二次創作小説(紙ほか)

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ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【完結】
日時: 2018/05/18 22:52
名前: テール (ID: X9g0Xy3m)
プロフ: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=910.jpg

ストーリー
 大陸ポケタリア・・・
 人の代わりにポケモンが暮らす大陸。
 その大陸は4つの国に分かれ、ポケモンたちは静かに安らかに暮らしていた。
 
 竜国と呼ばれし国、レヴィア王国。
 平和と安寧を求める、ディーテ共和国。
 己と他者を信じる、ルフト・ド・ドレール連合王国。
 欲望と野心が支配する国、ディクシィ帝国。

 それら4つの国は、互いを認め、平和を保っていた。

 しかし・・・その平和は音を立てて崩れ去る・・・




はじめまして!テールと申します!
こちらの小説は、擬人化したポケモンたちの軍事・戦記ジャンルの物語です。
王道を目指して描きますので、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
某サーガ風(SRPGのサーガ)の作風となっておりますので、原作ポケモンを知らない方でも
きっと読めるはず(投げ槍)です。多分きっと。
基本戦争なので、人がバンバン死にます。
若干の流血表現やポケモンとは思えないドシリアスな雰囲気にご注意ください。
現在、別名で動画やゲーム版も制作中です。






参考資料

登場人物 >>1
サブキャラクター >>7
オリキャラ シャドー♯ЧШЮ様 >>5>>42
      ルルミー様     >>22>>30>>58
      パーセンター様   >>64


専門用語 >>2
武器種・専用武器・神器 >>16

クラス解説 >>3
種族解説>>102






目次

序章   竜国陥落       >>8>>14
断章   聖戦の伝承      >>15
第一章  テオドールの出撃   >>17-20
第二章  海賊の島       >>21>>24>>27-29
第三章  鉱山の制圧      >>32-35>>39
第四章  難攻不落の都     >>41>>45>>47-49>>55>>62-63>>70>>72>>75-76
第五章  きょうだいの絆    >>77-78>>83-85>>88>>92-96>>99-101
間章   進むべき道      >>103
第六章  少女の歌声      >>107-108>>114-115>>118-119
第七章  雪を纏う椿      >>121>>126>>129>>134-135>>138
第八章  光を照らす者     >>139-140>>143-148
第九章  復讐の剣       >>149-152
第十章  残酷な騎士二人    >>153-155>>158-159
第十一章 砂塵の司祭      >>160-162>>165-168
第十二章 騎士の誇り      >>169-172
第十三章 魔女と黒狼      >>173-177
第十四章 姉と弟        >>181-185
第十五章 戦いの終わり     >>186-187
断章   叙勲式        >>190
第十六章 闇の胎動       >>191-195
第十七章 真実         >>196-198
第十八章 邪竜の覚醒      >>199-203
第十九章 我が剣は明日のために >>206-207
終章   ポケタリア伝承詩   >>208

あとがき >>209






キャラエピ

「テオドールの過去」         >>106
「アルト、ラーマ、エルドゥの出会い」 >>120
「憎しみの代償」           >>180

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.99 )
日時: 2018/03/04 20:49
名前: テール (ID: LAu9zylb)

「よし、中に入れた!」

メルとプラタは見張りを気絶させ、拘束して隠した後、牢獄の中へと侵入する。

「この中にテオドール殿下か、アルトさんやラーマさん、エルドゥさんがいるのかな?」
「わからない・・・とりあえず」

メルがプラタに向かって何か言おうとした瞬間、
重い扉が開いた。

「ありゃ、メル坊じゃねえか」

ジョリーが頭をぼりぼりかきながらメルとプラタを見る。

「ジョリー!?」
「あ、ほんとだ!メル、無事だったんだね!」

クラルも顔を出してメルを見る。
他二人もいた。

「みんな、どうしてここに?」
「それはこちらの台詞ですよメルさん!」

「兄さん、この方たちは?」

プラタは皆の姿を見て戸惑うように尋ねた。
メルはプラタを見て仲間の紹介をする。




「なるほど・・・そうですか。」

全員の話を聞き、うんうんと頷くプラタ。
ジョリーたちもプラタの話を聞いてなるほどと声を漏らした。


「とりあえず坊ちゃん、ここに3人組か王子がいる可能性がある、
 くまなく探していこうぜ。」
「そうですよ、早くしないと兵士さんが来たらまずいです!」

ジョリーとサラは、皆を急かした。
皆は頷いて、テオドールたちをくまなく探した。

囚人の状態はひどく、傷の手当てがないまま閉じ込められた者、
何日も食事を与えられていない者、
鞭打ちの後の蚯蚓腫れがただれて見るに堪えない者、
極めつけは、拘束されたまま逆さ吊りにされている者・・・・

様々なうめき声と、血の臭い、生臭い臭い、カビの臭いが混ざり合って、
長時間いるだけでも吐き気を催してしまいそうである。

中には傷口に蛆虫がたかっている死体に近い囚人の姿もあり、
プラタは心を痛めた。

(母上・・・いったい罪のない人々を何人傷つけてきたんだろう・・・)


プラタの震える手にそっと手をそえるメル。
プラタははっとしてメルを見た。

「大丈夫」

メルは目を細め柔らかい表情で微笑んだ。







しばらく探していると、アルト、ラーマ、エルドゥがいる牢屋を見つけた。

「アルト!ラーマ!エルドゥ!」

メルは牢屋に近づき、3人に声をかける。
3人は振り向き、メルたちの姿を見据えて表情が明るくなった。

「みんな!無事だったんですね!」

アルトは胸をなでおろす。

「あの紙伝書鳩、無事にお前らに届いたんだな、よかったよかった。」
「待っててください、今・・・」

プラタが鍵を取り出そうとすると、クラルが止める。

「待って、こういう時のために鍵開けの魔導書を作っておいたんだ!」

クラルは朱色の魔導書を取り出し、開いて手を当てる。
魔法陣が浮かび上がり、クラルは手を鍵穴に向かってかざした。

「キアーヴェウニヴェルサーレ!」

がちゃんという大きな音を立てて、牢獄内の牢屋の鍵が開いた。
その直後、パキンと音を立てながらクラルの持っていた魔導書が砕け散った。

「うわあ、また調整ミスか、全部開いちゃった・・・」

クラルはため息をついて、魔導書を持っていた手の平を見る。
その瞬間、雄たけびを上げながら牢屋を走り去る囚人の姿があった。
動ける者全員が入り口に向かって逃げていくのであった。

「これは、チャンスかもしれませんね」

アルトは牢屋から出てきて囚人の姿を見ながらそうつぶやく。
ラーマもうなずきながらそれを見る。

「ああ、囚人たちが城を徘徊すれば、たちまち大混乱になる。
 動きやすくなるぜ。」
「あ、そっか!あったまいい!」

ラーマの推測にメルが感心した。

「こっからは囚人たちが鎮圧される前に王子を助ける救出劇ってところか!
 盛り上がってきたじゃねえか!」

ジョリーはウキウキしながら囚人たちを見る。

「あ、そうだ、ラーマにエルドゥ、これあげるよ。
 ピラムを強化した槍「ピランザー」と手斧を強化した斧「トマホーク」だよ」

クラルは二人にそれぞれの武器を渡した。

「こりゃ投げやすいな、若干重いが、なんとかなるだろ。」
「すごいすごい!ありがとうクラル!」



「ちょ、ちょっと待てクラル」

フィーは慌てた様子でクラルを呼び止める。

「どったの?」
「お前・・・・そのピランザーとトマホーク、どっから出した?」

「・・・・・野暮なこと聞かないで」

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.100 )
日時: 2018/03/04 22:54
名前: テール (ID: LAu9zylb)

兵士に追われているゼウラ組は、前からくる囚人の姿に驚いた。
その囚人は赤い髪の短髪、服は血で汚れ、腕には鞭で打たれた後の蚯蚓腫れが目立つ姿であった。
まさに前門の虎後門の狼である。

「挟み撃ちか・・・!」
「年貢の納め時でしょうか・・・」

全員は覚悟を決める・・・が、
目の前の囚人は、手斧を投げつけた。

「あぎゃああぁぁぁぁーっ!!」

それは後ろの兵士に命中し、肩から大量の血を流して倒れる。

「・・・これは!?」
「あんたら、反乱軍か?」

不意に囚人が尋ねてくる。
クララは首をかしげる。

「反乱軍?」
「違うのか?」

囚人は斧を取り出して構える。

「反乱軍ではありませんが、大統領に依頼され、公爵を調査する者です。」

メルシアが囚人に説明した。

「・・・すまない。」

囚人が一言謝り、斧をしまう。


「あんたは一体?・・・その姿、兵士って風貌じゃないし。」
「俺はこの城の牢獄に閉じ込められていた囚人だよ。
 あんたらの仲間らしき集団が牢屋の鍵を全部破壊してくれてね・・・
 ようやくあの公爵に復讐できる時がきたって内心喜んでるところだ。」

ゼウラの質問に囚人は憎しみが込められた眼で歯ぎしりをする。

「私たちの仲間?」
「ああ、変なマフラーと変な帽子を被ったドラミドロのガキだった気がする。」
「それって・・・!」

クララはクラルを思い浮かべる。
どうやら無事3人を救出できたんだと悟る。

「ありがとうございます」
「いや、いい。こちとら事故とはいえ出してもらったしな。」

リラの感謝に返事し、囚人は走り去ってしまった。

「テオちゃんの下へ行きましょう、この混乱に乗じて、助けるのよ」

クララはそう提案し、3人は静かに頷いてきた道を戻って走った。





















テオドールが磔にされている牢獄にて・・・

「何事じゃ、この騒ぎは!?」

フィズィは兵士を呼び出し叫ぶ。
兵士は戸惑いつつも報告する。

「囚人が全員逃げ出し、城内が混乱しております!」
「なぜ逃げ出せた!?見張りは何を・・・」
「侵入者の仕業かと・・・」

フィズィは顔色を変える。

「侵入者・・・警備は何をしておる!
 至急鎮圧に急げ、逆らう者は皆殺しにせよ!」
「はっ!」

フィズィは半ばあたるように兵士に命を下す。
兵士は短く返事をして、逃げ去るようにその場から離れた。

「くっ・・・止むを得ん、こいつを至急・・・」



フィズィがテオドールの方を見ると、
テオドールは手枷を無理やり引きちぎり、フィズィの目の前まで迫っていた。
その目は、まるで獣のように本能を剥き出しにしているのである。

「ひっ・・・・!?」

フィズィは怯える暇もなく、首をテオドールに掴まれ、床へとたたきつけられた。

「がっ・・・あっ・・・ッッ!!」
「グゥゥ・・・・」

テオドールが喉から声を放りだすように唸る。
腕は竜の鱗のような緑色の肌が見えている。

「な、なんじゃ・・・・これは・・・こんな・・・」
「ガアアァァァァァーッッッ!!!」

テオドールはまるで竜のような咆哮を上げて、フィズィを力任せに壁に投げつけ、叩きつけた。

「ぐぎゃっ・・・・!!」

壁にたたきつけられたフィズィは、うつ伏せに倒れ、床に突っ伏した。
そして、残された力を振り絞り、テオドールを見る。

その姿は、まるで竜である。


「まさか・・・テオドールの魔力片が暴走を・・・うがあぁぁぁっ!!」

フィズィの腕を踏みつけるテオドール。

「・・・ギギッ・・・・」

獣のような瞳でテオドールはフィズィを踏む力を強めた。



そこへ、ゼウラ、メルシア、リラ、クララがなだれ込むように入ってくる。
テオドールがフィズィの腕を踏みつけながら4人を見る。
その瞳は相変わらず獣のように鋭く、蛇のように冷たいものであった。


「なっ・・・!?これは・・・」
「何が起こっているんだ!?」

メルシアとゼウラが驚きを隠せず叫ぶ。

「・・・・これって、まさか・・・・・
 みんな、逃げなさいッ!!」

クララはその場にいる全員に叫ぶ。

「グアアァァァァァァーッッ!!!」

テオドールは再び咆哮を上げ、4人に飛びかかった。
しかし、それをリラは槍で防ぐ。
鋭い音が辺りに響き渡り、リラは顔をしかめる。

「殿下・・・!やめてくださいッ!!」

リラが叫ぶがテオドールは力を緩めなかった。

「なあ、何が起こってんだよクララさん!」
「・・・・。」

ゼウラの質問にクララは答えられずにただ、拳を握りしめてうつむく。


テオドールはリラの腹を蹴り、牢獄の壁へ吹き飛ばした。

「きゃあっ!?」

リラにターゲットを変更したテオドールはゆっくりとリラに近づく。
リラは壁にたたきつけられた衝撃で立ち上がれずにいた。
テオドールはそんなリラの首を掴み、じりじりと絞める。

「あっ・・・・ぐっ・・・・っ・・・・・・・・!!」

「やめろ王子!」
「お願いやめてぇ!!」







「テオ!やめろ!!」

そこへメルが飛び込んで、テオドールの腕をつかむ。


テオドールはリラを掴む手を緩めてメルを見る。

「君は「テオドール・ルツ・レヴィア」だろ!
 こんなことはやめろ!」
「・・・・・。」

テオドールはメルの呼びかけに、今迄放っていた獣のような気迫が消えていき、
瞳が元の「テオドール・ルツ・レヴィア」のものに戻り始める。



「め・・・・メル・・・・」

テオドールはそうつぶやいて、その場に倒れてしまった。

「殿下!」
「ちょ、殿下!?」

メルについてきた他全員が牢獄の中に入り、テオドールを介抱する。
アルトもラーマもエルドゥも、テオドールを呼び続けた。

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.101 )
日時: 2018/03/05 20:41
名前: テール (ID: LAu9zylb)


テオドールを必死に呼びかけるが、目覚める気配はなく、
ラーマはテオドールを背負った。

「ぐ・・・がっ・・・・げほっ・・・」

テオドールに吹き飛ばされていたフィズィが血が混じった咳を出しながら立ち上がる。
プラタが近づき、介抱した。

「母上・・・」
「プラタ、母上は・・・・」

メルがプラタに近づく。

「兄さん、母上は、次期公爵である僕が処分します。
 閣下には兄さんたちが報告して、使者を送ってもらってください。
 母上は現在、動けそうにもありませんので・・・」

プラタはそういうと、牢獄からゆっくりと出ていった。
プラタの顔つきは、一人の少年のものではなく、次期公爵としての立派な公子の顔であった。

囚人たちがフィズィを背負うプラタを見て驚く。
プラタは囚人たちを説得して、フィズィを別の部屋へと運んだ。






「公爵の件は坊ちゃんに任せた方が早いな。副長は無事か?」

ジョリーはリラを見て声をかける。

「はい、なんとか・・・
 しかし驚きました、殿下にあのような力が・・・・」
「あれは、僕のせいなんだよ」

リラのぼやきにメルはさらりと言ってのける。
他全員が驚いてメルを見た。

「どういうことですか!?」
「詳しいことは首都に戻ってからするよ。」


「・・・・!奥に誰かいるぞ!」

フィーは何かを感じ取ったように指をさす。
全員はフィーの指をさす方向を見る

そこには入口の扉より大きく、開けるのに2人くらい必要そうな重い扉であった。

「・・・・あそこ・・・・もしかしすると!」

クラルが突風のように駆け抜け、扉を開けようとする。

「うぅ〜・・・・!!」
「クラルちゃん、わたくしも!」

クララとクラルが扉を開けようと必死に引っ張る。
すると、ギギギと重い音を立てて扉が開き始めた。

「あ、中に誰かが!」

ゼウラが中の様子を指さして叫ぶ。




クラルとクララが扉を開いて中を見ると、
茶色の首を隠すくらいのやや長い髪が汚れていて、
白いローブは汚れによって煤けた色になっている
20代後半あたりの青年がうつぶせになって倒れていた。

「兄ちゃん!」「兄さん!」

クラルとクララは同時に叫んで青年を抱き寄せる。
顔はクラル、クララにそっくりで、右側に三つ編みの揉み上げが特徴的であった。
青年はやせ細っており、かなり衰弱していた。




「こりゃ一旦レーベンに戻った方がいいな。」
「そうですね、皆さん、戻りましょう。」

その場にいる全員が頷きクラルとクララは青年の肩を支えながら皆についていった。











かくしてテオドール騎士団のファクトライズ公国での騒乱は幕を閉じた。
次期公爵であるプラタ・ケナ・ファクトライズは、
騎士団が去った後、囚人たちを解放し、フィズィの治療を行った。
そして、フィズィの残した傷跡を埋めるように、
国の政治方針を変え、改革に臨んだ。
すぐには変えられないだろうが、いつか平和な国になると信じ、
プラタは国民の声を聞きながら、変えようと努力した。

そして騎士団はレーベンに戻り、アタールに報告。
アタールはメルの願いを承諾し、すぐに使者を公国に送った。

テオドール、青年・・・否、クランリース・ディリティリオは、
すぐに医務室に送られ、神官たちの治療を受けた。
クランリースは3日後目覚めたが、テオドールは1週間経過しても眠ったままである。




そして大陸歴983年2月2日・・・・









暗い場所であった。
暗く闇に囲まれ、自分がどこにいるのか、立っているのか眠っているのか、
自分が何者かすらわからないくらいの暗黒だった。

ふと、急に視界が晴れた。
視界が晴れて、どこかのお城の中にいることがわかる。
だけどレヴィアの王城内だとすぐに認識できた。
目の前に誰かが倒れているのが見える。


「父上・・・・」

僕はそうつぶやく。
記憶の中では確か・・・厳しくて優しい人だったと思う。


その記憶の中の人物が、目の前で倒れている。

なんとなく僕は自分の手のひらを見る。
真っ赤に染まってる・・・・
あれ、これって・・・・

「僕が、殺した・・・・?」


よく、思い出せない。
















「テオ、目が覚めたんですね!」

ベッドで寝ていたテオドールが目を開ける。
視界に嬉しそうに笑うルーネが入った。

「ここ、は?」
「レーベンです、10日くらい眠ったままだったのですよ!」

ルーネはテオドールの手を取った。

「そうですか・・・」

テオドールは上半身を起こしながらそうつぶやく。




そこへ扉を開ける音が鳴り、ドアから茶髪の青年が現れた。

「テオドール殿下、目覚められたようですね」

青年はテオドールに近づいて気さくに話しかける。

「・・・あなたは?」
「私はクランリース・ディリティリオ。気軽に「リース」と呼んでください。」

リースはにっこりと笑う。

「あの、リースさん、テオに何か・・・・?」
「ああ、本題に入らせてもらおうかな。
 殿下、私たちきょうだいはあなたがた騎士団に命を救われたようですね。
 本当に感謝してもしきれないです。ありがとうございました。」

テオドールはそれを聞くと驚いて手を振る。

「い、いえ!私は何も!」
「いいえ、形はどうであれ、騎士団に救われたのは事実・・・・
 私達きょうだいを騎士団に入れてはもらえないでしょうか?」

リースはテオドールに向かって懇願した。
テオドールは戸惑いつつも、頷いた。

「そういうことでしたら、ぜひ・・・」
「ありがとうございます、殿下!」

リースは笑顔で頭を下げた。




「殿下ッ!起きてますかッ!?」

突然、医務室の扉を乱暴に開けて、物凄い勢いで飛び出す人物が現れた。

ヒスイ・ロル・グリモアールであった。


「医務室では静かにしてくださいヒスイ!」
「そ、そうですよ兄様!」


ヒスイについてきたアルトと、白いフードの妙齢の女性、コハク・ロル・グリモアールも医務室へと入り、ヒスイに注意する。

「だがそれどころじゃない!
 殿下、お、落ち着いて聞いてください!」

ヒスイはかなり慌てた様子でいた。
そこへラーマもエルドゥも入ってくる。

「なんだなんだ、あ、殿下!目覚めたんですね!」
「よかったぁ〜」
「よくねえよ!大事な話するんだからちょっと黙ってろ!」

ヒスイはラーマとエルドゥに怒鳴る。


「落ち着くんだヒスイ。何があったのですか?」
「実は・・・・








 次の「災禍の夜」にセリカリーズ陛下の公開処刑が執行されるんです!」


「・・・・・!?」

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.102 )
日時: 2018/03/08 12:11
名前: テール (ID: LAu9zylb)

種族解説



竜族
 ドラゴンタイプのポケモン。
 寒さに弱いため、他の国より比較的温暖な地域であるレヴィア王国で暮らす。
 竜と心を通わせることができるため、馬に乗るより飛竜に乗る騎士の方が多い。
 神竜アナンタに最初に創られた種族ともいわれる。
 長く、トンガリしている耳が特徴。個人差はあるが、竜族はほぼ全て耳が長い。


妖族
 フェアリータイプのポケモン。
 白を基調とした服装が特徴。
 神聖な力を持ち、闇を浄化する。


炎族
 ほのおタイプのポケモン。
 個人差はあるが、熱血な人柄が多い。
 体温が他の種族より高く、風邪をひくと逆に体温が下がる。


水族
 みずタイプのポケモン。
 母なる海を愛する者が多く、比較的穏やかな者が多い。
 魚のヒレの形をした耳が特徴。


草族
 くさタイプのポケモン。
 独特の文化を持ち、様々な部族に分かれている。
 森など緑がある場所ならば集落をつくって暮らしている。


雷族
 でんきタイプのポケモン。
 18の種族の中では一番数が少ない種族。
 雷属性の魔術を考案し、広めたのは雷族の賢者「アルトリア・サンタルチア」


氷族
 こおりタイプのポケモン。
 雪里ツワブキで暮らすものが多いが、他の国でもちらほら姿を見る種族。
 荒野が占める大陸ポケタリアでは、生活しづらいようである。


無族
 ノーマルタイプのポケモン。
 大陸では一番数の多い種族。
 どんな場所でも適応できるので、どの国でも数多く見られる。


闘族
 かくとうタイプのポケモン。
 拳で戦う武術を考案した種族。
 しかし、大陸では肉弾戦を専門としたクラスは存在せず、
 武器と肉弾戦を併用した独特の武術が主流となっている。


毒族
 どくタイプのポケモン。
 毒とは時には薬にもなりえる。
 しかし、量を間違えればそれは劇薬となる。
 毒族の多くは研究者や学者が占め、大陸の未来を支えている。


地族
 じめんタイプのポケモン。
 荒野に適応した種族で、砂漠や荒野などで暮らしている。
 草族とは相性が良く、農業などを協力して営む者もいる。


飛族
 ひこうタイプのポケモン。
 ロックバードやグリフォンと心を通わせて、空を舞う種族。
 バードナイトやグリフォンナイトはほぼ飛族。


超族
 エスパータイプのポケモン。
 魔術を扱うのが18の種族の中で最も得意で、
 未来視や占いなどを得意とし、宮廷魔術師として
 王や公爵などの相談相手として活躍する者が多くいる。


虫族
 むしタイプのポケモン。
 様々な場所で暮らす種族。
 動きが素早いものが多く、盗賊や暗殺兵などの稼業を営んでいる者が多い。


岩族
 いわタイプのポケモン。
 山賊に多く見られる種族。
 体力の多さと守りの堅さは、鋼族に劣らない。


鋼族
 はがねタイプのポケモン。
 騎士に属しているものが多く、耐久力があるため、
 アーマーナイトやガードナイトはほとんど鋼族である。


悪族
 あくタイプのポケモン。
 闇の力を持つ種族。
 霊族程ではないが、呪術師などが多い。


霊族
 ゴーストタイプのポケモン。
 霊とはいっても死んでいるわけではなく、霊能力を持つ者が多く、
 霊魂と対話できることから、霊族と呼ばれる所以である。
 呪術師、シャーマンが多い。

Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.103 )
日時: 2018/03/06 12:35
名前: テール (ID: lQjP23yG)

間章 進むべき道


「災禍の夜」・・・・
それは満月が特別な位置を取った際に、
大地と月が引き合う際に、月が赤く染まる赤色月蝕。

赤く染まる理由は「地獄の門が開いた」だとか
「死者が赤い月に導かれる」「魔王が降りてくる」など様々であるが、
理由はわかっていない。

しかし、その日だけは神聖魔法の力が弱まることから、
「邪竜ヒュドラの目が空に浮かび、大地を見下ろしている」
という伝承もある。
そして、災禍の夜は邪竜への供物を捧げる日ともいわれ、
ヒュドラ教では災禍の夜にファータ教の神官を数人捕らえ、
生きたまま暗黒魔法の炎で焼き、邪竜に捧げるという儀式が行われている。

「邪竜が見下ろしている」
「邪竜への供物を捧げる日」
という様々な理由が重なって「災禍の夜」と呼ばれているのである。


そんな日にディクシィ帝国はセリカを公開処刑すると聞いたテオドールは、
急いで帝国に向かおうと決意する。



ヒスイの話によると、
帝国軍は、セリカを拘束した後、帝国に連れて戻り、幽閉したという。
そこでヒスイとコハクは、セリカを助けようと帝国に潜入したが、
クラウスに発見され、駒として洗脳されてしまったという。

捕虜として拘束されていた王国軍も、ヒスイとコハクと同じように操られ、
レーベンに送られていた・・・
それが先日のレーベン騒乱での王国軍が帝国軍に従っていた理由である。




テオドールの部下も、アタールも、
「災禍の夜」に処刑されるということから、
セリカを邪竜の供物として捧げると危惧し、準備を急いだ。


次の「災禍の夜」は、大陸歴983年6月26日。
約4か月後であった。


そんな中、テオドールは急いで帝国まで行くと決意し、
たった一人の肉親である姉の救出を胸に、出発当日を迎えた。


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