複雑・ファジー小説

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マジカルスイーツショップ【完結!】
日時: 2014/08/06 15:45
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=8190

ある都会の一角に小さなお菓子屋さんがありました。

そのお店の主人の名はヘンリー、孫の名はマーラー。

このふたりはどこにでもいるごく普通のおじいちゃんと孫に見えますが、彼らの正体は様々な願いを叶えるお菓子を作る魔法使いだったのです。

☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆—☆

今回は明るく楽しいマジカルコメディを書きたいと思います。

駄文だと思いますが、みなさん応援よろしくお願いします。

※この作品はとある有名作品のパロディを多く含みます。

奇想天外プロレス物語の最終シリーズです。

ありがたいお客様

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Re: マジカルスイーツショップ ( No.18 )
日時: 2014/06/07 05:03
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

楔さんへ
ありがたいコメントありがとうございます!
私の小説に来てくださって本当に嬉しいです。感謝しています!
真帆ちゃんですが、これからもっと活躍させようかと考えていますので、楽しみにしてもらえると嬉しく思います。魅力あるキャラと心が温かくなる優しいコメントありがとうございます!

Re: マジカルスイーツショップ ( No.19 )
日時: 2014/06/07 06:36
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

「美味しい甘い物食べてる時が一番幸せ」

真帆さんはカウンターの席でおいしそうにお菓子を食べています。

あんまり幸せそうな表情で食べてくれるので、ぼくは嬉しくなり、その様子をうっとりと見つめていました。

「えっと、何かご用ですか?」

気が付いてみるとぼくは彼女とだいぶ距離をつめていました。

それに気が付いたぼくは慌てて距離を離し、首をブンブン横に振ります。

話しかけたいのに、声が出せない。

だから動作で示すしかない。

そんな自分がつくづく自分が嫌になってきます。

ぼくが話し出せずにもじもじしていますと、いつの間にかヘンリーさんがそばにいました。

彼はぼくを見て少し微笑んだ後、真帆さんに真剣な面持ちで訊ねました。

「お前さん、何かお悩みとかないかね?」

すると彼女は冷や汗を流し、

「えっと……あたしなら大丈夫です」

ですが、視線は泳ぎ、明らかに何かを隠していることは明白です。

「本当かの。それならいいのじゃが、何か悩みができたときは、いつでもわしに相談なさい。きっと解決できるじゃろうからの」

彼はほっほっほと笑ってその場を立ち去ろうとした、そのときです。

「待ってください!」

彼女は突然立ち上がり、ヘンリーさんを引き止めました。

「お願いです!私を…私を助けてください!」

瞳に涙を浮かべ、必死に懇願する彼女の姿を見たヘンリーさんは、

「ようやく本心が出せたようじゃな。その言葉を待っておったのじゃ」

Re: マジカルスイーツショップ ( No.20 )
日時: 2014/06/07 11:23
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

彼は彼女の向かいにある椅子に腰をおろしてゆっくりと手を組みました。

「お前さんは自分のことをどうでもいい存在だと思っていないかの?」

すると彼女はハッとした後少しうつむいて、

「あ、あたしなんか居なくて良い存在ですから…」

「どうしてきみはそういう風に思うのかね。
わしにしてみれば、きみは大切なお客さんじゃがのう」

「……あたし、両親から虐待を受けていたんです。それで自分に自信が持てなくなって…」

小さな声で、ポツリポツリと自分の過去を話す真帆さん。

彼女の話を聞いたぼくは気が付いていたら、あふれでる涙が頬を伝っていました。

まさか、ぼくと似たような経験をしている人がここにもいたなんて…

彼女が体験した悲惨な状況を想像しただけで、心が締め付けれる感覚がしました。

彼女の話を一通り聞き終わったあと、彼は口を開きました。

「虐待というのは言ってみれば、一種の癖ようなものじゃ。
親から子へ伝染する厄介なものじゃ。
そもそもこれは、愛情表現を伝える術をもたないために起こるのじゃが…早く手を打った方がいいじゃろうな。
きみのご両親がまた同じ過ちを犯す前に。
速急に解決するにこしたことはないからの……」

彼はひげをなで少し考えるしぐさをした後、おもむろに携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけました。

「もしもし、わしじゃ。ヘンリーじゃ。もちろん生きておる。わしはまだまだ元気1000倍じゃよ。ところで用件じゃが、お前さんの自慢の弟子のあの子をここへ派遣してもらえんかの。報酬はお菓子で払うからの。それでは頼んだぞい」

相手の言葉も聞かず一方的に用件を告げた後、電話を切った彼は満面の笑みを浮かべ、

「もう大丈夫じゃ。この手のプロが来るのでな」

少し茫然としている真帆さんを尻目に彼は自信満々に告げましたが、果たして彼が頼んだプロとは一体誰のことで、何のプロなのでしょうか?

Re: マジカルスイーツショップ【面白いキャラ大募集中!】 ( No.21 )
日時: 2014/06/07 15:03
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

「初めましてでござる。拙者は川村猫衛門。通称ネコザムライでござる」

3日後、あたしたちの前に現れたのは、黒くて美しい髪をちょんまげにして、猫を思わせる大きな黒い瞳、小柄な体に昔のサムライの恰好をして、腰に刀をさげた色白の男の子だった。

猫衛門という名前が、なんとなく未来から来たお助けロボットを連想させるのは気のせいだろうか。

「真帆殿、この拙者に任せるでござる。
必ずやお主のご両親の心の中の闇を断ち切ってみせるでござる。
この、『斬心刀』で!」

彼はいきなり腰の日本刀を抜いて私に見せた。

光に反射してキラキラ輝いて綺麗だけど、これって本物じゃないでしょ?

「それはご想像にお任せでござるよ」

そう言って彼はニコッと微笑んだ。

よく見ると、川村くんの顔はまるで日向ぼっこをしている猫みたいで、可愛い。

「ヘンリー殿、報酬を期待しているでござる。『元気モリモリチョコレートバー』を10本あげるという約束、忘れないでくだされ」

10本?

あのお菓子ってたしかこのお店のお菓子の中でもかなり安いほうだけど、そんなもので雇われるだなんて、安すぎな気がするのはあたしだけかしら?

「拙者はあれがないと生きていけないのでござる。それはともかく、早速仕事に移りましょうでござる」

彼は言うが早いが外に飛び出す。あたしたちも慌てて追いかける。

「では行ってくるでござる!」

彼はジャンプだけで家の屋根から屋根をぴょんぴょん渡り走る。

忍者を彷彿とさせるその素早い身のこなしにうっとりと見つめつつも、今更ながら彼で本当にうちの両親を説得できるのかどうかと、不安になった。

Re: マジカルスイーツショップ【面白いキャラ大募集中!】 ( No.22 )
日時: 2014/06/07 18:53
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

心配になったあたしが家に帰ってくると、待ち受けていたのは、予想だにしない光景だった。

パパとママからはあの冷たい光が消え、部屋全体が温かい雰囲気で満ち溢れて、ほのぼのとしている。

そんな穏やかで明るい部屋の中には椅子に腰かけ、ふにゃ〜とした顔の川村くんがいた。

あたしは何が何だかよくわからないため、とりあえず聞いてみる。

「あの、川村くん?」

「真帆殿、帰ってきてたのでござるか」

「うん。そうだけど、この光景…一体パパとママに何が起きたの?」

すると彼は鞘から日本刀を少し引き抜き、

「この刀、斬心刀は人を決して傷つけない代わりに、欲や闇に染まった心を断ち切ることができるのでござる」

そして彼は少しため息をついた。

「大変だったでござる。最初は諭すぐらいでなんとかなると思っていたでござるが、次第に母上殿と父上殿が怒りを露わにし、闇の心を露わにしたので斬ったのでござる」

そうだんだ…でも、パパとママが優しくなっていて「お帰り」なんていうなんて思ってもみなかったから驚いちゃった。

「何はともあれこれでお主は大丈夫でござる。
もし何かあったらそのときは、また拙者を呼べばよい」

彼は電話番号を書き記した紙をあたしに渡して去っていった。

あの日から虐待は受けていないし、ふたりがあたしを無条件で愛してくれるばかりじゃなくて、よく褒めてくれる。あたし自身が気づかなかった意外な長所を見つけて褒めてくれる。

パパは以前はあたしに暴力ばかり振るっていたけど、今はそんなこと全然なくて冗談もよく言う面白くて優しいパパになった。

ママも綺麗で優しくて家事がとっても上手なママになった。

これもすべて、ヘンリーのお菓子屋さんのみんなと川村くんのおかげ。

今は自分が大好き、そしてヘンリーのお菓子屋さんのお菓子も、大好き。

あたしはあのお店に行くたびに感謝の気持ちでいっぱい。

そしていつもこう言うんだ。

「あのときは、本当にありがとう!」


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