、興味があるなら何か話せ。その口が飾りでなければな」

そんな話信じられるわけがない、いつもの勝平ならそう言っただろう。しかし、今はそうも言ってられないところまできている。

何でも良い。この状況を少しでも変えるきっかけが彼は欲しかった。


「何を根拠にそう言える?」

勝平の言葉に伊吹は暗闇から少しだけ微笑んだ。

「お前、あの冷血女に絡まれただろ?」

「……」

冷血女とは生徒会長のことだろう。勝平は何も言わず、沈黙で返した。

「アンタがあの部屋に入った直後に扉が氷で覆い尽くされていたからな。たぶんバレてるな、て思いながら見てた」

「それで?それがなんだっていうんだ?」

「アンタも体験したはずだ。あの女のいやぁな性格」

勝平は先ほどの出来事を回想する。確かに嫌な性格はしていた。自分以外の物は全て下に見ている面があった。

「アイツの隣のクラスにいたんだが、アイツのクラスはヤバかったよ」

「……」

伊吹は恐ろしげに口を開いた。


「皆笑ってたよ。授業の時も放課後の時も誰かと話す時も……あの女を除いてずっとニコニコしてやがった。最初はまともな奴らだったんだが……」

どこか遠いところを見つめながら伊吹は言った。

「そこで本題なんだがその前に一つ聞きたい。俺と組むか……組まないか」

「……」

この伊吹と呼ばれる男の言うことが本当ならこのまま放置しておくわけにはいかない。勝平自身何をされるか分かったものではなかった。

それに唯一の友人をこのままにしておくこともできなかった。

「分かった、組もう」

笑みを広げる伊吹にだが、と勝平は付け加えた。

「組むのはこれっきりだ」

相手の素性が完全には把握できていないためこれ以上の協力は勝平にとってはできなかった。

伊吹の方もフッと声を漏らした。

「良いだろう」

伊吹はそう言うと、その場から立ち上がり周りを気にする素振りを見せずそのまま歩いてくる。

グレーの長めの髪を後ろに束ね、平均より少し高めな身長から降り注ぐ赤い眼光。

不敵な笑みを浮かべながら伊吹はこう口を開いた。






「さぁ、本題に入ろうか」





Re: リアルゲーム ( No.64 )
日時: 2015/04/27 22:18
名前: 電波 (ID: dFTsrC3s)

時は巻き戻って、昼のパソコン室にて。彼女、三毛門 心愛はこのゲームの事について調べていた。

特に三毛門が調べていたのは、このゲームの規模や権力者についてだ。

もしこのゲームがこの学校だけで行われているとも限らない。別の学校や町、もしくは県全体で行われている可能性もある。

又、このゲームを始めているのは相当の権力を持った人物である可能性も高い。

学校一つの規模で殺し合いをさせるという異常事態周りから見たらただでは済まない。ニュースにも取り上げられるし、新聞にも載る。警察もすぐに駆けつけ、それを止めるはずだ。

なのにそのような様子は特に見られない。むしろ、静かすぎた。

「あぁ……やっぱりダメか……」

パソコンに映る記事をスクロールしながら流し読みをするがどれも彼女の求めている情報が記されていなかった。

「考えられるとしたら事件自体初めてのことで載ってないのかそれとも昔からあったけど無理矢理うやむやにしてるか……だよね」

三毛門はそう言うと画面をメインホームに戻し、シャットダウンをそのまま押した。

(ま、他にも方法はあるか……)

そう考えながら、画面のパソコンが真っ暗になった時だった。

「ッ!?」

三毛門は即座にイスからずるりと体を滑らせ、机の下に潜り込んだ。

その数秒後、彼女が座っていたであろう場所に『それ』は通過しそのままパソコンを貫いた。

先ほど彼女は真っ暗な画面を映すパソコンへと向けていた。画面が真っ暗になったパソコンは鏡の役割を果たしており、後ろに映る恐怖を見事に捉えていたのだ。

三毛門は背筋に冷ややかな感覚を覚えながら、そこへと視線を向ける。

「あらら、残念。せっかく綺麗に殺して犯してやろうと思ったのに……」

パソコンからサバイバルナイフを抜き出す男子生徒。まるでケダモノのように穢れきった笑みを浮かべ、三毛門を見ていた。

パソコンに彼が映った時もそのような表情をしていた。

それにしてもこの男子生徒はどうやってここへと入ったのだろうか
。扉の鍵はかけてあり、鍵も三毛門が持っていたはずだった。

だが、今はそんなことを考えてる暇ではなかった。

どうやってこの場を切り抜くか、それがモンダイだった。

三毛門は机の下から這い出てきて、見栄を張るように強気な姿勢でこう話す。

「それは残念だね。生憎、君みたいなのは大っ嫌いなんだ!」

「へー、じゃあ殺すわ」

男子生徒は急に表情が冷め、ナイフを振り上げる。

今だ。

三毛門は男子生徒の腹部へと渾身の蹴りを叩き込んだ。蹴りは相手の溝へと入り、男子生徒はその場にうずくまる。

「ぐっ………あっ……!?」

相手が身動きできないうちに、三毛門はすぐに立ち上がり、机を乗り越え出口へと向けて走り出そうとする。

しかし、彼女が机から着地したちょうどその時男子生徒の怒りは痛みを凌駕していた。

「ふざけんなよこのアマァァァァァァ!!!」

「なっ!?」

叫び声に近い声を上げながら、男子生徒は三毛門へと突進した。男性の体には華奢な体の三毛門では耐えることもできずそのままうつ伏せに倒れこむ。

「くっ……!」

三毛門は逃げようと体を動かそうともがくが、彼女の体の上にはあの男子生徒が馬乗りになっていた。

男はニタニタと君の悪い笑みを彼女へ見せつけながらこう言う。

「テメェみたいな女はよぉ……こうするに限るんだよなぁ……!」

男子生徒はそう言うと、彼女のスカートへと手を忍び込ませる。

「ッ!!」

三毛門は目を見開いた。この男が自分に対して何をしているのか体の感覚ですぐに理解できた。

「おらっ、気持ち良いんだろ?もっと鳴けよ。もっとお願いしますってな!」

「………!!」

やがて男の手の力が強くなり、彼女に与える感覚も比例して強くなる。

三毛門は目をぎゅっと閉じ、手をペタペタと動かす。顔は恥辱に頬を染め、人生で最悪の辱めを受けていることを実感した。

「逃げようとしても無駄なんだよ!お前は俺に犯されるんだからなぁ!」

すると、三毛門はキッと男子生徒に鋭い視線を向けた。

「後悔………ン…ハァ……するよ……!」

だがこの状況で優勢なのは男子生徒の方だった。男子生徒は馬鹿げたと言わんばかりに笑みを深めた。

「はっ!どうやって後悔させんだ!?この状況で後悔すんのはテメェの方だろうが!!あぁ!?」

その時だった。

「忠告は……ハァ……したよ」

甘い吐息を混ぜながら、三毛門はパチンと指を鳴らした。

瞬間、

ドドドォォォン

彼女の周りを囲むように床が爆発を始めた。

「なにっ!?」

爆煙は周囲を囲み、二人を包み込む。そして、その爆発地点を中心に床にヒビが広がり……。

男子生徒は突如として浮遊感を感じた。しかし、それは一瞬のことで一気に下へと体が落下していく感覚に襲われる。

そして落下地点は、

「ああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!」

机だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

三毛門が目を覚ました時、場所は三年の教室にいた。誰かに連れてこられた様子もなく、何かされた様子もない。

彼女は自分の体を見て、無事なことを確認する。

「生きてる……」

天井には自分が空けた大きな穴。そこからこの教室までなかなかの高さで無事でいられるはずがない。

ではなぜ生きているのか、その疑問を払拭するべく自分の下にある物へと視線を向ける。

「そういうこと……」

そこにあったのはこの教室の生徒であろう死体があった。生徒の苦痛に歪んだ表情に今のこの現状が重なる。心情が複雑だ。

生き残ったのは嬉しいがそれは死体のおかげというのは素直に喜べなかった。

三毛門はよろよろと立ち上がる。その時、彼女は少しだけ苦痛に表情を歪めた。

そして、死体へと視線を向け、哀れみでもなく感謝の気持ちでもなくただ一言言う。

「ごめんね……」

死体に一言そう言うと、三毛門はよろよろと体を揺らしながら教室から出て行った。


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