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——怪盗R・B—— なんやこんやで復活
日時: 2010/04/22 11:04
名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 9qYqZOsB)

どうも、こんにちは。
作者の空雲 海です。
えっと、第一作目がそろそろ完結するんで、二作目、連載したいと思います。
パクリとか言わんといてぇー!
それでは、どうぞお楽しみください。

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Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.60 )
日時: 2010/03/14 14:20
名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)

 秀英が、強力な突きを食らわしてきたからだ。
「おっと!」
 R・Bは、体勢を崩すも、なんとか避けた。
「うーん……。さっきは前よりも強力なオンブルを自分に掛けてたんだけどなぁー」
「それがお前の限界だろう? 私には、すべての技を芯まで見抜く力を持っている。オンブルなどという騙しごっこは、面白くない」
 秀英が、石つぶてを手に積み上げる。

「さっさと、終わらそう」
 秀英が、すべての石つぶてを突きと蹴りでR・Bの元へ飛ばす。
 R・Bは、目にもとまらぬ速さで来る石つぶてを、すべて切断した。
「え?」
 R・Bが構えから、棒立ちになった。
 そこには、さっきまで居たはずの秀英がいないのだ。
 刹那——。
 凄まじい風の音と共に、やってきたのは秀英の激しい飛び蹴りだった。

 その飛び蹴りが、丁度R・Bに当たる。
 R・Bは吹っ飛び、近くの木に叩き落とされた。
 口から、血が零れる。
 白い服は、もうボロボロの真っ赤だった。
 息が荒くなるR・B。
「もうボロボロじゃないか、R・B」
 秀英が、皮肉るような口調で言った。

「お前だって、ボロボロじゃないか……」
 途切れ途切れに言い、足元がよろつきながらも、立った。
「まだ、立つ力が残っているのか……。さっきの飛び蹴り、急所をついたんだが、うまく軌道をずらし、急所をはずしたな」
「…………」
 何も言わないR・B。
 その時、秀英の景色がゆがみ、足元がよろめいた。
「もうボロボロじゃないか、秀英」

 R・Bが、そっくりそのまま言葉を返す。
 秀英は、なぜか余裕の笑みをもらすと、ある構えを取った。
「まさか、こんな奴ごと気にこの大技を出すなんて、思ってもなかったよ……」
 その構えは、まるでスピードスケートの最初の走りにとる構えのようだった。
「なんだ、それは?」
 ……R・Bの言葉を無視して、目を静かに閉じる。
 その瞬間、殺気がゆっくりと湯気のように立ち上り、辺りは張り詰めた雰囲気に変わっていった。

「ダメだな、こりゃ……」
 R・Bが言うと、自然の風ではない風がたった。
 殺気交じりの、痛いような風。
 秀英が、ゆっくりと目を開けた。瞳には、活気と殺気が輝きを放っている。
「鷹爪翻子拳(ようそうほんしけん)」
 秀英が、つぶやいた瞬間、太い枝をまでもが、もげるようなジャンプ力でR・Bに突っ込んで行った。同時にR・Bを幹に叩きつける。
 R・Bの血の雨が、秀英の顔に吹きかかる。
「拳法四ヶ条、胡蝶舞」

Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.61 )
日時: 2010/03/14 17:32
名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)

 秀英の突きは、的確にR・Bの取り囲むように全身に、打たれる。
 強烈な連打が、R・Bを襲った。
「がは……!」
 R・Bの口から血が零れる。
 秀英が、そんなR・Bを見て勝ち誇ったような笑みを見せる。
 R・Bは、苦痛に耐え、枝から飛び降りた。その後を、秀英が追う。
 秀英が目が、まるで獲物を逃がさない蛇のように、不敵に輝く。

 R・Bは、痛みに顔を歪ませながら、枝と枝と蔦って距離を開ける。
 しかし、距離が開けることはない。確実に距離は縮まってきている。
「くっそ……!」
 R・Bの言葉は、つぶやく。
 ——さぁ……。どうすればいい? あの、バケモノみたいな猛獣を、どうやって手懐けることが出来る?
 R・Bは、横目で秀英を見た。

 その時の彼の足取りは、さっき鷹爪翻子拳(ようそうほんしけん)を出す前の秀英とは違い、しっかりとした足取りに、あのような技を打てていた。あのフラフラの秀英はどこへ行ったのかと、R・Bは悔しさと、疑問をかみ砕きながら、進んでいた。

 まだ、距離は開いている。しかし、気を許してしまったら、もうアウトだ。
 かつて白い服から、赤い汁が垂れる。
「あの技でも出来れば……」
 その時、秀英が離れているR・Bに言った。

「そろそろ鬼ごっこも終わりにしよう。どうだ? 今までの鷹爪翻子拳(ようそうほんしけん)は。あれは、元々武術を磨きあげる為、見せ物の為に作られたものだが、私の師匠が、いろいろな流派を取り入れるうちに、師匠だけが造り上げた最強の武術になってしまった。いろんな流派のいいところを取っていくうちにね。出来上がったのが今の技。それをくらって、いまだかつて死に至った者はいない……はずなんだけど——どうやら、お前が初めの記録者って訳だ」

「そんな記録者になんかなりたくないね!」
 R・Bが前方に目をやりながら、言った。
「光栄なことだと思わないと。だって、お前はもうここで殺されて死ぬのだから——私の手によって。お前は、今オンブルを発動することは出来ないのだから……」
 秀英の言葉に、R・Bは目を見開いた。

 今、R・Bの弱点を知っている秀英には、なぜオンブルを出せないのかというのは、すべて筒抜けだ。
 R・Bは、秀英の挑発が癇に障り、集中力が途切れた……。その結果——次の枝の着地に失敗した。
「しまっ——」
 足を滑らせ、短い言葉を発すると、嬉しそうな笑みを見せ、秀英は簡単に追いつき、R・Bの首の根元を掴むと、そのまま近くの木に押しあてた。

 R・Bの叫び声が、森を支配する。
「拳法八ヶ条、三星舞」
 何にも感情の入っていない声が、R・Bの耳元で囁く。
 秀英が、指を三本立てると、そのまま背中に鞭のように打ちつけた。

 左斜めに一回、縦に一回、右斜めに一回——。
 まるで、ケーキを切るときのように、R・Bを斬った。
 ……数秒の沈黙。
 瞬間——。
 R・Bの斬ったところから、血が溢れだした。

 R・Bの血が、秀英を濡らす。
「…………」
 必死で痛みを堪えるR・B。
「おんやぁ?」
 秀英が、言った。
「もう終わりか? 返事しろ」

 秀英が、R・Bの髪を引っ張る。
 そして、強引に顔を秀英に持ってこさせると、目線を合わせる。R・Bの瞳には、恐怖はなかった。
 ただ、歯軋りの音が異様に大きい。
「何だよ、その目は。死に恐れを成していない目は。大体の犯罪者は、いつでも怯える。こんな状況に立ったら。だけど、お前は恐れているどころか、怒り爆発寸前って感じだな」

 ……何も答えない。
「俺を、ここまで出させるほど追い込んだ犯罪者なんて、そうそういないのに……」
「…………」
「……お前、今から死ぬんだぞ」

 ……R・Bは答えない。
 生気を失った訳ではない、なぜなら、彼女の瞳はまだみなぎっているからだ。
「もう死んでるくせに……その生意気な目はなんだ!」
 秀英が、腕を持つとねじり上げる。
 ……顔一つ変えない。

 秀英は、R・Bを見て言葉を失くすと、鼻で笑った。
「そうか。そんなに、殺して欲しいのか。なら、お望み通りに叶えよう。これが、最終奥義だ」
「気付け、バーカ」

 R・Bが、やっと言葉を口にした。
 自分の言っている最中に、邪魔をされて不愉快な顔になる秀英。
「お前の今立っている位置は、どこだ?」
 R・Bが、秀英の目に言った。

Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.62 )
日時: 2010/03/14 20:13
名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)

 秀英は、自分の状況を把握する。
 今、秀英とR・Bは向き合うように太い枝に立っている。R・Bは木の幹にもたれかかるようにして立ち、両腕は秀英の手に握られている。
 秀英は、R・Bの前に立っている。
 なぜ、こんな質問ばかりしてくるのか疑問に思ったが、無視し、神経を集中させる。

「人の話くらい聞けっての!」
 R・Bが、上段回し蹴りを、秀英の顔に食らわすと、よろけ、そのまま数歩後ろに下がった。
 あまりのことに、R・Bから距離を取る秀英。

「何をする。もう、お前に勝機はない」
「確かに、私の勝機はなかっただろう。あのままじゃ——」
「……どういうことだ」
 R・Bが不敵に笑う。
「何で私が、オンブルを今まで出さないのか、いや、出せなかったのはアンタだってわかってるだろ?」
「……そうだ」

 秀英が言った。その目は、まるで人の心の奥を、探ろうとするかのような、目だった。
 秀英は、まだR・Bが辿り着いてほしい答えには、辿り着いていない。
「私がオンブルを出せなかったのは、この木々。上にある木々達が満月の光を、遮って木の葉の影まで入ってしまうこと。それが、原因で私は物を切れなかった。だけど——今は違う」

「なんだって!?」
 秀英が、空を見上げる。同時に、目を見張り、言葉を無くした。そして、ずっと顔を空に向けている。
「お前の目の前に広がってるのは、満月の空だ。ここは、木の葉もなけりゃ、木々の枝もない。つまり——絶好のオンブル日和って訳だ」

「お前……! お前は、このことを計算して、ここまで俺を誘導したのか!? 俺がオンブルを使えない森の中に誘う事を予測していたのか!?」
 R・Bが、確信を持ったように、笑う。
「やっぱり、お前は私のオンブルの弱点を知った上で、私を森の中に誘ったのか?」
「ああ、そうだ。 お前は、標的の影がしっかりと現れていなければ発動することが出来ない。森の中では、他の木や、木の葉が邪魔となり、私の影をカモフラージュできる利点がある。もう一つは、その他の関係のない物を斬ってしまうため、ここに誘導させたんだ」

「やっぱり、そうか。おかげでいっぱい無駄な体力を使うことになったし、いっぱい無用な傷が出来てしまった。でも、今の状況を見ろ」
 R・Bが、勝ち誇ったように笑みを見せる。
「この場所に連れてきたのは、偶然だ。『はい、そうです』って言いたいトコだけどね。私があの時枝につたうことができなかった、強運ってトコかな?」
「くそっ……!」

 秀英が、この場から離れようとした瞬間——。
「おっと! 動かない方がいい。もう、お前の後ろは盗られてる」
 R・Bが、勝ち誇ったように腕組をして言った。
「ハ! そんなもの、はったりに決まっているだろ——」

 その時、秀英の喉に、小さな針を刺したような感覚に襲われた。
「…………」
 額から、冷や汗が静かに流れる。
「私は影使い——オンブル——だ。自分の影くらい、自分で制御できる」

 秀英は、ゆっくりと目線を下に移していく。
 すると、そこにはあるはずのR・Bの影がなかった……。
「お前の後ろに居るのは、私の影。影は、私と一心同体。つまり——私の意思が影の意思だと、思ってくれていい」
 その時、R・Bの影が、長く伸びた爪で、秀英の喉を三回ほど触った。

 血が、ゆっくりとにじみ出る……。
「残念だけど、ここでENDだ。お前の死体は」
 R・Bが、秀英に一歩一歩歩み寄る。
 そして、言った。
「さっき、私が掘った穴にちゃんと埋めておこう」
 R・Bが、手を振りかざし、満月の光に浴びせられた秀英の影は、真っ二つに切断された……。

Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.63 )
日時: 2010/03/14 22:24
名前: 理郷 ◆M0ienx5VF2 (ID: uB4no500)

かっけー。
R・Bやっぱかっけー。

Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.64 )
日時: 2010/03/14 22:26
名前: 理郷 ◆M0ienx5VF2 (ID: uB4no500)

>>56

こういう鑑定書ける人って、どういう文章書くんだろう;きっとうまいんだろうなぁ^^


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