二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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CLAYMORE 運命の道筋
日時: 2012/08/14 21:07
名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: ???)  

プロローグ

「いつの世も戦士とは、多くのものを背負っている 」
そう、その男は静かにゆっくりと語った……
一体、どれ程の修羅場を潜り抜けてきたのか、
どれ程の屍の山を乗り越えてきたのか。
彼の纏う気迫と眼差しには、
それは、本当の地獄と悲しみを知る者だけが持つ……
凄みというものが有った。

とうに過ぎ去った時間の中で、
焼き付いて離れず逆光する記憶と痛みは、
とてつもなく深く、悲しく、忌まわしく
そして、懐かしい思い出でもあった。

全てを失った男は大剣クレイモアを取った。
それが例え、血で血を洗う呪われたものあったとしても、
醜態を晒してでも、そうしたかったのだ。
己が生き長らえるが為に……

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Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.276 )
日時: 2013/11/01 23:06
名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)  

あれから、百年たった今でも思う……
もし、あの当時。
一人で良いはずの一桁ナンバーをニ名も集められた事。
そのうえ、四人でのチームだという
その理由に気づいてさえいれば。
百年のちの惨事を…
自分らと後輩である彼女達を救えたのだろうか?
そして、あの哀れな少女を人のまま生きらせれたのだろうか?

Scene34 慟哭の剣

今でこそ、殺戮と復讐に生きる彼らは。
かつて、裕福でかなりの力を持つ貴族の子息だった。

放浪の民である妾を母に持つ兄ランドルフ。
貴族である正妻を母に持つ弟レーヴァント。

二人は母親も、立場も、将来も違ったけれども、
普通と兄弟のように、掴みあいや殴り合いの喧嘩もした。
庶民派の父親からは平等に叱られ、平等に教育され。
そして、平等に我が子として愛された。
まあ、正妻の子で正統な後継ぎだったレーヴァントには厳しかったけれど。
お互いの母親も仲が良く、賢く優しい母だった。

他の貴族のように腹の探りあいも、
領地問題も、家族の問題なく穏やかで平穏そのもの。
まるで、まるで絵に描いたような幸せだった。

しかし、分家である叔父一家がやってきた。
その日……
二人は、一夜にして住むべき家を、家族をうしなった。

二人は幼いが故に妖魔という化け物に何も出来ず。
ただ怯えて、逃がされるるだけだった無力な自分を憎んだ。
その全ての原因…
家族を奪い、幸せを壊した妖魔らに憎悪と殺意を覚えた。
だから、彼らは固く誓ったのだ。

“ 憎い……
  殺してやる……。
  家族を奪った奴らに死を。
  復讐を。
   殺してやる 殺してやる 殺してやる。
  奴を滅ぼして、敵を討ってやる!! ”

灼熱の炎のように激しい怒り。
泥沼ようにぬかるんだ憎悪。
そして、かけがえの無いものを失った事への悲しみの感情の羅列の中で。
慣れない孤児としての路上生活に。
絶望と飢えの中で、のたれ死ぬしかなかった運命は。
十とそれに満たない幼い子供にどれだけの憎悪与え。
辛酸を舐めさせただろうか?

その筆舌にし難い復讐心に底があるのだろうか?

少なくとも、彼らを復讐の殺戮に導いたのは。
妖魔に全てを奪われた。
それが、全ての始まりだった。


続く



後書き

お久しぶりです(本編が)。

Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.277 )
日時: 2013/11/05 03:21
名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)  

商隊が見た光景は余りに異様なものであった。
最初は、豆粒くらいの人影が商隊目掛けて真っ直ぐ駆けてくるのが分かった。
「何事か?」「盗賊が警らに追われているのか?」と思い。
やぶれかぶれの盗賊に人質にとられないよう警戒する間もなく。
それは、やってきた。


Scene35 慟哭の剣2

「!
 あれは、まさか…妖魔かっ!? 」

「ひいっ!
 お、おい! 逃げるぞ!! 」

盗賊どころじゃない。
早く逃げねば。
最近、少しずつ広まってきな噂が本当なら。
自分らは、生きたまま食い殺されてしまうだろう。
そう思った商人達は、命には変えられないと荷物を捨てて
各々、バラバラの方向へと逃げるけれど。
一人の若い商人見習いの足がもつれ、バタリと転んでしまう。



「チ…チクショウ…。
 ナンナンダ アイツハ……
 所詮、半端モノダカラッテ。
 安心シテイタラコノザマダ…… 」

頭に毛がない茶色の服を着た個体は、
息を切らせながら、半ばから千切れた腕を見つめながら言う。

「オレガ知ルカ!
 アレハ、人間ノ姿ヲシタ化ケ物トシカイエネーヨ!! 」

毛が無い個体の問いに、茶色い毛がはえた。
片目と両腕を根こそぎ失った個体は答える。

「オイ、マダ追ッテキテイルノカ?
 ン…アレハ? 」

ふと、遠くを見やると。
自分達をいち早く見つけたのか。
荷物をほうって蜘蛛の子を散らすように逃げる商人達が。

「オイ、アイツ転ビヤガッタゼ!! 」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それから遅れること一分ほど。
まるで縫うかのように、妖魔達にとっての死神は遂にやって来た。

「へぇ……
 青い面してるソイツは人質のつもりか? 」

「ギヒヒ、ソウサ……。
 コチラ…イヤ、化ケ物側ニナッタトハイエ。
 所詮ハ、元人間ノマガイモノダカラーー 」

形勢逆転といわんばかりに、ニタニタと不気味に嘲笑う毛の無い隻腕の妖魔。
その余裕の表情は人質にしてみれば、恐ろしくも陰湿で。
いつ、妖魔の気が変わって喰われるか。
あるいは、殺さやしないかと肝が冷える思いである。

「(人質さえあれば、下手に動けないだろう…
 何せ、噂ではクレイモアは人を殺せないらしいしな)
 ククッ……
 残念ダッタナ、化ケ物ミタイナ半端野郎? 」
 
「はあ?
 何を言うかと思えば、そんな陳腐なフレーズしか言えねぇのか。
 いい加減、もう少しマシな知恵使えよ 」

その、乱暴な口調の戦士は妖魔の言葉に白けたらしく。
非常につまらなそうに、右耳を指でほじる。
それの態度に対して妖魔逹は怒りを覚えるよりも、
どこか、何かは分からないが恐怖を覚えざる得なかった。

「ま、いっか。
 こんな、あんぽんたんに何を言っても時間の無駄だろうし…… 」

「コノ……! 」


続く


あとがき

すみません、またも切ります!!

Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.279 )
日時: 2013/11/14 22:58
名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)  

幕間 見習いの証言

運悪く転んでしまった俺は信じられない光景を見た。
既に血で顔や手足を濡らし、赤く染まった異質な装備を着た…
二本の大きな剣を背負う粗暴な男…

ソイツは、ただえさえ。
重いだろう二本の大剣を、
木の枝を振り回すかの如く軽々と持ち上げたばっかりか。
目にも止まらない、影すら見えない速さで斬ったんだーー

ーー まるで、化け物以上の化け物のように。

…兎に角、銀の目のソイツは悦に入った面で。
まるで、ほらアレだ。
よくあるじゃないか、命の大切さをしらねえガキんちょが蝶の羽根をむしるだろう?
そんな感じにソイツは肩の肉を、腹の肉を、と…
少しずつだが、肉がじわりじわりと削っていったんだよ。

その度に妖魔は、畜殺される豚のような悲鳴をあげ。
ソイツは狂気的に笑いながら、全身を返り血を浴びていた。

「ギィヤヤヤヤヤッッッ!!!
 ヤ、止メテクレ!
 ゴロザナーー 」

ビュン!

最初は何が起こったのか、分からなかった。

ただ、理解出来たのは。
風を切るような音がした気がした。

そして、一呼吸もおく間もなく。
あっという間に、妖魔が拳くらいの細切れの肉塊にされた事だけは事。
それだけは理解する事が出来た。

そして、俺を人質にしてる妖魔の様子が。
何だか、おかしいなと思って。
ゆっくりと視線だけで、後ろを見るたんだ……。

(何もいない?
 いや、まだ拘束されてるし。
 何か、おかしい……)と思い。

バッと、思いっきり後ろを振り返ると。
なんと!
妖魔から首がなくなってて……。
青みがかった血が勢いよく、吹き出してきた。

それこそ、まるで沈むかのように……。
ソイツに。
血まみれのクレイモアに惨殺された光景を俺は見たーー

「……仕事は成したぜ。
 後から、真っ黒い服の怪しい野郎が来るから。
 ソイツに金を渡せば良いって、ノートルの町の町長に伝えろ 」



続く


あとがき

さっき、トーマスが二人いる事に気付きました。
何というミスでしょう……
ひとまず、書き直しか消去でしょうが。
う〜ん………

Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.280 )
日時: 2013/11/15 20:00
名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)  

お知らせ

あれから、色々考えた結果。
転生者のお話は一旦、削除したのち。
本編を多く執筆しつつ、
転生者抜きの改正版を執筆したいと予定おります。
あと、もし宜しければ。
この作品の良い・悪い所、感想を下さるとありがたいです。
※荒らしはおことわりです!

Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.281 )
日時: 2013/11/20 22:37
名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: xlzTc90W)  

過去は戻らねぇとわかってるから。
オレらは妖魔どもを心底、憎悪し…
人間を助けるんじゃなく自分らの為に、復讐を理由に惨殺する。
昔。
無力なガキだったテメぇをも、憎むように ーー

Scene36 時の螺旋

もしも、時間が戻るのならば。
本を読み返すように過去をやり直せるのならば。
人間は、自分は、何をするだろうか?
失敗した過去をやり直すか?
あるいは、人生の分岐点で選択しなかった方を選ぶのか?
あるいは、相手より先に何かを成して欲しいものを手に入れるのか?
はたまた、なくしたものを取り戻すのだろうか…?
…と、誰もがそう思い・願うだろう。
だが、いずれも想像の中でしか無く。
天地がひっくり返る事が無い限りは、決して叶う事は無い。
ーー それが例え、運命に。
免れれぬ死の運命に翻弄されたが故に、
家族と永遠に引き裂かれたのだとしても……。

それは、彼とて同じ事だった。
理屈では、それを理解してはいるけれども…
平穏を、家族を、友人を、全てを奪われた
あの日の、あの夜に戻りたい。
そして、あの憎い妖魔らを殺してやりたい。
それを何度、願った事か。
最後に、それを願ったのはいつだったか。
それすらも分からなくなったのは、いつだったか?
その答えはない。

ザアザア…

まるで滝のように天から地に、激しくふり注ぐ雨音が。
強い風に煽られて、さらに激しさを増してゆく。

そんな嵐の夜の。
猟師すら立ち入らない深い、深い山奥の洞窟に彼と黒は居た。

「ーーと、あの見習い商人は言っていたが。
 それは、間違いでは無いのだな? 」

曰わく。
報告に偽りが無いかと確かめるべく尋ねた件の見習い商人は。
実年齢のそれより三十歳も老けこんだ顔で、
常人してみれば、電光石火の早業よりも疾く(とく)。
戦士にしてみても極めて陰惨な戦い方をする。
その戦士…血濡れのランドルフを極端に恐れ。
これより先は、訊く事は無理だと判断したと。
ランドルフを担当する黒服は、いつもと同じ淡々とした口調で語る。

「だから、言っただろう。
 “何も、問題はねぇ ”ってよぉ? 」

一般人を怖がらせた事に、悪びれる様子もなく。
ランドルフは、しれっとした気楽な口調で答える。

「……だろうな 」

「じゃあ、何で訊くんだ。
 きちんと掟は守ってんだろうが? 」

「…一応、念の為だ。
 気にするな…… 」


続く

後書き

珍しく……


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