ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活
- 日時: 2010/04/22 11:04
- 名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 9qYqZOsB)
どうも、こんにちは。
作者の空雲 海です。
えっと、第一作目がそろそろ完結するんで、二作目、連載したいと思います。
パクリとか言わんといてぇー!
それでは、どうぞお楽しみください。
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- Re: ——怪盗R・B—— ( No.95 )
- 日時: 2010/03/30 13:32
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
あの事件から、数ヶ月——。
「一体どうなっているんだ! 行動部、第十班、リーダーホワイト!」
黒い影が言った。
その罵声と共に、周りの上層部がざわつく。
上層部最高責任者が取り囲んでいるのは、特殊探偵行動部第十班所属、リーダーホワイトだった。
「膨大な人間を抹殺した怪盗R・B、李 秀英の二人抹殺を許し、訳の分からない霧島 惣滋郎という奴を野放しにしたとは、一体どういう事だ! リーダーホワイト!」
上層部の黒い影が、数々の罵声を飛ばす。
下から上層部を見上げるホワイト。三百六十度から見られて、両手に鎖が繋がれている。
ライトは、ホワイトだけに注がれ、その他の顔がよく見えない。
「せいしくに! せいしくに!」
一番真ん中の黒い影が言った。
「第十班がやった事は、責任意識を問われる問題であり、全世界にこの特殊探偵を知られてしまう危険があった。この特殊探偵の全国の権力が衰えてしまうという事態に成りかねなかったという事だ。それは、わかるかね、リーダーホワイト」
ホワイトは、しっかりとした口調で返事をした。
「それでは、これより行動部第十班リーダーホワイトの処罰をする。それ相応の処罰を、考えて貰いたい。それでは、リーダーホワイト、弁明はあるか」
影が聞く。
ホワイトが、顔が見えない上層部に言い放った。
「霧島 惣滋郎の事は、確かに私の責任意識不足だったのかも知れません。しかし、怪盗R・Bを抹殺出来なかったというのは違います。R・Bには、手を出さない方がいいと私が判断したからです」
「何だって!?」
ホワイトの発言に、ざわめく上層部。
「どういう事だ、リーダーホワイト」
背筋を伸ばし、透き通るような声でしっかりと言った。
「怪盗R・Bは、世界三大能力の一つ——オンブルを持っています。それも、物体を切断できる高等技術です。オンブルというものは、物体を切るというのが最高段階ですが、R・Bは、オンブルの最高段階まで獲得しています。私達の手では、終えることは出来ないと判断しました」
その時、耳をつんざくようなしゃがれた大声が飛んで来た。
「何を言っている! 行動部は、世界の掟に反する犯罪者を抹殺するのが役目だ! その行動部が犯罪者を怖がってどうする! 行動部に下された命令は、命を惜しまず果たせ!」
ホワイトは、動揺しない冷静な態度で答える。
「古い考えですね。大事な人材な行動部を、無理な命令で無駄死にさせろと言うのですか。それが、最高幹部から下してきた命令ですか!」
このホワイトの言葉は、上層部を混乱させた。
納得する者、怒り狂う者、ため息をつく者、それぞれに分かれこの場は騒然となった。
「せいしくに! せいしくに!」
上層部最高責任者の一番真ん中の黒い影が、本日二回目の言葉を言った。
「確かに、リーダーホワイトの言う事は正しい面もあるだろう。しかし、命令が実行できないと判断した時、なぜこちら側に連絡をしてこなかった。そうしていたならば、こんなことには成らなかった筈」
「その時、電波通信が霧島 惣滋郎の手によって届かなかったのです」
また、あのしゃがれた声が飛んで来た。
「それは真か!」
「はい、そうです」
ホワイトが淡々と答える。その表情が気に喰わなかったのか、舌打ちが聞こえてきた。
咳ばらいをした上層部責任者が、雰囲気を変える。
「その時の電波通信を記録した者、結果を言え」
「はい。その時の電波通信は、確かに何者かにより電波が届かず、砂嵐が確認されています」
「うむ」
この結果に、しゃがれ声の上層部員が、小さな舌打ちをした。
「怪盗R・Bの件は、よしとしよう。では、霧島 惣滋郎の件はどうする?」
「それは、私が責任を持って今後、処理いたします。それで、許して頂けないでしょうか」
ホワイトの言葉に、またしゃがれ声が反応した。
「はっ! やはり、自分の首は大切か!」
嘲笑うかのように、ホワイトを見据える。
「ええ、当り前です。そうじゃなければ、あなた達の権力を奪い、もっと高みに行けなくなるのですから」
- Re: ——怪盗R・B—— ( No.96 )
- 日時: 2010/04/01 14:06
- 名前: 瑛理 ◆StlugkO7cI (ID: AzZuySm.)
- 参照: http://http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode
身長185センチ、体重43キロとかwwwww
とてもユニークな小説ですね^^^^^^
鑑定屋のほうですが放置されてませんか?
早く質問に答えて欲しいです。
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.97 )
- 日時: 2010/04/22 11:07
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: 9qYqZOsB)
ホワイトが、今回初めての悪魔の笑顔を見せた。
自分より下だとわかっていても、恐怖を感じる上層部。
数秒の間、沈黙が流れると、いきなり、沈黙を破った上層部最高責任者の高笑いが響いた。
「気にいったぞ、お前! よし! お前に怪盗R・Bに続き、霧島 惣滋郎の抹殺権を与えよう。活躍を期待しているぞ。処罰は、出世払いだ!」
「ありがとうございます。この私、必ずや、二人の首をあなた様の目の前に——」
オワイトが優雅な礼をする。
その時のホワイトの笑みは、まるで悪魔のようだった……。
「どうでしたか? ホワイト様」
アルジャンが言った。
ホワイトの手の鎖が解かれ、背中に上層部員からの痛い視線を浴びながら、二人は歩き出した。特殊探偵部、本部。上層部や、最高幹部が出入りし行動部の身分は、ほとんど出入りすることがないという。
「疲れましたよ。なんて言ったって、ちょっとでも動いたら処罰が重くなってしまうんですから」
ホワイトが、手首の筋肉を解し、肩を回す。
「それは、それはお疲れさまでした、ホワイト様。それで、処罰の方は?」
「大丈夫です。出世払いに決まりました」
「出世払い?」
「ええ。怪盗R・Bが私達の手に終えなかったと言い、霧島 惣滋郎の件は、許してくれと頼んだら、処罰は出世払いに決まりました」
「……そうなのですか」
「ええ」
アルジャンが不思議そうな顔をするが、真顔に戻る。
「にしても、ほんっと困ったモンですよ。ただ問いかけに答えただけで舌打ちを二回もされたんですから」
ホワイトが、怪訝な顔で言った。
「それはそうじゃないんですか? あまり良く思っていらっしゃらない方が多いですから。なぜなら、よく上の方に目をつけられるような行動をしてきましたからね——違う班が狙っていた犯罪者を、勝手に殺してしまったり、命令を無視して犯罪者を逃がしたり」
ホワイトは、ばつが悪そうな顔をする。
「そう悪く言わないで下さい。私だって、あの時はあの時。今は違うんですから」
「わかっています、ホワイト様」
アルジャンが、温かい目を向けた。
「それより、ヴァンの容体はどうなんですか?」
「大丈夫です。もう、任務に行けるまでに治っています」
「彼は、治癒能力が飛び抜けていますからね。あの大怪我を数ヶ月で治すなんて、彼しか出来ませんよ」
「行動部倉庫街で、ソノリテと秀有様と一緒に、大人しくしているでしょう」
ホワイトが軽くため息をつく。
「大人しくしていないのが、ヴァンですよ」
二人は、特殊探偵の本部から、去って行った。
そして、目指す場所は特殊探偵が管理している土地——行動部の各班がそれぞれ倉庫を持っており、そこを本拠地として活動を進める。
その他にも、誰にも知られていない土地、あるいは、誰が使っているのか分からない様な土地は、ほとんど特殊探偵の土地となっている。本部は、山の方の小高い、上空からしか見えない様な土地に立っており、行動部の倉庫街は本部から丸見えになっている。
二人は、その内の一つ——第十班倉庫に向かっている。
第十班倉庫内に、ホワイトとアルジャンが足を踏み入れた。
「お疲れさまでした、ホワイト様」
一番最初に気付いたソノリテが、ホワイトに頭を下げた。
「ありがとうございます、Msソノリテ」
ホワイトが言うと、ドラム缶に座っている秀有とヴァンも目をやった。
「処罰、結構大きかったんとちゃうん?」
秀有が、ホワイトをからかう。
「お前、よくホワイトさまにそんな口利けるよな」
ヴァンが、秀有を小突きながら言った。
「同じ頭脳派やねんから、当たり前やろ」
ヴァンは、秀有の言葉にムスッと顔を歪ませた。
「一体、どんな処罰を受けていらっしゃったのですか? ホワイト様」
ソノリテが聞くと、ホワイトが笑顔で答えた。
「処罰は出世払いに決まりました。大丈夫ですよ、心配しなくて。それよりも、上層部から頂いた命を伝えましょう」
「……。はぁー……」
ソノリテの不思議そうな顔を、返事を笑顔に変えて、ホワイトは話を続けた。
「皆さん、聞いてください」
ホワイトの透き通るような声で、全員の視線がホワイトに集まった。
「これからの第十班の命は、『怪盗R・B、霧島 惣滋郎の抹殺』です」
この言葉に、一番早く反応したのは、ヴァンだった。
「おいおい! 霧島って誰だよ? さては、俺が欠場してた時になんかあったな?」
ソノリテが説明を引き受ける。
「あなたが居ない間、R・Bの能力を狙っているファントムの能力者が現れたの」
「ファントムって何だよ」
「ファントムって言うのは、世界三大能力の一つ——オンブル、ファントム、レッド・アイの中のファントムよ。ファントムは、『幻』。アル者をナイ者とし、ナイ物をアル物とする」
「それで、そのファントムの能力者、霧島が、なんでR・Bになんか狙うんだ?」
「それは、まだ不明よ。なんせ、私達が気を許している間に霧島のファントムが、私達を襲ったのよ」
ソノリテがぎこちなく言うと、ヴァンは、呆れたような、恐怖のような複雑な表情をする。
「世界三大能力の詳しい情報を入手しました」
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.98 )
- 日時: 2010/05/03 11:08
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
ホワイトが空気を変えるように言う。
「世界三大能力とは、紀元前何千年か前、詳細は不明ですが、その時だけ生きたとされる『アルジャロ人』が、世界三大能力を作った人間だと言われます。彼らの種族は、とても優秀だと言われ、もうその時から自転車の開発、飛行機の開発、現代の歴史に逆らうような科学的発明を次々と創りだしてきました。しかし、その種族は、何らかの理由で絶滅してしまったのです。一部の説では、その時、当時の科学者が脳の中身を見ようとして、全員を殺したと言われています。彼らが死んでしまった後、三つの書物が出てきたんです」
ホワイトが少し言葉を切る。
「それが、『影の書』、『幻の書』、『赤い目の書』——つまり、オンブル、ファントム、レッド・アイとです。その科学者たちは三人居たのですが、その三人は、書物の価値がわからなかったのです。なぜなら、特別な暗号で書かれているため、この書物の価値をわからずに、母国へ帰って行きました。その科学者三人達は、違う母国の違う人種だったので、書物は一つ一つバラバラになり、そこで流れるように人から人へ渡った後、暗号を解読する者が現れ、オンブルという能力、ファントムという能力、レッド・アイという能力と、能力者が現れたのですそれが、人から人へ渡り、今の現代ではありえないような能力ですが、こうやって何千年も前から受け継いできたんです」
ホワイトの長い長い説明が終わった。
「なるほどなー。俺がいない間に、そんなことが」
ヴァンが、つぶやくと、ホワイトが笑顔でとんでもない事を言い出した。
「はっきり言って、彼らはとても強いですよ」
……この言葉で、全員の動きが止まる。呼吸までもが止まり、機能が働かない。
「彼らは強いです。まぁ、世界三大能力を持った二人を相手にするんですから、仕方のない事でしょうけれど。しかし、我々も負けてはいられません」
声を低めて、言い放った。
「今度の戦いは、私達に軍配が上がる様にしましょう」
ホワイトの声は、とても芯が通っている声で、にこやかな笑顔で言った。
笑顔の目の中には、なにか輝かしいものを見つめるような、静かな炎を灯していた。
「ちょっと聞きたい事あんねんけど」
この沈黙を破ったのは秀有だった。
「何ですか、Ms秀有」
「ずっと前から聞きたかってん。一体、うちの能力ってなんや?」
秀有のすこし厳しい声が、ホワイトの静かな炎に水をかけた。
しかし、またすぐに別の炎が灯るように、目がギラつく。
「いいでしょう。あなたにも、そろそろ自分の技を使えないようにならないと、ダメですね。あと、それとMs秀有、あなたの技はうちの第十班の攻撃力を大いに向上させてくれますから、頑張ってくださいね」
ホワイトが笑顔で言った。
「どういうことやねん?」
秀有が、イラついたように言う。かなりの間、ホワイトから意味深な言葉を残されたまま何も言って来ないので、かなりイラついているようだった。
そこを、ホワイトがなだめる。
「まぁまぁ、落ち着いてください。これからあなたにちゃんと教えます。私の指導はすこし厳しいので、耐えてくださいね」
ホワイトが、ギラついた目で、迫力のある頬笑みを見せた。
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.99 )
- 日時: 2010/05/03 15:20
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
——ルールは簡単です。アルジャン、ソノリテ、ヴァンは観覧席で観覧してもらいます。観覧席は、この倉庫の二階です。私達は、ここの倉庫すべてを使ってあるマッチをします。マッチは、相手を倒したら勝ち。
ホワイトの言葉が、頭の中にグルグルと回る秀有。
静かに目を開ける。そこには、背筋を伸ばし、シミ一つない白いスーツに身をまとったいつものホワイトが居た。
金髪のストレートが揺れる。
「いいですか? 勝負は一度。制限時間は無しです」
ホワイトが言った。
力強く頷く秀有。
「それでは、始めましょう」
ホワイトが言った途端、殺気をまとった秀有が突っ込み、蹴りをくらわす。
「おや。殺気を身にまとっている時点で、もうすぐ来るとは思っていたんですけど……こんなに早く来るなんて、思ってませんでしたよ」
秀有の突きを、軽いステップでかわす。次にそのまま左足を軸に、右足の蹴り。それも、すべてホワイトの前ではかわされる。秀有が、一回だけ短い歯軋りをすると、体勢を整えた。ホワイトは、軽いステップのまま距離を置いた。
「中々良い突きと蹴りをするじゃねぇーか」
倉庫の二階部分のヴァンが言った。
「だけど、それはホワイト様の前では無効だ」
アルジャンが無表情で言った。
ソノリテが、手を顎に乗せて言った。
「ホワイト様の前では、私達の全力でも敵いっこないわ。ヴァンの能力、私の能力、アルジャンの能力——全てにおいて、ホワイト様の方が上。ホワイト様は、あの時の秀有様の能力を解禁させようとしているのは、間違いないわ」
「あの……能力か……?」
ヴァンの頬が引きつる。
言った本人のソノリテも、額から冷や汗が流れる。
「ホワイト様が全身全霊を掛けて抑えた、あの能力か——……」
アルジャンが、一人呟いた。
秀有の突きの連打がホワイトに襲いかかるが、尚もホワイトは避け続ける。
攻撃しているのは秀有だけ。ホワイトは、楽しんでいるかのように笑みを見せながら、蹴りと突きをただ避けているだけ。
一方的な展開に、秀有はだんだんとイライラが募り始めた。
「ホワイト!」
秀有の動きが止まり、ホワイトに向かって大声が飛ぶ。
「何でなんも攻撃してこーへんねん! ずっと避けてるだけやんけ!」
「…………」
ホワイトは何も答えない。
「大体な、うちの能力を教えたるとか言っときながら、なんやねんこれ! ただの鬼ごっこみたいになっとるやんけ! どないなっとんねん!」
その時、ホワイトが小さく笑みを漏らす。
「あっ! 今なんで笑ってん。何で笑っとんねん。もうええわ、帰る! こんなもん、やったって何の得にもならへんわ!」
秀有の語法が怒号が飛ぶと、そのまま踵を返して倉庫のシャッターに向かう。
「逃げられませんよ、Ms秀有」
ホワイトが声を掛けるが、足を止めることはない。
「なんせ、鍵が掛けられているのですから」
その言葉を聞いた瞬間、足が止まった。しかし、また歩き出す。
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