複雑・ファジー小説

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マジカルスイーツショップ【完結!】
日時: 2014/08/06 15:45
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=8190

ある都会の一角に小さなお菓子屋さんがありました。

そのお店の主人の名はヘンリー、孫の名はマーラー。

このふたりはどこにでもいるごく普通のおじいちゃんと孫に見えますが、彼らの正体は様々な願いを叶えるお菓子を作る魔法使いだったのです。

☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆

今回は明るく楽しいマジカルコメディを書きたいと思います。

駄文だと思いますが、みなさん応援よろしくお願いします。

※この作品はとある有名作品のパロディを多く含みます。

奇想天外プロレス物語の最終シリーズです。

ありがたいお客様

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Re: マジカルスイーツショップ ( No.197 )
日時: 2014/06/27 19:21
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

星野とメープルとハニーだと?

俺はあのガキの対戦相手選出を聞いたときに耳を疑った。

3人とも癒し系であるが、俺たちジムの屈指の実力者だ。

なにしろ会長が直々に指導した3人だから、他の弟子たちとは格が違う!

俺たちは、自分の戦闘能力を『人力』という単位で表す。

この数値が高ければ高いほど強いと言えるが、この数値は総合力でしかなく、気力と根性という部分を抜いた値であり、この2つが強ければ逆転も不可能ではない。

ちなみに星野は4000人力、ハニーも同じく4000人力、メープルは人間の少女であるが、会長が鍛えたため、2000人力という、普通の人間を遥かに超えた力を手に入れた。

もっとも、彼女の場合は20分間という、限定的なものではあるが。

3人合わせると合計で1万人力にもなる。

さすがにいくら強くても1万人力を相手するのは無理だろうと達観していたが、あのクロノスとかいうクソガキは不敵な笑みを浮かべている。

「おや、たったのそれぐらいでしたか。もう少し高いのかと思いましたよ。ちなみに、私の人力はあなた方3人の10倍…10万力です」

じゅ、10万人力だと!

この俺でさえ6000人力だというのに、奴はそれの十数倍もの人力があるというのか…

星野たちが今まで闘ってきた敵は、500人力〜1000人力の連中ばかり。

この男は桁違いの大敵と言えるが、数値だけの人力使いは慢心がある。

そこをつけば、この試合の勝機はある。

俺はそう自分に言い聞かせて、試合を観戦することにした。

「さて、始めましょうか、あなた方の会長さんのお気に入りのみなさん」

カーン!

俺が、わずかながらこの試合の悪寒を感じたとき、試合のゴングが鳴った。

Re: マジカルスイーツショップ ( No.198 )
日時: 2014/06/27 21:59
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

やはり俺の嫌な予感は的中した。

奴は3人がかりでも、一筋縄ではいかない強敵だった。

ハニーの怪力をスピードで封じ込め、星野のボクシングを防御で無効化、さらには生まれ持った関節の柔らかさを駆使して、メープルの必殺技、パロ=スペシャルを破り、3人の焦りに目をつけ、精神を揺さぶってくる巧みな心理作戦と話術。

普段は滅多に人の実力を認めない俺の目から見ても、奴の実力は確かなものだった。

試合開始してから、15分が過ぎようというころ、奴が不意に休憩を取ろうと言い出し、その隙を見て、俺は星野たちに大好物であるカレーパン、ウィンナー、ケーキを食べさせた。

当然のことながら、3人の人力は10倍に増加し、3人の合計で10万という、あのクソガキと互角の人力を発揮した。

「な、なんということでしょう!こ、この私が苦戦を強いられるとは!」

急激なパワーアップに、奴は動揺の色を隠せない。

だが、ここで3人の弱点が露わになった。

それは体力のなさだ。

3人とも幼いが故に体力がなく、消耗も激しく、長時間闘い続けることができない。

真っ先にメープルが体力を酷使しすぎて気絶。次はハニーで、最終的には星野だけがリングに残った。

「私はこうなることは、初めから予想していましたよ。では、残ったあなたを思う存分痛めつけてあげましょう!」

代わってやりたいが、代わることもできない。

リングへタオルを投入しようかと考えたが、以前のフロイの件があるため、ここはぐっと堪え、星野の試合を見守った。

だが、試合を見れば見るほど、俺の心の奥は、凄まじい怒りの感情で沸き立ってくるのがわかる。

敵の攻撃に一方的に痛めつけられるが、星野は痛みを感じない体質のために、何度も何度も血みどろになりながらも、立ち上がってくる。

だが、あのクソガキは武士の情けもなく、完全に失神して動けなくなるほど、奴を痛めつけ、なおかつ試合が決まり、担架に乗せられたあいつを罵った。

その態度に、俺は怒りを通り越して憤りを感じていた。

大きく息を吸い込み、無の状態を自分の心の中に生み出す。

穏やかな池を思い浮かべ、冷静に俺は怒りを蓄積し始めた。

まず、ジャドウが敗れ、爆死したこと。

ロディとカーネルが舐められたこと。

メープルとハニーを痛めつけられたこと。

そして何より、俺の弟的存在である星野を罵倒し、見下し、完全失神させたこと…ひとつ、ひとつの怒りをゆっくりと穏やかに放出する。

例えるならば、今の俺は赤い炎ではなく、青く激しく穏やかな炎だ。赤より青の方が火力が何倍も強い。
俺は静かに瞑想のために閉じていた目を見開いて、クソガキを睨み、口を開いた。

「明日はこの俺が、あの3人の敵をとる。俺と闘え!」

それだけ言って、俺は試合場を後にした。

Re: マジカルスイーツショップ ( No.199 )
日時: 2014/06/28 08:19
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

俺は試合会場を出た後、その足でいきつけの食堂へ向かった。

この食堂は知る人ぞ知る有名店で、早く、安く、美味いがモットーだ。

オレンジ色の電球が優しさを演出し、木製のテーブルが温かさを感じさせる。

この店の女亭主は高齢だが、元気満々で温和で優しく、母のいない俺にとっては、なんでも相談できる、母親代わりのような存在だ。

彼女は、俺が店に来たことをしるといつもの微笑みを浮かべ、

「不動ちゃん、久しぶりね。あなたがここに来たってことは、何か困ったことでも起きたのかしら」

俺は彼女に不動ちゃんという愛称で呼ばれている。

正直少し恥ずかしいが、なんだか嬉しくも感じられる。

俺はとりあえず、大好物の焼そばを注文し、瞑想にふけった。

それから数分後、焼きそばが俺のテーブルに届けられる。

「なんだ、この量は…?」

俺の目の前には、まるで大食いコンテストに出されるほどの大盛りの焼きそばがある。

「不動ちゃん、あなたたちの試合、テレビで見てたわよ」

「……」

「今回は大変ねぇ。星野ちゃんは大丈夫だったかしら?」

「ああ…なんとか。だが、全治1か月の重傷だ…」

「あら…あの子はいつも無理するからねぇ。でも、それがあの子のいいところでもあるわ」

言われてみれば、そんな気がする。

すると彼女が、思い出したように訊ねた。

「そういえば、あなたはあのこと、星野ちゃんに伝えたの?」

「すまない…まだなんだ…」

「そろそろ、伝えたほうがいいわよ。その方があの子のためになる」

俺が星野の実兄であるということ。

名前は違うが、同じ父と母から生まれた、正真正銘の兄。

だが、俺はあいつの目の前に姿を現すことができなかった。

俺が兄と知ったら、弟はきっと動揺するだろうと考えたからだ。

だが、運命は奇妙にも、バラバラだった俺たち兄弟を、スター=レスリングジムというひとつの場所に呼び寄せた。

そして、俺はまだ星野にそれを打ち明けていない—家族がいないと思い込み、あいつは寂しい思いをしているいうのに—。

そう考えると、あいつに厳しく接している、自分が情けなくなってきた。

あいつにもっと優しさをあげたい。

兄として、たくさんの愛情を与えてあげたい。

ふと気づくと、怒り以外の感情を忘れていた俺の目に、涙が溢れていることに気が付いた。

「不動ちゃん、今は誰もいない。たまには怒ることも忘れて、思いっきり泣きなさい。きっと気分がスッキリするから」

彼女の声で今まで押し殺されていた感情が一気に解放されたのか、俺はこの日、店でいつまでも泣き続けた。

俺は怒りをもって、人を救いに導く明王。

だが、今日だけは、泣くことを許してほしい。

明王にも、涙はある。

Re: マジカルスイーツショップ ( No.200 )
日時: 2014/06/28 13:02
名前: クレス (ID: UQpTapvN)

とりあえず更新がんばって!!

Re: マジカルスイーツショップ ( No.201 )
日時: 2014/06/28 13:53
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

クレスさんへ
ありがとうございます!更新がんばります!


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