ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活
- 日時: 2010/04/22 11:04
- 名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 9qYqZOsB)
どうも、こんにちは。
作者の空雲 海です。
えっと、第一作目がそろそろ完結するんで、二作目、連載したいと思います。
パクリとか言わんといてぇー!
それでは、どうぞお楽しみください。
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- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.110 )
- 日時: 2010/05/07 18:43
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
刹那——
「この人痴漢です!」
と、車内から大きな声が響いた。
その声の主は、さっきの女子高生だった。
女子高生の手は、さっきの四十代男性の手を、高く上げている筈だった……が、上げているのは四十台とは思えない、褐色のいい肌をした二十台と思われる男性サラリーマンだった。
辺りは騒然となった。
「僕はしてません!」
辺りが騒然となっている今、若いサラリーマンは手を顔の前で左右に振る。
しかし、被害者の女性、しかも高校生がこうやって手を高く上げている今、誰も信じないのは当たり前だった。
「この人痴漢です!」
「僕じゃないですってば!」
いくら抵抗しても、もう信じられることはない。
水無月は、脳細胞の全神経をフルに活用し、今のこの状況を見ていた。
犯人は、必ずこの中に居る。ただし、見ていたのはシワシワの手だけ。顔も、特定できるような物は何も知っていない。
「R・B。今の状況から判断し、真犯人を——」
「うるさい!」
水無月が、忙しく奥歯を動かす。
「今、考えてるんだ! ちょっと黙ってくれ!」
情報屋は、口をつぐんだ。
次の駅の踏切音が聞こえる。降りる駅までもうすぐだ。
時間は、もうすぐそこまで迫っている。
「くっそ……!」
今、あの無実の若い男性を助けてやるためには、新しい真犯人を証拠としてこの目の前で言わないと、何も始まらない。証明できないのだ。
その時、ある事に気付いた。それは、女子高校生とサラリーマンの立ち位置だった。
「そうか! わかったぞ、情報屋!」
水無月が奥歯で忙しく送信する。
「わかったんですか!? 犯人が!」
「ああ、わかったよ。なんだ、よく考えれば簡単だったんだ」
水無月は、情報屋にそう言うと、反対側にある扉にもたれかかっている男を睨んだ。
「……あの男ですか?」
「ああ、そうだ」
「でも、扉の端で、この混雑の中に移動していたとは思えません」
「いいや、違うね。アイツが犯人だ。まぁ、これから私の推理ショーを見せてやるから、しっかり見とけよ」
水無月は、自信たっぷりのみなぎった瞳で、男を睨んだ。
男は、反対の扉の景色をじっと見つめ、動かない。年齢は五十代前後。灰色っぽい白髪を、オールバックに撫で付けている。
サラリーマン風の男は、大柄でで背が高かった。目は鷹のように鋭く、鼻はわし鼻のようだ。
その時、電車が止まり、駅についた。そして、車掌のアナウンスと共に扉が開く。
その瞬間に、痴漢を早く追い出そうとまるで、アリが巣から食料を見つけようと一斉に出てくるように、人も出てきた。
その運動で、水無月も流れに呑まれ早く出る。
その瞬間に、痴漢をした張本人の手首を掴んだ。
「ちょっと、オッサン! 来な!」
水無月は、男性の返答を待たずにそのまま引っ張って行く。
罪をきせられた若い男性は、女子高生に引っ張られ車掌に訴えに言っていたのだ。
水無月は、その後を追い真犯人を、引っ張る。
「おい! 何をするんだ!」
男性は、振りほどこうとするが水無月の押さえつける力が強くて、振りほどくことが出来ない。
人々がごった返しているホームでも、響くような大声で水無月に何かを言っているが、聞く耳を持とうとしない。
そして、とうとう追いついた水無月は言った。
「ちょっと待って下さい。その男性は犯人ではありません」
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.111 )
- 日時: 2010/05/07 21:34
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
……沈黙が生まれる。
「どういう事ですか?」
車掌が、間抜けな声で言った。
「失礼ですが、あなたお名前は?」
水無月が女子高校生に問う。
「えっと……近くの聖上(せいじょう)高校に通う、二年生です。柿音 海恵理(かきのね みえり)です」
「それでは、柿音さん。単刀直入に言いますが、彼は犯人ではありません。犯人は、この男です」
水無月が、男の手首を引っ張り目の前に現れさせる。
男は、慌てた様子で言った。
「私は何もしていない! 何もしていないぞ!」
「とぼけるんじゃないね、オッサン。私はしっかりこの目で見たんだ。彼は犯人じゃないよ」
「一体、どういうことか説明してくれるかな? えーっと、お名前は?」
車掌が間に割って入った。
「私の名前は水無月 弥生です。駅前のM大学、犯罪心理学科に通っています」
水無月の言った事を、手帳に慣れた手つきで書いていく。
「はい、男の大学生の方は?」
車掌が、黒いボールペンを大学生の男に向ける。
大学生の男は、肩を狭くして、小さな声で言った。
「えっと……嵐 海(あらし かい)です」
嵐が言うと、中年の男も後を継いで言った。
「俺の名前は、秋山 信彦(あきやま のぶひこ)だ」
男が素っ気なく言った。
車掌のボールペンが止まると、顔を上げて水無月に言った。
「それじゃぁ、どうして秋山さんが真犯人で、嵐さんが犯人ではないということが、わかったんですか? 見てたんですか?」
「はい、見ていました」
「違う! それは大ウソだ!」
突然、秋山がホームに響くような大声を出して言った。
「俺は何にもしていない! 痴漢で捕まるなんてまっぴら、ごめんだ! お前さんは確かに見ていたと思うが、それは本当に俺の顔を見たのか! あの混雑した電車内で!?」
「ちょっと静かにしてもらえませんか」
その時、嵐が落ち着き払った静かな声で切り返した。
「ここは駅のホームです。人さまの迷惑になってしまいます」
「それは、嵐さんの言うとおりだと思う」
女子高生の柿音さんが透き通る声で言った。
軽く舌打ちをする秋山。
「まぁまぁ。それでは、なぜ秋山さんがなぜ真犯人なのかを」
車掌が、言いだす。
そして、ゆっくりと水無月は全員の顔を見まわしてから言った。
「確かに、この混雑の中で犯人の顔を特定することは難しいでしょう。しかし、特定できる部分というのが、他にもあるんです。嵐さんと秋山さんの手を見てください」
水無月が、二人の手を指示した。
「秋山さんの手は、いかにも年齢が重なるシワだらけの手です。しかし、嵐さんの方は、まだハリがありお若い。これで、一目瞭然です。私は、シワだらけの手を見てしまいました。これで、あなたが犯人である可能性は、少なくともありますね」
秋山の額から、冷や汗が垂れる。
車掌と柿音と嵐は、深く頷いた。
水無月が続ける。
「それでは、なぜ私が犯人逮捕まで至ったのかを説明しましょう。あの時、突然大きな揺れが、起こったんです。その揺れは、柿音さんのぴったり背後に立っていた秋山さんを、扉付近まで押し寄せた。あの時の混雑は、少しでも小さな揺れがあったら、近くない距離まで流されてしまう可能性があったでしょう。現に、秋山さんは扉付近まで居ました。一番最初に出たのが秋山さんなのですから。どうぞ、ビデオでも何でも見てください。次に、彼——」
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.112 )
- 日時: 2010/05/08 12:00
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
水無月は、嵐を指示しながら言った。
「嵐さんは、大きな揺れの前、柿音さんの丁度横の吊り革を持っていたんです。しかし、大きな揺れと共に吊り革の手を緩めてしまい、結果的に秋山さんは扉付近に。嵐さんは柿音さんの真後ろになったのです。痴漢があったのは、大きな揺れの前ですよね?」
水無月が、柿音に質問すると、
「はいそうです」
柿音は答えた。
「はい。私も確かそうでした。つまり、柿音さんの本当の背後に居たのは秋山さんであり、嵐さんではありません。彼女は、間違えて大きな揺れ後の嵐さんの手を取ってしまい、秋山さんの手を取らなかった。大きな揺れが引き起こしてしまった、ただの勘違いなんです」
「異議あり!」
水無月の話が終わると同時に、秋山が挙手した。
「痴漢なんてものは、真後ろからした者がそうだと言われるが、そんなもの横からでも手を伸ばせば出来る!」
秋山の質問に、不敵な笑みが広がる水無月。
「良い質問です。あの状態で、そんなことは一切ありえませんでした。いいえ、出来なかったんです。横からでは」
「混雑中だったから……ですか?」
嵐が言った。
首を横に振る水無月。
「角度です。まぁ、混雑状況の中ということも入っていますが。彼女を挟んでいた全ての人間は、彼女と背中合わせになっていたんです。柿音さん」
「はい!」
水無月にいきなり名前を言われて、飛び上がるように返事をする柿音。
「あなた、電車の中で窮屈に感じていませんでしたか? 見渡す限りすべて背中で」
「はい。とっても窮屈に感じました」
小さな声で、ただしはっきりとした口調で言い放った。
満足そうに頷く水無月。
「わかりますか? つまり、前、左右意外背中合わせとなっていない者は、秋山さん——あなたしか、居ないんですよ……」
秋山に、厳しい眼光を送る水無月。
それは、とても痛い視線であり、車掌や嵐や柿音からにも注がれていた。
「……ち、違う! 私じゃない!」
「悪あがきはよしましょう」
水無月が、最後の一言を言うと、秋山はそのまま地面に崩れた……。
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.113 )
- 日時: 2010/05/09 16:16
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
「いやー。すごい観察力ですね」
黒ぶちメガネから、情報屋の声が聞こえる。
「もうその話題はよせ。うるさいから」
「おー? もしかして、照れちゃってるんですか?」
……嫌な雰囲気が流れる。
「ごめんなさい」
最後は、素直に謝る情報屋だった。
あの事件から、数日後。
秋山は、無事警察送りとなり、嵐と柿音には何度もお礼を言われた。
痴漢撃退として、市から名誉ある特別賞を受け取り、その日水無月は新聞社にひっぱりだこだった。
しかし、水無月はそれら全ての取材を拒否し、大学の図書室でひっそりとレポートを書いていた。
図書室は、解放感ある広大な広さの図書室だ。
真上から見れば真四角の部屋は、貸出や返却の場所から、縦に本棚が並んでおり、すべての本棚が見えるようになっている。本棚は、天井ギリギリの高さまであり、上の方の本を取るには、図書室のどこかにあるはしごを持ってきて、取らなければならないほどだ。部屋の三分の二を本棚で占め、他の三分の一は勉強室などに設けられている。
水無月は、そんな本だらけの部屋に囲まれて、レポートを書いていた。
まさに私立図書館であるような静かな光景。聞えるのは、レポートを書いている数人のシャーペンの音と、本のペーシをめくる音だけ。
「まったく。まさか、あんな真昼間から痴漢に遭遇して、しかも撃退してしまうなんて思ってもみ無かったよ」
水無月が、ため息交じりで言う。
「まぁまぁ、いいじゃないですか。無事、犯人も捕まえられましたし。あの時、犯人じゃない嵐さんが捕まっていたら、彼はどんな人生を歩むやら——」
水無月が、情報屋を遮って言った。
「そんな大げさなことには、ならんだろ」
「まぁ、それもそうですね」
その時、
「水無月さん!」
いきなりのでかい声に、図書室に居た全員の視線が、一斉に出入り口の扉に集まる。
そこには、丸眼鏡に今では見ないおさげの髪型をした、抱が立っていた。
「水無月さぁーん! 物凄い賞を取ったじゃないですかー」
抱を見た途端、げっそりとする水無月。
情報屋も、抱のうるささにはいい加減と思っているらしく、すぐに通信を切った。
「新聞見ましたよー! 痴漢を撃退したんですってね! 私、ますます水無月さんのこと、取材したくなりました!」
他人のフリをしたい水無月だが、抱は水無月に熱い視線を送り近づいてくる。
水無月は、一先ずここを出ようと重たい腰を上げた。
「抱、ここは図書室だぞ? ちょっと静かにしろよ」
「ごめんなさい。でも、もう興奮しちゃって、しちゃって! 出るなら早く出ましょ!」
抱が水無月の手首を掴むと、思いっきり引っ張り立たせた。
「どぅわ!」
意味不明な言葉を上げる水無月。
「ちょっと待った! ちゃんと自分で歩けるから、手を離せ! まだ、レポートをカバンに入れてないんだ!」
水無月が、大きい声を上げると、また視線が集まる。
終には、隣の机の若い男性が、皮肉った咳払いをする。
水無月は、すばやく荷物を片づけると、赤面の顔を隠せないまま抱の背中を押し、図書室から出て行った。
水無月が軽くため息をついた。
「どうしたんですか? 水無月さん」
何食わぬ顔で、温かいコーヒーを飲む抱。
「……いいや、何でもない」
秀有以上に付き合うのがしんどい相手と出会ってしまった事を後悔し、ブラックコーヒーに手を伸ばした。
喫茶店の一番奥の席を陣取った水無月たちは、コーヒーとブラックコーヒーを頼んだ。
抱が来ている、黄色いワンピースが揺れる。
抱と水無月は、対になるように座った。
「それで、一体何のようだ?」
水無月が話を切りだす。
突然話を始め、慌てて茶色の小さなポーチから黒い手帳を取り出した。
「えっと、水無月さんは前回避けまくって避けまくって取材が出来なかったので、今回はちゃんと答えて貰います」
「ヤダね」
即答する水無月。
顔の頬が引きつる抱。
「それじゃぁ、どうしてこんな所に呼んだんですか? これじゃぁ、まるで『取材してください』と言っているようなもんじゃないですか!」
「それは、お前が図書室で喚いて居られなくなったから、行きつけのここにレポートを書く場所を変えた、それだけだ」
「ちょっとー! 何なんですか、それー!」
抱が持っていた手帳を閉じる。
「たわ言はいい。私は、あの時『取材に応じる』なんてことは一言も言ってないぞ?」
落ち着き払った声で、コーヒーをすする水無月。
そして、肩掛けカバンから、「チョコチップバナナクレープ」と書いてあるクレープを出す。
そして、ラップを丁寧にはがし、一口食べた。
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.114 )
- 日時: 2010/05/10 17:04
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
「いいえ! 私は、諦めません!」
不意にテーブルを勢いよく叩いた。
振動で、二人のコーヒーが波打つ。
「何するんだよ」
「私は、絶対にあなたから取材に応じて貰います! 私は、必ずあなたの真一文字に結んだ口を、開いて見せますからね!」
鋭く、決意のこもった目で、水無月を見つめた。
その視線を受け止める水無月。揺らぎはしない。
数秒間、見つめ合った後、水無月が気を緩めた。そして、不敵に笑う。
「いいだろう。だが、私は絶対にそのようなことは応じない。出来るものなら、やってみろ」
「ええ、いいですとも! やってみせますよ! 新聞部編集者の誇りに懸けて!」
抱は、大見得を切った後、手帳をしまうとそのまま喫茶店を出て行った。
頭を抱えて、ため息をつく水無月。
その時、入れ替わりにある女が水無月の方にやって来た。
水無月は、近づいてくる人に、目をやる。そして、二度見してしまったのだ。
「おー! 秀有じゃないか!」
水無月は、声を張り上げ、傷だらけの秀有を見て言った。
「久しぶりやないか、水無月。元気しとったか?」
笑顔を浮かべながら、手を振る秀有。
「にしても、その姿どうしたんだー?」
秀有の姿は、全身包帯だらけだった。
いつもの黒髪で長さの変わらないストレート。いつもの服装。
だが、手にはギプスがはめられており、顔には頬に大きなガーゼがある。
水無月がコーヒーをすする。
秀有は、抱が座っていた位置に腰を下ろすと、パフェを注文した。
「これは……ちょっと仕事関係で、いろいろな」
「仕事……?」
「せや。うちな、探偵の仕事やってるんやで」
その時、一瞬水無月の片眉が上がった。
にこやなか笑みを広げながら、そのまま話を続ける秀有。
「細かいことは極秘やからあかんねんけど……うち、ちょっと人間とは違うような特殊能力持ってんねん」
「人間とは違う特殊能力?」
その時、黒ぶちメガネから情報屋の声が聞こえた。抱がいなくなったと思い、通信を再開して来たのだ。
「特殊探偵に入った理由は、やはり生まれながらの彼女の能力が、関係しているみたいですね」
「……ああ」
遅れて送信する水無月。
違う人とも話している事を知らない秀有が、話を続ける。
「うちの特殊能力は、めっちゃすごいねん。まぁ、ここからは言ったアカンから、言わんとくわ」
「……そうだな」
水無月の額に、冷や汗が垂れた。
「どうするんですか? このまま放って置くんですか?」
情報屋の機械音声が、眼鏡から聞こえる。
「放っておくって……それ以外に何かあるのか?」
「だって、あなたなら、このまま何の能力か聞きだすんじゃないかと思って」
「まぁ、いつもならそうしたいところだが、近々どうせ見ることが出来るだろう。初めての秀有との戦闘で、初めての能力を体験する——いいじゃないか……。『初めて』ということは好きだぜ、情報屋」
「あなたの神経細胞はどうなってんでしょうね? ちょっと解剖してみてもいいですか?」
思わず笑みがこぼれる水無月。
それを不思議そうに見ている秀有。
「解剖? ハッ。そんなのは、私が死んでからにしてくれ。死んだら、情報屋の好きにしてもいいさ」
「了解」
その時、秀有のパフェが届き、言った。
「今、なんで笑ったんや?」
「いいや、何でもないさ」
水無月が、また笑う。
「おい、情報屋。予告状はもう送ったか?」
「まだですけど……送りましょうか?」
「いいや、逆だ。遅くしてほしい。次回は、私にケンカを売った霧島や、特殊探偵なども参加してくるだろう。そうじゃないと、おかしい。特殊探偵で、一人のメンバーが今怪我をしているんだ」
チラリを目をやる水無月。
「一体、何が原因で怪我をしたのかは、わからないが、もうちょっと待つのもいい。全員の登場人物が揃ってから幕を上げようじゃないか——……」
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