複雑・ファジー小説
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- しりとりシリーズの『その後』
- 日時: 2016/05/07 17:13
- 名前: 彩都 (ID: YohzdPX5)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=18457
始めましての方も知っている方も始めまして。
彩都(サイト)と申します、七作目です。
この作品は『しりとりシリーズ』の続編となっております。
URLは前作『しりとりシリーズ』となっております。
感想等は、この作品の終了後か、前作『しりとりシリーズ』のスレッドにて、お書き下さい。
それではどうぞ。
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- Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.34 )
- 日時: 2016/08/28 20:01
- 名前: 彩都 (ID: 1CRawldg)
しりとりシリーズ 『太刀』の『その後』 風凪光輝の殺人記録 10 最終章 風凪光輝の復讐記録 (後編)
動けなかった、いきなりの行動で、僕の体は固まってしまった、アリスも動けなかった、復讐出来ずに死ぬのか、まるで走馬灯の様に色々な記憶が思い出される、四季との思い出、アリスと一緒のベッドで寝た思い出、色々な人を殺した思い出──全てが綺麗な思い出として、思い出される、そう思いながら僕は目を閉じた──
「で、何しに来たの光輝君?」
委員長が言う、あれっ? 僕は死んでいない?
「死ぬ訳無いでしょう? だって張りぼてにただの照明だし──音はただ単純に録音したのを使用しただけだし──」
「成程──それでは言おうか、お前が殺したのか、僕のボスを?」
無言、その後に委員長は言った。
「……そうよ、と言えば? ってその前に私の名前を言っていなかったわね、私の名前は四季識描(しき しきかく)、爆弾魔、とでも言えば良いわ、私は依頼を受けて殺したのでは無いわ、『殺害現場を見られた』から殺しただけ」
「そうか……」
僕はそう言いながら識描の首に太刀を当てる、そして僕は言う。
「そうかそうか、『見られたから殺した』のか……」
僕は太刀を下に下げて、識描に言う。
「それでも僕のボスを殺した、という事に変わりは無い、僕はボスを殺した奴を殺し返しに来ただけ、だから委員長、君を殺すよ」
「あらそう? 私は簡単に死なないわ、貴方と同じ肉体若返薬(ミニマム)使用者だから」
「……何歳だよ?」
僕が不思議そうに聞くと、識描は答える。
「……女子に年齢を聞くなんて何て最低な男──年齢は32歳よ」
「……それは無いわぁ」
そう言うと、識描は顔を赤くする。
「なっ!? いいじゃない! 若さを手に入れても!」
「確かにそうだけど……ってその前に殺す事を忘れていたよ、さようなら委員長、可愛かったよ、年齢を聞く前迄ね」
「あら? 私も貴方の年齢を聞く迄好きだったわ」
「そうか」
「そうよ」
僕はそう言いながら太刀を横に振った、すると識描の首は吹っ飛んでいった──これで復讐は完了だ──
数日後──
「あら? 光輝君? 何処へ行くのかしら?」
そう言いながら巨乳のアリス──肉体若返薬(ミニマム)の逆の肉体成長薬(マグナム)を使用して元の姿に戻った──は頭を掻きながら僕に向かって尋ねる。
「僕か? 僕はー……」
僕も肉体成長薬(マグナム)を使用して、元の姿に戻っていた、身長175cmの姿を玄関の鏡で見ながら懐かしいなぁ、と思う。
「知らないや、少しだけ日本をブラブラするよ」
「あら? 私も参加したいわね──」
「すまない、今回は僕だけで行動したいんだ」
「そう? それなら仕方無いわね」
「仕方無くないけれどね」
「煩いわね、燃やすわよ?」
「もう燃やせないだろ? 僕だって少しは強いんだから」
そう言いながら自分の右手を見る、相当戦った右手を見ながら欠伸をする。
「もう、この家──いやこの組織から抜けるんだ、この世には『人を殺すよりももっと面白い事がある』かもしれないからね」
「私はこの家でもう少しこの体を慣らすわ、そして光輝、貴方を見つけて結婚する」
「おいおい、僕の結婚相手を勝手に決めるなよ、僕だって結婚する人を決める事だって可能だろう?」
「それもそうだけれど、その前に私と結婚してくれる人がいないもの」
「僕だって結婚してくれる人なんか居ないさ、だから探すんだろう?」
「だから私と結婚してしまえば楽なのに……」
「君だけとは結婚したくないけどね──さて、行くよ、こんな会話している暇があったら少しでも前に進みたいんだ、僕はこの日本の景色をもっと楽しみたいからね」
「あら? こんな会話がつまらないですって? それもそうね──じゃあね光輝君、また会えたら会いましょう?」
「もう会いたくないけれどね」
「酷いわねぇ、何れ出会ったら『カオスな光輝君』になりそうね、いや『闇輝』君かしら?」
「僕の名前で遊ぶなよ」
「あら? 面白いわよ? 名前弄りは」
「本当に君は腹立つね、早く殺したいよ、今はもう殺さないけれど」
「私も抱き締めて絞め殺したかったわ、体が小さい時にしか出来なかったけれど」
「んじゃ、もう本当に出るよ」
「えぇ、達者に生きなさい、風凪光輝」
「あぁ、達者に生きるよ、詠川有数(よみかわ アリス)」
僕とアリスは相手の本名を言い合って、顔を逸らした、僕は玄関のドア越しで少しだけ涙を出していた、アリスも少しだけ泣きかけていた。
僕の殺人話は識描の殺害で終わり、これからは僕の殺人記録じゃなくて、娯楽記録となるだろう、少しでもこの人生を楽しみたい、日本を楽しみたい、もっともっとこの世界を楽しみたい、そう思いながら僕は旅行用の鞄を牽きながら前に進む、僕の人生はどうなるか分からない、だから少しでも楽しまないといけない、僕は大きく深呼吸をしてから大空に向かって言う。
「さぁ、誰か僕を楽しませてくれよ──!」
そう言いながら僕は走る、何処にゴールがあるか分からないけれど、僕は進むんだ、未来という道を──
しりとりシリーズ 『太刀』の『その後』 風凪光輝の殺人記録 10 最終章 風凪光輝の復讐記録 (後編)
終・わ・り……
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- Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.35 )
- 日時: 2016/09/03 20:10
- 名前: 彩都 (ID: zbxAunUZ)
しりとりシリーズ 『緻密』の『その後』
暇だった、たったそれだけだった、最初は霊能力者として適当に歩いていたら、テレビの人が自分に名刺をくれた、そして自分は芸能界の第一歩を進んだ──
そして自分は心霊番組に出て、色々な心霊の話を展開して一躍売れっ子になってしまった、元々盗人なのに、こんなに売れても良いのだろうか? そう思いながら自分は働いていく──それも束の間だった、今年一年間出続けて、心霊の話をしたりもしたが、遂に過去は盗人の事がバレてしまった、その理由は、酒に酔って、盗人の事とかを言ってしまい、それを週刊誌が録音していたからだ。
あぁ、完全にしくじった──その週刊誌が発売してから数日後、自分の家に警察が来た、そして全て自分は打ち明けて、お縄となった──相当頑張ったよ、誰でも良いから自分を認めてくれよ、そして芸能人だった時が楽しかった──そう思いながら痩せこけた自分は思う、盗人をしたから、懲役が酷い、完全に忘れていた罪状もあったので、合計200件以上はくだらない……っていうか、完全に無期懲役並に年数が酷かった──そして目の前が虚ろになる──あぁ、もう死ぬんだな……自分はそう思いながら自分の人生を悔やみながら目を閉じる──そこは明るい楽園でありますように──そう願いながら自分は──
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- Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.36 )
- 日時: 2016/09/04 23:25
- 名前: 彩都 (ID: n3KkzCZy)
『しりとりシリーズ』 『伝』の『その後』
自分は吉田ちゃんと結婚して、幸せな家計を築いた。
吉田ちゃんは可愛いなぁ、そう思いながら息子に絵本を読み聞かせる。
まぁ、この家庭は幸せ、という部類に入るのか分からないけれど、多分、自分は幸せなんだろう、と自分はそう思う、まぁ、その前に誰も『自分が幸せ』、なんて他人が決め付ける事は出来ない、そうだと思うんだ、『自分の幸せは自分でしか感じれない』、そう思うんだよ、自分は。
読み聞かせを終わらせた後、吉田ちゃんが自分を呼ぶ、今日のご飯は何だろう? 今は吉田ちゃんが作る料理が毎食毎食楽しみで仕方無い。
そして食卓に着いて、自分は言う──それではいただきます。
そう言って自分は吉田ちゃんのお手製の料理に手をつける──これが『幸せ』、というのかもしれない──
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- Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.37 )
- 日時: 2016/09/10 20:25
- 名前: 彩都 (ID: .YMuudtY)
『しりとりシリーズ』 『帝都』の『その後』 帝都戦争 1
俺は殺さないといけない、尊敬する天皇様の為に──
「さぁ、今日も出勤するか」
そう呟きながら俺は布団から起き上がる、そして歯磨きをして食事を取る、俺の名前は久比里色也(くびり しきや)だ──ただの警邏である、よくいる警邏の一人である、そして天皇様を守る仕事をしている、俺は欠伸をしながら、味付け海苔と玉子掛けご飯をさっさと作り、それを食す、ふむ、産み立ての卵は美味いなぁ、そう思いながら飼っている鶏にご飯をあげて、俺は外に出る。
俺の仕事場は皇居である、皇居で俺は天皇様を守っている、忙しい時もあるが天皇様を守る事が出来て俺は嬉しい仕事に就いたなぁ、と思う。
そして急な坂道をゆっくりと登り、懐中時計を確認する、よし、勤務時間の10分前だ、よしよし、今日も遅れずに皇居に着いた、最近は此処の坂を登るのも慣れてきたなぁ、そう思いながら俺は夜番の知り合いと交代する。
「大丈夫か? 最近は目の下が酷いぞ?」
俺がそう言うと、知り合いの日下部本羅(くさかべ もとら)はハハハ、と乾いた笑いをする。
「まぁ、な──深夜作業は大変だなぁ、と感じているだけさ、まぁ、妻も息子も居るから家であまり寝れてないだけだしな、休日は」
「そうか、妻子持ちは大変だ──」
「そうですねぇ、それでも警邏の方々は肉体が基本なので、あまり無理はして欲しくは無いのですがねぇ──」
ん? こんな朝早くから誰だろう? そう思いながら振り向いた、するとそこには我等の天皇様が居た、のんびりとニコニコ笑いながら言う。
「てっ天皇様!? お早う御座います!!」
「天皇様、お早う御座います!」
俺と本羅は頭を下げる、天皇には頭を下げなければならない、それは生まれた時から身に染みている。
「いやいや、頭を上げて下さいよ、警邏の方々──分かりますよ、妻と息子の話は──20年前とかは本当に大変でしたよ、重労働の後、息子娘と遊んであげなくてはならない──その時は天皇だった事を強く後悔しましたよ、流石私の父は小さな時、良く遊んでくれたなぁ、と──」
しみじみ、となる天皇様、天皇様も大変だ、二人が思った事実である。
「ではでは、お仕事頑張って下さい、警邏の方々……」
そう言いながら天皇様は皇居内の自分の仕事場へと入って行った──俺と本羅は右手で敬礼をしながら天皇様が皇居の中に入って消えるのを待った──そして消えた、俺と本羅は敬礼を解いた。
「それにしても天皇様も大変だ事……やっぱりそう言う所は男なんだなぁ、何処ぞの日曜日のお父さんかよ……って、毎日が日曜日のお父さんみたいだな──これからも天皇頑張って欲しいね」
そう言いながら荷物を纏める本羅、本格的に寮に帰る様だ──そして本羅が言った。
「さて、俺は帰るかね──朝番、宜しくな、久比里」
「おう、代わってやるよ、遅番さん?」
「何だと? お前も夜番やってみやがれ、大変で、俺に縋り付いて泣くなよ?」
「俺は日本男児、そんなんで甘えて泣いて入られないぜ?」
「うっせぇ! お前はこの苦労が分からないから言えるんだよ! 結構大変なんだぞ、この深夜作業は!」
「はいはい、さよならさよなら」
そう言いながら俺は手を振って、本羅を帰らせる、全く、騒がしい奴だが面白いな、そう思いながら薬缶に水を入れて、火を点けて、温める、そして急須にお茶っ葉を入れて足を組みながら待機する、そして薬缶から沸騰をした、と思わせる音が鳴る、するとプレハブの部屋の戸を開ける者が居た、来てしまったか、今日はコイツと一緒なのか──不運だ、そう思いながらその者を見る。
「お前、遅れるんじゃないぞ……」
「いや、遅れて無いです、丁度一分前に着く様に考えておりますので……」
「普通は五分前行動だ」
「私の中では、『一分でも楽しめ』という家訓なので、残りの四分は遊びます!」
キリッ! と目を輝かせる、俺は少し溜息を吐いてから言う。
「全く──もう絡みたくない──」
そう思いながらその者の顔を見る、コイツは俺の後輩、厭な後輩である、名前は各務死魔(かがみ しま)──という異名の後輩の女、各務志摩(かがみ しま)だ──
「全く、先輩も酷いですねぇ、まるで鬼婆の様だ」
「鬼爺なら分かるけれどな」
「言葉の綾ですよ」
「分かっている」
「それは良かった」
「俺には良くないが?」
「そんなの、先輩の問題です」
「元はと言えばお前が言い出した言葉だがな」
「まぁまぁ、良いじゃないですか」
「何処が『良いじゃないですか』、だ、よかねぇよ」
「人間、良いじゃないか、の言葉で済むんですから諦めて下さいよ」
「俺は諦めたくないのだがね?」
「それじゃ、私は諦めます」
「おい、俺の話聞いているのか?」
「聞く気はありません」
「少しは先輩の話でも聞けよ……」
そう言いながら俺は溜息を吐く、だからコイツと絡むのは厭なんだ──そう思いながら急須に薬缶の沸騰したお湯を入れる、そして湯飲みに急須のお茶を注ぐ──ふぅ、少しは落ち着けるな──そう思いながら俺は湯飲みのお茶を飲む、矢張り緑茶は飲むと落ち着ける、そう思いながら今日の作業を行う──さぁ、今日はどんな作業になるのか、少しだけ面倒だ──
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- Re: しりとりシリーズの『その後』 ( No.38 )
- 日時: 2016/09/11 21:13
- 名前: 彩都 (ID: De6Mh.A2)
しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 2 帝都戦争 久比里色也の苦悩
「先輩? どうかされたんですか?」
後輩の志摩がそう言うと俺は仕方なく答える。
「いや、小さな子が迷子になったって言うのだが、俺は生憎ガキンチョが苦手でなぁ──この皇居は観光地だから迷子が多いのだが──小さい子は扱いが苦手でなぁ、女子のお前なら扱いが上手いと思うのだが──」
俺がそう言うと志摩は溜息を吐いて迷子の小さな子に近付いて言う。
「ねぇねぇ、君の名前は? お姉さんに教えて?」
そう言うと俺の顔を見て、泣いていたガキンチョは志摩に対して声を出す。
「えっとね、僕ね、名前はね、玖薫(くくん)って言うんだ、天皇様の皇居を見に来たんだけど、お母さんと逸(はぐ)れたの、んでねんでね、お母さんに『迷子を集める場所があるから色々な人に聞いてそこに待機しててね、お母さんが呼ばれる可能性があるから、その時はお母さんも来るから』って言ってたの、んで、色々な人に聞いて此処に来たの」
「成程、つまり此処で待機している様に言われたんだね、じゃあお姉さんと一緒にジュース飲もうか?」
志摩がそう言うとガキは『うん!』と頷いた。
「それでは先輩、この子と一緒にジュース買ってきます、なので、少しの間だけ此処の番頼みましたよ、序でにこの子の母親父親も探しますんで」
「いや、父親は居ないんじゃないか? 今の時間は朝の10時、だから今の時間は母子で皇居を見に来ただけじゃないか?」
「成程、確かに今日は平日ですもんね、でもそれでも私は探しに行きますんで、此処、宜しく御願いしますね?」
「……分かったよ」
そう言いながら志摩はガキンチョと共に消えた、俺はそのまま椅子に座り、お茶を飲みながら目の前の書類に目を通した──
さて、俺の仕事は簡潔に言えば、警邏である、それは前にも記した通りだが、他にもあるのだ、それは今で言う警察の仕事だ、逮捕をしたり、迷子の捜索をしたりと毎日毎日やる事は多い。
今日も迷子の書類を作っている、担当は志摩だが、書類の製作者は誰でも良い、ただ担当の者が作らなければ良いのだ、なので他の警邏の中では汚職に塗れたりしている、だが俺はそんな汚い事はしたくないので、一言一句間違えずに書類に手を走らせる。
「おいおい、お前、まだそんな手記みたいな事をしているのかよ? 今はデジタルの時代だぜ?」
突然男の声が聞こえた、誰かと思えば知り合いの男だった。
「何だ、お前か──俺は自分の手で書いた方がしっくり来るんだ、何も最先端の力を使って書きたくは無い」
「だけれど瓦斯(ガス)は使用する癖に……」
知り合いの男がそう言うと、少し冷や汗を掻いてしまう、無論知り合いの意見は正しいのだ、だが反論出来ないのも少し歯痒かった。
「煩いなぁ、少しは仕事をしろよ?」
俺がそう言うと知り合いの男は箒を持ちながら言う。
「ちゃんと仕事したから顔を覗かせに来たんだよ、お前こそ、俺が居なかったら皇居の警邏も出来ていなかったかもしれないんだぜ?」
知り合いの男がそう言うと、自分の過去を思い出す──俺は警邏の中では相当優秀な方だった、なので俺はこの皇居で警邏をする事が出来た、だが初めての皇居で戸惑った俺はこの知り合いの男──名前を葛実樹筑(くずみ きづく)という──に助けてもらった事が有る、それも幾度も──今では恥ずかしいのだが、葛実は俺より年下だが、仕事は俺より長いという少し矛盾している人間だった、そして何時でも最先端な事を考えている男だ、葛実の言ったデジタルの時代、というのは『きーぼーど』とやらに打ち込んで画面に文字を表示させる方式の事だ、葛実は『ぱそこん』と言っているが、俺には少し理解がし難い物であるが──ってそんな事を考えている場合では無い、その前に志摩の為に書類を仕上げないと……
「全く、仕事バカというのか、ワーカホリックとでも言うのか……本当、メリケン人の言う通りかも知れねぇなぁ──いや、エゲレス人だったかな? まぁ、どうでもいいか」
葛実がそう言うと俺は言い返す。
「全く、最先端はまだ良いが、外国人の力を借りて最先端を作るのは厭だな、男、日本男児たるもの、日ノ本で開発、製造された物を使えって話だが」
そう言いながら俺は右手で警邏の方で支給された日ノ本製の拳銃、左手に凶都(きょうと)で買った短剣を持つ、すると葛実が言い返す。
「日本製品もあるって、『パソコン』は──」
「フンッ! 如何にも信じ難いな──」
俺はそう言い返してから、拳銃と短剣を腰に直して、目の前の手元の書類に手にかける、急いで書き上げないと──そう思いながら葛実の発言を無視する──葛実の発言を無視し続けると、葛実は怒りながら仕事場に戻った、矢張り葛実は煩いな──俺は溜息を吐いてから、立ち上がって体を動かした、体が固まってしまうからな──俺は少し欠伸をしながら、もう一度座って、他の書類に目を通す──
NEXT しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 3
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