複雑・ファジー小説
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- アカシアな二人
- 日時: 2022/04/16 22:27
- 名前: 梶原明生 (ID: UfViuu4R)
理想的な容姿と充実した高校ライフを送っている二人の高校生。ひょんなことから回りに勧められて付き合い出したのだが・・・二人は愛し合えなかった。「何かが違う。」その違和感を拭えないでいた。そんな時互いに別の異性との出会いがあったのだが。それは悲劇の愛の始まりだった。アカシアの花を通じて知り合った、52歳の男女だったのだ。しかし世間はこれを純愛とはせず、あらゆる憶測、いじめ、引裂き、誹謗中傷の嵐に晒す。果たしてこの四人の愛は没落なのか。それとも真実の愛なのか。神々の授ける運命は愛する者達を翻弄する。
- Re: アカシアな二人 ( No.103 )
- 日時: 2023/08/18 18:10
- 名前: 梶原明生 (ID: eiOwwwRL)
・・・「校長先生。何故こちらへ。」紺野は食べるのも飲み込みながら驚く。「私が来てはいけませんでしたか。」「い、いえ、そう言うつもりでは・・・」焦る紺野に助け舟を出す。「心配いらないよ。私が招待したの。ね、校長先生。」「ええ、ありがとう森本君。招待状には驚いたよ。」早速席に案内する春香。席に着いた校長がまたもやあの藤の木に関する演説をする。「えー、皆さん宴たけなわではございますが、私の、藤の木についてのお話を是非ともお聞きいただきたい。お耳汚し程度に聞いてください。そもそも藤の木と言うものは・・・」「あーまた始まったよ。」優也がつい悪態をつく。志乃が窘める。「そんな事言うもんじゃないわ。」「はいはい。」優也はバツが悪く、首を窄めた。「・・・藤の木と言うものは、添え木をし、誰かが支えてやっと咲く花。ですから。」「校長、料理が冷めますよ。」「そうでした。」紺野の合いの手でようやく終わる演説。終始アカシアの昼食会は和やかに幕を下ろした。後は結婚式。正直この一年は激動の日々だっただけに、それどころじゃなかったのだが。「式が大事なだけじゃない。今まで支え、育ててくれた方々への感謝を込めて行う式でもあるから。それに和装してみたかったし。」お茶目に笑う春香が率先して提案してきたのだ。「やりましょう。優君。私達の出会った図書館はどうかしら。あそこの会議室は貸し切り可能なはずよ。知り合いが働いてるの。」志乃の提案で早速図書館側に打診したら即座にOKが出た。時は12月初旬。厳かに行うはずが、マスコミに漏れてまるで芸能人並みの取材合戦となった。毅がおどつく。「ど、どうしよう春香。」「んもう、大丈夫。堂々としてればいいって。ほら。」もう世話女房の気質で毅の背中を押す春香。白無垢の角隠し姿の春香と志乃に、上下(かみしも)姿の毅と優也。菊子と白川に青空と聖優を預けて式場に入る両者。気恥ずかしい気持ちを露わにしながらも式は厳かに行われた。神前で神主さんが祝詞をあげる。まさかのまさかで賢二が号泣するのには菊子も驚いた。「ちょっとお父さん。」「構うもんか。嬉しいんだよ最高に。」笑いが起こる中、神前式は無事終わった。次はお色直しと来たが、式場がガラリと変貌する。洋式結婚式となり、白いウェディングドレスに身を纏った春香と志乃が現れ、同じく薄紫のウェディングスーツを纏った毅と優也が現れた。クラッカーが鳴らされて式場に入る四人。藤堂の奥さんが夫に耳打ちする。「こんな盛大な結婚式どこの会社雇って開いたの。とても低予算とは思えないけど。」「ん、ちょいとコネがあってね。根回ししたのさ。」「怖いんだけど。」「なーに、心配いらないさ。脅しや不正はやってないよ。」にこやかに四人の姿に視線を戻す藤堂だった。・・・続く。
- Re: アカシアな二人 ( No.104 )
- 日時: 2023/08/26 18:24
- 名前: 梶原明生 (ID: 3mH.h3JL)
・・・手にはアカシアのブーケを持ち、毅、優也は胸ポケットに挿している。黄色い花に彩られた四人は、簡略化した式で誓いの言葉を述べる。その直後に花火の爆音が聞こえてきた。「え、どうしてどうして。」「俺からのサプライズだ。さぁ、皆。庭園の方へ。」手を叩いて促す藤堂。図書館すぐ側の庭園では、ミニ花火大会が開かれていた。暗くなった冬の夜空をカラフルに彩る。大団円のダンス会場と化した庭園で、春香は得意のダンスを毅と共に披露。インスタ映えするとばかりに皆スマホのカメラに収める面々。春香、毅、優也、志乃は互いに一生の伴侶となる愛する人を見つめて永遠の愛を感じあっていた。華やかな時は過ぎ、一時は諦めかけていた大学進学も、春香と優也は目指すこととなり、猛勉強の末、見事合格とあいなった。アカシアの花をベランダいっぱいに育てながら、春香、毅、優也、志乃の四人は、幸せな日常を日々送れるありがたさに愛を感じつつ、青空を見つめるのだった。 了
- Re: アカシアな二人 ( No.105 )
- 日時: 2023/08/29 17:22
- 名前: 梶原明生 (ID: N9DlcNaW)
あとがき・・・・・・・・・・一年以上に渡り書き続けた初の本格的恋愛小説がついに完結にいたりました。この「アカシアな二人」を描いた理由について聞かれるのは一番困る気がします。まさに何故山に登るのかと聞かれて「そこに山があるから」みたいな返答しか出来ない気がします。「描いてみたくなったから。」が正解でしょうか。ただ、描くんなら多少オリジナリティある奇を衒った内容にしたいし、ありきたりの恋愛小説ならすぐアクション小説にしてしまう悪い癖・・・のようなものもあるので。そこで最近の恋愛物とは何ぞやと、それまで借りなかった「恋愛系映画」を借りようとレンタルDVD店のコーナーに恥を覚悟で通い詰めました。多分六作品ぐらい厳選して見ましたが、一つわかったことは、「昭和末期の恋愛ものと変わらんじゃないか。」と言うことです。勿論、表現法、映像作り、セリフやコンプライアンスの噛み合いなど、多々昔とは違う部分はあります。しかし、概ね概要を見れば、「昭和の恋愛も令和の恋愛も大して変わりない。」て言う事に気づきました。「どんなに時代が変わろうと、人が人を思い、恋焦がれる気持ちは変わらない」と言う事に初めて悟りを得た気分になりました。そこで閃いたのが、「なら世代を超えて昭和と令和の人々が恋に落ちたなら・・・」と構想は膨らみ、そこで春香、毅、優也、志乃のキャラクターが浮かび、続いてその四人の鎹となる人物、アクション担当の藤堂聖が誕生したわけです。(調べたら同姓同名のアニメキャラらしきものがあるようです。ただし、そちらは、とうどうひとし、と発音するらしいですが、こちらは、とうどうさとしです。)実はこのキャラクターは某恋愛ドラマに対するリスペクト(いやリベンジか)を兼ねて加えた脇役です。しかしこうして見ると、アカシアなこの四人(カップルでは二人なのでアカシアな四人とはしなかった。)が強くなり、愛を育んだ唯一の原因はこの藤堂の存在あってのことでした。書いて行くうちに、主人公は春香ではなく、この藤堂ではないかと言う気がしてなりませんでした。これも私の小説制作のテーマにある「介入」が含まれている証です。更に紐解いていくなら、幼少期からのある時代劇が影響してる気がします。俳優歌手にして、現在ではオレオレ詐欺撲滅キャンペーンに出演されていた、杉良太郎さん主演の「大江戸捜査網」です。このテレビ時代劇の主人公、サンジロウこと十文字小弥太が大好きで憧れていたヒーローでした。余談ではありますが、当時この大江戸捜査網は、1970年頃、日産自動車社長が、「日曜夜に時代劇がないじゃないか」と懇意だったテレビ局幹部に打診したのが企画の始まりだったそうです。かくして、当時米ドラマで流行った「スパイ大作戦」をモチーフにした「大江戸捜査網」が誕生。主役に誰を抜擢するかで紛糾していた時に、既に初代水戸黄門(東野瑛次郎さんでなく。)の助さん役をしていた杉良太郎さんを抜擢。ドンピシャで大ヒットを記録し、以後里見浩太朗さん、松方弘樹さんと代を重ねて約10年続いたテレビ時代劇シリーズとして、テレビ史上の伝説となったドラマです。また、途中、悪の組織を成敗
- Re: アカシアな二人 ( No.106 )
- 日時: 2023/08/29 18:19
- 名前: 梶原明生 (ID: Cnpfq3rr)
しに行く時に、口上を述べつつ町人姿から着物を脱ぐことですぐ、「十文字小弥太」たる侍姿に変わる演出は、同時期に流行った「仮面ライダーの変身」がモチーフになってるそうです。・・・だいぶ脱線しましたが、本題に戻りましょう。先ほど「介入」がテーマと書きましたが、まさにこの十文字小弥太がモチーフになってる気がします。まさに彼は(あくまで劇中の世界観のみでの話ですが。)私の心のヒーローであり、今までの小説もまた何らかの影響あってのことでしょう。だからこそ藤堂が「影の主人公」と言えます。勿論、彼だけではハッピーエンドは無理でした。小田課長が取り押さえていなければ、別府警察署署員と相討ちになり、もっと悲惨なバッドエンドを迎えたに違いない。そして里村課長、白川加津子の援助なしでは中山毅や瀬西志乃の保釈や不起訴はなかった。彼等彼女等もまた、第二の影主人公と言えるでしょう。ちなみに瀬西志乃の名前の由来は、好きで憧れた年上女性芸能人から来ています。瀬川瑛子さん、西川峰子さん、堀江しのぶさん、そして中島知子さんです。前者御三方の名前一字二字ほど頂いて命名致しました。見た目は中島さんをイメージしてました。なので優也の気持ちはだいぶ自分の気持ちが反映されてます。誰しも10代の頃は年上女性に恋することもありますから。何はともあれ、この小説のコンセプトは「全ての歳の差カップルに送りたいエール」であると言う事をあとがきの終わりに表しておきたい。そう思って「アカシアな二人」を書いた今日この頃でした。最後まで御清読ありがとうございました。 作者 梶原明生より。
- Re: アカシアな二人 ( No.107 )
- 日時: 2023/08/29 19:46
- 名前: 梶原明生 (ID: mKkzEdnm)
あとがきおわり
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