複雑・ファジー小説

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しりとりシリーズの『その後』
日時: 2016/05/07 17:13
名前: 彩都 (ID: YohzdPX5)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=18457

始めましての方も知っている方も始めまして。

彩都(サイト)と申します、七作目です。

この作品は『しりとりシリーズ』の続編となっております。

URLは前作『しりとりシリーズ』となっております。

感想等は、この作品の終了後か、前作『しりとりシリーズ』のスレッドにて、お書き下さい。

それではどうぞ。

 NEXT 『愛』、『言う』、『上』、『笑顔』、『謳歌』

Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.44 )
日時: 2016/10/02 21:13
名前: 彩都 (ID: Uc2gDK.7)  

 しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 8 帝都戦争 皇居の戦争

「おらぁ! おらおらぁ!!」
 そう言いながら志摩が戦車に向かって攻撃をする、簡単な攻撃、パンチで戦車を攻撃する、すると殴った部分が簡単にへっこんだ、いや、押し潰されたのか──それは分からないが、志摩は殴って殴って、殴り散らかす、そして装甲の中から一人の男性が操縦しているのを見つける。
「…………」
 無言のまま、志摩はその男性の胸倉を掴んで、その戦車の中から引き剥がす。
「うわぁっ!?」
 悲鳴、それもそうだ、自分の体重を軽々と胸倉を掴んで戦車から引き剥がす、それは普通の女性では出来ない行為なのだ、だが目の前の女性は出来ている、そう、自分の目の前に居る女性は『異常』なのだ、簡単に言えば、『神が与えた二物』の存在なのだ、一つは、美貌、二つ目は、『怪力』、もしくは『強力な筋肉』、か──それは良く分からないが、今、自分が起こさなければならない事は一つ、それは──
「すいませんでしたぁ! だから、だから殺すのだけは勘弁して下さい!」
 今、自分が起こさなければならない事は一つ、それは──『命乞い』である、何故なら、目の前に居る女性は力が強いのだ、そんな彼女に俺は殺されてしまうのか? と考えてしまうと、身の毛もよだつ思いだ、だから少しでも生存確率を上げる為にも、命乞いをしなくてはならない──
「…………」
 だが志摩は無言のままだ、『生かしてやる』、も、『殺してやる』、も何も言わないのだ、それは不思議だ、ただ、自分の事を見るだけで、少しムスッとした顔のままそのまま自分の事を見続ける、そしてそのまま胸倉を掴んだまま志摩は戦車の中から引き摺り出した男性を遠くへと放り投げた。
「うわぁっ!?」
 二回目の悲鳴、それも戦車から引き剥がされた時と同じ悲鳴である、いや、何が起きた? いや、『何で投げた』……? 頭の中で、迷宮を作り出す考え、その考えに少し戸惑いながら自分の状況を少しでも分かりやすく考える。
 そうだ、俺は投げられたんだよ、つまり『生きる事が許された』って事だ、『殺していない』、つまり『生きても良い』って事だ! そう考えながら自分は立ち上がり、林の中へと向かった──これで生存確率を大幅に上げる事が出来る、完全に俺は今、此処で死ぬ事を逃れた人物だ! そう思いながら林の中へと駆け巡っていく──

 はぁ、また命乞いされた、まぁ、無言のまま見つめてるのも悪い証拠なんだけどね──そう思いながら志摩は次の戦車へと近付く、はぁ、全く、そんな逃げ出さなくても、自分のカッコウを見れば分かるじゃないですか、『警邏』ですよ? け・い・ら! 全く、人を殺すのが警邏だなんて思われそうですねぇ……警邏は人を殺す時は犯罪者に面向かった時とか、戦争の時とか、今みたいな、戦車が皇居に攻め込んだ時とかですよ……って、殺す可能性あるじゃん……そう思いながら自分でセルフボケツッコミをする志摩、さて、もうすぐ皇太子様が乗る戦車が近付いてくる、もう他の戦車は粗方片付けただろう、さぁ、残りは二台、三台の戦車のみだ、さっさと片付けて、先輩達にバトンを渡さなければ、そう思いながら志摩は前へと進む、後ろに居る先輩達に楽をさせる為に──

「志摩……」
 そう言いながら俺こと、久比里色也はそう呟く、目の前、いや、遠方に居る志摩を見つめながら言う。
「全く、先輩思いの良い後輩だなぁ……」
 そう呟きながら俺は深呼吸をする、そして隣に居る本羅が言う。
「アッハッハッハ! お前は何を言っているんだ、後輩は先輩に尽くす、これが普通だろう?」
 本羅はそう言いながら欠伸をする、何とも呑気に笑っている。
「……そうかいそうかい」
 俺はそう呟いてから、深呼吸をする、さぁ、志摩、早く戻って来いよ……少し心配になってくる──

「おらよぉ!」
 そう言いながら志摩は他の戦車を破壊していく、そして最後の一台を壊す。
「……やったか!?」
 志摩はそう言って、周りを確認する、回りには皇太子様が乗っている戦車以外見当たらない。
「遂に……遂に出会えた──」
 志摩は大きく深呼吸をしてから皇太子様が乗っている戦車に目をやる、後はこれを壊せば良いのだが──中々壊せそうに無い装甲だ、何重にも装甲を重ねていて、破壊かほぼほぼ不可能だろう、そう思いながら深呼吸を止める。
「仕方無い、『とっておきの『アレ』』でも使おうかなぁ……?」
 そう思いながら周りを確認する、すると志摩の目の前に色也と本羅が近付いてくる。
「おーい、加勢しに来た! もう安心だろう」
 本羅がそう言って志摩と合流する、全く、少しは待ってて欲しいものだが──まぁ、個より全体の力とも言うし、数の暴力とも言う事がある、仕方無い、一緒に倒してあげますか……そう思いながら志摩は体を少し動かして何時でも動ける様に準備する。
「さぁ、行きますか、本羅先輩、色也先輩!」
 志摩がそう言うと二人は『おう!』と大声を上げる──三人の警邏は皇太子の戦車を壊し、皇太子を外に出す事が出来るのだろうか……それは誰にも分からない──

 NEXT しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 9

Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.45 )
日時: 2016/10/08 20:36
名前: 彩都 (ID: iXLvOGMO)  

 しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 9 帝都戦争 十秒程度の希望

「おらぁ!」
 志摩はそう言いながら皇太子様が乗っている戦車を蹴る、すると少しへっこんだ、そしてもう一発蹴りを入れようとした所で、戦車の扉から、皇太子様が出てくる、何事か? そう言いながら皇太子様は戦車の周りを確認する、すると志摩、本羅、色也の三人を確認する、そしてその三人に対して、言葉を言う。
「……お前らは何をしている? 私は皇太子だぞ? 私に歯向かうつもりか? 歯向かうつもりなら我が父に反抗すると言っても過言では──」
 皇太子様がそう言うと、色也が皇太子様の言葉を切る。
「あぁ? 違うぜ、皇太子様ぁ……俺達は、『皇太子様を叱りに来た』だけだからなぁ……お前の匙だけで父親を殺そうとするなよ?」
 色也がそう言うと、皇太子様は鼻で笑う。
「フッ、何だ、そんな事か……父親を殺すのは仕方無い、何故なら、それが『天啓』だからだ、私が新たな天皇になって、日本を変える、そして、帝都日本、ではなく、皇都日本に進化させるのだ、その邪魔をお前らはする、と言う事だが?」
「だから何なんですか? それでも天寿を全うする迄貴方は待てないんですか!」
 志摩がそう言うと、皇太子様は冷めた目で言う。
「そうだが? 何故待たなければならない、今の日本は崩壊しかけているのだ、我等、新日本人が日本を変えないと、誰が日本を変えるのだ? 日本を変えられるのは、幕府が無い、私達天皇の一族しかないんだ! お前らに何が分かる!? 何もかも剥奪された存在の事を……!」
 皇太子様はそう言いながら涙を流す──その涙に偽りは無い。
「それでも……それでも今の天皇様が変えてくれる様に言えば良いじゃないか! 皇太子様は次の天皇候補なんですよ!? 今の天皇様が少しは話を聞いてくれると……」
「巫山戯るな! 愚民がぁ! お前らに何が分かる!?」
 そう言いながら自分の拳を強く握り締める皇太子様、そして戦車の中に入って、志摩、本羅、色也に攻撃をしようとする。
「先輩!」
 志摩はそう言いながら色也、本羅に声を掛ける。
「分かってる!」
「志摩ちゃん!」
 二人はそう言いながら右端、左端へと移動する、志摩は、そのまま戦車のキャタピラを紙を千切る様にして縦から裂いていく、もう片方も裂いていく、これであまり動く事が出来ないだろう。
「はぁぁぁぁぁぁ……」
 志摩は一気に力を溜めた拳を戦車にぶつけた、少しだけへっこんだ、まだまだ装甲は硬い、この装甲を壊さないと、先には進めない──仕方無い、『あれ』を使うか……? だが『あれ』を使用すると体力が一気に減ってしまう──今はまだまだ先輩も動けている、だから──使用出来るか? 志摩はそう思いながら周りを確認する、よし、周りには何も無い、安心して、使用出来る!
 志摩は周りを確認し、安心して使用出来る、と判断した瞬間、志摩は目を閉じ、一気に息を吸って、息を止める、息を止めて、数秒が立った、よし、『黄金時間(ゴールデンタイム)』、発動──志摩はそう心の中で呟きながら、一気に目を開ける──

『黄金時間』──それは数十秒だけ使える人間の能力だ──サバイバルの時に使えば相当使えるだろう──そしてこの『黄金時間』、使用時間は、『息を止めて数十秒』しか使えない、のが難点だが──だが人間の身体能力を上げてくれるので、とても使える──

「はぁぁっぁぁぁ!」
 志摩はそう言いながら戦車に対し、拳をぶつけた、すると戦車が少し揺らいだ、よし、『黄金時間』は使えている! 志摩はそう思いながら戦車の扉を握って、取り外そうとする──
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
 硬い、こんなに硬い物を自分は触った事も握った事も無いだろう──だが、壊さなければ意味が無い!
「はっ!」
 一気に力を入れて、戦車の扉が少し外れる、よし、後少しだ! 志摩はそう思いながら外れた部分から指を入れて、一気に戦車から剥がそうとする、すると変な音を立てながら扉は開く、そして一気に呼吸をする。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
 何とか、開けた、そう思いながら志摩は戦車の中に入って、周りを確認する、すると戦車に乗っている人達は志摩に対し、恐怖をしている。
「おいおい……日本屈指の硬度の戦車だぞ……? どうやって開けたんだよ?」
「バカ! 違うだろ! その前に侵入者を排除しろ!」
 二人の乗組員が話し合う、だが志摩の体力はほぼ無かった、あれだけ体を動かしたのだ、疲れた、体力が無い、とは言えない──
 一人の乗組員が志摩に向かって拳銃で発砲する、その銃弾は志摩の腹部に当たり、志摩は腹部から出血する──侵入者の呆気ない敗北に乗組員は無言のまま驚く……そしてゆっくりと志摩は倒れる、それに対し、皇太子様は言う。
「放って置け、どうせ死ぬ命、この戦車の中で死なせてやれ──」
 皇太子はそう言いながら志摩の首根っこを掴んで、戦車から出る。
「おい、お前らに告ぐ、こうなりたくなければ、今からこの戦いから降りろ、そうしないとお前らも死ぬ、死んでも良いのなら話は別だが──」
 皇太子様が言うと、外に居た色也が驚く。
「えっ? 志摩? 何で腹から血が……!?」
 驚いて声も出ない、いや、恐怖しか現れない、足が竦んでいく──だがそれなのに体が勝手に動いてしまう。
「ああああああああああああああああああああ!!」
 無意識、自分でも理解が出来ない行動に不思議に思いながら戦車に向かって走っている色也、そして戦車の前に辿り着く色也、そのまま皇太子様を睨みながら志摩を遠目で確認する、志摩の腹部からは血が出ている、早く治療しないと──そう思いながら色也は志摩を奪還する為に大きく深呼吸をする──そして色也は叫ぶ。
「志摩を離せぇぇぇぇぇぇ!!」

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Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.46 )
日時: 2016/10/09 23:06
名前: 彩都 (ID: 7qD3vIK8)  

 しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 10 帝都戦争 死

「志摩を離せぇぇぇぇぇぇ!!」
 俺こと、久比里色也はそう言いながら志摩の腕を掴む皇太子様に向かって、走っていた、何でこの行動をしたのか、俺にも分からないが、何時の間にか体が動いていたのだ、無意識に、非意識に、俺の体は勝手に動いていた──
「おいっ! 色也!」
 後ろに同僚の本羅の叫ぶ声がするが、自分にとってはただの雑音にしか聞こえない。
 そしてその雑音と共に謎の轟音が聞こえた、目の前に轟音が鳴る、そして無意識下の中で勝手に判断する、これは『発砲音』だと──それに気付いた瞬間、自分は刀で銃弾を斬っていた、そしてその破片が自分の頬を掠る、ブシュリッ! と自分には聞こえないが、血が出る、あまり大きな傷でもないから、無視する事にする。
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
 早く動け、そして志摩を救え、体の奥底から警報の様に何度も何度も繰り返す、分かってる、分かってるから黙っててくれないか? そんな事を思いながら警報を聞き流す。
 そして戦車の上に乗って、自分の足だけで登っていく、段々と皇太子様に近付いていく──そして皇太子様の目の前に辿り着いて言う。
「志摩を離して下さい、今すぐに」
 俺がそう言うと皇太子様は冷酷な声で言う。
「だったら今、この皇居から離れろ、離れたらこの警邏の女を離してやる」
 皇太子様がそう言うと、俺は普通に言い返す。
「厭です、だって私は天皇様をお守りする警邏なんですから──こんな戦車を使って皇居に攻撃した皇太子様を俺は……俺は叱らなきゃいけないんです、『我侭言うな』って」
 俺がそう言うと皇太子様は笑う、そして笑い終わって俺に向かって言う。
「アッハッハッハ! そうかそうか! アッハッハッハ! ……とでも言うと思ったか? お前は身分を弁えてから言え、お前の身分はただの皇居をお守りする警邏なだけ、だから私に指図するな、私は天皇の直属の子孫なのだぞ? お前なんかに『我侭言うな』って言われる筋合いは無い」
「筋合いは無くても、言う権利はあると思いますけどね?」
 俺がそう言うと少しプルプルと震えている、そして俺は志摩を引き取った後、皇太子様が言葉を発するのを待つ。
「早く言って下さいよ、何が言いたいんですかね?」
 すると皇太子様は拳銃を俺の額に当てながら言う。
「黙れ、黙れ、黙れ、黙れぇぇ!! 私に命令するなぁ! 命令して良いのは我が父、天皇だけだぁ!」
「だったら私が指図しても良いんですね?」
 皇太子様の後ろから聞き慣れた声が聞こえる、皇太子様の後ろには、今の天皇様が立っていた、戦車の上に──
「やぁ、我が息子、よくこんな戦車を使って私の住処である皇居を攻撃しましたねぇ……?」
 そう言いながら天皇様は皇太子様の頭蓋骨を掴んで、ドスを利かせた声で言う。
「ガキが黙って聞いてりゃあ、ただの我侭じゃねぇか、あの警邏の青年の言う通りじゃねぇか、『我侭言うな』、正しいじゃねぇか、お前の何処が間違っている? 答えろ、我が息子よ?」
 ゾクソクゥッ!! 天皇様の声を聞いた瞬間、足がガクガクと震える、こんなに迫力があるとは思わなかった! 失禁しそうになるが、我慢して話を聞く。
「全く──この息子はダメですねぇ、次の天皇候補は誰にしようかな──」
「煩い、煩い煩い煩い煩い煩い煩い!! アンタに何が分かる!? 今迄『天皇の息子』ってだけで、蔑まされた人生を! 我が父に何が分かるんですか!?」
 そう言いながら皇太子様は自分の手に持った拳銃で天皇様を撃った──銃弾はそのまま天皇様の心臓を貫く──
「えっ?」
 俺の声に反応した天皇様が言う。
「ほう……やれば出来るじゃないですか? どうです? 我が父を討ち取った気分は?」
「えっ? あれっ? 私は何を……?」
 皇太子様が困惑している、困惑している中、俺が言う。
「いや、皇太子様が天皇様を撃ったんですよ……?」
 俺がそう言うと、自分の手に持った拳銃の煙を見ながら皇太子様は叫ぶ。
「えっ? えっ? あれっ? 何で拳銃から煙が……? 何で黒煙が……?」
 驚いている、何時の間にかやった、と言う事だろうか? すると天皇様が虫の息になっていた。
「大丈夫ですか!? 天皇様!?」
 俺が近付いて天皇様の体に触れる、少しずつだが冷たくなっている、は、早く救急車を呼ばないと……
「その心配は要りません、私の命はもう少しで終わります──二人共、よく聞いていて下さい、私の息子、あの皇太子は私の養子です、だから本当の息子は何処か遠くに居ます──昔、私の妻と私は結婚をしても赤ちゃんが出来ませんでした、だから赤ちゃんを養子として迎え入れました──ですが数年後、我が妻が妊娠しましてねぇ……そんなの、養子の彼に言う事は出来ませんでした、だから妻を隔離して出産させました、そしてその子を普通の子、として育てました──そしてそんな子に結婚相手が出来ました、そして結婚した事を知った私は嬉しかった、ですが、表に出せない子なので、私が自分の息子に会って、話をしました、流石に怒りましたよ、天皇様の子が自分で、結婚する迄蔑ろにされていたんですからね──そして月日が経ちました、息子夫婦に双子の男女が生まれました、ですが片割れの男子は死んでしまい、私の血を継いでいるのは、その女の子だけです──息子はもう失踪してしまい、何処にいるかも分かりません──ですが、その双子の片割れが──」
 天皇様はそう言いながらゆっくりと指を指す。
「双子の片割れが──各務志摩、養子の皇太子が手を握っていた彼女です、つまり、彼女は我が天皇一族の正統後継者の一人なのです……」
 えっ? どういう事? 志摩が天皇様の子孫って事? マジで? そう思いながら天皇様を見つめる。
「あのー、天皇様? 貴方様の子孫が志摩って事ですか?」
 俺が呑気そうに言うと、天皇様は言う。
「はい、そうですが?」
 えっ? マジかよ……初めて知った、そう思いながら俺は頭を抱える──抱えている内に段々と天皇様の血が減っていく──

 NEXT しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 11

Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.47 )
日時: 2016/10/15 21:00
名前: 彩都 (ID: 10J78vWC)  

 しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 11 帝都戦争 新たな天皇

 二週間後、皇居──
「……何で、何で俺が此処に居るんだろう?」
 俺こと、久比里色也は驚いている、そうだ、何故なら俺は皇居の中に居るからだ──何で俺が皇居の中に居るのかを説明すると──あれは二週間前だ、あの後前天皇様が倒れたんだ──

「大丈夫ですか、天皇様!?」
 俺はそう言いながら自分の服を小刀で切って、止血しようとした、だが天皇様が止める。
「いえ、もう良いんです、だから……志摩を次の天皇にして下さい、今の願いはそれだけです──」
 天皇様はそう言いながら志摩を指差しながら、フッ、と志摩を指差していた指を落とす、俺は急いで天皇様の心臓を触る、脈は──動いていなかった、心肺停止、そう、死んだ、天皇様は崩御されたのだ、自分の養子の銃弾によって──
「あぁ……あぁっ! 私の所為だ、私の所為で父が……血の繋がっていない父が死んでしまった! 私は……私は、天皇になれないのか……!?」
 頭を抱えながら皇太子様が唸る、俺は皇太子様に言う。
「だから何なんだよ、一応は『父親』だったんだぞ!? 皇太子様は『父親』である天皇様の分も生きろ! まぁ、次の天皇は志摩なんだけど──それでも皇太子様は生きていて下さい! それが『親』としての希望だ!」
 俺がそう言うと、涙を流しながら皇太子様は黙る──そして後ろに居た志摩が起きる。
「んー? どうしたんですか? 先輩──って、天皇様が血だらけ!? 何やってんですか先輩!? 早く治療しないと──」
 志摩も俺と同じ行動をする、だが俺はそれを止める事は出来ない──
「早くして下さい、先輩! 天皇様が死んでしまいます!」
 志摩も上着を脱いで、俺の小刀で患部を縛る紐を作るが、皇太子様が言う。
「もう……もう良いんだ、次期天皇よ──」
 皇太子様がそう言うと志摩は不思議がる。
「はぁ? 何言ってんですか皇太子様、貴方が次の天皇でしょう? ねぇ、せんぱ──」
 志摩が俺の事を言おうとするのを遮って言う。
「いや、お前の父親はこの天皇様の子だったんだよ、そしてその子も死んで、残るはその子孫であるお前だけなんだよ、志摩」
 俺がそう言うと志摩は天皇様の懐から財布を取りだす、そして俺に言う。
「もしもですよ? もしも私が天皇の子孫だったとしましょう、だったら『苗字が一緒』ですよねぇ? そうですよね、皇太子様?」
 志摩がそう言うと、皇太子様が唸る。
「うむ、確かにそうだ──」
 皇太子様はそう言いながら顎に手をやる。
「だが、苗字が一緒だった場合、どうするんだ? お前が、ただの警邏が天皇になるんだぞ? それでも良いのか?」
 皇太子様がそう言うと志摩は俺の事を見て言う。
「良いですよ、先輩の事を信じます、で、先輩、言いたい事があるんですけど?」
 急に俺に振られて俺は驚く、一体何なんだろう?
「おう、一体何なんだ? 凄く簡単な事か?」
 俺がそう言うと、志摩が『はい、そうです』と呟いてから俺に続けて言う。
「もしも私が天皇の子孫だった場合、私は天皇になります、だから──」
 志摩はそう言いながら笑顔で俺に言う。
「それの見返りとして私と結婚して下さい、まぁ、私が天皇の子孫と分かった場合ですが」
 ……えっ? いや、はい? どういう事なんでしょう? えっ? 俺が天皇の志摩と結婚? いやいや、何でだよ? 可笑しいだろ、何で俺が結婚しなくちゃいけないんだ?
 そう思っていると志摩が言う。
「えーと、簡単に言えば、先輩の事が好きなんです、凄く唐突ですみません、だから結婚してくれますか?」
「いや、唐突過ぎて可笑しいわ、うーん……分かったよ。結婚してやる! だから早くしてくれ! 俺がこの気持ちを変える前に!」
 俺がそう言うと凄く可愛い顔で志摩は頷く。
「はいっ! 分かりました!」
 志摩はそう言って、天皇様の財布から自分の証明書を見つけ、名前を読み上げる──
「えーと──各務、ですね、私の苗字と一緒──」
「だから言ったんだ、さて、その前に私は新婚の警邏夫婦を見ているのだが?」
 皇太子様が咳払いをしながら俺と志摩を見る──そうか、俺と志摩は結婚する事になったのか──何だろう、凄く不安な気がしてならないのだが──っと、此処迄が二週間前の事、そして志摩は自分の血と天皇様の血を調べて『血が繋がっている』事を証明して、天皇様となった、当の皇太子様は天皇を拒否して、志摩に継がせたのだ──そしてそんな俺は志摩の隣に座っている──
「どうしたんです、先輩?」
 志摩がそう言うと、俺は溜息を吐きながら言う。
「おいおい、天皇様、俺の事は警邏の時みたいに言わず、『色也』と言えば良いのに──」
 俺がそう言うと志摩は笑いながら言う。
「フフッ、それを言うなら先輩もですよ、『天皇様』って──フフッ!」
「お前、また言ったぞ、先輩って──ってツボに入ったのかよ!? 止めろ! 何か恥ずかしくなってきた!」
 俺はそう言いながら腕を両手で擦る、全く、コイツは警邏の時でもあまり変わらない──俺はそう思いながら深呼吸をする、そして志摩に向かって言う。
「あのさ、結婚してくれて有難うな? あまり人を愛すって事は分からねぇけれど、今後とも宜しく、志摩」
 俺がそう言うと志摩も言い返す。
「あまりにも突然で、唐突で、それでも結婚してくれた貴方には感謝します、色也──」
 そう言いながら俺と志摩は近付く、そして唇を近付ける──だが俺と志摩の居る部屋を開ける者が居た、それは本羅だった。
「うぃーっす、天皇様ぁ……って、何かすまないな、デリカシー無くて、この部屋は若い夫婦の部屋だったか」
 そう言いながら本羅は部屋の戸を閉める、うっ、何だか恥ずかしい場面を見られた気がするのだが──そう思っていると、志摩は顔を赤らめながら言う。
「あの……続きをしません?」
 志摩がそう言うと、確かにそうだな、と感じる、そして俺はもう一度唇を近付ける──だが閉めた扉は何時の間にか少し開いており、本羅、そして何故か皇太子様が俺達の事を見ていた──そして俺が一言言う。
「もう、何なんだよぉ!?」
 そう言いながら俺は思う、まだまだ夫婦としての生活は長いのかもな……

 しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 11 帝都戦争 新たな天皇 完

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Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.48 )
日時: 2016/10/16 21:01
名前: 彩都 (ID: w93.1umH)  

 しりとりシリーズ 『戸棚』の『その後』

 あれから数年が経った、時間の経過とはとても残酷で、自分の祖母は死んでしまった──まだ若い自分は祖母に親孝行ならぬ、祖父母孝行が出来なかった、そんなある日の事を話そう、祖母が倒れた時、自分は学校の夏期講習のプリントを見ている時だった、突然教頭先生が自分の事を呼んだので、職員室に向かう事にした、そして電話が来ている、と話をされて、自分は受話器を取った、耳に流れる音、それは母の声だった、その時母の声は未だに覚えている、すすり泣く様な、悲しい声だった、『どうしたの、母さん?』、と自分が言うと母は言う、『お婆ちゃんが死んだ』、と一言だけ言って、電話を切った、祖母は先月から病院に通院していた、だが数日前に医者から、『貴女の体はもうだめです、入院して下さい』と一言言われ、祖母は入院する事にした、そして昨日入院する事にした、何故その日に入院しなかったのかは、祖母の準備、そして病院側のベッドが足らなかったからだ、だが入院して一日で死去だなんて、可笑しい、いや可笑しくは無い、祖母の体は病魔に蝕まれていて、相当無理をしてきた体だった、なので、何時死んでも可笑しくはなかった、だがあまりにも早過ぎるのだ、祖母の死に顔でさえ見れなかった自分はスッ、と一筋の涙を流した──

 自分は急いで学校から帰ってきた後、自転車で祖母の病院迄走った、病院は母、自分、祖母の三人で行ったから、道はある程度覚えている、確かコンビニの近くを曲がれば、近い筈だ、自分はそう思いながらコンビニ近くの道を曲がる、そしてものの数分で病院に着いた、自分は走りたい衝動に駆られながらも、理性で制した、自分はそのまま祖母の病室迄早歩きで進んだ、階段を駆け上り、五階に到着、確かトイレが近くにあったな、と思いながら少し首を回して周りを確認する、トイレを見つけて、ネームプレートを確認する、祖母の名前を確認し、僕はノックして病室に入る、僕が最初に目に入ったのが、祖母の顔に白い布を置かれているシーンだった、そして母が自分に気付く、すると母は自分にビデオカメラを渡す、一体何なんだろう? 自分はそう思いながら『今日は早く帰りなさい』、と母に言われたので、仕方なく、帰る事にした、白い布の下の祖母を見る事無く──

 自分はテレビにビデオカメラのコードを繋いで見れる様にする、そしてカメラ内のメモリーに入っている一つの動画を見つける、サムネイルには祖母の顔が映っていた、祖母が撮った動画か、自分はそう思いながら再生する、すると祖母がテレビの画面の中で喋り出す。
「あー、あー、映ってますか、映ってますか? うん、映っているね、えーと、この動画を遺したのは一つの連絡をしたいからです、それは『戸棚の中におやつを入れているから食べてね?』です、後、もう一つ、言う事があります」
 何だ、戸棚におやつが入っている事か、もう自分はガキじゃないのに……そう思って見ていると、他に言う事があったので、電源を消さずにそれを見る事にする。
「それは、『この動画を見ていると言う事はお婆ちゃんは死んでいる事でしょう、だけどね、お前の心の中では生きているんだよ? だからその事を忘れずに行きなさい? 天国でも地獄でも見守ってるからね? お婆ちゃんより』」
 …………、涙、涙しか出ない、確かに今は死んでしまったかもしれないけれど、自分の心の中では生きているかもしれない、だから最後のおやつを食べよう、そう思いながら自分は立ち上がって戸棚へ向かった──

 一頻(ひとしき)り、泣いて、ティッシュで涙を拭いた後、自分は戸棚に向かって戸を横にスライドさせる、すると自分の大好きなショートケーキの下に手紙があった、これは何だろう? そう思いながら手紙を開ける、中身は薄い、一枚だけか? そう思いながら中身を抜き取る、一枚だけで白い部分が多かった、あまり内容は書いていなさそうだなぁ、自分はそう考えながら手紙の中身を読む──『ごめんね、成人式が見れなくて、お婆ちゃんはお前の立派な姿が見たかった、見れなくて死ぬのは悲しい、それだけが心名残だよ』、その言葉を読んだ後、また目から涙が現れる、あれっ? ちゃんと拭いたのになぁ、目にゴミでも入ったのかなぁ? 自分はそう思いながらもう一度ティッシュを用意する──自分はティッシュが無くなっても泣き続けた──

 これがある日のお話、その後自分は塩味のショートケーキを食べたんだが──未だにその味が忘れられないんだ、まぁ、自分の無駄話に付き合せてゴメン、それじゃあ、自分は前へ進むよ、自分は祖母が死んだ時に決めたんだ、『後悔しても良いから急ぐ』、と言う事を、ね? それじゃあ、また何れ会えたらね? また今度会えたらもっと面白い話でも用意しておくよ、えっ? もう会いたくない? アハハ、面白い冗談だなぁ、まぁ、厭でも何れ出会うかもしれないしさ?

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