ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活
- 日時: 2010/04/22 11:04
- 名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 9qYqZOsB)
どうも、こんにちは。
作者の空雲 海です。
えっと、第一作目がそろそろ完結するんで、二作目、連載したいと思います。
パクリとか言わんといてぇー!
それでは、どうぞお楽しみください。
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- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.50 )
- 日時: 2010/03/11 17:49
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
きたか——!
マフィアムーンサルトのボス、ムーンは、最上階の部屋の窓から飛んでいるR・Bを見ていた。
さっきの銃声音は、マフィアのもの。怪盗R・Bは銃を所持していない。
「あああああ……。もう終わりだ……」
田辺の口から言葉ではない言葉が零れると、両方のこめかみに二人のマフィアによって、拳銃の先が押しつけられる。
「少し黙っていてください、田辺さん。後であなたとはじっくりお相手いたしますから」
ムーンが笑みを浮かべて言うと、玉のような冷や汗が次々と流れる田辺。
「さぁ……。ここからどうするんでしょうね、R・Bは……」
その時、マフィアの拳銃がまた轟く。
狙った先は、飛行しているR・Bだった。
次々と銃弾を交わしていくR・B。
どの銃弾も、鳥のようにすばやく飛ぶシーニュには当たらない。
「おお、こえ。かすめるところまでいくなんて、さすが拳銃の最高峰レベルムーンサルトだな」
R・Bは倒したマフィアから奪った拳銃を、取り出すとそのまま屋敷のガラスに向け、発砲。
銃弾は正確にガラスに当たり、割れる。
R・Bはシーニュを運転しながら、屋敷の回りを一周し、次々とガラスを割って行った。
耳につんざき、後になっても残るような音が闇を支配する。
ガラスが飛び散り、辺りは騒然となった。
R・Bが最後のガラスを銃で叩き割る。
静寂が生まれた。
マフィアは、ガラスの破片で切った者が大勢いた。
「まぁ、最初はこんなもんか」
R・Bは銃を投げ捨てると、シーニュを加速させる。
静かに降り立つと、そのまま何食わぬ顔で、正面玄関から堂々と入って行った。
「くっそ!」
ムーンは、左腕に突き刺さったガラスを抜きながら言った。
そこから血が勢いよく流れる。
——屋敷とシーニュの間は、銃弾で正確にガラスを狙えるほど近くはない! では、R・Bの能力が優れているのか……あんな化物のような……!
ムーンは夜空を睨むように、一点を見つめていた。
息が荒く、肩で呼吸をしている。
田辺や、男二人は窓から遠かったので、少ない被害だった。
ムーンは立ち上がる。
綺麗な背広が、至る所を切り裂かれていた。
——こうなれば、時間の問題だ。R・Bは盗むまでの過程が大事なんだ。盗むところまで達してしまったら後は簡単になってしまう。今、止めなければ!
「お前達二人は田辺を見張っておけ! 私はR・Bを始末してくる!」
ムーンが荒々しくいい、扉に向かう。
最後に、二人の返事が聞こえると、扉を閉めた。
その時——。
何者かがムーンの手を掴む。そして、ガラスのない窓に引きづり込んだ。
最上階から地上まで、真っ逆さまに落ちる二人。
ムーンはとっさにホルダーから銃を抜き、掴んでいる手をぶっ放す。
しかし、相手の方が、数秒速く屋敷の壁を蹴り、その場を離れた。
綺麗に着地するムーン。
その数メートル先に、相手も着地した。
「一体、何者だ!」
ムーンが銃を相手に向ける。
その時、後ろから声がした。
「どこに声かけてんだ?」
反射的にムーンが後ろを向く。
その途端に、相手の回し蹴りがムーンに当たった。
弾き飛ばされるムーン。
「ちぇっ。なんだよ、なんだよ。全然歯ごたえねーじゃねーか!」
相手が吐き捨てるように言う。
ムーンは起き上がり、相手をじっと見た。
「俺はズィヴァーン。特殊探偵だ。今からお前を抹殺する。覚悟しておけ」
ヴァンの手には、マジックのようにナイフが現れた。
「ちなみに、十五歳だ」
「え。十歳じゃないの?」
「十五だ!」
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.51 )
- 日時: 2010/03/13 17:51
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
「彼の年齢と身長は、ギャップが目立ちますね」
ホワイトが言った。
アルジャンは、そのことに対して何も言わない。
「怪盗R・Bの様子はどうですか、ソノリテ」
ホワイトが、マントについている超小型トランシーバーに、問いかける。
「何も動きはありません。まぁ、動きがあったと言っても、ただ突っ込んでくる低能なマフィアをぶった切っているだけですけど」
ソノリテが答えた。
今、ホワイトとアルジャンはヴァンが戦っている場面を見ているため、その場から動いていない。
怪盗R・Bを捕えるため、ソノリテと秀有は、別の場所に居た。
「そうかい」
ホワイトが言った。
「R・Bは本命だ。隙があったら、君達がすぐに突っ込んで、君が始末してくれていい」
「私達が……ですか?」
「ええ、そうですよ」
「しかし、ホワイト様は、ご自身がと申されたはずですが」
「いいんですよ。君と対等に渡り合えるレベルのはずです。渡り合えるじゃ、ダメですね。それ以上のレベルですよ、あなた達は」
戸惑ったのか、返事が遅れるソノリテ。
「本当に、ええんかいな?」
秀有が言った。
「ええ。存分に楽しんできなさい」
ホワイトは、そう言うと返事を聞かずに切った。
それは、有無を言わせないように、する為のようだった。
「ホワイト様——」
アルジャンが、不意にホワイトに話しかける。
「ホワイト様。ムーン、ヴァン、以下二人は森に入って行きました」
「……そうですか」
ホワイトが、少し遅れて返事をする。
そして、軽くため息をついて、言った。
「あまり森の中を、走りたくはありませんね。どちらの方向に行ったのですか?」
「西の方角です」
「行きましょう」
ホワイトが言うと、太い幹からジャンプし、次の枝に着地する。
ホワイトを先頭に、まるで忍者のように二人は、森の闇の中へと消えて行った……。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.52 )
- 日時: 2010/03/12 16:33
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
「動き出したわ」
ソノリテが小さくつぶやいた。
しかし、この静寂の中、そんなつぶやき声でも響いてしまう。
ソノリテは、あのホワイトの通信から、連絡は入れていなかった。
いや、もしかしたら「連絡」なんて言葉は頭の中には、無かったのかも知れない。
動揺した。自分がやってもいいのかと——。なぜなら、ホワイトは自分がやると決めた以上は、絶対に曲げない人だった。
まるで、自分の獲物を人に横取りされないように、するように——。
しかし、ホワイトからの命は絶対。拒否をするということは、死を意味する。
「ホワイトが、あんなん言うてるんやから、うち等がやってもええっちゅーことやろ?」
「……ええ」
ソノリテが、遅れて返事をした。
あれから、ソノリテの目線は怪盗R・Bを、ずっと捕えている。
その時、ようやく低能なマフィア共を片づけているR・Bの動きが止まった。
「何が始まるのかしら……」
ソノリテは、生唾を飲み込んだ。
「マフィア風情が」
R・Bは吐き捨てるように言う。
目線には、廊下いっぱいに並んでいるマフィアが……。
ガラスのない窓から、月夜の明かりだけが降り注ぐ。
緊迫した空気が流れる。どちらかが最初に動くのか——。
六人のマフィアのうち、真ん中のマフィアがホルダーに手を掛ける。
その瞬間——。
六人のマフィアが一斉に銃を放つ。
R・Bとマフィアの距離は約三メートル。
当たる確率は少なくはない。
全弾丸が丁度月夜に当たると、影が出来る。
R・Bはその影に向かって、手を横に振りかざす。
弾丸の影が真っ二つに割れた。
それと同時に、弾丸も割れる。
真っ二つになった弾丸は、空しく床に落ちる。
「……なんだ、今のは」
マフィアの一人が言う。
「あんた達は私の力を、ナメてる」
R・Bは一歩近寄る。
その気迫に、押され発砲できないマフィア。
「オンブルは変装できるだけじゃない。オンブルは影——。影を使って変装することも切ることも出来る。つまり——」
R・Bは月夜に照らされた自分の左手の人差し指を、右手で振り下ろす。
影から血が流れる……。
同時に実態の指も切られ、影と同じ血が出てきた。
「私が影を切断すると、その実態も切断できる能力を持つ。ちょっと実践してみようか」
R・Bは手を一瞬で振りかぶる。
それと同時に、危険を察したマフィア達も、発砲する。
弾丸の影が切れる。それと当時に実態も切れる。
しかし、それだけでは終わらなかった。
マフィアの銃が影で切れる。
気付いたマフィアは、とっさに月夜の明かりから身を引くが——銃は無残にも真っ二つに切り裂かれた後だった……。
「残念。あともうちょっとだったのにね……」
この場を楽しんでいるかのように言うR・B。
そのままR・Bが続けた。
「さぁ、どうする? もう銃はないし、武器も何も持ってないだろ」
「なぜわかる?」
「ハッタリはよせ。さっき私があんた達の影をコピーした。何も武器が持ってないのはわかってるんだ」
「…………」
何も答えられないマフィア。
死に恐怖を怯えている訳ではない。しかし、生きるのは、もう諦めている。
彼らはそんな瞳だった。
「つまらんよ……。そういう武器に頼る連中は。それしか持ってないから、壊したらもうそこでゲームオーバー……。今回もつまらなかったから——」
R・Bが手を上に持っていく。
「終了にしようか」
不敵な笑みを残すと、R・Bは手を振りかざす。
逃げも隠れもしないマフィアは、影を切断される。
まるで、時間がゆっくりと流れているかのように、静かに崩れていった。
きれいなフローリングが、血の海に染まっていく……。
「最後に逃げなかったマフィアのプライドに、拍手って感じか?」
そう言うと、R・Bは軽々と死体をまたぎ、そのまま去って行った……。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.53 )
- 日時: 2010/03/12 19:36
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
「あのオンブルは……」
ソノリテは、一連の怪盗R・Bの攻撃を見ていて、疑問に思った。
頭の上には、疑問符が浮かんでいる。
オンブルとは、人を傷つかせないモノ——。なのに、R・Bを使っているオンブルは、斬ることが出来た……。
「ソノリテ! また、誰か出てきたで!」
秀有の声で、一時思考は中断する。
R・Bに目を向けると、ソノリテは目を見張った。
「あいつは……!?」
ヴァンが飛び、空中でナイフを投げる。
正確に飛んで来たナイフを、ムーンは銃で弾く。
息遣いが荒い。ムーンは、銃を持ったまま、森の中をまるで迷路のように、走り抜ける。
どこからともなく、ヴァンのナイフが飛んでくる。
銃ではじき返すムーン。
銃で狙ったのに、割れないナイフってどういうことなんだ……。
ムーンは思ったが、そんな余裕などどこにもない。
一方、ヴァンも思っていた。
投げたナイフという小さい的に、正確に当てるあいつは……。
ヴァンは思ったが、攻撃の手を休めることはない。
次々に飛んでくるナイフを弾丸で弾くムーン。
……。連続的な銃声と、ナイフが止んだ……。
静寂が生まれる。
森の中の木々が、風で揺れる。
その姿は、まるで「ここの森を汚すな」とでも言うように、ざわついている。
「そろそろ鬼ごっこが終わりにしよう……サル山の大将さん」
どこからともなく、ヴァンが言う。
「そうだな……探偵よ」
ムーンが言うと、森の中を発砲する。
数秒後、重い荷物を上から落としたような、低い音が聞こえた。
「やったか……?」
……静寂。
ムーンが気を許したその瞬間。
「まだ終わってねぇーよ」
低い小さなつぶやき声が、ムーンの耳元に囁く。
ヴァンは、ムーンの背後からナイフをのどに突き刺す。
しかし——……。
倒れたのはヴァンの方だった……。
- Re: 怪盗R・B 読者、お待ちしております! ( No.54 )
- 日時: 2010/03/12 21:01
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: MQ1NqBYl)
薄暗い廊下。R・Bはゆっくりと歩いて行く。
R・Bは、あれから誰一人マフィアが出てこない事に、疑問を感じていた。
誰かがやったのか、あるいは、もう本当に誰一人いないのか……。
R・Bは不意に立ち止まった。
窓に枠に誰かがいる。それは、降り注ぐ月明かりで廊下に、影が出来ている。
「情報屋——」
R・Bは、奥歯に潜む超小型送信機で連絡を取る。
「何ですか?」
情報屋の声が、R・Bの片眼鏡についている超小型受信機から聞こえる。
「あれは挑発ととらえていいのか?」
「そうだと思います。隠れるのならバレバレってわかってますよね、あれ。だって、いくら窓枠に隠れたって、月明かりで影が見えているのはあちらもわかっているでしょう?」
情報屋が冷静に言う。
R・Bは小さく頷くと、通信を切った。
R・Bは知らないフリをして、冷静に歩く。
そして、窓枠に来ると横を見る。
そこには、木の株があった……。
それは、よく影を見ても人間としか思えないほどのくっきりとした人間の輪郭——。
「しまった!」
その瞬間!
黒い影が木の株を蹴落として、R・Bにとび蹴りを食らわす。
しかし、R・Bはステップを踏み、危機一髪のところで横にそれた。
体勢を立て直すR・B。
その黒い影は——……。
「李 秀英(リ・シューイン)か……」
R・Bがつぶやく。
黒いチャイナ服のそでに両方の手を入れて、立っている。
「やっかいなモンに当たっちまったぜ……」
R・Bが言う。
「お前が怪盗R・Bか」
流暢な日本語で言った秀英。
「ああ、そうだ。中国人の犯罪者殺し(クリミヌル・キル)は、私を狙うのかな?」
「そうだ」
何も感情の入っていない声。機械音声の様な声。
「それは、光栄だな。私も、怪盗として一流になったということかな?」
今度は「そうだ」とは答えなかった。
代わりに、戦闘態勢に入る。
「それが答えですか……」
刹那、秀英がR・Bに瞬時に突っ込む。
R・Bは体勢を低くし秀英の足に、自分の足を引っ掛け、バランスを崩させる。
体勢を立て直す秀英。
「オンブルは出さないのか?」
秀英が言った。
「オンブル? 何の事だよ? オンブルは変装技術で作られたモノだよ」
「違う。オンブルは暗殺用にもう一つ作られたものがある。それはお前が使っているはずだ」
「違うな」
「なぜやらなかった……。下の階でやったマフィアのように——」
R・Bは目を見張る。
「さっきの私が、気を許した時になぜ発動しなかった……? あの時だけが、私を傷つけられるチャンスだったというのに——……」
秀英の背中から漏れ出すような殺気は、この広い廊下中を支配する。
湯気が立ち上るような、おぞましい殺気。
「あちらさんは、どうやら本気になるようだ……」
R・Bがつぶやく。
その瞳は、満月の光に当てられ、ギラついている。
いや、それとも怪盗の血が騒いでいるのか——。
「答えろ。なぜ、一撃でやらなかった」
「あの技は結構気力、体力使うんだ。そう何回も打てやしないよ」
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