ライブ~生きるって何?~ 作者/桃花 ◆ev5fSMdyi2

第15章 『友達』
「美園さん、ちょっと来て。」
私は、美園さんに言った。
「何よ? 私は、あんたに用なんか……。」
やっぱり、返事は「No」だった。
それでも、私はどうしても話したかった。
私の思っている事を、全部言いたかった。
「いいから、来てよ!!」
私は少し強い口調で言った。
美園さんがビクッっと、震える。
「わかったわよ……!!」
しぶしぶ立ち上がって、私についてきた。
行く先は、決まってる。
今いるのは、学校の屋上。
「で、話って何よ?」
美園さんが、言う。
「……いじめを、やめてくれない?」
「は?」
「いじめをやめてって言ってるの。」
私は、美園さんに強い口調で言った。
すると、美園さんはこう言った。
「いいよ。」
―― え……?
あまりにも、あっさりと言ったので、拍子抜けしてしまった。
でも、美園さんはニヤリと笑って、私をドンと押した。
「だって、あんたはここで死ぬんだから!!」
「……。」
「さぁ、これで、あんたは……。」
「別に、いいよ。」
「!?」
私の答えで、美園さんは凄く驚いていた。
私は、正直に話した。
「別に、私をここから突き落としても、かまわない。」
「ど、どうしてよ!?わざと、強がって…!!」
「強がってる訳じゃないよ。強がってるのは、美園さん、あなたの方よ。」
「……!!!!!」
「私ね、いじめられた時から、ずっと考えてたの。あなたは、いじめをするほど酷い人なのかなって……。」
「……。」
「本当は、悔しくて、悲しくて…。でも、怒りの感情の方が大きくて……。つい、強がってしまう。」
「どうして……わかるのよ。」
「私も、父さんと母さんを亡くしたから……。大切な人を失った時と同じような気持ちだもの。」
「……っ。」
「私ね、須藤君が好きだよ。でもね、生きる意味って……。いじめられて、私に生きる意味なんて無いんじゃないのかな……ってね。」
最後の方の言葉が、少し小声になった。
「人を傷つけたんだし、私に生きる意味なんて無いのかな……。」
私は、ポツリと言った。
「……そんな事、無いよ!!」
「え?」
美園さんが、予想外の答えを言ってきた。
「……天衣さんの、言うとおりだよ。私、強がってた。悲しみが、いつか怒りに変わっていて……。」
「……。」
「その怒りを、ぶつけずには、いられなかった……。ごめん……。ホント、ごめんね……っ!」
「…私こそ、ごめんね……っ!」
それから、2人で泣いた。
そして、お互いの想いを理解した。
「私、星菜の恋を応援するね!! 必ずラブラブにするわ!!」
「ありがと……凛香。」
「その代わり、私を須藤君に紹介して、友達にするのよっ?」
「ふふ……うん、わかった。」
この時、私は改めて、友達っていいなと思った……。

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