複雑・ファジー小説

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マジカルスイーツショップ【完結!】
日時: 2014/08/06 15:45
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=8190

ある都会の一角に小さなお菓子屋さんがありました。

そのお店の主人の名はヘンリー、孫の名はマーラー。

このふたりはどこにでもいるごく普通のおじいちゃんと孫に見えますが、彼らの正体は様々な願いを叶えるお菓子を作る魔法使いだったのです。

☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆

今回は明るく楽しいマジカルコメディを書きたいと思います。

駄文だと思いますが、みなさん応援よろしくお願いします。

※この作品はとある有名作品のパロディを多く含みます。

奇想天外プロレス物語の最終シリーズです。

ありがたいお客様

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Re: マジカルスイーツショップ【面白いキャラ大募集中!】 ( No.3 )
日時: 2014/06/03 19:48
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

「まったく、このごろは凶悪な事件が多い」

おじいちゃんはテレビを見ながら、呆れたようにつぶやく。

「それというのも、最近は子どもの食生活がなっていないからだ。日本人はもう少し牛乳を飲んだ方がいいと思うのじゃがな」

牛乳には精神を穏やかにして怒りを抑える効果がある。

これがおじいちゃんの口癖だ。

「さて、坊や。きょうも昔話を聞かせてあげようか」

おじいちゃんはテレビを消して、ぼくに微笑みかける。

夕食後におじいちゃんはいつも昔話をする。

おじいちゃんの年齢は92歳。

最近は長生きの人が増えてきたからそれほど珍しい年齢ではなくなってきているのかもしれない。

けれど、90歳を超えても元気ハツラツでいつでも健康で商売をしているのはおじいちゃんぐらいだと思う。

おじいちゃんは牛乳をぼくのコップに並々と注いだ後、口を開いた。

「きょうは坊やにレモンキャンデイーの誕生秘話を聞かせてあげようかな」

ぼくたちのお店の人気商品である『アルバスのレモンキャンデイー』。

このキャンデイーについている『アルバス』という名前がぼくは前々から気になっていたので、ぼくは訊ねてみることにした。

「おじいちゃん、『アルバスのレモンキャンデイー』の『アルバス』ってどういう意味なの?なんだか人の名前みたいだけれど…」

「うん、よく聞いてくれたね、坊や。その名前の由来を今から話してあげよう」

おじいちゃんは優しげな笑みを浮かべ話し始めた。

Re: マジカルスイーツショップ【面白いキャラ大募集中!】 ( No.4 )
日時: 2014/06/03 21:22
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

オレンジ色のライトの光が部屋を優しく包み込む。

お話を聞くのに最高の環境ができたとおじいちゃんは喜んで、まるでぼくに物語を読み聞かせるように、ゆっくりとした口調で話し始めた。

「アルバスというのは、わしの友人の名前だよ。

彼はイギリスにある世界一有名な魔法学校の校長先生をしておった。

大変優秀な奴でな、生徒からも尊敬を集めていたのじゃ。

まあ、坊やが生まれる前に亡くなってしまったがの。

その知らせを聞いたとき、わしはとてもショックだった。

それでせめて友として何かできることはないかと考え、彼の好物だったレモンキャンディーに改良を加え、酸味の強かったキャンディーを、甘酸っぱく優しい口どけの良い味にしたのじゃ。

そして彼にあやかってキャンディーに『アルバス』の名をつけたのじゃ。

わしの作っているお菓子にはそれぞれ世話になった人たちの名前がつけられているんじゃよ」

おじいちゃんは満足げにほっほっほと笑った後、時計を眺め、

「そろそろ眠る時間じゃな。お休み、坊や」

「おやすみなさい、おじいちゃん」

ぼくはおじいちゃんにお休みのキスをした後、歯磨きをして、自分の部屋に行った。

おじいちゃんの友達のアルバスさんって、どんな人だったんだろう。

おじいちゃんが優秀というぐらいだからきっとすごい人に違いない。

そんなことを考えていると、だんだん瞼が重くなるのを感じた。

Re: マジカルスイーツショップ【面白いキャラ大募集中!】 ( No.5 )
日時: 2014/06/04 05:36
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

翌日。

朝の鳥の鳴き声に目が覚めたぼくは、あくびをして、窓を開けて朝の新鮮な空気を思いっきり吸い込んだ。

冷たくて爽やかな空気はぼくの全身を駆け巡り、まだ少し眠気が残っていたぼくの頭をさまさせるのには十分だった。

リビングに降りてみると既におじいちゃんは起きていて、今朝販売するお菓子やケーキを魔法で作っていた。

信じられないかもしれないけれど、ぼくのおじいちゃんは知る人ぞ知る大魔法使いだ。

最近は機械で作るお店が多くなっているらしいけど、ぼくたちのお店はあくまで手作り(一応魔法は使っているけど)だ。

おじいちゃんが言うには「機械では手作りの味には勝てない」らしい。

なんでも「もう一度食べたい」と思わせるのが、肝心なんだとか。

おじいちゃんはぼくに気がつくと、にっこり笑って朝の挨拶をする。

「おはよう、坊や」

「おはよう、おじいちゃん。きょうもおいしそうに作れているね」

「それはよかった。おっと、坊やが起きたところで、朝食にしようか」

おじいちゃんとぼくはリビングに行き、席につく。

おじいちゃんが魔法の杖を1振りすると、スクランブルエッグ、ベーコン、トーストのイングリッシュ=ブレックファーストが現れた。

ご飯を食べたらいつの間にか7時になっていた。

その刹那、インターホンの音がしたので、慌てて玄関まで走り、ドアを開けた。

「………(ニコッ)」

玄関に立っていたのは、ぼくたちのお店のレジ係と菓子パンを担当している、名前の通りクロワッサンを彷彿とさせる茶色の縦ロールが特徴の男の娘のクロワッサンだった。

Re: マジカルスイーツショップ【面白いキャラ大募集中!】 ( No.6 )
日時: 2014/06/04 16:35
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

ここで、ぼくたちの看板娘(?)クロワッサンのことを少し話しておこうかな。

まず、彼は容姿がとても可愛い。

多分ぼくより1日に可愛いと言われる回数は多いだろう。

そのため、彼がレジ係をすると、売り上げがうなぎのぼりになる。

彼のすごいところは、その愛らしい笑顔で人の心を癒すことができるということだ。

以前、ぼくたちのお店にクレーマーが来た。

なんでもその人の子供がぼくたちのお菓子を食べすぎて虫歯になったらしい。

何もぼくたちのせいではないと思うのに、その人はぼくたちを攻めた。

場の空気が険悪になりかけたそのとき、彼が微笑み、クレーマーの女の人にキスをした。

するとどうだろうか、その人はたちまち骨抜き状態になり、穏やかな顔になったかと思ったら、先ほどまで批判してばかりいた、ぼくたちのお店のお菓子をたくさん買って帰っていった。

それから、もうひとつ彼の特徴をあげるとすれば、彼は大変に無口だということだろう。

無口と言われる人は大勢いるけれど、ぼくは彼ほど口数が少ない人にあったことはない。

だからこそ、話し始めたときの影響力は大きく、人を惹きつける効果があるのだろうか。

彼のすごいところは自分の感情を言葉ではなく、表情や動作で全てを現すことだ。

基本彼は温厚で怒ることはあまりないが、怒ったら凄まじい鉄拳と蹴りが目に見えない速度で飛んでくる。

以前彼を十数回に渡って痴漢をした男性客が、空高く吹き飛ばされる光景を見たことがある。

もしかすると彼はぼくたちの常連の注文先であるプロレスジムと何か関係があるかもしれない。

そして彼は「男」であることに誇りを持ちつつもその容姿のため誤解を解かないままのほうが楽だからという理由で、「美少女」という性別に甘んじている。

ちなみに彼が男だと気付いた人は今だかつてひとりもいない。

もしばれたらどうなるのだろうか。

1億分の1の確率だったとしても彼が男だとバレてしまえば、確実にお客さんが減少するかもしれない。

けれどそのことをおじいちゃんに話したら「減るどころか増える一方じゃよ。男でこんなに可愛かったらギャップがすごいじゃろう。ほっほっほ」と、言ってまるで問題にしていない。

はあ…バレたらどうする気なんだろう。

Re: マジカルスイーツショップ【面白いキャラ大募集中!】 ( No.7 )
日時: 2014/06/04 19:52
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

お店を開店してはや1時間になりますが、まだ誰もお客さんが来ません。

もっとも平日の午前となると、お菓子を食べる余裕のある人などあまりいないとは思いますが、それにしたって少し寂しいです。

レジ係のぼくは少しため息をつきかけ、慌てて息を吸い込みます。

ため息を吐くと幸せが逃げるという昔からの言い伝えがありますので、このお店を繁盛させるためにもいつでも笑顔でいましょう。

そう心の中で決心したぼくは、誰もないお店でひとりでニコニコ笑みを浮かべています。

しばらくそれを続けていると、我ながらなんとなく悲しい気持ちになってきました。

と、そのとき、ドアが開いてひとりのお客さんが入ってきました。

茶色い帽子に長いひげを生やしたおじさんです。

なんだか不思議な雰囲気の漂うお客さんですが、それはともかく、開店してから1時間、ようやくお客さんが来てくれたのです。

ぼくは先ほどの笑顔で彼に微笑みかけました。

『いらっしゃいませ、お客様。どんなお菓子がお望みですか?』

そう訊ねたいのですが、うまく言葉に出せません。

するとお客さんのほうが口を開きました。

「お前さん、女の子のような格好に顔立ちをしていらっしゃるが、男の子ですな?」

穏やかな声ながらも、的を射た指摘にぼくは思わず面食らってしまい、ただただ、うなずくことしかできません。

「隠す必要はないですぞ、わしには見えますわい。
お前さんが男と女、ふたつの性別の板挟みで苦しんでおる姿がな。
それから声が出ない理由も大方察しがつきますぞ」

おじさんは朗らかな声で言った後、商品をひとつひとつ眺めていき、そのたびに「ほう、これはこれは…」などの感嘆譜を口に出します。

1通り商品を見終わったのちに、彼はぼくにウィンクをしながらある商品を指さして、「これください」とぼくに頼みました。

その商品を見たとたん、ぼくは驚きのあまり目を丸くしました。


彼が頼んだ商品、それは…


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