ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活
- 日時: 2010/04/22 11:04
- 名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 9qYqZOsB)
どうも、こんにちは。
作者の空雲 海です。
えっと、第一作目がそろそろ完結するんで、二作目、連載したいと思います。
パクリとか言わんといてぇー!
それでは、どうぞお楽しみください。
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- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.20 )
- 日時: 2010/02/28 16:04
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
「だぁーっ! めっちゃ悔しいっ!」
秀有がテーブルをドンッと叩く。
すると、店に居る店員、客までもがシンとなり、辺りは静寂に包まれる。
「声がでかい。あとそれと、物に当たるな。秀有」
水無月がゆっくりと秀有から非難させたコーヒーをすする。
「くっそっ! あともう少しやってんでっ! これ見てみぃーなっ!」
興奮した声で、テーブルに広げてある、ありとあらゆる新聞を指す。
そこには、どこの大見出しにも怪盗R・Bの記事が踊っていた。
そこには英字新聞も混ざっている。
「どこもかしこも、怪盗R・Bやし、日本の警察はどうなっとるんやとかどうたらこうたら書いてまうし、一体どうなってんのやっ! 警察はっ!」
「どうなってるもこうなってるも、新聞に書かれた事は事実なんだろ?」
水無月は淡々と話していく。
「そ・や・か・らっ! 今悔しがってるんやないかっ! わかるか? その場に居たうちは捕まえられへんかってんでっ! 捕まえられへんかっただけでも大損やのに、顔立ちも何も覚えてないんやで、うちはっ!」
手を広げ、水無月に訴えている秀有。
「それがあの怪盗R・Bの能力なんだろ? 『見たことは覚えているけど、話せと言われたら思い出せない』っていう」
またコーヒーをすする水無月。
「そうなんよ。やけど、どこの大学にもそんなおかしな能力を持った犯罪者はおらへんっていうデータが出てるんや。そんな聞いたこともあらへんって。なんでやと思う? もしかしたら、怪盗R・Bは、宇宙人かも知れへん……!」
頭を抱えて言う秀有。
「おいおい、秀有らしくない、変な事言うなんて。そんな事あるわけないじゃないか」
水無月がコーヒーのおかわりを頼みながら言う。
その店員の顔が怯えていた事を知らない秀有が先を続ける。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.21 )
- 日時: 2010/03/30 13:29
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
「だってそうやろっ!」
「とにかく落ち着け、秀有。みんな怯えてるだろ」
水無月が言うと、それまで店の中に居たすべての人間が、目線をそらす。
「…………」
秀有は大きく深呼吸をする。
そして、静かに言った。
「水無月はどう思うねん?」
「何が?」
「R・Bの事やっ! どう推測してんねん?」
秀有は助けを求めるような眼で聞く。
「たぶん、あいつは特殊な能力を持っている。そんな特殊な能力を身につける事が出来るような環境で育った——違うか?」
「なるほどな。やけど、それは天性の能力やとしたら?」
水無月は首を横に振る。
「そこまではわからないよ。天性か、はたまた盗み取った能力かなんて」
「そうやんな……。ごめん、聞いて悪かった」
……沈黙。
「うちは帰んで。次の講義が控えてるから。お勘定はここに置いとくで。ほなな」
肩を落としながら秀有が出て行った。
「かなり気落ちしてるみたいですね、彼」
水無月に話しかける人物——眼鏡に通じている情報屋だ。
奥歯にある小型受信機で話す水無月。
「そりゃ、そうだろ。前回も捕まえられなかったんだからな」
「まぁ、そうだとは思いますけど。にしても、あなたの能力には驚かされます」
「影(オンブル)の事か?」
影(オンブル)とは——。
オンブルは相手の影を瞬間的に覚えて、自分の影をその影に作り替えることで、その人自身になれる能力。しかし、少しでも覚えが狂ったら、変装にも狂いが生じる。
「あの時、あなたは二重に変装していたでしょう? 一つは『秀有 魁人』としての変装。そして、もう一つは——顔を覚えさせないための変装」
「へぇー……。よくわかってるね」
「そりゃそうですよ。私は情報屋ですから。自分にかけていた変装、あれは、R・Bの姿を見てしまった人が記憶に残らないように自分にオンブルをかける。すると、さっきの彼女みたいにあんなにまじかで見ていたとしても、記憶に残っていない」
「お見事」
水無月が言う。
「天性の能力か、盗み取った能力かなんて言ってましたけど、はっきり言ってどっちなんですか? R・B」
情報屋が言う。
「……さあね」
水無月は素っ気なく答えると、黒い肩掛けカバンから丁寧にくるんであるクレープを取り出す。
「チョコチップバナナクレープ」と書かれてある紙を破り捨て、カバンの中に収める。
そして、スケーターのローラー部分にローラーをくっつけると、立ち上がる水無月。
クレープをかじる。
「そのまま帰るんですか?」
「ああ。今日は良い講義がないんだよ」
「だったら、サークルとかにでも入ったらいいのに。今や『R・B様同好会』なんて出来てるのに——」
一瞬、水無月の額に青筋が見えたかと思うと、水無月の方から一方的に通信が途切れた。
そして、そのまま何事もなかったかのように、店を出て行った。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.22 )
- 日時: 2010/03/13 17:36
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
暗い密室。明かりは小さな窓から降り注ぐ光だけ。
光が射している部分は、他と比べると異様に明るく、ほこりが宙に舞っているのがよくわかる。
六畳くらいのスペースの部屋。その壁には、新聞が壁の面影がないくらいに、所狭しと張られていた。
中には英字新聞や、韓国、フランスなどの海外の新聞も目立っている。
家具、家電は一切ない。今あるのは、コンクリートの上に寝そべっている男が一人いるだけだ。
男の名前は、李 秀英(リ・シューイン)。
顔を隠すように腕を置いている。体の力は抜き、どこから攻撃しても必ず当たるだろう。
年齢は三十代前後。黒髪に、チャイナ服を着ている。
身長は百八十センチくらい。
男が起き上がる。
綺麗な短い黒髪が揺れる。
秀英の虚ろな目は、一体どこに焦点を合わせているのかわからない。
秀英は流暢な日本語で言った。
「ゲームが始まる……」
一拍置く。また言い出す。
「メンバーは五人。この五人が日本というゲーム盤で、夜が明けるまで戦う……。最後まで残るのは誰か——……」
言いたい事が言い終わると、そのまま気を失い、スローモーションのように背中から倒れて行った……。
水無月が大学のカフェでコーヒーを飲んでいる。
今は昼食と言われる時間帯で、お店は満席だった。
そんな満席の状態で一番奥で人目に付かない静かな空間を手に入れた水無月は、幸運だった。
「すみません、コーヒーのおかわりお願いします」
店員が返事をすると、小型通信機から情報屋の声がした。
「あなたがブラックを飲むなんて、本当に性格に合っているとしか思えませんね」
機械音声の声に、奥歯に潜む小型送信機で答える。
「ぞれは褒めとして捉えてもいいのかな?」
「どんな風に捉えてもらっても結構ですよ」
「そうかい」
店員がコーヒーを持ち、戻ってきた。
「ところで、情報屋の方から掛けてくるって事は、次の獲物の詳細が分かったんだな?」
水無月は店員に軽く会釈をしながら言った。
「そうですよ。えっと、次の獲物は何だと思いますか?」
「また絵画か?」
コーヒーを口に運ぶ水無月。尚も交信を続けている。
「違います。今回は『黄金の王冠(ゴールデン・クラウン)を盗んで貰います」
「ゴールデン・クラウン?」
「そうです。ゴールデン・クラウンは昔ポルトガルやスペインとの貿易で行われたものです。当時、その王冠がどれくらいの価値があるのかなんて見当もつかなかったんです。なんせ王冠なんて初めてでしたから。人々は持て余したんですよ。人から人へ渡り歩き、そして最近発見された。闇市でね」
「闇市だって? 闇市っていうのは確か、公にできないような品物を取り扱っている市場の事だよな?」
「はい、そうですよ。隠密に行われているので物凄い掘り出し物が見つかる事はたまにあるんですよ」
「それが、ゴールデン・クラウンだってわけか」
「今は重要な国宝文化財に指定されています。速く国も探し出したいでしょうね」
水無月の眉がゆがむ。
「どういう事だ? 国から盗むんじゃないのか?」
「今回は違うんですよ。闇市に通っている常連客が高値で買い取ったんです。だから、今回は一般人から盗むことになります。ゴールデン・クラウンを現在所有しているのは、『田辺 霧太郎(たなべ きりたろう)四十三歳。大手会社の社長ですね。」
「なるほどな……。一般人ならすぐに警察を呼ぶだろうし、今回もまぁ大丈夫——」
水無月の送信を遮って言う情報屋。
「実はそうではないんですよ」
「なんだって?」
コーヒーをすべて飲み干す水無月。
表情は口元一つ動かしていない。
「闇市に来る人々というのは、訳ありが多いんですよ。それで、あまり警察に知られたくないというのが本音なんでしょうね」
「なるほどな……」
水無月は店員にミートスパゲッティと、カルボナーラを頼む。
「ここからちょっと厄介な話になってしまいます」
「厄介な話?」
「はい。この事件、ある人物を絡んでしまったんですよ。こっちは何もお願いしてないのに」
「誰だよ」
「李 秀英です」
その途端、口からスパゲッティがこぼれる。
そして、そのままむせる。
水無月は、慌ててコップに入っている水を飲む。
「……どうしたんですか?」
全然心配がっていない機械音声の情報屋。
「だってっ……そいつっ……」
またむせる水無月。
またコップに手を伸ばして、水を飲むと落ち着きを取り戻す。
またスパゲッティを口に運ぶと、ゆっくりと話し出した。
「そいつは、今話題になってる犯罪者殺し(クリミヌル・キル)じゃないか」
「そうなんですよ。そいつがこの事件を厄介にさせてしまう張本人ですよ」
「参ったなぁー。そいつが絡んでくると、どうも変装だけではすまなさそうだ。そいつのデータを詳しく送ってくれ」
「了解」
その時、メガネのレンズが瞬間的に光る。
メガネに画面を現れる。
メガネが画面になっていて、水無月だけが見れる映像だ。
全身の画像と、真正面、横顔、後ろなどの画面を送る。
その時、ミートソースを食べ終わった水無月は、カルボナーラに手を伸ばす。
「彼はいつも赤い中国服を着ています。変装らしきモノは使わず、戦闘技術はズバ抜けて高いですね。主に拳法を主要とし、道具は一切使いません」
「道具は一切使わないか……。私と同じじゃないか」
「まぁ、そうですね」
「それじゃぁ、彼と私が戦ったらどっちが勝つ?」
「…………」
沈黙。通信が途切れた訳ではない。ただ単に情報屋が沈黙を守っているだけだ。
「はっきり言ってもいいんですか?」
情報屋が恐る恐るとでもいうように、言った。
「いや、やめておくよ。いくら情報屋でも、やる前に言われては困る」
そして、沈黙を破ると同時に、カルボナーラをまた口に運ぶ。
「そうですね。では、次の獲物はゴールデン・クラウンでいいですか?」
「ああ。何かあったらその時呼ぶから、いつでも準備をしといてくれたまえよ」
「何ですか、その口調。にしても、あなたがボケるなんて……。今日は台風が来ますかね」
水無月の額に青筋が浮かぶ。
すると、その青筋も素直に消え、軽くため息をついた。
「たぶん、秀有の大阪弁が移ったんだろう。まったく。だけど、あいつとつるんでいたらこうなってしまうから仕方ないんだけどな」
「そういえば、今回名探偵は居ませんね」
「居ないけど、厄介なのは変わりないさ。なんつったって、殺しがくるんだから」
「まぁ、そうですね。それでは、予告状を田辺に送りつけときます。いいですか?」
「ああ、そうしてくれ」
水無月がそう言って、通信を切った。
カルボナーラの最後の一口を食べ終わると、立ち上がった……。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.23 )
- 日時: 2010/03/01 17:57
- 名前: 牙 ◆CJat/Z2hH6 (ID: NWU2GU14)
こんにちわ<(_ _)>
怪盗が出てくる小説が好きなんです!
この小説の題名を見てきたんですけど、おもしろかったんで、また見に来させてもらいます!!
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.24 )
- 日時: 2010/03/01 19:32
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
おお! ありがとうございます!
初めての読者さんです! ありがとう!
読みましたか!? 読んじゃいましたか!? 全部!
ありがとうございます!
更新です!
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