二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【完結】
- 日時: 2018/05/18 22:52
- 名前: テール (ID: X9g0Xy3m)
- プロフ: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=910.jpg
ストーリー
大陸ポケタリア・・・
人の代わりにポケモンが暮らす大陸。
その大陸は4つの国に分かれ、ポケモンたちは静かに安らかに暮らしていた。
竜国と呼ばれし国、レヴィア王国。
平和と安寧を求める、ディーテ共和国。
己と他者を信じる、ルフト・ド・ドレール連合王国。
欲望と野心が支配する国、ディクシィ帝国。
それら4つの国は、互いを認め、平和を保っていた。
しかし・・・その平和は音を立てて崩れ去る・・・
はじめまして!テールと申します!
こちらの小説は、擬人化したポケモンたちの軍事・戦記ジャンルの物語です。
王道を目指して描きますので、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
某サーガ風(SRPGのサーガ)の作風となっておりますので、原作ポケモンを知らない方でも
きっと読めるはず(投げ槍)です。多分きっと。
基本戦争なので、人がバンバン死にます。
若干の流血表現やポケモンとは思えないドシリアスな雰囲気にご注意ください。
現在、別名で動画やゲーム版も制作中です。
参考資料
登場人物 >>1
サブキャラクター >>7
オリキャラ シャドー♯ЧШЮ様 >>5>>42
ルルミー様 >>22>>30>>58
パーセンター様 >>64
専門用語 >>2
武器種・専用武器・神器 >>16
クラス解説 >>3
種族解説>>102
目次
序章 竜国陥落 >>8>>14
断章 聖戦の伝承 >>15
第一章 テオドールの出撃 >>17-20
第二章 海賊の島 >>21>>24>>27-29
第三章 鉱山の制圧 >>32-35>>39
第四章 難攻不落の都 >>41>>45>>47-49>>55>>62-63>>70>>72>>75-76
第五章 きょうだいの絆 >>77-78>>83-85>>88>>92-96>>99-101
間章 進むべき道 >>103
第六章 少女の歌声 >>107-108>>114-115>>118-119
第七章 雪を纏う椿 >>121>>126>>129>>134-135>>138
第八章 光を照らす者 >>139-140>>143-148
第九章 復讐の剣 >>149-152
第十章 残酷な騎士二人 >>153-155>>158-159
第十一章 砂塵の司祭 >>160-162>>165-168
第十二章 騎士の誇り >>169-172
第十三章 魔女と黒狼 >>173-177
第十四章 姉と弟 >>181-185
第十五章 戦いの終わり >>186-187
断章 叙勲式 >>190
第十六章 闇の胎動 >>191-195
第十七章 真実 >>196-198
第十八章 邪竜の覚醒 >>199-203
第十九章 我が剣は明日のために >>206-207
終章 ポケタリア伝承詩 >>208
あとがき >>209
キャラエピ
「テオドールの過去」 >>106
「アルト、ラーマ、エルドゥの出会い」 >>120
「憎しみの代償」 >>180
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ数名募集】 ( No.14 )
- 日時: 2018/04/01 12:35
- 名前: テール (ID: xV3zxjLd)
複数の足音が城下町を駆け抜け、
その先にある港町までたどり着く。
「よし!船はまだ行っていないようです、陛下!」
頭上から声が響く。
青色の鱗の飛竜に乗る、青髪の青年がこちらに向かって叫んでいたのだ。
青年は青い髪を赤い髪留めでまとめ、左肩に垂らしている。
灰色のマントを羽織り、銀色の鎧を着込んだ騎士であった。
青年の叫びに呼応するように、飛竜が唸る。
「ラーマ、山賊などは見えませんか!?」
緑髪のショートヘアがなびく少年・・・・
テオドールが、ラーマに向かって叫んだ。
テオドールは、緑の髪の短髪で、後頭部から触覚のような2本のおさげを垂らしている。
緑のマフラー、緑の服装、左胸に白銀の胸当てと、少し地味なものであった。
「いえ、船員以外は見当たりません、安全です!」
「ありがとうございます!
・・・皆さん、あともう少しです、このまま走り切りましょう!」
テオドールは軍に向かって叫ぶ。
黄土色の髪を後頭部に縛って下げた女騎士は、
テオドールに応えるように叫んだ。
女騎士は、髪と同じく黄土色のマント、身体の割にかなり大きな斧を背負う姿である。
「みんな!殿下に続けー!!」
港には、今日最後の船が待機していた。
おそらく、テオドール一行を待っていたのだろう。
「殿下、陛下、ようやくたどり着きましたね。」
黒髪の少年・・・アルトが船を指さしながらテオドールを見る。
ラーマは、上空から敵軍が来ないか、見渡していた。
「テオ・・・それから、ルーネ。」
テオドールと、ピンク色の髪の少女ルーネを見て、
紫色の髪の女性・・・セリカリーズは、言葉を強めた。
「私は、王国に残ります。」
「えっ・・・・ど、どういうことですか、姉上?」
「そ、そうですよお姉さま・・・」
戸惑うテオドールとルーネ。
戸惑う二人を諭すようにセリカは続ける。
「帝国の狙いはおそらく私です。
この場は私に任せて、あなた達は叔父上の下に行きなさい。」
セリカの言葉に、二人は慌てて反論した。
「で、ですが・・・帝国軍はすぐそこまで迫っています!
このまま姉上を置いてなどいけません!」
「テオの言う通りです、お姉さま!
それに・・・お姉さまがご一緒でないと意味がありません!」
「大丈夫よ二人とも・・・
私もすぐに追いつきます。」
「し、しかし・・・」
「殿下、ルーネ様・・・お言葉ですが。」
アルトは申し訳なさそうに割り込む。
「もう急がねば船が出てしまいます。
脱出されるのであれば、今しかありません。」
「で、でも・・・でもお姉さまが・・・」
ルーネは泣き出しそうな顔でうつむいた。
「お気持ちはわかります・・・
しかし、殿下もルーネ様も、レヴィア王国の最後の希望なのです。
おふたりがいなければ、王国は滅亡してしまうのですよ」
アルトは若干強い口調で二人を諭す。
「・・・・っ!」
テオドールは悔し気に拳を握りしめた。
セリカはにっこりと笑い、二人をそっと抱きしめる。
「あなた達が優しいことは知っています。
それと同じように、私もあなた達を救いたいのです。」
「・・・姉上・・・」
「お姉さま・・・」
「姉上・・・一つ、約束してください・・・
必ず、生きて再会する・・・と。」
テオドールは真剣な表情で姉の瞳を見つめた。
「わかったわ、テオドール・・・・
アルト、ラーマ、エルドゥ!テオドールとルーネをよろしく頼むわね。」
「・・・陛下、承知しました!この命に代えても・・・!」
「陛下、どうかご無事で・・・・!」
「私は殿下の盾になります、陛下!」
セリカの最後の命令に、3人は応えた。
そして、船はテオドール一行を乗せ、ディーテ共和国へと旅立った・・・
複数・・・いや、軍隊と呼ぶべきであろう足音がセリカに近づく。
「止まれ」
凛とした声に、軍隊の歩みが止まる。
そして、黒い魔道士がセリカの目の前までゆっくりと歩いた。
「突然のご無礼をお許しください、
セリカリーズ・ルツ・レヴィア国王陛下でございますね?
帝国で我が主があなたをお待ちですので、ご一緒願います。」
魔道士は一礼をしてから、にやりと笑う。
「陛下!そいつの言う事を聞いてはなりません!」
「お願いです、私たちはどうなってもかまいませんから、陛下だけは!」
後ろで兵士に拘束されているヒスイとコハクがセリカに向かって、
喉が張り裂けんばかりに叫んだ。
それを見て、二人を抑え込んでいた兵士が殴り、蹴る。
「ヒスイ、コハク!
・・・・二人を解放してください、そうしなければ、
私はついてゆきません!」
魔道士はセリカの主張に少し考えてから、
右腕を軽く挙げた。
「騎士と魔術師を解放しろ、抵抗するならば殺して構わん。」
魔道士の命令に、兵士たちはヒスイとコハクへの暴力を止め、
二人から離れた。
「では、帝国までお連れします、陛下。」
再び魔道士は一礼し、兵士にセリカを連行させた。
「セリカァァァァァーッ!!」
「そんな・・・待ってください!セリカを連れて行かないで!!」
その場に残された二人は、その様子を見て、
空しく叫んだ。
「テオ、ルーネ・・・王国の未来は・・・あなた達に託します・・・・。」
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ数名募集】 ( No.15 )
- 日時: 2018/02/09 06:51
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
断章 聖戦の伝承
大陸歴942年9月13日
突如その戦争は勃発した。
ディクシィ帝国皇帝であるグレンシア・ジ・ディクシィの謀略により、
レヴィア王国との国境に位置する要衝エインガナは、
グレンシア率いる帝国軍の奇襲により落とされた。
それが事実上の宣戦布告となり、後に「大陸聖戦」と呼ばれ、
大陸全域を狂わせる戦乱となった。
レヴィア王国国王ノルド・ルツ・レヴィアは、
3万の兵と共に、応戦した。
そして規模は大陸全体へと変貌し、多くの犠牲者と傷を残した。
それから30年後の大陸歴972年11月18日・・・。
グレンシアとノルドは謎の病に倒れ、そのまま死亡。
聖戦はやむなく休戦となった。
休戦から10年後の、大陸歴982年11月17日・・・。
ディクシィ帝国の名将、クラウス・アイン・フェルマーを指揮官とする
帝国軍隊約4万人は、レヴィア王国に攻め入り
軍を編成できていなかったレヴィア王国は、いとも簡単に陥落した。
それを受けて現国王であるセリカリーズ・ルツ・レヴィアは
テオドール、ルーネ、約400名の兵士に、
大陸西部に位置する、ディーテ共和国へと逃れるよう命じ、
それに従い、テオドールらはディーテ共和国へと旅立った。
これが、「テオドール騎士団」の発足であり、
聖戦を終わらせる、第一歩なのであった。
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ数名募集】 ( No.16 )
- 日時: 2018/02/19 21:33
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
武器の種類
武器種
剣:長い諸刃の剣身を持つ手持ちの武器。斧に強い。
大剣:マーシナリーやハイランダーなどが使う長身の剣。稀に竜騎士・鳥騎士なども使う。
槍:刺突を主目的とする長い棒の先に刃物がついた武器。剣に強い。
ランス:騎兵専用武器。戦闘ですれ違いざまに突き刺す攻撃が基本となる。
斧:片手、もしくは両手持ちの柄の先に厚くて重い刃を装着した叩き切るための武器。槍に強い。
魔法武器:ルーンナイトやマジックナイトなどの魔道の素質がある者が使う武器。魔力を帯びている。
クララが開発した武器。
弓:しなやかな竹や木に弦をかけ、その弾力を利用して矢を飛ばす武器。
長弓:長距離を狙撃するのに特化した、弦が鉄など、頑丈なものでできている弓。
バリスタ:巨大な石弓。遠距離を狙い撃ちできるが、直接攻撃に弱く移動もできない。
魔術:水火風の三属性に分かれている所謂魔法。
神聖魔法:癒しや光属性の魔法で、神竜アナンタからその力をもらう。
暗黒魔法:破壊や闇属性の魔法で、邪竜ヒュドラからその力をもらう。
杖:回復魔法専用武器。シスターなど神に仕える者が使う武器。
専用武器と神器
星剣アルスラン
太陽の星獣と月の星獣が、伝承の英雄の一人ティル・ソティスに授けた。
その後、戦を嫌った彼女は、英雄の一人レイ・レグルスに渡した。
そしてレヴィア王国の王族に受け継がれていったといわれる星色に輝く聖剣。
神剣アストライア
レヴィア王国に伝わる、英雄ファータが振るった神剣。
その力は、あゆる闇をも祓うといわれる。
神竜アナンタの紋章が、刀身に描かれている。
聖剣ウイルメック
グリモアール家に伝わる聖剣。
その青く美しい刀身は、見る者を魅了する。
風の竜神ウイルメックがグリモアール家の功績を称え、授けたという逸話がある。
光彩の魔導書メリュジーヌ
グリモアール家に伝わる光の魔導書。
光彩で闇を祓う、強力な魔術。
光の女神メリュジーヌが邪竜に対抗するためにグリモアール家に授けたという逸話がある。
宝剣ルーフラガ
フィーが持つ、銀色の大剣。
細く軽い剣で、風のように素早く動ける。
フィーを助けたハイランダーが持っていた剣。
蒼穹フェルノート
別名「必中の弓」と呼ばれる蒼い弓。
ティラトーレ公国に伝わる弓で、ティシャルが継承した。
闇槍グングニル
邪竜ヒュドラの爪を加工したという謳い文句で販売されていた槍。
投げに適しており、投げても戻ってくる。
ラーマ曰く、「ブーメランみたいだ」
聖斧エルドノルラ
エルドゥの父オーディン・ノーラの持っていた斧。
光輝く刀身と、黒い柄が美しい。
英雄の一人、ルドガー・アルタイルが使っていたといわれる。
聖剣プリマヴェラ
英雄の一人、レイ・レグルスの使っていた剣。
銀色に輝く刀身は、闇をも切り裂くと伝えられている。
神槍ロンギヌス
英雄の一人、ネイラ・プレアデスの使っていた槍。
神竜アナンタの加護の力を持つ。
白刀ユキシラベ
雪里ツワブキに伝わるカトラスのように長く大きめの短剣。
雪のように白く美しい刀身が特徴。
千里の弓
ディーノが寄せ集めの流木で作った長弓。
ディーノの手にかかれば、致命傷を出せるという。
意外に丈夫。
ルーンランス
クララが開発した、魔力を帯びたランス。
女性向けで、軽く、握りやすいをコンセプトに試作品が完成したが、
クララ以外に扱える者がいないので販売中止となった。
約束の魔導書ディバインレイ
セリカとリースが再会の約束をした際に交換した魔導書。
天からの雫が悪しきものを浄化する魔術。
煉獄の魔導書ピュルガトワール
煉獄を思わせる激しい炎の魔術。
ニナの母が唯一遺した魔導書で、魔力がない者が使うと命が削れるとも。
紋章の魔導書ブリェスチェーチ
天から降り注ぐ裁きの光の魔導書。
アルマが恩師から卒業記念にもらった唯一無二の宝物。
死神の魔導書イラ・アルマウト
ブラックガイドを遥かに凌ぐ冥府の使者が大鎌で両断する闇の魔導書。
なぜベルダがこれを持っているのかは不明。
暗黒魔術マグナーティス
ダークライ一族の遺産であり、光を飲み込むほどの深い闇を生み出す魔術。
竜剣ノートゥング
英雄ティル・ソティスの愛剣と言われる大剣。
長い刀身でありながら、風を切るように速く、華麗に斬れる。
現在この剣を扱える者はいない。
雷弓アズサユミ
太陽の神子ミカヤ・アヤメが持つ神器。
現在はルカが持っている。
地斧グラディウス
大地の神子エルティシア・メーディンが持つ神器。
闇剣グリムワルツ
月の神子ルル・アルバーニャが持つ神器。
現在はルルと共に行方不明。
水槍フォンターナ
海の神子シアン・ディ・ユーファが持つ神器。
星杖スターライト
星の神子ルーネ・メルト・ネフィーアが持つ神器。
以下オリジナル(バランス調整やつじつまを合わせるため、若干変えています。)
水燐の剣アクロメニア
メルシアの父と母が作った、水の加護を宿す剣。
ほのかに水色の刀身に、水の流れを表す彫刻が施されている。
メルシアがまだハイランダーの時に父から授かった、思い出の剣でもある。
同時に、両親を忘れないようにする形見でもある。
サンダードラゴンソード
雷竜の爪と牙、鉱石を合成して作られた剣。
雷竜トールの息吹と同等の雷を放てる。
天翔の魔導書ウィングルス
生物が生存不可能なほど標高が高い場所に吹く風が集まり、作られたとされる魔導書。
空色の表紙に一対の黄緑色の翼と無数の古代文字が描かれている。
エレメンタリシアの武器の中でも数少ない「風魔法」の書。
扱いを誤ると命を滅ぼす。
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ数名募集】 ( No.17 )
- 日時: 2018/02/05 20:01
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
第一章 テオドールの出撃
大陸歴982年11月24日・・・
ディーテ共和国 首都レーベンの元老院議事堂にて、
青い髪の男・・・アタール・ディ・ユーファは、
テオドールと議員を集め、議会を開いていた。
「さて、皆さま、お集まりいただき、感謝いたします。」
アタールはひとつ咳払いをしてから、議員全員に一礼する。
「まずはご紹介させていただきたい。
こちらにおられるテオドール殿は、17歳という若者ながら
すでに数年、実戦を少なからず経験してこられた・・・
レヴィア王国第一王子であり、騎士団をまとめるお方です。」
アタールの話に、少し赤面するテオドール。
そして、議員に向かって軽く頭を下げた。
「知ってのとおり、ディクシィ帝国とレヴィア王国は、
「大陸聖戦」が休戦中の間も険悪な関係にありました。
・・・・そしてついに、帝国軍は王国を攻め入ったのです。
王国はいとも容易く陥落し、国王陛下は消息不明となってしまいました。
そんな中、国王陛下はテオドール殿に騎士団を任せ、
この国へと亡命するよう命じられたのです。」
アタールは苦虫を噛み潰したような表情で議員に訴えるが、
少し深呼吸をして続ける。
「我が国は、正義と信義を重んじる高潔な国であります。
こちらにいるテオドール殿をしばらくの間
帝国からの魔手から救うべく、我が国にとどまることを
許可していただきたいと思うのですが・・・・」
「閣下、質問が。」
突然、一人の議員が手を挙げ異議を唱えた。
「オルダン議員、どうぞ。」
オルダン議員と呼ばれた、金髪の少し老けた男がその場に立ち上がる。
「私の記憶が正しければ、その王子殿下は、
閣下の甥のような気もするのだが、いかがかな?」
「・・・はい、テオドール殿は私の兄の息子ですので、
甥という関係で間違いはありません。」
「・・・・聞きましたかな、議員諸氏。」
アタールの答えに、議員を見渡して訴えるオルダン。
「どうやら閣下は己の身内のために、
共和国を戦乱の渦中に放り込むおつもりのようだ。」
オルダンは議員達を煽るように声を荒げた。
「我が国は、中立を国是とし、
建国以来戦いに関与せず、平和を築いてきた。
それは英雄ティル・ソティスの思いであり、願いである。
もし今王国の王族など匿えば・・・
帝国からは敵視され、傭兵しか持たぬこの国は、
あっという間に蹂躙されてしまうだろう!」
議員たちはざわめき始める。
「私は、彼らを捕らえ、帝国に引き渡すことこそ、
共和国を守る唯一の道だと信ずるものですが・・・
議員諸氏はいかがお考えかな?」
オルダンは一息ついてにやりとアタールを見る。
しかし、アタールはにっこりと笑い、軽く手を叩いた。
「ははは、博学を持って知られる
オルダン卿とは思えぬ発言ですね。」
「なっ・・・なんですと!?」
アタールの失言に激昂するオルダン。
アタールは続ける。
「あの暴君と畏れられる皇帝が支配するディクシィ帝国と
対等に付き合っている国が・・・大陸のどこに存在するというのです?
・・・あればぜひお教え願いたいものだ。」
アタールは淡々と質問を投げかけた。
オルダンは慌てて反論する。
「しっ・・・・しかし!
例えそうだとしてもだ!
王子を匿って、共和国になんの利益があるというのだ!」
「そう、まさにそれをお話したく存じていました。」
アタールは一息おいて、ゆっくりと続けた。
「私が王子殿下の滞在を願うのは、身内をかばうためではなく、
この共和国の利益を願っての事。」
「共和国の利益・・・?」
「それを今からご説明いたします」
アタールは、地図を取り出し、長机の上に広げた。
「ふん、また閣下の詭弁か・・・」
オルダンは呆れ気味にため息をつく。
「まず、皆さんもご存じのとおり、
我が国の領地である2つの州は、現在・・・
目下バール山賊団によって占領されています。」
アタールは、共和国の地図を赤い筆でマークする。
「彼らの軍勢は、もはや共和国全域を飲み込む勢い・・・
ですが、この首都レーベンは、辛うじて
ベラーディ将軍の傭兵団によって、首都を守っていただいております。
しかし、彼らは首都以外に出撃することを拒み、
それに傭兵ですので・・・いつ我々を裏切るかわかりません。」
「だから何だというのだ!」
アタールの説明が終わり、再び異議を唱えるオルダン。
「そのことと、閣下の甥を匿う事と一体何の関係があるのだ!」
「先ほど申しましたように、殿下は優秀な騎士です。」
アタールは落ち着いて答える。
「彼は優秀な部下を多数擁しております。
山賊団の討伐など、他愛もないことでしょう。」
「・・・つまり?」
「また、オルダン卿のご指摘もあったように、
殿下は我が兄の息子であり、信用に足る誠実な人柄だと言う事を
私が補償いたします。
つまり、我々は安全かつ強力な軍隊を得るという
またとない機会に恵まれたわけであり・・・
すこし失礼な言い方をいたしますが・・・」
アタールは申し訳なさそうに笑う。
「これを利用しないのはよほどのバカか、
何かよからぬことを考えている者以外にないと思うのですが
・・・議員諸氏はいかがお思いですか?」
「ぐ、ぐぬぬぅ・・・」
アタールの意見に、オルダンは歯ぎしりする。
「・・・・では特に反対意見はありませんので、
テオドール殿とその一行を、我が共和国の賓客とし、
あわせてバール山賊団の討伐を依頼いたします。」
議員たちは、拍手をし、賛同の意を示した。
「ふん、まあいいだろう・・・ところで閣下。」
オルダンは意地悪く質問した。
「テオドール殿はいつまでに山賊団を討伐していただくのですか?
それを聞かねば、我々は同意しかねる。」
「それは、テオドール殿と相談の上、後日返答を・・・」
「いや、閣下に聞いてもわかるまい、本人に聞いた方が早いだろう。」
アタールを遮り、オルダンはアタールの隣に立つテオドールに
質問を投げかける。
「三月とあれば、山賊団を掃討いたします。」
テオドールは冷静に答える。
「なるほど!三月ですか・・・
では、三月までに山賊団を討伐し、議会に戻ってこられなければ、
閣下も失脚を免れぬ。
テオドール殿もこの国にいられなくなるが、依存はあるまいな?」
「・・・・!!」
オルダンの思いがけない返答に驚いて声が出ないテオドール。
そしてオルダンはにやにやと笑う。
「くくく・・・いいだろう。
では、楽しみにしているぞ、テオドール殿。」
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【オリキャラ数名募集】 ( No.18 )
- 日時: 2018/02/09 07:16
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
「なんなんですか、あの議員!態度が本当に腹が立ちます!」
アルトは、頬を膨らませながらぶつぶつとつぶやいた。
テオドール騎士団は現在、山賊討伐のために進軍をしていた。
首都を出るとそこは、のどかな草原が広がり、
ふと南側を見ると青い海が広がっていた。
アルトの態度を見かねたラーマは呆れながら
「お前それ、何回言ってんだよ・・・
もう耳にタコができちまうくらい言ってるよな」
とため息交じりにアルトにつっこむ。
そして黄土色の髪の女騎士・・・エルドゥは、アルトに質問した。
「それよりもアルト、
三月で山賊掃討なんてできるの?」
「自信は無いですが・・・・
事前に閣下にお話を聞きました。
山賊の親分である、バールは、ここから半月ほど歩いた先にある
鉱山の街レビジュを根城にしているらしいです。
そこを目指し、急げば約2ヶ月で行って戻れる計算です
その前に、リマニ市街が半日歩いた先にありますので、
今夜はそこで補給を済ませていきましょう。
・・・・何も起きないといいんですけどね。」
アルトは最後ごにょごにょとごまかした。
エルドゥは素っ頓狂な顔でアルトの顔を見る
「えっ、半日も歩くの!?」
「お前歩兵だろ、歩けよ。」
ラーマは半笑いで茶化した。
「ラーマぁ・・・マリーちゃんに乗せて」
「それはダメだ、こいつは人見知りだからな。」
ラーマの答えに青い飛竜・・・マリーはぐるると喉を鳴らした。
リマニ市街、地下牢にて・・・
冷たい石の壁に囲まれたこの場所は、
何か赤黒い染みが部屋中に染み込んでおり、血なまぐさい臭いが立ち込めていた。
「おい、いつまで俺をここに閉じ込めておくつもりだ?
俺ァお前みたいな暑苦しい男より、かわいこちゃんとお茶でも飲みたいぜ?」
両腕を拘束されているにもかかわらず、
不敵な表情で目の前の山賊らしき大男を見る男が笑いながら質問する。
その男は、右目を皮の眼帯をつけており、
金髪の髪を後ろに縛る、海賊のような奇抜な服を着ていた。
左腕の袖は、何かに食いちぎられたかのように根っこから破られている。
そんな男を見て、大男は鼻で笑う。
「残念だが、かわいこちゃんはいねえが、
お前にくれてやれるのは、地獄への片道切符だぜ」
「ほお・・・てめえ、この俺が命乞いでもすると思ってんのか?」
大男は刀身が長く重量のある大剣を眼帯の男の首近くに寄せる。
一振りで眼帯の男の首は落とされるが、男は表情を動かさなかった。
「顔色をかえねえか・・・お前の部下は地獄で泣いているだろうなあ・・・、
ジョリーよ。」
ジョリーと呼ばれた男は笑いながら答える。
「そうだな、俺には「恐怖」ってもんがねえからな。
殺すならさっさと殺せ、下衆野郎」
「・・・ならばお望み通り」
「おかしらァ!」
大男が剣を振り上げた瞬間、バンダナを巻いた子分らしき男が
部屋へと飛び出してきた。
「大変です!騎士団の連中がレーベンから・・・!」
「なにっ!?」
「はーっはっはっはっは!
年貢の納め時だなスタロン!さっさと捕まるかくたばりやがれ!」
ジョリーは、話を聞いて今まで以上に笑う。
スタロンは、一筋の汗を額から流し、慌てて指示を出した。
「ちっ・・・!おい、街で遊んでる連中を全員動かせ!
騎士団を迎え撃つぞ!」
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43