複雑・ファジー小説

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しりとりシリーズの『その後』
日時: 2016/05/07 17:13
名前: 彩都 (ID: YohzdPX5)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=18457

始めましての方も知っている方も始めまして。

彩都(サイト)と申します、七作目です。

この作品は『しりとりシリーズ』の続編となっております。

URLは前作『しりとりシリーズ』となっております。

感想等は、この作品の終了後か、前作『しりとりシリーズ』のスレッドにて、お書き下さい。

それではどうぞ。

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Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.79 )
日時: 2017/02/04 21:02
名前: 彩都 (ID: ???)  

 しりとりシリーズ 『メモ』の『その後』 蘭万屋録 CASE 9 蘭、君は何者?

 数日後、自分こと蘭は少し溜息を吐きながら資料を確認していた、梨花ちゃんは今はお昼寝なので事務所には居ない、だけどその事務所の中で一人だけメイド服の女性──名前は浅井さんという──が掃除をしている、そして自分は浅井さんの名前を読んで用件を言う。
「あぁ、浅井さん、すまないんだけど梨花ちゃんを起こしてくれるかい? 今から息抜きに公園に行こうと考えていてねぇ」
「分かりました」
 浅井さんはそう言って梨花ちゃんを起こしに行く、全く、彼女の考えている事は怖いな、そう思いながら資料を鍵付きの引き出しに入れる、何とか『自分の正体』を隠さないとこの世界では生きていけないのだ、人間界とはとても大変だな、と思う、すると目を擦って目覚める梨花ちゃんを発見する。
「んんー? もうお昼ぅ?」
「あぁ、自分と一緒に公園に行こう」
 自分がそう言うと梨花ちゃんは喜んでいた、小学生はこんなんで喜ぶのか、心の中でメモを取ろうとした時だ、急に蘭万屋の扉が開く、扉の奥には覆面を被った一人の小太りの男性が立っていた、まさか依頼者か? と声を出そうとした瞬間、覆面を被った小太りの男性の後ろから背が高く細い女性が現れ、梨花ちゃんの腰を掴んで梨花ちゃんを担ぎながらそのまま事務所から消えて走り去って行く、その次に浅井さんを覆面を被った小太りの男性が浅井さんを背負って走り去って行く、これってまさか──
「誘拐!?」
 自分がそう言った時にはもう遅かった、自分は机を踏んで一気に前にジャンプし、移動する、そして事務所から出る、すると梨花ちゃん、背が高く細い女性、覆面を被った小太りの男性、浅井さんが確認出来た、その四人は少しでかい車に乗ってごそごそしていた。
「あっ、蘭さん!!」
「必ず助ける!」
 車のドアが開いている状態で頑張って叫ぶ浅井さん、そんな浅井さんの叫びに返答する自分、だが車は走ってしまい、追いかける事は出来ない、自分の走力は現代の車より遅いのだ、だから追いかける事は出来ない……くそっ、こういう時の為に車は買っておくべきだった! だけど自分が買ってしまうとガソリンを入れたまま放ってしまいそうだ! と心の中でセルフツッコミを入れて、その場で呆然と立ち尽くししかなかった──

「あぁ、面倒だなぁ、人助け」
 そう言って頭を叩かれる自分、靴紐を結んでいる自分の後ろには赤色のロングヘアーの女性が存在し、手首の手錠を弄っていた。
「お前はバカか、何でそんな事を言える? 私達は人間を救う為に人間界に居るんだろう? 妖怪、幽霊、亡霊、人間全ての話を聞いて最前の手を探るのが私達だろう? なのにお前は何でそんなに人間や幽霊を助けたくないんだ……?」
 赤色のロングヘアーの女性はそう言って溜息を吐く、こっちが溜息を吐きたいのに……そう思いながら靴紐を結び終え、自分は立ち上がってドアに手をかけた瞬間だった、事務所の電話が鳴る、えっ? 何で電話が……? そう思いながら自分が電話の受話器を手に取り、耳に近付けた、すると機械音の声で喋ってきた。
「やァ、初めマシテ、蘭万屋のニンゲンよ……私は枝垂、と言いマス、梨花、浅井を誘拐したニンゲンのボスです」
 その言葉を聞いた瞬間、自分は枝垂とやらに対し、怒鳴って返答する。
「てめぇ! 早く解放しやがれ! 粉に帰すぞ!」
「そんな脅し文句聞いた事がねぇ!」
 と後ろの赤色のロングヘアーの女性が言う、今はそんなツッコミどうでも良い、それよりも早く二人を解放しないと……! すると枝垂が自分に言う。
「良いデスよ、ですが条件がありマス」
「で、ですよねぇ」
 自分はそう言って落胆する、一体どんな条件なのだろうか? 自分はそう思いながら枝垂の言葉を待つ、すると枝垂は自分にとってとんでもない事を言う。
「簡単デスよ、『自分の正体を梨花、浅井の二人の前で明かして下さい』、ソレが出来たら二人を解放しましょう」
「…………」
「お、おい蘭……さっさと明かしちまえよ、どうせ減るもんじゃねぇんだし──」
 赤色のロングヘアーの女性がそう言う、だが自分は言いたくなかった、『自分の正体』を──すると赤色のロングヘアーの女性が自分の耳に当てていた受話器を奪って枝垂に話しかける。
「てめぇ、いい加減にしやがれ、正体言ってやるから、てめぇらが今居る場所を言いやがれ、それが最初だろ?」
 赤色のロングヘアーの女性がそう言うと不思議そうな感じで枝垂が言ってきた。
「えっ? あの……貴方は誰なんですか? 私は蘭に話しかけたのですが……」
 枝垂の言い方に対し赤色のロングヘアーの女性が笑いながら言う。
「私か? 私の名前は翌檜、蘭の友達だ、友達と言ってもアッチ系ではない、コッチ系だ」
「てめぇ! 何気に誤解される様な言い方すんじゃねぇ!」
 赤色のロングヘアーの女性──翌檜だ──の言葉に対し自分は間違いを正す、だが翌檜は笑顔のまま自分をおちょくる。
「えぇ〜? だって少し前に私を押し倒したじゃん? そしてそのまま──」
「あれは単純にこけて押し倒しただけじゃねぇか! そんな変な良い方しなくても……!」
「あ、あのー……」
 枝垂の言葉を聞いてハッと我に帰る自分、その前に居場所を聞かないと!
「おい、一体居場所は何処なんだ!? 早く答えやがれ!」
 自分がそう言うと枝垂は小さな声で言った。
「……枝垂港、そこで待っている──番号は11だ──以上だ!」
 枝垂はそう言って電話を切る、自分は受話器を耳に当てながら深呼吸をする、枝垂港か……急がないと、そう思いながら自分は事務所を出る、そして自分は翌檜が運転する車の助手席に乗って枝垂港に向かう──待ってろ、浅井さん、梨花ちゃん、そう思いながら──

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Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.80 )
日時: 2017/02/05 20:57
名前: 彩都 (ID: ???)  

 しりとりシリーズ 『メモ』の『その後』 蘭万屋録 CASE 10 蘭の正体、○○○。

 枝垂港──第11コンテナ──
「成功しましたねぇ」
 覆面を被った小太りの男性が浅井に言う、すると浅井は笑いながらその場から立ち上がる。
「まさか……成功するとは思いませんでした、これで蘭さんの正体に少し近づきますよね……?」
 浅井がそう言うと覆面を被った小太りの男性は覆面を剥ぐ、すると覆面を被った小太りの男性の正体は稲田だった。
「確かに……蘭はあまり自分の正体を明かさないからなぁ──明かしたら明かしたで相当大変なんだよなぁ──でも知る事が出来て良かった、という考えも出来るな」
 稲田がそう言うと浅井は驚いていた、えっ? 蘭の正体を知っている? そう思うと浅井は稲田に詰め寄る。
「えぇ!? 稲田さん、蘭さんの正体を知っているんですか!? じゃあ何で誘拐ネタを作ったんですか!? 可笑しいでしょう!?」
「えぇ……? だって自分の口では言いたくないし、これは本人に聞いた方が良いかなって……」
 稲田の言葉を聞いて少ししょんぼりする浅井、すると外から変な音が聞こえる、もう蘭と翌檜って人が来たのかな? と思い、浅井は縄に縛られる、梨花は何時の間にか寝ていたので、寝かせていた。
 そして稲田は覆面を被りなおし、蘭に対し、準備をする。

「ていうか11って何だよ?」
 蘭がそう言うと翌檜が答える。
「多分コンテナとかじゃね? よくあるじゃん? 取引はコンテナとか」
「あぁ、確かにな……だけどコンテナって11迄あったかなぁ? って思ってさ」
 蘭の言葉を聞いて翌檜は溜息を吐く。
「お前はバカかよ、いいや、正真正銘のバカだったな」
「てめぇ、後で覚えていろ、色々な意味で襲ってやる」
 蘭がそう言うと片手で頬を添える翌檜。
「そうかぁ……夜が激しくなりそうだなぁ」
「なりません」
「ちぇっ」
 翌檜の言葉を聞いて、ツッコミを入れる蘭、もうすぐコンテナに着きそうだ──

 コンテナに着いて翌檜はコンテナを蹴る、そして扉を蹴破って中に侵入する。
「はぁい、すいませぇん、此方に二人が誘拐された、と聞いて来ましたぁ……私の名前は翌檜、枝垂って奴ぁ、何処のどいつだぁ?」
 翌檜がそう言うと覆面を被った稲田が言う。
「えぇっ!?本人来てねぇ!」
「本人は後ろだよ」
 蘭はそう言って翌檜の後ろから現れる、目の前に見えるのは三人、一人は小太り、もう一人は浅井さん、最後に背が高く細い女性の三人、そして梨花ちゃんの気配は少しだけ感じるので、四人居る事は理解出来た、さて、どうやって救うか? そう思っていると覆面を被った稲田が言う。
「おい、早く正体を現せ、蘭!」
「…………」
 自分は無言のまま溜息を吐く、面倒だが話すしかない様だなぁ、そう思い、自分は言葉を発す。
「自分の正体は『神様』だよ、簡単に言えば──さて、もう茶番は終了していいか? 稲田ぁ?」
「……やっぱりバレてた?」
 稲田がそう言って覆面を脱ぐ、二人の会話に対し、浅井さんだけが不思議がる。
「えっ? か、『神様』? というと何の神様ですか? 例えば音楽の神、とか商売の神、とか……」
「んー? 自分はこの街の『土地神』だよ、だから『他人の心の声が聞けたり出来る』んだよ、だから浅井さんが自分の正体を探るのは知っていた、だけどあまり話したくは無いんだよなぁ、だって『神』ってだけで畏怖されるしさぁ……あぁ、後翌檜も『土地神』だったりする」
「いえーい、私は土地神でぇす☆」
 翌檜がピースをする、それに対し、少し不思議な事を考える浅井さん。
「えぅ? 可笑しくないですか? だって土地神なんだからその場所に留まっている筈です、なのに何で翌檜さんは留まっておらず、他の土地に移動出来るんですか?」
「んぁ? そんなの簡単じゃねぇか、『土地の範囲が違う』んだよ、蘭はこの『都道府県の一つが範囲』なんだよ、一県丸ごとが土地神の範囲、まぁ、市町村ごとに分かれているんだけど──つまり蘭は相当ランクが高い土地神って事だ──さて本題だ、私はどんなランクの土地神か分かるか?」
「えっ? ……この街の土地神、蘭さんより格下の?」
 浅井さんがそう言うと翌檜は笑っている、流石に自分でも笑いそうになった。
「アハハハハハッ! ちげぇよ、私は『日本の土地神』だよ、だから『日本全体移動出来る』んだよ」
 翌檜がそう言うと浅井さんは驚いている、そんな浅井さんを放って置いて自分は浅井さんの縄を解く、すると自分は背が高く細い女性の正体を考える。
「えぇと……アンタは誰なんだ? 心も読めない様だし……正体は何なんだ?」
「フフフ、私か? 私は!」
 そう言って背が高く細い女性は覆面を剥いだ──その正体はアマテラスだった、自分と翌檜は急いでその場で土下座した。
「貴女様とは知らず、生意気な口調で喋ってすんません!!」
「アマテラス様が絡んでいるとは思いもしませんでした!!」
「お前等なぁ……驚き」
 アマテラスがそう言って溜息を吐く、浅井さんだけがその空気に馴染めていない。
「いやぁ、アマテラスさんに話をしたら『面白そうだから私も参加するよ!』と言って来てなぁ、だから参加させたんだよ」
 稲田がそう言うと自分は稲田の襟首を掴む。
「てめぇ! 何気に日本の最高神と友達感覚で関わっているのかよ!?」
「そうみたいだなぁ」
 そう言って自分は溜息を吐いてその場で項垂れる、自分の正体は知られるわ、土下座するわ……今日は不運だぁ! 自分はそう思いながらその場で座り込む──

 まぁ、正体がバレたのはたった一人だけで済んだから今はどうでも良いか、そう思いながら自分の事務所に戻る。
 さて、今日も今日とて仕事を開始するか、そう呟いて自分は欠伸をする、すると浅井さんが自分にコーヒーを渡す。
「あぁ有難う、浅井さん」
「メイドなので」
 そう言って浅井さんは掃除を開始した、この街は色々な人が現れる、人間、妖怪、幽霊、亡霊、神、土地神、色々な存在も現れる、一人の土地神、一人のメイド、そして一人の幼女──
 そんな街にある蘭万屋、皆さんも来てみてはどうだろうか? 蘭が貴方の依頼を受けるかもしれないですよ……?

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Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.81 )
日時: 2017/02/11 20:28
名前: 彩都 (ID: 07aYTU12)  

 しりとりシリーズ 『もやもや』の『その後』

 …………何年が経っただろうか? 自分は自宅の中でそう思いながら溜息を吐く、段々と昔の記憶が消えかかっている、もうじき自分も死ぬのかなぁ? と思った時だ、『USAMI』の事を思い出した。
 あぁ、そんな子いたなぁ、自分の好きな格好で現れたんだっけ? そう思いながら必死に過去の記憶を思い出す、もうじき自分も死ぬかもしれない、だったら『USAMI』を作って介護生活を受けてしまえば良いのか、と考えて自分は家に篭って『USAMI』を作る事にした。

 時はタイムトラベルが出来る時代なのだ、『USAMI』を自分の過去に送り付けて昔罹った『もやもや』の病気を少しでも解消してもらおうと自分は考えた、あっ、これを考える事で昔の自分は『USAMI』を『もやもや』の病気、だと思ったのか、うん、そりゃそうだよな、謎の空間に辿り着いて『USAMI』に介護させてもらうとか……普通有り得ないよな、というより自分が寝ている間にタイムマシンが出来ているのがもっと驚く内容なのだが──よし、頑張って作らないとなぁ……そう思い自分は頑張って『USAMI』を作っていく──
 最近のアンドロイドや二足歩行型ロボットは一般人の自分でも手頃に買える値段で手頃に作れる簡単な物となっている、なので『USAMI』の見た目だけ覚えていたら簡単に作れるのだ。
 今日も頑張って作らないとなぁ、そう思いながら自分はゆっくりと思い出しながら作る──

「ふむ、何とか完成したな、後はこれを過去に送りつけるだけか……」
 自分はそう言って『USAMI』をタイムマシンに乗らせ、過去の自分の精神に送りつける、さぁ、『USAMI』で頑張って『もやもや』を倒してくれ、そう思いながら自分は大きな安堵感で生まれた溜息を吐く──

「…………」
「最近あの人が外から出ないわねぇ、死んでいるかもしれないなぁ」
 そう言って自分の住んでいる家の大家さんが自分の自宅を叩く、何も反応がないのでマスターキーを使用して自宅に入る。
「うわっ!?」
 そう言って大家さんは驚いた、それもその筈だ、自分の姿が痩せこけて白髪になっているからだ。
「うわわわわ、は、早く救急車呼ばないと……!」
 大家さんはそう言って電話をかける、すると数分経ってから救急車が現れる──

「……ていうのが此処に来る手前の貴方です」
 そう言って自分の目の前に座る大家さんが言う、成程な、自分は『USAMI』と『もやもや』の所為で痩せこけてしまったのか……そう思いながら自分は『もやもや』の治療を行っていく、早く『もやもや』から解放されたいな、自分はそう思いながら自分の手を見る、自分は『USAMI』と絡んだ事実がある、『USAMI』の食事を食べた胃がある! 自分にとって『USAMI』は実在したんだ! 自分はそう思いながらゆっくりと目を閉じ、また目の前に『USAMI』が現れる事を待つ──だが『USAMI』を作ろうとする少し前迄現れず、思い出せない事を自分はまだ知らない──

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Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.82 )
日時: 2017/02/12 21:12
名前: 彩都 (ID: qToThS8B)  

 しりとりシリーズ 『揶揄』の『その後』

「ふむ……」
 自分はそう呟いて溜息を吐こうとする、そんな自分に対し目の前に居る裕香はナース服のまま巨大な注射器を持ちながら呟く。
「何か意見は? もう少しスカートの裾を短く、とかガーターベルトをつけるとか」
「いや……別に自分はそういうフェチズムは無いし、別にどうでもいい、ていうか早く服をキャリーケースに直せよ、早く自分は帰りたいんだ」
「何よそれ? 面倒な目で私を見ないでよ?」
「面倒なのは事実なんだけど──明日は早いんだ、だから早く帰って寝たいんだけどなぁ」
「成程、確かに明日はコミケ当日だもんね」
 そう、自分と裕香は明日、コミケ会場に行ってコスプレイヤーとなるのだ、まぁ、自分は制御役、として登場するのだが──明日になって平穏な日常を手に入れたいな、そう思いながら自分はその場から離れて自宅へと帰る──

 翌日──

「何も起きずに一日目終了か……」
 自分はそう言って両手に大量の紙袋──中身は同人誌で大量だ──を持ちながら帰宅する、ていうかコスプレって凄いな、普通に冬なのに水着レベルの格好をしているだなんて……寒くないのかなぁ? 自分はそう思いながら溜息を吐く、案外両手が重い。
「お帰り」
「あぁ」
「そうだな、ただいまなのだよ」
 自分はそう言って裕香の家に荷物を置く、全て裕香が買った荷物を自分が持っていたのだ。
「今日は大変だったよ、まぁ、君のお陰で助かったけどね」
「そうかいそうかい、んで? 少しは外に出てどうだった?」
「……楽しかった」
「そうだ、外は楽しいんだ、だから学校に来てくれよ? もうすぐ受験シーズンを迎えちまう、だから少しでも先生と会話するなり何とかしてくれよ? そりゃスカート捲った自分も悪いけどさぁ? 少しは開き直れよ、相当昔なんだ、皆忘れてるって、自分と裕香ぐらいだよ、覚えているのは」
「……うぅー」
「唸っても無駄だよ、自分は受験で忙しい中頑張って此処に来ているんだ、毎日三時間は勉強しているのに睡眠時間も削って此処に来ているんだ、今日だってそうさ、寝る時間は深夜の一時だったし」
「それは私だってそうだよ、気付いたら深夜一時、二時で、何時の間にか寝ていて君に起こされたんだし──」
「自分の場合は勉強でだよ、君と違って夢も希望もあるんだ」
「えっ? それは初めて知った」
「そりゃそうだ、君に初めて言うんだから、親にも言っていないし」
「…………」
 無言のまま裕香は黙る、自分は静かに言った。
「自分と同じ様に進路を決めてほしいんだよ、だから学校に行ってくれ、頼む」
 自分はそう言って裕香に土下座する、何分が経っただろうか? 自分は土下座から起き上がって部屋を出ようとする。
「ま、待って!」
 そう言って裕香が自分を止める、一体なんだろう?
「……進路、もう決めているの?」
「まぁね、一年前にはもう決めていたかな? その場所に行くからずっと勉強してた」
「そうなんだ」
「そうなんだよ、だから自分はもう帰──」
「私も、私も同じ所に行きたいなぁ、君と同じ場所に──」
「分かった、だったら明日から学校へ行けよ、それだけだよ、自分から言えるのは」
 自分はそう言って裕香の部屋を出る、裕香は翌日から制服を着て学校を来た、何と言うか、珍しいなぁ、と思った、そして裕香は自分と同じ進路にする、と言って他の先生の言う事を聞かないのだ、自分は溜息を吐いて心の中で呟く。
 全く、自分の苦労は彼女が九割の原因なのに自分はそんな彼女に関わっている、何で関わっているのか分からないけど、自分が『彼女と居るのが楽しい』から関わっているかもしれない、自分は心の中でそう呟いて、溜息を吐いた──

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Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.83 )
日時: 2017/02/18 21:04
名前: 彩都 (ID: LdHPPNYW)  

 しりとりシリーズ 『猶予』の『その後』

「ふぅ……」
 自分はそう呟いて額の汗を拭う、そんな自分に対しプリマヴェーラは魔法を使用して物を運んでいく、自分はプリマヴェーラを見て『魔法は良いなぁ』と思う、するとプリマヴェーラが自分の顔を覗きながら言う。
「どうしたの?」
「ん? あぁ、魔法は良いなぁって……」
「成程、一般人は魔法が使えないもんね、使うには幼少期から魔法の特訓をしないといけないしね」
「そうだよ、だから自分は幼少期から魔法を特訓していたらなぁってさ」
「うーん、今からでも遅くは無いけど、遅いかもしれないねぇ」
「そうか……」
 自分がそう言った瞬間、背後から大きな音がする、この音は扉が開く音だった、この扉が使われるのは……ボスだ。
「よぉ、お前等ぁ? 元気にしてるかぁ?」
「私は元気にしていないよ、とりあえず、『扉を開けたんだから、後は開けるだけ』だよね?」
「はぁっ?」
 ボスがそう言った瞬間、開けた扉を他の仲間達が開けて、開けた扉の下に袋に入れた土を積んで、扉を閉める事を出来なくさせる。
「なっ!? 隙を突きやがってぇ!」
「甘かったね、『隙をつく事は魔法使いの基本』だから!」
 そう言ってプリマヴェーラは杖の先から巨大な光の玉を吐き出す、その光の玉をボスは直撃してしまう。
「ぐぁぁぁぁぁぁ! な、何故だぁ!? 何で小さい体なのにこんなに強い攻撃がぁ!?」
 ボスがそう言うとプリマヴェーラは鼻で笑う。
「『凝縮』さえすればどうかな? どんな攻撃も『凝縮』さえすれば強いんだよ?」
 プリマヴェーラはそう言うと、ボスはその場で倒れ、気絶する。
「さぁ、脱出しようよ、君!」
「あ、あぁ……」
 自分の持っている、土が入った袋をその場に置いて自分は扉へと駆け出した──

「有難う、プリマヴェーラ、土がある事と、袋を魔法で作ってくれて、完全にボスにとっては奇策になったんじゃ無いだろうか? 俺達はこれから自由に過ごすから、お前も頑張れよ?」
 自分が箱庭から脱出してプリマヴェーラに感謝する、すると他の仲間も『おう! 頑張れよ!』とか、『俺の結婚相手になってくれ!』とか聞こえる、お前らの言葉なんか聞かないと思うけどな、と思う。
「うん、人を助けるのが私の幸福だからね、それじゃあ、またね!」
 そう言ってプリマヴェーラは杖に乗って、空を飛んでいく、そして自分は足元のブビュルを見る。
「お前はどうする? このまま俺達につくか、一人で自由に過ごすか?」
 自分がそう言うとブビュルは言う。
「……一人で過ごす、やりたい事もあるから……」
「そうか、早くこの館から離れよう、もしかしてボスが起きて復活するかもしれない、だからこの館から離れよう、皆も急ごうぜ!」
「おう!」
「そうだな!」
 自分はそう言うと、皆も唸り声を上げる、俺達は急いでこの館から離れた、これから自分は自由である、さぁ、これから何をしようか? それは自分にしか分からない──
 他の皆も何をするのか分からない、だけどシュガーだけは不安だなぁ、と思う、だって性犯罪者になるかもしれないし……シュガーの事は放って置いて、さぁ、何処か遠くへ行こうか、そう思いながら自分は前に進む──

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