二次創作小説(紙ほか)
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- ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承-【完結】
- 日時: 2018/05/18 22:52
- 名前: テール (ID: X9g0Xy3m)
- プロフ: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=910.jpg
ストーリー
大陸ポケタリア・・・
人の代わりにポケモンが暮らす大陸。
その大陸は4つの国に分かれ、ポケモンたちは静かに安らかに暮らしていた。
竜国と呼ばれし国、レヴィア王国。
平和と安寧を求める、ディーテ共和国。
己と他者を信じる、ルフト・ド・ドレール連合王国。
欲望と野心が支配する国、ディクシィ帝国。
それら4つの国は、互いを認め、平和を保っていた。
しかし・・・その平和は音を立てて崩れ去る・・・
はじめまして!テールと申します!
こちらの小説は、擬人化したポケモンたちの軍事・戦記ジャンルの物語です。
王道を目指して描きますので、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
某サーガ風(SRPGのサーガ)の作風となっておりますので、原作ポケモンを知らない方でも
きっと読めるはず(投げ槍)です。多分きっと。
基本戦争なので、人がバンバン死にます。
若干の流血表現やポケモンとは思えないドシリアスな雰囲気にご注意ください。
現在、別名で動画やゲーム版も制作中です。
参考資料
登場人物 >>1
サブキャラクター >>7
オリキャラ シャドー♯ЧШЮ様 >>5>>42
ルルミー様 >>22>>30>>58
パーセンター様 >>64
専門用語 >>2
武器種・専用武器・神器 >>16
クラス解説 >>3
種族解説>>102
目次
序章 竜国陥落 >>8>>14
断章 聖戦の伝承 >>15
第一章 テオドールの出撃 >>17-20
第二章 海賊の島 >>21>>24>>27-29
第三章 鉱山の制圧 >>32-35>>39
第四章 難攻不落の都 >>41>>45>>47-49>>55>>62-63>>70>>72>>75-76
第五章 きょうだいの絆 >>77-78>>83-85>>88>>92-96>>99-101
間章 進むべき道 >>103
第六章 少女の歌声 >>107-108>>114-115>>118-119
第七章 雪を纏う椿 >>121>>126>>129>>134-135>>138
第八章 光を照らす者 >>139-140>>143-148
第九章 復讐の剣 >>149-152
第十章 残酷な騎士二人 >>153-155>>158-159
第十一章 砂塵の司祭 >>160-162>>165-168
第十二章 騎士の誇り >>169-172
第十三章 魔女と黒狼 >>173-177
第十四章 姉と弟 >>181-185
第十五章 戦いの終わり >>186-187
断章 叙勲式 >>190
第十六章 闇の胎動 >>191-195
第十七章 真実 >>196-198
第十八章 邪竜の覚醒 >>199-203
第十九章 我が剣は明日のために >>206-207
終章 ポケタリア伝承詩 >>208
あとがき >>209
キャラエピ
「テオドールの過去」 >>106
「アルト、ラーマ、エルドゥの出会い」 >>120
「憎しみの代償」 >>180
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.119 )
- 日時: 2018/03/08 20:49
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
明くる朝、コハクがテオドールの前に現れる。
「殿下、ニナはどうされるんですか?」
「一旦、首都へ戻り、閣下に保護してもらおうと思う。」
そこへラーマが現れた。
「殿下、私に任せてはもらえないでしょうか?」
「ラーマに?」
ラーマの申し出にテオドールが驚いた。
ラーマは続ける。
「あの子、ニナは、私と同じ理不尽な形で全てを失ってしまいました。
私はいい、手を差し伸べてくれる人がいたから・・・・
しかしあの子は違う。もう、手を差し伸べてくれる人がいないんです。
だからこそ、あの子が一人で生きていけるようになるまで、
俺が・・・・あいや!私が!」
「・・・・僕からもお願いします、殿下。」
そこへアルトが現れた。
「仮に首都へニナを送っても、彼女のためになるといえるでしょうか?
閣下は現在多忙の身・・・そんな中にニナを送っても、
ニナが振り回されるだけだと僕は思います。」
「私もアルトに賛成です。」
そこへエルドゥもアルトに賛同する。
エルドゥに便乗して、騎士団の皆がアルトの意見に賛同し始めた。
テオドールは、ため息をついて力なく笑った。
「わかりました、皆さんのご意見に則って、ニナの保護及び、ニナを騎士団の一員として加えます。」
「あ、ありがとうございます、殿下!」
かくして、滅びたチルタリス族の集落の生き残り・・・ニナを騎士団に加え、
騎士団はフェティエ山脈へと一歩踏み出した。
ニナは戦うことはできないが、楽器と歌声を使い、騎士団を支援することができた。
「ニナ、あなたの歌声、聞いてみたいです。」
コハクがニナに願い出た。
ニナは顔を赤らめて聞き返した。
「ニナの歌ですか!?」
「ええ、チルタリス族の歌声って、透き通って綺麗だって
文献に書いてありましたから!」
コハクがニナに詰め寄って目を輝かせる。
ニナは少したじろいだが、竪琴を取り出して、ピンっと音を出す。
「じゃ、ニナの十八番を聞かせてあげるのです。」
ニナは演奏を始め、歌声を披露した。
「ところでアルト、一つ気になっていたが」
「どうしたんですか、ラーマ?」
ラーマがアルトに尋ねる。
「なんでチルタリス族って名前が長いんだ?」
「うーん、チルタリス族の集落の初代村長である
フォーアシュピール・アルトパルランテが」
「すでに長いな」
「いえ、そうなんですけどっ・・・・
とりあえず、初代村長は、
「面白いから生まれてくる子供は全員名前を長くすること」って言ったのが発端らしいです。」
アルトの説明にラーマは呆れ果てる。
「結構軽い人だったんだな・・・一体どんな人物だったんだか・・・・」
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.120 )
- 日時: 2018/03/08 22:42
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
キャラクターエピソード 「アルト、ラーマ、エルドゥの出会い」
「ニナ、気になるのです!」
突然ニナが叫んだ。
騎士団は朝食を食べるために、各々集まって共に食事を楽しんでいた。
「騎士団はいかなる時も食事の場合は皆で集まること」
それが初代騎士団長が定めた決まりであり、
仲間と唯一コミュニケーションが取れる場でもある。
「な、なんだよいきなり!?」
ラーマが食べていた野菜をこぼしかけるが、辛うじて口の中に放り込んだ。
アルトもエルドゥもなんだなんだとニナに顔を近づける。
「アルトとエルドゥ、ラーマはなんでそんなになかよしさんなんです?」
「えっ!?・・・・うーん・・・・」
ニナの質問に頭を抱えるエルドゥ。
「いやあ、僕らだって3年くらいしか付き合いないですよ」
アルトはパンを頬張りながら答える。
「きっかけってなんだったんです?」
「きっかけかぁ・・・思えば僕ら、出会い始めは仲悪かったんですよ。」
アルトは遠い目をしながら、語り始める。
エルドゥも目の前の目玉焼きとソーセージをガツガツ食べながら
アルトの話を聞く姿勢になっていた。
大陸歴979年4月18日
この日は、レヴィア王国の新入騎士が国王と謁見し、自分のこれからの目標、
そして騎士になってのこれからの意思を伝える儀式のようなものがあった。
アルト、ラーマ、エルドゥももちろん新入騎士の中に混じっており、
自分の順番が来るのを待っていた。
「アルト・フェーム・・・先代フェーム軍師の跡継ぎですか」
謁見の間に入ったアルトは跪き、国王セリカリーズの御前にいた。
「はっ!まだ幼く、未熟と自覚しておりますが、
先代と同じくして、皆を導き、陛下のお役に立てればと思います!
騎士として、軍師として・・・王国の民を守りたいと存じます!」
まだ11歳のアルトだが、声をはっきり出し、大人びた顔つきでセリカを見る。
「フェーム軍師には大変お世話になりました。
あなたも先代・・・いえ、先代以上の働きを期待しております。」
「はっ、ありがたきお言葉・・・・確かに頂戴いたしました!」
アルトは深く頭を下げて、「失礼しました!」と一声、謁見の間を出た。
アルトが少し顔を緩ませていると、青い髪のがっちりした身体の騎士とぶつかった。
「ああ、すみません。」
アルトは謝るが、騎士はアルトを見るや、舌打ちをする。
「・・・・ガキか」
「・・・・は?」
アルトは顔に血管を浮かべて騎士を怒りの眼差しで見る。
騎士は続ける。
「ガキが来る場所じゃねえんだよ、戦場ってのはな。
さっさと帰るんだな」
騎士は謁見の間へと吸い込まれていった。
「・・・・・。」
アルトは騎士の顔を思い出しながら、はーっと大きなため息をつく。
昼食時・・・
王城の食堂にて、騎士達が集まっていた。
皆鎧を脱いで、ひと時の食事を楽しんでいる。
仲間たちとの会話を楽しみながら食事をするもの、
一人で黙々と食べるもの、食事の絵を描いて満足しているもの、
様々だが、皆時間がある限り自分の時間を過ごしていた。
「あ、ガキんちょ。」
「今朝の騎士様・・・」
青髪の騎士とアルトはばったり出会ってしまった。
騎士団の食事は基本ビュッフェ形式であり、
自分たちの好きなものをとって、会計するのであった。
そこに、二人は隣同士で並んでしまったものだから、
隣り合わせの二人は険悪な雰囲気を醸し出し、他の騎士たちは困惑しながら二人を見る。
「今朝は忠告頂き、感謝しますよ騎士様。」
「は?なにがだ」
アルトの発言に騎士はイライラしながら尋ねる。
「「ガキが来る場所じゃねえんだよ」でしたっけ?
子供だからって気遣ってくれたんですよね、ありがとうございます。」
「どーいたしまして。
なんだ、ちゃんとお礼が言えるじゃねえかガキが」
「ただ初対面に対してその態度はないんじゃないですか?
「ガキ」に対する教養がなってませんよ、騎士様」
「そりゃすまんな、俺はてめえみてえに何の苦労もせず
騎士団入りしてる奴を見るとすっげぇ腹が立ってな。」
「・・・・!
何も知らないくせに知ったかぶりで話さないでくださいよ」
険悪な二人に後ろにいる騎士が恐る恐る声をかける。
「あ、あのさ・・・早く前に・・・」
二人は気付いて、そそくさと前に進む。
二人は、残り一本のソーセージにトングを伸ばす。
しかし、二人のトングがぶつかり合って音を立てた。
「邪魔すんじゃねえよ!」
「あなたもですよ、僕がとろうとしてたんですよ!?」
ギャアギャアと言い争っていると、やはり後ろの騎士が恐る恐る声をかけてくる。
「早く行ってほしいんだけど・・・」
二人は騎士に一礼してそそくさと前を歩いた。
「なんでここにいるんですか」
「そりゃこっちの台詞なんだが」
二人は偶然にも互いに顔が見えるように同じテーブルの向かい合わせで座っていた。
アルトも騎士も非常にイライラした顔つきで互いの顔を見合わせる。
「というか、声がでかいだけで役に立たねえオンバーンが騎士とか、
笑わせてくれるんじゃねえの」
「・・・・はぁ、挑発のつもりですかそれ?
同じく空を飛ぶしか能のないボーマンダがなぜここにいるのか聞きたいですね」
「てめえには関係ねえだろ、つーか、空を飛ぶだけしか能がないって・・・
ブーメラン刺さってるぞてめえ」
「いえいえ、どうせどこかの田舎から出てきたんですよねあなたも。
田舎では礼儀もわきまえなかったんですか?」
騎士はその言葉を聞いて、怒りを爆発させて立ち上がった。
「てめえに何がわかるんだよ!!」
アルトも対抗して大声をあげて立ち上がる。
「それはこっちの台詞ですよ!さっきから言いたい放題いって・・・!
ムカつくんですよ!!」
周りの騎士たちは静寂し、二人が言い争っているのを見る。
すると、一人の女騎士が立ち上がった。
女騎士はかなり身長が高く、すたすたと二人の横までくる。
「どぅらああああああぁぁぁぁーっ!!」
「うわぁぁーっ!?」
「きゃあぁぁーっ!?」
女騎士は二人の首根っこを掴み、両手を高く上げて二人を宙づりにする。
二人はまるで首根っこを掴まれてぶらんと下がる猫のように縮こまった。
「ケンカするな!食事中よ!!」
女騎士はそういうと、二人を睨んだ。
二人は女騎士を見て、怯えた表情でうんと静かに頷いた。
「そんな感じが俺たちの出会いだなぁ」
ラーマはスープを飲みながら言った。
「いやあ、第一印象最悪でしたよね。
でも、ある事件が起きて、僕らは常に3人一緒にいられる関係になったんです。」
アルトはグラスの茶を飲みながら続けた。
「で、初任務になぜあなたがいるんですか?」
「そりゃこっちの台詞だっつの」
アルトと青髪の騎士・・・・ラーマは互いを睨みあいながら進軍していた。
騎士としての初任務は、密猟する盗賊団の制圧。
ベテランの騎士であれば簡単な仕事だが、新入騎士ばかりの構成であると、
かなり骨の折れる任務である。
「おいそこ!うるさいぞ!!」
上司らしき竜騎士がアルトとラーマを一喝する。
二人はしゅんっと肩を落とす。
「いいかお前たち!今回の任務は盗賊団の制圧。
決して楽な仕事ではないからな・・・
軽率な行動は控えるように、命を大切にしろ。」
先ほどの竜騎士が全軍に伝える。
盗賊団のアジトらしき場所にたどり着くと、周囲はすでに暗くなっていた。
明かりと言えば、アジトから漏れる光くらいである。
「・・・・盗賊の皆さんはまだこちらには気づいていないようですね。」
「そうだな」
アルトとラーマは真っ暗なので互いに気づいていなかったが、
声を聴いた瞬間、見合わせる。
「なんでここにいるんですか」
「そりゃこっちの台詞だっつの」
昼間の食事時と同じ台詞を再び互いに掛け合う。
「というか騎士様、飛竜にのってあいつらを何とかできませんか」
「できるわけねーだろ、アホか。
弓持ってる奴がちらほらいるだろ。」
ラーマの言う通り、弓を持っているならず者が複数いた。
あれでは飛竜でおそかかった瞬間、飛竜が落とされてしまうだろう。
「じゃあ、誰かが囮になって後ろから攻め込むってのはどうかな」
「そうですねぇ・・・だれかが・・・えっ!?」
アルトが後ろを振り向くと、お昼にアルトとラーマを持ち上げた女騎士・・・・
エルドゥがいた。
「問題は囮はだれがやるかって話だけどさ。」
「急に出てきて馴染んでやがんなお前」
ラーマは呆れながらエルドゥを見る。
アルトは考える。
山に囲まれた場所、こちらの姿は見えていない・・・
絶好のチャンスであるが、あちらの人数が多すぎる。
「父上だったらこの状況・・・どう打開するか・・・・」
アルトは地面に絵を描き始める。
オンバーン族は基本夜行性のため、暗闇でも物が見えるのである。
突然、盗賊団の一人が大声を上げた。
「おい、誰かいるぞ!」
アルトは驚いて盗賊団を見る。
しかし、アルトたちを見つけたのではなく、同じく新入騎士であった。
気弱そうなジヘッドの少女が盗賊に連れられていた。
「た、助けなきゃ!」
「待てお前・・・今でたってあの子を助けられない!」
「・・・・でも目の前の仲間が・・・・!!」
「・・・・・。」
ラーマも歯を食いしばってそれを見る。
「こいつ、なかなかいいカラダしてんじゃねえか?」
「や、やあ!やめてください!!」
盗賊の一人が少女の鎧を脱がし始める。
「・・・っ!!あんにゃろう!!」
「ちょっと!?」
ラーマは頭に血が上って盗賊団に割って入り、攻撃を仕掛けた。
盗賊の一人が胸を槍に貫かれ、血を流し倒れる。
「な、なんだてめえ!?」
「こいつの仲間か!?」
「だったらなんだよ、てめえら・・・・全員ぶっ殺してやらあ!!」
ラーマは叫んで盗賊たちをなぎ倒していく。
「ああ、もう!なんなんですか!!」
アルトもラーマを助けるべく、飛び出す。
エルドゥも大きな斧を持ってアルトに続いた。
「フレイムバースト!」
アルトは赤い魔導書を開いて炎を放った。
炎は盗賊団に命中した後、爆発して3人ほど巻き込む。
「でやぁぁぁーっ!!」
エルドゥも負けじと斧を振り回した。
斧は盗賊団を何人もなぎ倒していく。
「お、おかしら!あいつら・・・王国の騎士ですぜ!」
「やむをえん!バリスタで奴らを殺せ!!」
ボスらしき人物が現れ、部下に命じる。
すると、大きな石弓が、ゴロゴロと音を立て、姿を現す。
それの先端をラーマに向けて、狙いを定めた石弓は、矢を放った。
「・・・・!?」
「危ないっ!!」
咄嗟の判断で、アルトはラーマをどんっと強く押した。
アルトが石弓の方を見た時には、
矢がアルトの胸に命中し、アルトはその場で倒れた。
「・・・・・お、おい!」
ラーマは声を上げる。
アルトは、目を見開いたまま倒れて返事をしない。
そこへ、新入騎士と隊長が現れて、盗賊団に攻撃を仕掛けた。
3人がある程度盗賊団の人数を減らしていたので、
制圧はスムーズに進んだ。
アルトが目を覚ますと、そこは医務室の中であった。
「お、目が覚めたか」
ラーマがアルトに声をかけた。
隣にはエルドゥも笑顔でアルトの顔を見る。
「ぼ、僕・・・・死んだはずじゃ・・・・」
「ばーか、俺が応急処置してここまで運んだんだっつの。」
ラーマは笑いながらアルトの背中をたたく。
「あいたたた!」
するとラーマはついでとばかりにアルトに声をかける。
「つーかお前、応急処置んときに気づいたけど
女だったんだな」
「うん、中性的な顔立ちだったから気付かなかったわ」
アルトはぽかんと二人を見ていた。
そして、顔がだんだん真っ赤に染まり・・・
「あっ・・・・あああああああああっ!!
見たの!?見たんですねッ!!?僕の、僕の・・・・
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
大声をあげて発狂した。
「う、うるせえな、大丈夫かよ」
「大丈夫じゃないですよ!んもう、何でこんな形で・・・・ッ!!」
アルトは頭を抱えてベッドのシーツに顔を埋める。
「なんで男の子だって偽ってるの?」
エルドゥはなんとなく聞いてみた。
アルトは顔をあげて訳を話す。
「先代軍師である、テノール・フェーム軍師は名軍師でした。
父上である彼の功績は陛下も評価していて、
僕は先代の活躍に負けないようにと思って・・・・
それで男として生きていこうと思ったんです。」
アルトは顔を真っ赤にして再びシーツに顔を埋める。
「僕がここまでこれたのは、もちろん誰かの助けを借りたわけでも
親の七光りでもなく、自分の力だと思ってます。」
ラーマは、昨日の昼に軽率な事をアルトにぶつけたことを詫びた。
「すまん、昨日は・・・」
「いえ、僕もあなたにひどいことを言ってしまいました。」
「そうだな、あんた、あん時は止めてくれてありがとな。」
ラーマはエルドゥに頭を下げた。
エルドゥはにっこり笑って二人の背中をたたく。
「気にしないでよ!えーっと・・・」
「あ、僕はアルト・フェームです。これでもソーサラーです。」
「俺はラーマ・ラインバルディ。竜騎士だ。」
「私はエルドゥ・ノーラ!斧騎士やってるわ!」
アルトは話を終えると、ニナは目を輝かせる。
「じゃあ3人はすっごいなかよしさんです!」
「アハハ、あんな事件が起きなきゃ今も険悪なムードだったな。」
ラーマは笑いながら皿のパンを腹に入れる。
エルドゥもため息交じりで笑う。
「まあ、でもホント、アルトがラーマを庇ったときはびっくりしたわね。」
「だな、バリスタの矢がアルトの急所を外したから助かったものの、
ホントおまえは危なっかしいぞ」
「む・・・そこは反省してます・・・・」
ラーマの注意にアルトはがっくりとうなだれて、
周りは再び笑った。
そして、アルトはラーマとエルドゥにひそひそと声をかける。
「あ、あえて僕が女だってことはニナには伏せましたけど、
僕の性別は口外禁止ですよおふたり!したらひどいですよ!!」
「わ、わかってるって」
「もちろんよ・・・」
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.121 )
- 日時: 2018/03/09 20:11
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
第七章 雪を纏う椿
大陸歴983年2月16日
アルトは、軍を二分割し後にルフト・ド・ドレール連合王国側のふもとで落ち合うことを提案した。
確かにいきなり千名の軍隊が雪里に押し掛けては、雪里の人々も驚くであろう・・・
そう考えたテオドールは、軍を分けることにした。
最初の隊が出て、2日後に次の隊が出発するということで話が決まり、
先行するのは、
テオドール、ルーネ、エルドゥ、ディーノ、クラル、リース、シーナ、アクライの部隊。
そしてテオドールの部隊は山脈を歩み出した。
辺り一面が銀世界であり、
木々も地面も雪で埋め尽くされたこの山は、氷族が暮らすのに最適であった。
道も雪で埋もれているため、通行は困難を極めたが、
なんとか前へ、前へと進んでいった。
「みんな、防寒はしっかりできているか?」
テオドールは皆に声をかける。
竜族と草族は基本寒さに弱い。
ルーネは平気そうな顔であったが、他は寒そうに防寒着をぎゅっと握りしめている。
そもそもポケタリア大陸自体、全域の気温が高めである。
なので、いきなり雪山に放り込まれてすぐに慣れるものでもない。
さらに、道を進むたびに風も強くなっていく。
風と雪が騎士団を襲い、歩幅も少しずつ狭くなってきている。
ふと、テオドールが前を見ると、
アイスブルーの髪の少女が現れ、目が合った。
少女は白を基調とした見慣れない服で、白いマフラーが風になびいていた。
前髪はきっちりとそろえて切ってあり、耳の上には、溶けない氷のアクセサリーがついている。
第一印象は「雪女」だと思ったテオドールは、少女を見て固まった。
一方、少女の方は、テオドールたちを見て、顔をぱぁっと明るくさせた。
「あ、もしかして・・・お客様ですか?」
少女はテオドールに尋ねる。
「お、お客様?」
「はい、「雪里ツワブキ」を経由して連合王国側に行く方々ですよね?
案内しますよ!」
少女は手に持っている薪をぎゅっと握りしめながら、テオドールたちに
「こっちです」と声をかけながら道案内する。
「わぁ!すごいです!」
ルーネは驚嘆の声を上げる。
案内された場所は、見たことのない建物ばかりの、集落であった。
かなり規模は小さく、人口は450名くらいかと推測できる。
「建築物の屋根がすごく急なものになっているね。」
「はい、あれは雪を落とすために急な角度にしているんですよ。」
リースが感心しながらつぶやくと、少女がすかさず答える。
「あの、代表者の方は・・・」
「私ですが。」
「あ、じゃあ、村長にご挨拶ください!ここに来た時のしきたりなんです。」
少女がそういうとテオドールの手を引いて村の中へと消えていった。
「王子様行っちゃったね。」
「仕方ない、ここで待ってようよ。」
クラルのつぶやきに、アクライがそう提案する。
「よくぞおいでなさいました、テオドール殿。」
蒼銀の髪の男が、テオドールが入るなり、名指しで歓迎する。
男は髪が長く、頭の上から狐の耳が生えていて、
服装は隣にいる少女と同じく見たことのない形と素材。
九本の巨大な尻尾が見えていることから、伝承にあるキュウコン族だということがわかる。
テオドールは彼の青い瞳を見て驚く。
「なぜ私の名を!?」
「僕はこれでも陰陽師をやっててね、ある程度の事は占ったり
祈祷することでよくわかるのさ。」
男は笑いながら答える。
「ああ、申し遅れた。僕は「カグラ・シラヌイ」。
この里の責任者であり、創始者だよ。あと、五人の英雄たちの友でもある。」
カグラはにっと笑いながらテオドールを見た。
テオドールはカグラのさらっと口にした発言に再び驚く。
「五人の英雄の友ですか!?」
「はははっ、やっぱりそういう反応するよね!
そりゃそうだ、僕は千年以上生きているんだ。
彼らが邪竜ヒュドラを封印するところだって見たし、
今でも彼らとの旅路が昨日のことのように思い出せるよ。」
カグラは金色のキセルを口にしながらテオドールに説明する。
ふと、カグラは目線を外にやる。
「マトイ、テオドール殿の付き人達は?」
マトイと呼ばれた少女は、はっと気づく。
「あ、外でお待たせしてるんでした!!」
「凍死する前に村に案内して温めておやり」
「は、はいぃ!!」
マトイは慌てた様子で外に飛び出していった。
「ま、今日はゆっくりしていくといいさ。
明日には後続もくるんだよね?」
「え、なぜそれを・・・!?」
テオドールはカグラに驚きっぱなしである。
それがおかしいのか、カグラも笑う。
「僕らキュウコン族は「神通力」が使えるんだよ。
神の化身とかなんとか言われてるけど、僕自身もよくわからん。
でも、持ってても困らないし、気にしていないんだけどね。」
カグラの話によると、
「神通力」とは、雪里ツワブキの守り神であるウカノミタマがキュウコン族に与えた、何事も自由自在になしうる力である。
しかし、キュウコン族はすでに数が激減しており、大陸でももう数名しか存在しない種族となっている。
キュウコン族は寿命が半永久であるが、不死身ではない。
カグラ以外のキュウコン族は、皆邪竜によって殺されたという。
途方もない話で、にわかに信じがたいが、
それを証明する人物が目の前にいる以上、それを信じるしかなかった。
「ま、僕の前で嘘は付けないってことさ。
それよりもテオドール殿、君の話も聞かせてほしいな。」
カグラは笑顔でテオドールを見る。
テオドールは照れながらもカグラに今迄の経緯を話し始めた。
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.122 )
- 日時: 2018/03/10 12:26
- 名前: シャドー♯ЧШЮ (ID: Thm8JZxN)
まずい、古代戦士のオリキャラしか思いつかない・・・
数名は別のクラスだけど・・・
- Re: ポケタリアクロニクル-聖戦の伝承- ( No.123 )
- 日時: 2018/03/09 21:23
- 名前: テール (ID: LAu9zylb)
>>122 シャドー♯ЧШЮ様
外伝の方のオリキャラですかね?
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