ダーク・ファンタジー小説
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- リアルゲーム
- 日時: 2017/06/21 00:50
- 名前: 電波 (ID: iruYO3tg)
皆さん初めまして、電波と申します!
ここで投稿するのは初めてなので少し緊張しているのですが、よろしくお願いします。
また、文才ないのでうまく書けないかもしれませんがご了承ください!
それとそれと!
この作品には過度な暴力表現とグロテスクな描写が(たまに性的描写も)あります。それがダメな人は回れ右してください!
・注意事項
暴言や荒らしなどの行為はやめてください。
以上です。
・ゲームのルール
1.『全校生徒で殺し合いをする』
2.『期間は7日間。それまでに校内の生存者は2人にしておくこと。また、期間内に規定の人数に到達しなかった場合、全員失格。死刑になる』
3.『ゲーム途中に校外へと出た者は罪(ペナルティ)となり、失格となる』
4.『全校生徒にはそれぞれ戦うための異能(スキル)が配布される』
5.『殺し方や戦い方に縛りはない』
6.『校舎内に『鈴木さん』が徘徊する』
7.『クリア条件は2種類。1つ目は7日間以内に生存者を2人にすること。2つ目は校舎を徘徊する『鈴木さん』を殺すこと。その場合は、生存者の数に関係なくゲームがクリアとなる』
- Re: リアルゲーム ( No.10 )
- 日時: 2016/02/14 18:07
- 名前: 電波 (ID: JIRis42C)
スピーカーから発せられた突然の発言に生徒は唖然とした。
「今……殺すって言った?」
「う、うん……しかも全校生徒で……」
「なに? なんかのやらせ?」
一般の人からみたら当然の反応だった。いきなり殺し合えと言われても反応に困るものである。それが本当か嘘かであってもだ。しかし、神居は違った。ふーん、と言いながら口元には笑みが広げていた。まるで新しい玩具(おもちゃ)を見つけたかのように純粋にこのゲームの話自体に興味があるようだ。そして、スピーカーの声の主は話を続ける。
『それではルール説明をします』
周囲がざわざわする中、スピーカーの声の主は坦々と喋り始める。
『ルール1、全校生徒で殺し合いをしてください』
『ルール2、期間は7日間です。それまでに学校内の生存者は2名にしておいてください。また、期間内に規定の人数に到達しなかった場合、全員失格。つまり死刑になります』
『ルール3、ゲーム途中に校舎外へと出た場合は失格となりますのでお気をつけてください。なお、校舎外へ出た場合は罪(ペナルティ)を支払って頂きますのでご注意を』
『ルール4、あなた方一人一人に異能(スキル)を配布致します。スキルの確認はゲーム開始時、メールにて送信させて頂きます』
『ルール5、殺し方や戦い方はそれぞれ自由です。皆さん、個性のある殺し方をしましょう』
『ルール6、校舎内に『鈴木さん』が徘徊します。『鈴木さん』は皆さんを見つけ次第お仕置きをしてくるので注意しましょう』
『ルール7、ゲームのクリア条件は2つ。1つは7日間以内に全校生徒を2人にしておくことです。もう1つは『鈴木さん』を殺すことです。この場合は残りの人数に関係なくクリアとなります』
そこでスピーカーの声は一旦は途切れるものの、すぐに話し始めた。
『それでは、ゲームを開始致します』
プツンとスピーカーが切れた瞬間、この場の空気がただならぬ緊張感に満たされた。確かにこのゲームは本当のゲームじゃなくただの企画かもしれない。その可能性はなきにしもあらずだ。だが、そう思ってるのは全員ではないかもしれない。クラスに1人だけそれを間に受ける人物がいたらどうなるだろうか。そんな疑心暗鬼に駆られて、クラスの生徒は皆、何も言わなかった。いや、言えなかった。一時クラスに静寂が続くがそれはすぐにこの人物によって崩されることになる。
「……桐ヶ谷さん?」
隣に座る滝沢が神居の異変に気が付いたのか声を掛ける。目は見えないものの、何となくだがそういう気配は察知できるようだ。
神居は静かに立ち上がったと思うとそのまま黙って出口へと向かい始めた。周りの視線を独り占めしても浮かべているのは何かを考えているような笑み。
「ちょっと!どこへ行くのよ!」
すると、クラスの1人の女子生徒が声を上げた。言い方には怒気を含み、何をするかも分からない神居を警戒していた。そんな彼女を嘲笑するかのように神居はフッ、と鼻で笑って見せる。
「先生を探しに行ってくるよ。もしかしたら番組の企画でどこかに隠れてるのかもしれないしね」
「アンタはこの放送は嘘だと思うの?」
女子生徒の問い掛けに一層笑みを浮かべた。
「当たり前だろ? こんな人殺し紛いのことを強要するなんて正気の沙汰じゃない! 何かのドッキリだよ!」
その言葉に生徒一同がホッとする。まるで誰かがそう言ってくれるのを待っていたかのように。
「けど、もし不安なら体育館に集まると良い。確かあそこ、避難場所だったよね?」
「そ、そうだけど」
歯切れが悪そうに言う女子生徒。何か腑に落ちないような様子だったが、神居はそのまま言葉を進めた。
「なら決定ね。ま、怪我しないよう頑張ってね」
そう言うと、神居は教室から出て行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神居は放送室の前に立っていた。ついさっきまでそこで座って物騒なことを話していたのなら、まだいる可能性もある。そう考えた神居は真っ先にここに来たのだ。神居がいる場所は校舎の4階に位置し、放送室の横にはコンピューター室があるぐらいで非常に寂しい階である。念のため、向こうが抵抗してきた時の事を想定して調理実習室から拝借した出刃包丁を使うつもりだ。
結局、この放送が本当かどうか神居にとってはどうでもいい。ただ、そこに人がいて、尚且つその放送の関係者であるならば徹底的に蹂躙する。モラルや人権など知ったことではなく、やったことを後悔させるつもりでいた。 幸いなことに扉に鍵はかかっておらず、ぶち破る必要はないようだ。
神居はドアノブに手をかけ、扉を開ける。
「………」
神居が期待していた結果はそこにはなかった。中はもぬけの殻で人っ子一人いないのが現実だった。しかし、神居はある所に気が付く。
「……」
マイクの前に何か大きな箱のような物が置いてあった。よく確認するとラジカセだった。すぐに何のために置かれたか神居は理解した。時間が来ると校内に放送が鳴り、話し出すという設定だったらしい。相手もバカじゃない、それを再確認した神居はふと笑みがこぼれた。理由は自分に合った遊び相手を見つけたこと。どんなに壊しても暴れても満たされない物がどこかあった。
「やっとだ……」
しかし目の前にはある。欲しかった物が目の前に…。嬉々とした気持ちを抑えようと神居だったがその気持ちは思ってない所でもっと燃え上がらせることになる。その時、ふとポケットに入れてあった携帯のバイブが鳴った。せっかくの高揚感を台無しにされ、気持ちが萎える神居。黙って携帯を取り出すと、1通のメールが自分に届いていた。
中身を見ると、タイトルの方に『アナタのスキル』と言う一文があった。神居はついさっきスピーカーの声の主が言っていたことを思い出した。個人にメールを送ってスキルを教える。確かそのようなことを言っていた程度にしか覚えていない。
「なるほどね」
そう納得すると内容を確認した。
『おめでとうございます。あなたのスキルは『略奪者(グラトニー)』でございます。このスキルは相手のスキルを奪取することができ、使い方によっては誰をも超越することができるでしょう。『略奪者(グラトニー)』の使用方法はーーーー』
神居は全部読み終えると、携帯をそっとポケットに突っ込んだ。しばらく黙ったまま俯くが、その体は少し震えていた。ああ、なんともおぞましい。こんなゲーム嘘であって欲しくない。神居はそう思いながら、口をゆっくりと開く。
「狂ってるね、これ。最高に……最高だ」
- Re: リアルゲーム ( No.11 )
- 日時: 2016/02/14 18:17
- 名前: 電波 (ID: JIRis42C)
放送室をあとにした神居は3階の廊下を歩いていた。廊下は誰かが暴れたのか窓ガラスの破片やら誰かの荷物やらが沢山散乱するなどの荒れ具合だった。そして、極め付けは教室に1人は必ず死体が置いてあることだ。これには神居も心が躍る。
ゲームが開始されて1時間経ったが、神居もここまで劇的に状況が変化するなんて思いもしなかった。精々呆然とした顔をして席についてる具合だろうと高を括っていたのだが存外にも人というのは思ったより醜かったようだ。
高揚する気持ちを抑えながらそのまま探索を続けたが特にあったものは死体ぐらいのもので武器になりそうなものはなかった。
「ちぇっ、つまんないの」
子供のようにそう言い残しながら神居は3階の探索は終了し、2階へと移動した。2階は3階と比べてまだ綺麗な方だった。窓ガラスは割られておらず、廊下に散乱する物は少しだけだ。これは期待が薄そうだ…と神居はそう思いながら廊下を歩き始めた時だった。
ふと視界の端に教室が映り込んだ。
「……!?」
一見何もない普通の光景のように見えたが教室の中の物が異常だった。死体がそれぞれの机の上に置かれていたのだ。数は3階の生徒の比ではなく、クラスの大多数がそこに並べられていた。しかも、殺され方は皆んな一緒で全員腹を切り開かれている。内臓は飛び出し、苦悶に歪める死体の表情は神居の破壊衝動をくすぐった。あまりにも見た事のない殺され方ゆえ、彼の股間が反応した。彼に死体を犯す性癖はないが、この狂った死に方を見て興奮はした。今の状況ならこんな殺し方ができる。武器があり、生存者を見つければ色々な殺し方を模索できる。その可能性を目の前にした神居は絶頂寸前だった。
その時、コツ、コツ、と誰かがこちらに向かって歩いてくる音がした。神居はすぐさま現実に戻り、音のする方へとゆっくり視線を向ける。そこには1人の男子生徒がいた。おかっぱ頭でレンズが割れた眼鏡をかけ、まぶたにはレンズの破片で切ったのか血が滴っている。ちゃんと神居が見えているのか、どこか目が虚ろだった。
「大丈夫、君?」
神居が男子生徒に声をかけた。それは神居が彼を心配しての言葉でなく、そう言った方が良いと思っての言葉であった。すると、男子生徒の足は立ち止め、ブツブツと何かを言い始める。初めの方は、何を言っているのか分からない神居だったが、耳をすませると。
「減らさなきゃ……人を……数を……人数を………」
明らかにそう言っていた。繰り返しに何度も何度もそう言っているこの状況を見て、この生徒に何を言っても伝わらないことが何となく分かった。この生徒を放っておくのも面白そうだが、さっきのあの光景を見てからどうにも興奮が収まらない。神居はニタリと笑いながら、男子生徒にこう提案した。
「言葉が聞こえているか分からないなけど、僕と仲良くなってくれないかな?」
「減らさなきゃ……人を……数を……人数を……」
「いやぁさぁ、困った人がいてね。僕に周りの人と仲良くしてくれって言われてるんだ。だからできることなら君を傷つけたくないし殺したくもない」
「減らさなきゃ……人を……数を……人数………」
「大体僕は争いごとなんてまっぴら御免さ。痛いし恐いし、良いことなんて1つもないよ。殺し合いなんてよそでやってくれって話だよね?」
その時だった。相手の男子生徒は突如として両手を突き出し、神居の方へと襲いかかる。
「仲良く出来なかったかぁ……残念」
そんな残念そうでもない笑みを浮かべながら、男子生徒の攻撃を躱す。そして、自分の方をそのまま通過しようとする時に男子生徒の前に足を置いた。
うまく男子生徒の足は神居によって引っかかり、その場に倒れた。それを見計らうと神居は制服の裏から包丁を取り出し、彼の体をどこから切ってやろうか考える。
「両腕両脚、全部切り落としてダルマさん状態にしようかな?ああ、でもこの包丁だとさすがに無理だよね……じゃあ、腕の筋肉を一本一本丁寧に切るのはどうかな?」
「減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ減らさなきゃ!!!」
呪文のように繰り返しそう言いながら、床に手を着き起き上がろうとする。しかし、起き上がろうとする男子生徒の背中に片足を乗せ、それを阻む。
「ダ〜メ」
神居は笑顔でそう言うと、ある事を思いついた。
「そうだ、君の背骨を抜き取ろう!」
神居は1度も人の骨を見たことがない。特に背骨なんかは腕の骨や足の骨なんかよりその価値はずっと高いと神居は考えた。腕の骨や足の骨は部類として左右の2つがあるが背骨という部類は1つしかない。
「なかなかにない経験だ。この状況を作ってくれた君に感謝だ」
どんな風なのかが気になる。背骨は引っ張ると簡単に抜けてしまうのか、それとも頑丈でなかなか抜けないのか。そんな楽しみを抱きながら、神居は包丁を逆さに持ち変える。さぁ、この男の背中を是非かっ捌(さば)こうじゃないか。
そう思った時だった。
「減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす減らす!!!」
「やめなよ、うまく切れなくなるじゃないか」
取り憑かれたように男子生徒は言うと、体を動かし始める。必死に足に力を込め動きを止めようとするが相手の力が尋常じゃなく止めることができない。このまま男子生徒の背中に足を乗せておくのは危険だと判断した神居は一旦男子生徒から距離をとった。
男子生徒はすぐさま立ち上がる。その際、床に手を着く時、男子生徒の手を中心に僅かに煙が上がった。
「………」
それを見た神居は少しは動揺したものの、すぐに納得した。
(スキル……ねぇ。確か全校生徒に配布されたらしいけど、彼の手もそれによるものか)
神居はこれからどうするか思考する。相手のあの手は触れればヤバいことになるのが目に見えているが、近づいたらこちらまで致命傷。どの道こうなるなら仕方がない。なら、と神居は相手に向かって走り始めた。手元の包丁を振り上げ、一旦溜めてから、放つ。包丁は回転しながら男子生徒の横腹に突き刺さる。
「ぐぎぎっ!?」
一瞬だけ、相手が怯んでる隙に男子生徒の後ろへと回り込み、彼の頭を左腕で絡め横へと傾ける。男子生徒も抵抗とばかりに神居の左腕を掴む。瞬間、ジュッと焼ける音や焼けるような痛みと共に左腕の感覚が急速に消えていった。
「左腕はあげるよ」
けど、と付け加えながら神居は大きく口を開けた。
「君のもちょうだい」
神居の大きく開かれた口は男子生徒の喉元へと喰らい付いた。
- Re: リアルゲーム ( No.12 )
- 日時: 2016/02/14 18:24
- 名前: 電波 (ID: JIRis42C)
神居が戦闘を繰り広げているその同時刻。場所は変わり、1階の廊下にて。勝平と服部は一階の廊下を歩いていた。2人の手には購買にあった残りの携帯食料と数本のペットボトルが入ったビニール袋が握られている。だが、たったこれだけの食料と水だけでは1日としても持たない。
「これからどうする、カッペ?」
冷静な表情で聞く服部。
「……そうだな、まずこの食料をどうにかしないといけないな。このまま誰かに持っているのを見られると奪い合いになりかねないし」
「それなら用務員室は?あそこなら人はあまり通らないし、もしもの時は中で生活もできるぞ。あの部屋には一応、必要最小限の物も揃ってるからさ」
それはおいしい話だ、と思ったと同時に勝平の中である疑問が生まれた。疑問と言ってもすでに確信に近く、しかも呆れた様子で問いかける。
「なんで知ってる?」
服部はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりの笑顔を浮かべつつ親指を立てて、こう切り返した。
「1度そこで寝泊まりした」
やっぱり、と溜め息を吐く勝平。なぜそこで寝泊まりしたのか追求したくなったが服部の無邪気な笑顔を見ていて、聞くだけ無駄だと判断し、心に留めておくことにした。
「じゃあそこに食料を保管するか。それと、もしも他の奴が入ってきた場合のことも考えてバレない所に置く必要もあるな」
「それならあるぜ。確か天井の隅っこに四角の隙間があってさ、それ軽く押すと簡単に外れるんだよ。中覗いてみると結構広いみたいだし、そこに食料隠すのはどうだ?」
服部の言う案は悪くはなかった。むしろ良い方だ。しかし、勝平の表情はどこか複雑だった。
「やっぱダメか?」
「いや、まぁ……良い隠し場所だとは思う。食料を隠す点については解消されるのは良いことだ。けど……」
「けど?」
「ネズミとかに食われたりしないかなぁ……」
確かに天井裏には様々な魔物が潜んでいる。ネズミやゴキブリ、クモにムカデなど害虫やら害獣やら敵が多い。服部がオススメするその場所にもその魔物がいないとも限らないし、最悪の場合は封を開けてみたらそこにいましたなんてこともありかねない。
「カッペ……場所変えよう」
「……うん」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
用務員室にて。この用務員室は1階の校舎の一番左端に位置している。この学校の用務員室は朝昼と長時間の労働があるものに対して設けられている部屋である。普段は交代制であり、用務員は校舎の裏のこじんまりとした一室を使っている。あまり使われない部屋のうえ設備の良い部屋ゆえに、他の生徒や教師からは無駄部屋の通称として呼ばれている。
服部は扉を手慣れたように開け、中の様子を確認する。中はあまり使われていないせいかホコリが軽く積もっていて、部屋もきれいに整頓されていた。
「それにしても久しぶりだなぁ。一年の夏休み以来だっけな、ここに来るの」
陽気な声で服部は中へと進む。後に続きながら、勝平は部屋の様子をまじまじと眺める。部屋には蛍光灯、テレビ、、エアコン、水道、トイレ、ベッドなど学校では贅沢過ぎるほどの設備だった。しかも、床は木でできており、誰かの家にでも上がりこんだ錯覚を受ける。ヤッホー!と言いながらベッドに飛び込んでホコリを撒き散らす服部を無視しながら様々な考察をする。この部屋の位置、備え付けられた家具や部屋の設備。しばらくすると勝平は服部の方へと近づく。
「確かにこの部屋は良いな。生活するには打ってつけの場所だ」
「だろ?」
「ああ。それに、打ってつけの隠し場所も見つけた」
服部が目を見開いた。
「マジか!?どこどこ!?」
顔をあちらこちら向ける服部。勝平は下だよ、とでも言うように人差し指を下に向ける。
「お前がくつろいでるところだよ」
「え?」
ベッドを見る服部。これのどこに隠せる場所があるのだろうか?服部は疑問に思いながら勝平を見る。しかし、勝平は至ってふざけている様子ではない。むしろ真剣そのものだ。
「ちょっとどいてくれ」
「お、おう」
言われた通りに服部はそこからどく。勝平は何も言わず、ベッドを剥がし始めた。最初は布団から、次に敷き布団、次にクッション。そこまでいくと勝平は動きを止め食料をそこに置いた。
「そこに隠すのか?」
「ああ、ここなら見つからない。クッションが下にあれば上からの圧力は全部吸収してくれるから形が崩れる心配もない」
「でも寝たら感触でバレるんじゃないのか?」
「大丈夫だ。敷き布団自体が厚いから感触なんて感じない」
おお、と声を出す服部。
「じゃあ、そうと分かれば俺もそこに隠すか!」
「ああ、そうしろ」
こうして服部はベッドの下に食料を隠す事にした。
————
用務員室をあとにし、勝平と服部は1階の廊下を歩いていた。お互いに会話もなくただ進んでいく。黙っているのが耐えきれなくなったのか服部は口を開いた。
「なぁ、カッペ。そう言えば俺たちになんかメール送られて来なかったっけ?」
メール、その単語に心当たりがあるのはゲーム開始時に送られてきたアレのことだろう。以前、勝平がメールの中身を確認しようとしたところ中島の乱入によって見れていなかった。
「ああ、スキルだっけ?まだ見てないな」
「早いうちに確認しておいた方が良いぞ。早く自分の武器を見つけておかないと一方的に殺られちまう」
服部の口ぶりからして勝平は何となくそれが理解できた。
「服部はもう見たのか?」
「ああ、見たぜ」
やっぱりそうだったか、と内心そう呟きながら目を閉じた。スキルを与える。いかにも胡散臭(うさんくさ)そうな話しだが、一応中島の件がある。彼は何も使わず触れたものをドロドロに溶かしていた。あれを見てしまっては勝平は信じざるを得ない。
「どんなスキルだった?」
あまり気乗りしなかったのか、ハァと溜め息を吐きながら勝平に携帯を渡した。勝平は無言で受け取ると、メールの内容を読んで目を細める。 内容はこうだ。
『おめでとうございます。あなたのスキルは『強靭鬼(ブロックロック)』です。このスキルは体の一部を硬化させることができ、防御はもちろん、攻撃に転じて使うことができます。使用方法は硬化させたい箇所を念じることで発動します』
メールを読んでいる限りではとても良い能力だ。汎用性も高く、真正面からでも普通に戦える。これのどこにヘコむ要素があるのか勝平は不思議でならなかった。勝平は無言のまま携帯を服部に渡した。
「で、どこに不満があるんだ?」
服部は俯くと、小声で言う。
「これってさ、下ネ———」
服部が言い終わる前に勝平は無言のまま彼の顔面に一発食らわせた。
- Re: リアルゲーム ( No.13 )
- 日時: 2015/03/23 20:59
- 名前: 桃猫 (ID: hU7A6qqd)
こんばんは!
気になる終わり方ですね…
服部×勝平もいいですけど、神居の方も気になります…
また言いますけど、勝平の冷静さ…イイです!
更新頑張って下さい^^
- Re: リアルゲーム ( No.14 )
- 日時: 2015/03/24 06:51
- 名前: 電波 (ID: dFTsrC3s)
桃猫さんへ
コメントありがどうございます!
勝平と服部のコンビは自分の中で気に入っています。
ぶっちゃけこの2人を書いてる時が一番楽しいです!
それと、神居の話は明後日には更新できると思います。
よろしかったら見に来てください!
頑張って更新していきたいと思います!
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