ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活
- 日時: 2010/04/22 11:04
- 名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 9qYqZOsB)
どうも、こんにちは。
作者の空雲 海です。
えっと、第一作目がそろそろ完結するんで、二作目、連載したいと思います。
パクリとか言わんといてぇー!
それでは、どうぞお楽しみください。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.55 )
- 日時: 2010/03/13 10:37
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
R・Bが言う。
「お前が怪盗R・Bか」
流暢な日本語で言った秀英。
「ああ、そうだ。中国人の犯罪者殺し(クリミヌル・キル)は、私を狙うのかな?」
「そうだ」
何も感情の入っていない声。機械音声の様な声。
「それは、光栄だな。私も、怪盗として一流になったということかな?」
今度は「そうだ」とは答えなかった。
代わりに、戦闘態勢に入る。
「それが答えですか……」
刹那、秀英がR・Bに瞬時に突っ込む。
R・Bは体勢を低くし秀英の足に、自分の足を引っ掛け、バランスを崩させる。
体勢を立て直す秀英。
「オンブルは出さないのか?」
秀英が言った。
「オンブル? 何の事だよ? オンブルは変装技術で作られたモノだよ」
「違う。オンブルは暗殺用にもう一つ作られたものがある。それはお前が使っているはずだ」
「違うな」
「なぜやらなかった……。下の階でやったマフィアのように——」
R・Bは目を見張る。
「さっきの私が、気を許した時になぜ発動しなかった……? あの時だけが、私を傷つけられるチャンスだったというのに——……」
秀英の背中から漏れ出すような殺気は、この広い廊下中を支配する。
湯気が立ち上るような、おぞましい殺気。
「あちらさんは、どうやら本気になるようだ……」
R・Bがつぶやく。
その瞳は、満月の光に当てられ、ギラついている。
いや、それとも怪盗の血が騒いでいるのか——。
「答えろ。なぜ、一撃でやらなかった」
「あの技は結構気力、体力使うんだ。そう何回も打てやしないよ」
……沈黙。
「自分の弱点を人にさらすなど、私もナメられたものだ……!」
刹那——。
瞬きをする暇がないほどのスピードで、R・Bに突っ込む。
そのまま上段回し蹴りを食らわす。
もろに受け、そのままガラスのない窓から、宙に浮かぶ。
R・Bはそのまま真っ逆さまに落ちていった。
その後を追う、秀英。
秀英が着地すると、R・Bはどこにもいない。
神経を集中させて、微かな木々の揺れにも敏感に、聞き取る。
しかし、次の瞬間——。
丁度秀英の、真下にある地面から手が伸び、そのまま秀英の首を掴んだ。
「神経をどれだけ集中させても、地面までは聞き取れないだろー?」
R・Bだ。
R・Bが秀英の首を持ち上げる。
「さぁー……。ここでオダブツだ。大丈夫。私がさっき掘った穴で安らかに眠ってもらおう」
R・Bの目が殺気で輝く。
「永遠にね」
R・Bが、影を斬る構えをとる。
二人の影は、光に対して直線に出来ている。
つまり、光は二人の横顔を照らしているということになる。
そして、横に手を振り下ろした。
その時、渾身の力で秀英が地面をける。
R・Bの力が弱くなり、背の高い秀英は、地面に足が付けるような状態だった。
光は、二人の横顔をとらえている。
しかし、秀英が地面を蹴り、影の軌道をずらしたことにより、光は二人の真後ろから照らされるという形になる。
影というものは、物体の輪郭を表しているだけであって、重なったときの二つの輪郭を表すことはできない。
では——。
その二つの輪郭——R・Bと秀英が重なった影を、オンブルで斬ってしまったらどうなるか……。
口から血が溢れだす……。
だが、溢れだしたのは、R・Bもであった……。
「どういう事だ……」
R・Bの手の力が弱まり、秀英は軽いステップでその場を離れた。
二人とも、溢れだす腹部の血を押さえている。
情報屋がR・Bの片眼鏡に言った。
「秀英が地面を強く蹴ったことにより、あなたの影と秀英の影が同化してしまいました」
情報屋が、状況説明をすると、わかっているかのように秀英が不敵な笑みをする。
「くっそ……。こいつ……!」
息遣いが荒い二人。
「オンブルの弱点を……利用したな……!」
口から血が、流れ落ちる。
秀英は、ゆっくりとまた構えを取る。
殺気も復活する。
「攻撃の手を休めないってか……」
R・Bが言うと、体勢を整えた。
「さて、今度はこっちからだ」
R・Bが言うと、上空に飛ぶ。
壁を蹴り、そのまま森の中へ消え去って行った。
「逃げるのか?」
その後を追う秀英。
その時、凄まじい叫び声が深夜の森に響いた……。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.56 )
- 日時: 2010/03/13 13:03
- 名前: nnn ◆v3qFTvV4F6 (ID: AzZuySm.)
- 参照: http://http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode
遅くなってしまってすいません。
では貼らせていただきます。
━─━─━─鑑定結果━─━─━─━
鑑定材料として読ませて頂いたのは>>52までです。
い 誤字・脱字
普通に読んでいて気がついたところはこの二つです。
>子顔で「美人」と誰が認めてもいい。
「誰もが」ですよね。
>「どんなな風に捉えてもらっても結構ですよ」
「な」が一つ多いようです。
誤字脱字が無い綺麗な文が並ぶ中、微妙な誤字脱字がとても目立ちました。
ろ 記号
記号が全角であり、記号の後は空白などしっかりとできていたと思います。
私自身は入れないのですが、段落が入れてあってよかったです。
そんな中少し気になった一部分を。これを直せば完璧だと思います。
>「へぇー……。よくわかってるね」
三転リーダの後に句読点は要らないかと思われます。
>不安そうな弱弱しい
人の好みの問題になりそうですし微妙なことですが、「弱々しい」のほうがいいかなと思います。
二つの文字を重ねるときは「々」を使いますし。
は 描写(比喩・暗喩・換喩etc...)
暗喩比喩等が使われていて、解りやすく想像しやすかったですが欲張りを言うなら何か物足りないように感じられるので、
少し描写を付け足してもいいと思います。
「だってそうやろっ!」
「とにかく落ち着け、秀有。みんな怯えてるだろ」
「…………」
このシーンですが、秀有によって「みんなが怯えている」描写が欲しかったです。
その次の三転リーダの台詞はわざわざ台詞を使わずとも、描写でその言葉で秀有は口をつぐんだ等できたと思います。
荒い呼吸。血溜まりになっている床。散乱しているドラム缶。
それは、激しい戦いがあったという事を物語っていた。
解りますが、やっぱり物足りない。確かに激しい戦いがあったということを読者に語りかけますが、
もっと他にも語りがける物があったと思いますし、作れたと思います。
荒い呼吸の荒さをもっと丁寧に描写してみたり、血だまりの生々しさやただ散乱しているだけでなくドラム缶がどのようにとか。
二つの場面を例として挙げさせて頂きましたが、他にも「物足りない」と感じられるところが少々ありました。
そのせいでとても上手に書いていらっしゃるのにおしいなあ、という感じがしました。
付け足せると思ったところは思い切って、というよりとにかく付けたしてみてください。無いより、あったほうがいいですし。
あと、気になったのですが。
彼の逆鱗に触れる言葉は「背が小さい」のようだ。
彼の立場が秀有より上か下かは解りませんが、「逆鱗に触れる」という故事成語は目上の人、自分より地位が高い人に使います。
何とも言えないところですが、気を付けたほうがいいかもしれませんね。
に 登場人物(名前、見分けやすさ)
人物描写があり、どんな容姿がしているかよく解りますがもう少し服装についての描写があってもよいかなーと思いました。
白にも濁った白や明るい白どころか、雪色、純白、乳白色等いろいろありますし普段の水無月たちの服装も気になるところです。
その容姿にあった服装というものがあると思われるのに、もったいないです。
せっかく人物描写に気をつけているのですから、服装のほうにも気をかけてあげてください。
たくさんの人物が出てきていますが、難なく読んでいけました。見分けもしっかりつきます。
大勢の登場人物を操るということはプロでも難しいことですので、今現時点でも多いかな、と感じられるくらいですので
今後人物を出される際は気を付けてください。
ほ 言葉(幾度も繰り返していないか、綺麗か)
描写のところで言わせてもらったとおり、比喩を使っており綺麗でした。
ただ人物描写のところでも比喩を使ってもいいんじゃないかなと思いました。
上記で言わせてもらった通りですね。あと、「綺麗」という言葉が幾度も使われており目立ちました。
綺麗以外にも「麗人」「華美」「美麗」「麗しい」「艶やか」「妖艶」ざっと今出てきたのがこれですが、
これ以外にももっと他にもたくさんあると思われます。
言葉が被りそうな場合、類語辞典の使用をおすすめします。
へ 構成(矛盾点は無いか、話の目的がしっかりしてるか)
矛盾点は特に見受けられなく、話の目的はしっかりしていておもしろく今後の水無月と秀有の関係がとても気になりますね。
展開が気になり、読めることならば続きをもっと読みたい、と思える内容ですね。
私は無知な者で、仕掛け等にはなるほどなあと感心させて頂きましたw
と 一言・アドバイス
遅くなり、挙句の果てにレスを貰う始末。本当に申し訳なかったです。
鑑定ということを忘れて普通に読み進めたくらい、おもしろい内容でした!
更新が早く、遅筆な自分にとっては羨ましいことです。これからも頑張ってください。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─
━─━─━─鑑定結果━─━─━─━
どーもnnnです。
い 誤字・脱字
kkkに任せます。
ろ 記号
特にないです。
段落わけがされており、読みやすかったですよ。
は 描写(比喩・暗喩・換喩etc...)
比喩をしっかりと使っていて綺麗な文章でした。
中でも
『秀有の長い黒髪と、水無月の長い黒髪が歩く度に、優雅に舞う。』
と登場人物の特徴を生かした表現があったり、
『辺りは静寂に包まれた。』
とただ「静かになった」ではなく言葉を選び、置き換えているところが良いと思いました。
欲を言えばもっと描写を多くしたほうがいいのではないかと思います。
折角綺麗な言葉選びをされているのですから、沢山書かないと勿体無いです。
に 登場人物(名前、見分けやすさ)
口調に違いがあって分かり易いですし、
人物描写もあり、いいなと思いました。
ただ人物描写にも比喩を入れたりするといいかな。
ほ 言葉(幾度も繰り返していないか、綺麗か)
『一軒だけちょっと一歩退いたように建っている家がある。』
「ちょっと」は要らないと思いますよー
「一歩」は少しの程度という意味ですから。
へ 構成(矛盾点は無いか、話の目的がしっかりしてるか)
段落わけがされており非常に読みやすかったです。
矛盾点もありませんでした。
トリックなどに矛盾点が生まれないよう気をつけてくださいね。
と 一言・アドバイス
綺麗な言葉選びが魅力的な文でした。
内容もとても面白かったです。
これからもあぜらず、自分のペースで書き続けてくださいね。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.57 )
- 日時: 2010/03/13 17:37
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
「…………」
ソノリテと秀有は、驚きのあまり声が出なかった。
「どういう事なんや? R・Bはオンブルっちゅー能力なんか持っとったんか?」
ソノリテと秀有は、二人の後を追い、木の幹を、まるでサルのように軽快に進んでいく。
「あなたは、まだ怪盗R・Bの事を知らなかったわね。R・Bは、変装をオンブルという能力を使って行っている。相手の影をコピーし、自分の影をそれに作り替えることが出来る」
「ふんな、アホな!」
秀有が、目を見張り大声を上げる。
「では、なぜ実際に見たの? あの見たモノは、オンブルよ。これは紛れもない事実」
「……。ふんじゃぁ、なんで暗殺用なんか……。自分の言うてる事やったら、『変装用だけに作られた』みたいな言い方やで?」
「そうなのよ。そこが問題なの」
ソノリテは、声のトーンを下げて言う。
「どういうことやねん?」
「私達特殊探偵も、任務遂行のための情報って言うのは、いくら格下の行動部だからって、絶対に行き渡るようにしているの。だけど、そんな情報なんて聞いたことがない。オンブルは、暗殺用に作られたモノもあるなんて——。ましてや、それをR・Bが使ってるのよ」
「上(上層部)が、なんか隠してたんとちゃうん?」
「それは、違うわ。だって、ずっと創設以来守り続けてきた、鉄の掟よ」
ソノリテは、すぐさまこの事をホワイトに連絡した。
「怪盗R・B監視、ソノリテです。ホワイト様」
「何か動きはあったんですね?」
ホワイトからの返事は、速かった。
「はい。ただし、すこし聞きたいことがあるのですが——」
「何ですか?」
「怪盗R・Bが所有している技、オンブルは、暗殺用に作られたモノもあるのですか?」
「…………」
通信の間で、沈黙が流れる。
「どういう事ですか?」
ホワイトが、やっと口を開いた言葉だった。
「ただいま、怪盗R・Bが使っていた技です。オンブルは、暗殺用に物を切れるオンブルもあるようです」
「それを怪盗R・Bが使っていたのですか?」
「はい、そうです」
「なんですって!?」
ホワイトの声が裏返った。
あまりにの大音響に、少し耳を遠ざけるソノリテ。
ソノリテは、さぞかし隣に居るアルジャンは迷惑で、滅多に出さない裏声を聞いて、複雑な心境になっていることだろうと、思っていた。
「それは、本当ですか?」
ホワイトが落ち着きを取り戻して言う。
「ええ、本当です」
「それは、大変なことになりました」
今度は、落ち着きをはらってはいるが、声は若干震えている。
「なぜ、大変なことになってしまうのですか?」
「ソノリテ、よく聞いてください。これから、あなたは怪盗R・Bに手を出してはいけません」
異様なホワイトの声が、トランシーバーを通って、伝わってきた。
それは、本当に怪盗R・Bを恐れているかのように——。
今まで、こんな声を聞いたことがなかったソノリテは、動揺した。
そして、怪盗R・Bのあのオンブルが、どれだけ恐怖に陥れるのか、ソノリテはわかった。
「R・Bがあのオンブルを使う事を知っていたなら、私があなたの役になっていたでしょう」
いまだ声の震えが止まっていない。
「ホワイト様、なぜあのオンブルを、そんなに恐がっているのですか?」
「……それは、本部に帰ってからまた後日。こんな重大なことが分かったとなると、最高幹部は、黙ってはいないかもしれません」
ホワイトは、一方的にソノリテとの通信を切った。
「……切れましたやん」
秀有がつぶやく。
「ああ言うてるホワイトやと、上層部も最高幹部も、ホワイトも、何にも知らんかった新情報ってことになるな」
「……そうね。ホワイト様があんなに恐がっているとなると——」
ソノリテの言葉を、秀有が不意に遮った。
「なぁ、なんであんたらは、そんなにホワイトを高く見るんや? そんなに、ホワイトっちゅーんは、強いんか?」
……沈黙が流れる。
「あなたは、まだ何も知らないのね。ホワイト様の力に——」
遠い目で言うソノリテ。
まるで、手の届かない、別次元を話しているかのような声。
「力?」
「あなたの、能力はまだホワイト様から聞かされていないかもしれないけど、あなたの能力を抑えることができるのは、ホワイト様だけよ」
「え……」
秀有は、言葉を失った。
「それはつまり、あの場にホワイト様がいなかったら、私達はとっくに死んでいたっていうことになるの。ホワイト様は、一番格下の行動部のリーダーを務めていらっしゃるけど、あのお方はもう最高幹部の最高権力者になってもおかしくない。では、なぜあのお方は格下にいつまでも留まっているのか——」
……沈黙が流れる。
「それは、自分で聞いて見るなり、探るなりしてみたらいいわ」
「はぁー!?」
ソノリテは、いじわるく笑うと、スピードを上げた。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.58 )
- 日時: 2010/03/13 20:04
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
「な……ぜだ……」
ヴァンが、ゆっくりと足をつき、そのまま前倒しに崩れていった。
ヴァンの腕から血が流れる。
ムーンの手には、拳銃が握られていた。
それも——。
「二丁拳銃……」
ヴァンがうめきながらつぶやく。
「俺が、なぜこの若さでムーンサルトのボスになったのか……。親の跡を継いだっていう事もあるけど、それだけじゃボスなんて務まらない。俺がボスになれたのは、銃の名手。それも、二丁拳銃だからだ」
ムーンが、両方の拳銃を構える。
照準は、もちろんヴァン。
「大方、さっきの手口で俺にひざまずいて、お終いだ。お前も、その中の一人なんだよ」
ムーンが勝ち誇ったような笑みを見せると、両方の銃を撃つ。
そして、弾丸は確実に彼の胸を貫いた……。
森の中に、悲鳴が響いた……。
ヴァンが倒れる。
そこから、血が流れ出し、動かなくなった……。
「フッフッフッフ……」
不敵な笑みを漏らすムーン。
そして、不気味な笑い声へと変貌し、森の静寂を切り裂いた。
悪魔のような笑い声が、森を支配する。
ムーンは、ヴァンの死体に背を向ける。
「弱い……。本当に、弱い。特殊探偵も、腐ったもんですねぇー」
気持ち悪い感触の声。
刹那——。
ムーンの体がふわりと宙に浮く。
「え?」
疑問符を浮かべる間もなく、ムーンの体は、木に叩きつけられた。
衝撃で口から血が溢れる。
黒い、綺麗なスーツが血によって染められる。
「やっとお前に血を一浴び」
ムーンの目の前に立っているのは、ヴァンだった……。
「なぜだ……? 私は……私はお前に拳銃を撃ったはずだ!」
「それはな、一つの拳銃は本物ので、もう一つの拳銃は偽物だったんだ。偽物の拳銃は、特殊探偵の最高 幹部が造った特注品で、音だけの偽物」
「どういうことだ!?」
その時、金属と金属がこすれあうような音がした。
ムーンは不思議に思い、下に目線を移す。
その時、ムーンは目を見張った。
ムーンの体が、宙に浮き、木にヴァンの銀色の鎖で縛られていたのだ。
「何をするっ!」
「おっと! 動かない方がいい、今はこっちの方が有利なんだ。下手な動きをすると——」
ヴァンが、本物の拳銃の銃口をムーンに向ける。
「バン! だぜ?」
勝ち誇ったような笑みを見せる、ヴァン。
「くっそ……!」
悔しそうな顔と、歯ぎしりが聞こえる。
「なぜ、今お前の手に俺の拳銃が握られているんだ」
「それは、まぁ順を追って説明しようじゃないか」
ヴァンが、名探偵のような口調でしゃべりだした。
「俺だって、探偵だ。それに、この業っていうのも何年もやってるんでね。バカじゃねぇーんだよ。元々拳銃が二丁あるっていうのはわかってた。二丁拳銃者っつーのは、的を二つ打つことが出来るんだ。だから、右にナイフをなげれば右の拳銃が弾く。左にナイフを投げれば左の拳銃が弾く」
「な! まさか、あの時……!」
ムーンの驚いた顔を見て、不敵な笑みをこぼす。
「そう。俺があの時無茶苦茶で投げていたなんて、それは勘違いだ。俺は、交互に標的を作らせることで、微妙な右と左の時間の差っていうのが、見えてきたんだ。あんたは、右利き。つまり、右に投げた標的は速く打つことが出来るが、左に投げた物体は遅くなる。なぜなら、いつもなら左の拳銃が撃つから。いつもの慣れが、今回の敗因だったって訳だ」
「しかし、それだけではまだ理由にはなっていないぞ」
「あとは簡単さ。お前が二丁拳銃ってわかった時点で、こっちの勝ちは決まった。後は、わざと背後に回って本物の拳銃と、偽物の拳銃をすり替えたって訳だ」
「ちょっと待て! すり替えるなど……そんなことは、並はずれた人間では無ければ——」
「並はずれた人間だから、やってのけたんだけど?」
ムーンの額に、冷や汗が流れた。
「まぁ、のどぶえを掻っ切るために、ナイフの裏に偽物の拳銃を忍ばせてあったんだけどさ、あとは、飛び道具を使う基本中の基本——スピードが、勝因って訳よ」
ムーンの歯ぎしりの音が、聞こえる。
「お前さえ……お前さえいなければ!」
「負け犬の吠え面なんて、見たくないね」
ヴァンが、勝ち誇る様に鼻を鳴らした。
「アンタさぁー、もうちょっと戦闘センス磨いた方がいいよ。相手が本当に死んだかどうか、確認もしないで俺に背を向けた。本当に、決まったんならいいけど、決まってないのに背を向けるなんて、言語道断だ。それだけで、形成逆転できるから。まぁ、戦闘センスを磨くにしても、どっちみち——」
ヴァンがムーンの拳銃をムーンに向ける。
「ここで『オダブツ』ってわけだ……。日本語では死ぬことを『オダブツ』っつーんだろう?」
銃口が、向けられると同時に、ムーンの顔が青ざめていく……。
「や……やめろ! やめてくれぇー!」
盛大な銃声が夜の森に、響いた。
「皮肉なもんだな。自分の銃で、自分の命を消されることになるなんて……」
その時、ヴァンの気が緩むと、本物の拳銃で撃たれたところに、激痛が走る。
「くっそ……」
ヴァンが、静かに倒れていった……。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.59 )
- 日時: 2010/03/14 09:53
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
「終わりましたね」
ホワイトが言うと、アルジャンが頷く。
ホワイトも頷くと、ホワイトを先頭に森の中を抜け、屋敷の敷地内に入った。
「こちら、特殊探偵、行動部、第十班——」
アルジャンが、ヴァンを抱き起している間に、ホワイトが、トランシーバーで上層部に連絡をする。
「任務遂行のため、第十班のうち一名が負傷。名はズィヴァーン。すぐに我々の位置を特定し、救護班を要請します」
トランシーバーでの連絡を取り終わると、アルジャンがヴァンを抱き起していた。
ホワイトが、もう一つ連絡を取る。
「ソノリテ?」
ソノリテだ。
「……ソノリテ?」
だが、中々ソノリテは応答しない。
ここは森の中。電波の障害がない都会ではない場所での、無線が通じないということは、あちら側に何かあったとしか考えられない。
「何かあったのか……?」
ホワイトがうかない顔でつぶやくと、アルジャンに言った。
「ソノリテとの連絡が途絶えてしまいました。何か、あちら側にあったとみて、今は森の中に身を潜めましょう。数分経って、あちら側から何もなし、あるいは、こちら側からかけても応答しない場合、上層部に連絡をします。今は、マフィアに見つかったら、やっかいですから」
「はい、ホワイト様」
アルジャンが、短く言うと、そのまま森の中へと消えて行った。
一方、ソノリテが監視する怪盗R・Bは、壮絶な戦いになっていた。
両者、一歩も譲らずの攻防。
木の葉が、落ちる瞬間に目を奪われると、もうそこから勝負がついてしまうような一秒の世界。
一瞬たりとも気を抜けない。神経を集中させないと、こちら側が食われてしまう。
「だぁー! 抜かりねぇー!」
R・Bが、岩肌に隠れ息をついた。
今は、完全に自分のオンブルに身を包み、絶対的な防御となっている。
「あの秀英ってやつ、一体どのくらいの犯罪者(キル)を相手にしてきたんだ?」
R・Bが小さくつぶやくと、
「今まで、百人以上を、刑務所に送り届けている、あるいは葬っていますね」
片眼鏡から情報屋の声が聞こえた。
「あいつの位置は、今どこだ?」
「真後ろ——」
情報屋が言う間もなく、R・Bが動き出す。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
この掲示板は過去ログ化されています。