ライブ~生きるって何?~ 作者/桃花 ◆ev5fSMdyi2

第21章 『四つ葉のクローバー』
『星菜……。』
『星菜……。』
これは、夢なんだろう。何だか、フワフワして曖昧な空間……。
そこに、2人の男女が立っていた。
私に、優しく微笑んでくる。何故だか、胸がキュウと締め付けられるような感覚がした。
その笑顔が、もう2度と見られないような……そんな気がしてきた。
懐かしいような、その顔。微笑み。星菜、と呼ぶあの声……。
「まさか…………?」
―――――――――――――――――――――――――――
目が覚めた。あの2人はもう、どこにもいない。フワフワして曖昧な空間も……。
涙がポロリと零れ落ちた。
真っ白な布団に、透明な雫が次々と落ちる。
そうだ、そうに違いない。
あれは、きっと、私の父さんと母さん……。2度と会えないはずの。
夢でしか会えないのに。あの微笑みはもう……。
「星菜ーっ、来たよー!!」
ガラッと音を立てて、ドアが開いた。あの声は……きっと美園さんだ。
私は布団でグシグシと涙を拭き、その涙で濡れた部分を隠した。
「あれ? 星菜、泣いてたの? 目、赤いよ?」
う゛っ、この人鋭い……!!
私は無理に笑って、こう言った。
「えっと、目が痒くて……こすったの。」
「そう? ならいいけど……。」
な、何とか誤魔化せた……。
無駄な心配かけさせたくないもんね。やっぱり。
それより、と美園さんは言って、一つの葉っぱをカバンから出した。
「じゃーんっ、四つ葉のクローバー!!」
「わぁ……凄い。大変だったでしょう?」
「全然!! 私って勘が良いからすぐに見つかったの!!」
もう……嘘ばっかり。体のあちこちに泥とか草がついてる。
でも―――――
「ありがとう、美園さん……。」
「凛香って、呼んでよ。凛香!!」
私は一瞬驚いて目を見開き……でも、すぐに微笑んで……。
「ありがとう、凛香。」

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