二次創作小説（紙ほか）
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- ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【完結】
- 日時： 2018/05/18 22:52
- 名前： テール （ID: X9g0Xy3m）
- プロフ： http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=910.jpg
ストーリー
大陸ポケタリア・・・
人の代わりにポケモンが暮らす大陸。
その大陸は４つの国に分かれ、ポケモンたちは静かに安らかに暮らしていた。
竜国と呼ばれし国、レヴィア王国。
平和と安寧を求める、ディーテ共和国。
己と他者を信じる、ルフト・ド・ドレール連合王国。
欲望と野心が支配する国、ディクシィ帝国。
それら４つの国は、互いを認め、平和を保っていた。
しかし・・・その平和は音を立てて崩れ去る・・・
はじめまして！テールと申します！
こちらの小説は、擬人化したポケモンたちの軍事・戦記ジャンルの物語です。
王道を目指して描きますので、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
某サーガ風(SRPGのサーガ)の作風となっておりますので、原作ポケモンを知らない方でも
きっと読めるはず(投げ槍)です。多分きっと。
基本戦争なので、人がバンバン死にます。
若干の流血表現やポケモンとは思えないドシリアスな雰囲気にご注意ください。
現在、別名で動画やゲーム版も制作中です。
参考資料
登場人物 >>1
サブキャラクター >>7
オリキャラ シャドー♯ЧШЮ様 >>5>>42
ルルミー様 >>22>>30>>58
パーセンター様 >>64
専門用語 >>2
武器種・専用武器・神器 >>16
クラス解説 >>3
種族解説>>102
目次
序章 竜国陥落 >>8>>14
断章 聖戦の伝承 >>15
第一章 テオドールの出撃 >>17-20
第二章 海賊の島 >>21>>24>>27-29
第三章 鉱山の制圧 >>32-35>>39
第四章 難攻不落の都 >>41>>45>>47-49>>55>>62-63>>70>>72>>75-76
第五章 きょうだいの絆 >>77-78>>83-85>>88>>92-96>>99-101
間章 進むべき道 >>103
第六章 少女の歌声 >>107-108>>114-115>>118-119
第七章 雪を纏う椿 >>121>>126>>129>>134-135>>138
第八章 光を照らす者 >>139-140>>143-148
第九章 復讐の剣 >>149-152
第十章 残酷な騎士二人 >>153-155>>158-159
第十一章 砂塵の司祭 >>160-162>>165-168
第十二章 騎士の誇り >>169-172
第十三章 魔女と黒狼 >>173-177
第十四章 姉と弟 >>181-185
第十五章 戦いの終わり >>186-187
断章 叙勲式 >>190
第十六章 闇の胎動 >>191-195
第十七章 真実 >>196-198
第十八章 邪竜の覚醒 >>199-203
第十九章 我が剣は明日のために >>206-207
終章 ポケタリア伝承詩 >>208
あとがき >>209
キャラエピ
「テオドールの過去」 >>106
「アルト、ラーマ、エルドゥの出会い」 >>120
「憎しみの代償」 >>180
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.164 )
- 日時： 2018/04/19 19:45
- 名前： テール （ID: AuRKGmQU）
>>163 ルルミー様
コメントありがとうございます、ありがとうございます！
ちなみに全体的な物語はもうあと半分くらいです。(予定)
ちなみに、アルマの外見が女性っぽいのは、特に理由はなく、
同時にデザインしたアッシュが勘違いするってシチュエーションがやりたくて
あえてそういう風にしてしまったんです。
でもそこだけ考えてあとはどう言う流れにするかっていうのは何も考えてませんでした。(ぶっちゃけ)
ご両親のお名前了解です！
多分次章辺りでハイランド公国について触れたりしますんで、
気長にお待ちください・・・！
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.165 )
- 日時： 2018/04/19 20:45
- 名前： テール （ID: AuRKGmQU）
「殿下」
修道院周辺を見張らせていた伝令兵が、テオドールの下へやってくる。
「どうした？」
「帝国軍と思しき集団が砂漠を渡ってきているのを確認しました。」
「・・・立て続けですね。」
テオドールは顎に手をあてて唸る。
だが、帝国軍には名将クラウスがいる。
クラウスは、暗黒魔法を得意とし、ヒスイとコハク・・・
一部の王国軍を手駒にするほどの手練れだ。
こちらの動きを把握できているのは想定内である。
「数は？」
「およそ600。しかし、後続がいる可能性も捨てきれません。」
「アルト！」
テオドールはアルトを呼ぶ。
アルトはテオドールの声に気づいて、走ってやってきた。
「殿下、どうされました？」
「敵軍がこちらに来ている。知恵を貸してください。」
「っ・・・！承知しました！」
アルトとテオドール、伝令兵は頭を寄せ合って敵軍を迎え撃つ作戦会議を始めた。
「お兄ちゃん、いいの？・・・命令違反よ。」
「いい、ここいらで奴らを潰さねばなるまい。」
帝国軍を指揮しているのは、かつてフィーを斬った将軍、イアンとその側近であるアイスであった。
「この作戦は砂漠にいるうちでなければ実行できん。
あの修道院で休んでいるという内通者の情報が正しければ・・・
増援をどんどん送り込めば確実に勝てるという寸法よ。」
イアンはそういうと、ふふふと笑う。
「奴らがどの位強くなっているか見物だなぁ。」
アイスはそれを聞くと、表情を変えずに頷いた。
「見えました！奴ら、軍を分けてこちらに向かっています！」
ラーマが上空からそう叫ぶ。
「軍を分けて進軍・・・修道院にいることはお見通しというわけか・・・」
「内通者の可能性は？」
「あるが・・・特定はできないし、千里眼の可能性だってある。」
アルトの危惧にテオドールは唇をかむ。
「殿下！こっちは準備万端ですよ！」
「砂漠だからと言って、この俺の矢が外れることはない。
弟、指示を出せ。」
エルドゥは斧を構え、ティシャルも愛弓を引き始める。
アルマはその様子を見て、前に出る。
「テオドール様、私も。」
「アルマ殿！？・・・・しかし、司祭に戦わせるなど・・・」
アルマはそれを聞いて、不敵に笑う。
「大丈夫ですよ、私はいざとなれば皆さんを癒すこともできますし、
修道院の危機です。私が戦わずして修道院を守れましょうか！」
アルマはそういうと、金色の紋章が描かれた魔導書を取り出した。
そして、騎士団の皆が戦闘準備へと入る。
あとはあちらの出方次第であった。
「・・・・敵軍の指揮官・・・彼は・・・イアン！？」
アルマは、イアンの顔を見て驚く。
「司祭、知り合いか？」
近くにいたディーノが尋ねる。
アルマは一筋の汗を流して頷く。
「私はかつて帝国の魔法学院に通っていたんです。
そこで知り合った友人なのですが・・・」
「説得はできなさそうだな。」
「・・・・おそらく無意味でしょう。ですが・・・」
アルマは拳を握りしめる。
「万に一つの可能性があります、説得を試みてみますよ。」
「わかった、俺も援護する。」
ディーノはそういうと、弓を引いて先制攻撃とばかりに矢を放った。
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.166 )
- 日時： 2018/04/20 23:20
- 名前： テール （ID: AuRKGmQU）
ディーノの放った矢を合図に、テオドールは剣を天に掲げた。
「全軍！帝国軍に向かって進撃開始ッ！」
「皆さん、生きて帰ることを優先し、攻撃開始です！」
アルトも皆に伝令すると、騎士団は雄たけびを上げて帝国軍に向かって進撃した。
帝国軍も騎士団の進撃に合わせ、同じく進撃をしてきていた。
各々武器を打ち合い、激しく金属の音が響く。
「いくわよサラマンダーちゃん！」
クララはそういうと、自慢の「ルーンランス」を構えて愛馬を走らせる。
ルーンランスは、クララが独自に開発し、
女性でも軽く扱いやすくというコンセプトのルーンが刻まれたランスだが、
ルーンに適合できる者がおらず、試作品をクララが使っているというのである。
ランスを持ち、猛スピードで敵軍に突進し、騎士たちをなぎ倒していく。
道が切り開かれ、騎士たちも士気が上がる。
「クララに続け！またとないチャンスだ！」
ラーマは上空から騎士団に指示を送る。
騎士たちはうおぉぉーっ！と武器を構えて突進した。
ティシャルは少し離れた場所で馬に乗り、弓を引く。
「蒼穹フェルノート」は、青く美しく光る。
突如、ティシャルの愛馬である「アルテミス」が嘶いた。
「アルテミス、どうした・・・ん？」
ティシャルは近づいてくる気配を察知する。
姿が見えないが、確実に潜んでいた。
「・・・・なるほどな、「アサシン」か。」
アサシンとは、敵に静かに近づいて急所を狙う暗殺兵だ。
しかし、ティシャルは第六感でアサシンの存在に気づく。
ティシャルは弓を引いて、アサシンを探る。
「そこだ！」
ティシャルは矢を放った。
青い矢は、何もない場所に刺さった。
「・・・！？」
アサシンは驚いて姿を露わにした。
ティシャルは冷静に二本目の矢を放ち、ひゅんと風を切って、
アサシンの首筋に命中した。
「ぎっ・・・！」
アサシンは叫びをあげる暇もなく倒れ、血を流していた。
ティシャルはそれを見ると、また弓を引き、交戦中の帝国軍を狙う。
味方の軍と敵の軍が混ざっているが、ティシャルは
確実に帝国軍だけを狙っていく。
「さすがティシャルさんです・・・」
レイガはティシャルの弓さばきに感心していた。
「でやあっ！」
「っ！！」
レイガを叩き切ろうと、斧を振り下ろす帝国兵。
しかし、レイガはそれを手に持つ剣で受け止めた。
「・・・・アイスブレード！」
レイガは剣に氷の魔力を込め、敵兵の斧を爆発させる。
氷は砕け、丸腰になった敵兵をレイガは斬り上げた。
「ぎゃあっ！！」
腹から喉にかけて切り裂かれた兵士は血を流して倒れる。
レイガは次の敵を睨む。
「僕だって、やればできますから・・・・！」
そういうと、武器を構える。
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.167 )
- 日時： 2018/04/24 12:08
- 名前： テール （ID: a0p/ia.h）
「・・・・ルーネ、外は今どういう状況なの？」
マトイは外から大勢の声を聴いて、窓の外を見る。
ルーネは慌てて、手を振った。
「あ、えっと・・・・！」
「まさか、敵軍が攻めてきてるんじゃ！？」
マトイはそういうと、布を巻いていた「白刀ユキシラベ」を握る。
ルーネはマトイの手を持って首を振る。
「ダメですマトイ！まだ寝ててください！」
マトイは首を振る。
「でもみんなが戦ってるのに、私だけ寝てるなんてできない！」
「あなたは安静にしなきゃダメなんですよ！」
ルーネはマトイを制止しようとする。
マトイはその様子を見て、ふうっとため息をつく。
そして、マトイが安堵した表情を見せた。
その表情を見たマトイはルーネの腹を思いっきり殴る。
「ぐっ・・・・マト・・・」
「ごめんルーネ、私・・・・」
マトイはルーネをベッドに寝かせて、短剣を持って外へ出る。
アルマは魔導書を開き、手を帝国軍に向かってかざす。
「ブリェスチェーチ！」
アルマはそう叫ぶと、地上に大きな魔法陣が浮かびあがり、
魔法陣からカッと空に届くくらいの光の束が帝国軍を包む。
「断罪の紋章よ、彼の者を救い給え！」
アルマはそういうと魔導書を閉じる。
光は晴れて、光に包まれていた帝国軍の兵士たちが皆倒れていた。
「道は開けました、今が好機です！」
アルマはそういうと走り出す。
「アルマさん！？」
「すみません、アルト殿！先行させていただきます！」
マトイは、敵に気づかれないように息をひそめ、敵の大将に近づく。
鎧を着た大男・・・イアンが斧を地面に突き刺して、帝国軍の様子を見ていた。
「・・・チャンスは一度しかない！」
マトイはそうつぶやくと、ユキシラベを握りしめる。
「差し違えてでも・・・！」
マトイは男が明後日の方向を向いたので、突進した。
「はあぁぁぁっ！！」
「何っ、いつの間に！？」
マトイはイアンの首筋を狙い、斬りつけようとするが、手に持っていた斧で防がれる。
「小娘、奇襲とは確実に勝てる相手でなくては意味がないぞ」
「っ・・・！」
マトイは宙がえりでイアンとの距離をとる。
「お兄ちゃん！」
「アイスか・・・ちょうどいい。この小娘を叩くぞ。」
「うん。」
アイスは頷くと、黒い魔導書を開く。
「魔術！・・・一筋縄じゃ行かなくなったわ・・・！」
マトイは懐のクナイを手に持つ。
「ブラックガイド」
アイスはマトイに向かって手をかざす。
黒いローブを羽織る骸骨の顔をした死神が巨大な鎌を持ち、
マトイに向かって斬りつける。
マトイはクナイをアイスの魔導書に向かって投げつけ、鎌の攻撃を避けた。
「・・・！？」
アイスは驚いて、魔導書を手放す。
魔導書にクナイがしっかり刺さり、使い物にならなくなってしまった。
「魔導書を狙って動きを封じ込める、か。
考えたな・・・だが。」
イアンはマトイの背後に回って、マトイの首を掴む。
「がっ・・・！い、つのまに・・・・！！」
「貴様が遊んでいたころに、だ。
貴様の首をへし折れば、貴様は確実に死ぬな、感謝するといい。」
イアンはマトイの首を握る手に力を込める。
「・・・・くっ・・・・」
「ディライト！」
「うおっ！？」
突如、イアンに閃光が走る。
その拍子に、マトイを放してしまった。
「イアン、見つけましたよ！」
「・・・・アルマ、か？」
黄色の表紙の魔導書を持つアルマがイアンの下へ走ってやってきた。
「なぜあなたがこのような真似を・・・・！？」
「ふん、軟弱な貴様には関係あるまい！」
イアンはアルマの言葉を斬り捨てる。
「・・・かつて、大陸の光となる・・・そう誓ったはずです。」
「人とは変わるものよ、アルマ。貴様はいささか遅いのだ。」
アルマは瞳を閉じ、魔導書を開く。
「・・・・わかりました、私はあなたを全力を以って止めます。」
マトイはアルマの様子を見て、ハッと気づき、イアンにクナイを投げる。
イアンは斧でクナイを斬りおとした。
「そのような攻撃が通じるか！」
「わかってます、そんなこと！」
マトイはイアンに対して攻撃を仕掛ける。
イアンとマトイは武器と武器を打ち合い、金属音が鳴り響いた。
アルマは詠唱が終わり、手をイアンと戦意喪失したアイスに向かってかざした。
マトイはそれに気づき、宙返りで後退する。
「断罪の紋章、ブリェスチェーチ！」
イアンとアイスの足元に大きな魔法陣が浮かび上がり、
魔法陣から光の束が集まってイアンとアイスを包み込んだ。
「うおぉぉーっ！！？」「きゃあぁぁーっ！！」
二人は同時に悲鳴を上げた。
そして光が晴れて、二人はその場に崩れ落ちる。
「イアン、降参してください！あなたの負けです！」
「く・・・・ふっ・・・・ははははっ！」
イアンは突如笑い出し、斧をアルマに向かって投げつけた。
「ならば貴様の首を狩るまでよ！」
「っ！！」
斧はアルマを狙った。
しかし、マトイはそれを真っ二つにして斬った。
「ちっ・・・」
イアンは舌打ちをして、立ち上がる。
「撤退だ、アイス。軍にも伝えろ。」
「・・・・。」
アイスはボロボロになりながら、魔導書を開き、帝国軍に撤退するよう呼びかけた。
「アルマ、今日のところは貴様に免じて撤退してやる。
だが、次に会う時は貴様は確実に死ぬ。覚えておくがいい。」
イアンはそういうと、振り返って歩き出した。
「イアン・・・」
アルマはそうつぶやくと、ふうっとため息をついた。
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.168 )
- 日時： 2018/04/24 12:07
- 名前： テール （ID: a0p/ia.h）
騎士団はほとんど傷がなく、帝国軍が撤退してくれたため、被害が少なかった。
そして、アルマはマトイに厳しい態度で診ていた。
「マトイさん、あなたはとんでもないことをやらかしてくれましたね！
ルーネさんを気絶させてまで敵陣のど真ん中に入り込むなんて・・・
無茶にも程がありますよ！」
「ご、ごめんなさい！」
マトイはベッドから上半身だけ起こしてアルマに謝る。
ルーネは慌てて手を横に振る
「いえ！私は・・・」
「あ、ルーネさん、今はちょっと黙ってくれませんか？」
「あ、はい・・・」
アルマの気迫ある笑顔に思わずたじろぐルーネ。
「確かに帝国軍が攻めてきたから驚いたのはわかります。
ですがあなたは病人ですよ！
もし万が一砂漠の真ん中で倒れてみなさい！
騎士団の皆さんに多大な迷惑を被ることになっていたんですよ！」
「う・・・ぐっ・・・・」
マトイはうつむいて反省の意を見せる。
アルマははあっとため息をついてから、続けた。
「あなたは騎士団の一員ですよ。
行動一つ一つに、騎士団の命がかかわることを肝に銘じてくださいね。」
「は、い・・・」
マトイはしゅんと小さくなっていった。
ルーネはアルマにあわあわとした様子で咎める。
「あの、こうして無事だったんですから、結果オーライってことで・・・
それに、マトイもこうして反省していますし！」
アルマは困ったように微笑んだ。
「まあ、反省していただけたのでしたら、あと3日は休んでくださいね。」
「はい、すみませんでした。」
マトイは頭を下げてアルマを見送った。
「ルーネもごめんなさい。」
「いいんですよ、私も同じ立場だったら、マトイと同じことをしてたかもしれないです。」
ルーネとマトイは笑い合った。
「でも、もうあんな無茶はしないでくださいね。
マトイだって騎士団の一員なんですから。」
「・・・はい。」
ルーネはマトイの両手を握る。
ルーネの肌の温かさが腕に伝わり、マトイは安心感が広がった。
そして3日後・・・
マトイの容体は安定し、アルマはマトイの様子を見てテオドールに報告する。
「マトイさんはもう大丈夫みたいですね。
水分補給を怠らなければ、マトイさんの頭の溶けない氷が彼女を守ってくれるはずです。」
「溶けない氷は、水を飲むだけで大丈夫なのですか？」
「あれはユキメノコ族の命の結晶のようなもの。
体内の水分が一定以上達していれば、半永久的に彼女を守ってくれます。」
「なるほど・・・了解しました。」
テオドールはそういうと、旅立つ準備をしようと振り返る。
そこへアルマはテオドールに声をかけた。
「お待ちください、テオドール様。」
「どうしましたか？」
テオドールは首をかしげてアルマを見る。
アルマは胸に手をあてた。
「よろしければ、私を騎士団に加えてもらえませんでしょうか？」
「・・・・アルマ殿が？」
アルマは頷く。
「はい、先日の帝国軍を率いた将軍は、私の友人でして・・・
かつて彼は慈悲のある方でした。
彼があのように残酷になってしまったのは何か理由があるはず・・・
私はそれを確かめねばなりません。」
アルマの瞳を見るテオドール。
決意に満ちた瞳で、まっすぐこちらを見ているのがよく分かった。
「わかりました、それではアルマ殿・・・
あなたを騎士団の一員として加えます。」
「はい、よろしくお願いいたします。」
アルマは笑顔でテオドールを見た。
かくして、砂塵に包まれた修道院を巻き込む争いは終わり、
テオドール騎士団は、東へと進み始めたのである。
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