ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活
- 日時: 2010/04/22 11:04
- 名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 9qYqZOsB)
どうも、こんにちは。
作者の空雲 海です。
えっと、第一作目がそろそろ完結するんで、二作目、連載したいと思います。
パクリとか言わんといてぇー!
それでは、どうぞお楽しみください。
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- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.105 )
- 日時: 2010/05/05 12:38
- 名前: 桜花 ◆NKkzWVdRW. (ID: 4/G.K5v4)
- 参照: http://元沙羅
あう
心配したよ急に消えたから
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.106 )
- 日時: 2010/05/05 13:17
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
おお…ふ…
あ、ありがとうございます!
復活した今でも、こうやってコメントを残して下さる方が居て、作者は感激です!(←言い過ぎかw)
続けていきます!
頑張ります!
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.107 )
- 日時: 2010/05/05 19:40
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
水無月が階段を上がりきると、廊下を右折する。
少し行ったところで足が止まると、そこには「舞鶴 博(まいづる はく)犯罪心理学科」とドアに書かれていた。
水無月は、ドアノブを右に回す。
そして、ドアを押すとそこには暗い部屋が広がっていた。
「暗い」
部屋に入った第一声を上げる水無月。
薄暗い部屋の中には、小さな塵や埃などがもうもうと舞っており、明かりは部屋全体にある窓に降り注ぐ太陽光だけ。部屋は元々広いが、地面に散らばっている資料の山々で狭く感じる。
「教授ー」
水無月が、しかめっ面をしながら入ってくる。
資料で埋め尽くされている地面を、器用に進んでいく。
水無月が、数歩行ったところで目の前に大きい上下にスライド式の黒板が見えた。
その黒板に、まるで食い入るようにチョークの激しい音が聞こえていた。
忙しくチョークを動かしているのは、五十代半ばの男だ。
ごわごわとした梳いていない髪、よれよれなシャツ、手の甲から腕に掛ける伸びている毛、後ろから見ても、不清潔感を漂わせている。
「舞鶴教授ー!」
水無月が、大声で怒鳴るように言った。
すると、舞鶴と言われた男は、肩が飛ぶように跳ねるとゆっくりと後ろに振り返る。
「やぁ。水無月クンじゃないか」
男は、青白い顔で言った。
「はぁー……。どうにかなんないのか? この部屋は」
水無月は、周りに散らばる資料を見渡して言った。
「しょうがないじゃないか。僕には『助手』というものがいないんだから」
舞鶴は、ブラックのコーヒー二つを持ってきながら言った。
「助手にやらせるのか?」
水無月が、ブラックコーヒーを舞鶴から受け取りながら言った。
「ああ、そうだよ」
「バカか、教授」
水無月が、冷たく言い放つ。
舞鶴は、深く埃だらけのソファに腰かけると言った。
「僕だって、ちゃんと掃除はしたいんだけどねー、それがねー、なんか……『掃除しよう』とは思うんだけど、体が突然動かなくなるんだよ、思うと」
「ただ単にやりたくないだけじゃねぇーか」
水無月が、コーヒーをすする。
「……あははは」
無理矢理笑いを返事に換える舞鶴。
そして、話を変えた。
「ところで、どうして水無月クンなんかが、ここに来たんだい? いつもゴミ屋敷と言って行きたがらない水無月クンが」
「学長に捕まっちまって。これをアンタに渡してくれって頼まれたんだ。ついでに、私も論文を書き上げたから見て貰おうと思ってきた訳」
水無月が、コーヒーをすする。
舞鶴も、コーヒーをすすった。
……コーヒーを飲む音だけが、広い部屋に響く……。
「……それだけ?」
舞鶴がようやく口を開いた。
「ああ、それだけ」
……沈黙が続く。そして、思いっきり息を吸い込んだ舞鶴は、
「えぇー!?」
と言ったが、水無月も息を合わして、
「えぇー!? ……だろ、わかってるよ何回も聞いてんだから!」
と、言った。
「何でなんだい? 何か研究を手伝ってくれるとかないのかい、君は。まったく、君は本当に優しくないねぇー。年寄りには、親切にしなきゃダメだよ?」
「なんで、教授に説教くさい事言われなくちゃなんだいんだよ! てか、お前誰だよ!」
「お父さん」
「ぜってぇー、違うだろ!」
荒い呼吸の水無月。
「教授と付き合ってたら、寿命が縮むよ……」
「ほら。そんなに怒鳴ってたら、年寄りになってはやくにポックリ逝っちゃうよ?」
「教授の所為だろ!」
息が上がる水無月。
水無月は、肩掛けカバンを開けると、太い書類を出してきた。
「とにかく。私はこれを私に来ただけだ。私に来ただけで、こんなに疲れるなんて思ってなかった……」
水無月が、ソファから立ち上がる。
すると、一斉に埃が舞い上がる。
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.108 )
- 日時: 2010/05/06 17:46
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
「あり? もう帰っちゃうのかい?」
舞鶴が、すこし寂しそうな目をして言った。
「ああ、帰る! もうこんなとこは二度とごめんだ!」
水無月が、踵を返しドアに向かっていくと、いきなりドアが盛大な音を立て女が入って来た。
「水無月さん! 水無月 弥生さんはいますか!」
「はぁ?」
水無月の片眉と口の端が上がる。
彼女は、昔ながらのおさげで、丸眼鏡を掛けて、背が百五十センチくらいしかない。
鼻が低く、目が大きく丸い。とても愛らしい表情をした女の子だった。「女」というより、「女の子」のほうが似合う。
「おー! 甘利(あまり)ちゃーん!」
舞鶴が、水無月の体から顔を覗かせ、ドアに入って来た女の子に言った。
「舞鶴教授ー!」
甘利と言われた女の子が、地面に散らばっている資料を慣れた足取りでソファに来る。
「今さっき、水無月さんと言わなかったかい?」
「はい! 言いました!」
「それじゃぁ、彼女を紹介しよう」
舞鶴が、手を水無月の方に向ける。
「彼女が、この大学一頭のきれる水無月 弥生さんだ」
「えぇー!? 本当ですか!?」
女の子の声が広い部屋の中に響いた。
「ああ、そうだよ」
舞鶴が柔らかい口調で言った。
「教授。この人は?」
水無月が、少し迷惑そうに片眉を上げて言った。
「あ、申し遅れました! 私は抱 甘利(かかえ あまり)と言います! この大学では一年生で、新聞部のサークルに入りました! 掲示物に貼ってあるほとんどの新聞を、私のサークルが書いています!」
「……はぁ」
水無月が、あいまいな返事をする。
「まぁまぁ、ここに掛けなさい、甘利ちゃん」
舞鶴が隣を指さした。
「ありがとうございます!」
太陽の様な満面の笑みを見せると、隣のソファに座った。
これで、水無月を対になるように座った。
「抱……さんだな?」
水無月が腕を組んで言った。
「はい!」
「それで、私に何か? 早くここを出たいんだ。手短に」
「はい! えっと、私は新聞部の新入部員なんですが、ある大役を任せられまして、それがこの大学で一番頭がきれる二人を取材してきて、それを新聞に載せるというものなのですが、あいにく秀有さんがいらっしゃらないということで、水無月さんだけでも、取材して来いとのことでして——……」
「それで、私を追ってここに来たってわけか?」
「はい。そうです」
水無月は頭を抱えて小さくため息をついた。
まさか、こんな埃っぽいところで、しかも初めての取材をするハメになるなんて、思ってもみなかったからだ。
水無月は、早くここを出ればよかったと後悔した。
そんな水無月をよそに、やる気満々の抱。本物のベテラン編集者のような輝いた目を、水無月に熱く送っている。
「悪いけど、取材は受け付けない。帰る」
短い言葉を言い放つと、水無月は立ち上がる。
「えー!? ちょっと待って下さい!」
抱も、急いで立ち上がりその後を追う。
「少しだけ時間を取らせて頂くだけなんです! だから、数個の質問だけでも——」
抱の喚くようなでかい声を、R・Bはそれ以上のでかい声で遮った。
「私は取材等などは受け付けない主義なんだ。わかったら、立ち去ってくれ」
「でも——」
「『でも』でも、何でもないから」
水無月は、抱を軽くあしらうとそのまま研究室の扉を開け、大きな音を立てて閉めた。
- Re: ——怪盗R・B—— なんやこんやで復活 ( No.109 )
- 日時: 2010/05/06 20:25
- 名前: 空 ◆EcQhESR1RM (ID: sq.MYJuj)
「とんだ災難ですねー」
扉を閉めた後、一番最初に飛び込んできたのは、メガネから聞こえる情報屋の声だった。
水無月は、奥歯に潜む超小型送信機で返事をする。
「一々出てこなくてもいい」
「単に感想を言っただけじゃないですか。それにしても、あなたは悪魔のような人だ。ちょっと質問くらい答えてあげればいいのに」
「私はそういうようなことを答える主義じゃない。さっきの一連の会話を聞いていたら、わかるだろ?」
「まぁ、あなたの性格は、私が十分承知なんですけどね」
「承知の上でそんなことを言うな。切るぞ」
R・Bは、情報屋との通信を荒く切った。
午前十二時——。
この時間帯の電車は、駅前の昼食を食べにくるOLやサラリーマンなどで、通勤ラッシュ並みに混雑してくる。
しかし、それは日常茶飯事で、今回もそう——なはずだった……。
「扉、閉まりまーす。駆け込み乗車は、ご遠慮ください——……」
車掌さんのアナウンスが聞こえ、甲高い笛の音が、駅のホームに響いた。
扉が閉まる。
そして、ゆっくりと電車が動き、徐々に加速されていき、駅の遥か彼方へと小さくなっていった。
その頃、駅を出発して間もない電車の中には、水無月も乗っていた。
窮屈な電車の中、OLの笑い声や、サラリーマンのげっそりとした小さい声での収入話。タバコのにおい、濃い化粧のにおい——あらゆる臭いや話し声に、電車の中は支配されていた。
水無月が、扉にもたれかかり、景色を見つめる。
目が左右に流れるように動いているだけで、焦点はあっていない。
外では、車と人が行き来きしたり、マンションのベランダから服を干したり、小学校のチャイムが鳴ったりと、この日本における『生活』が、電車の窓を通して見えていた。
水無月は、この時間帯の窓から見える景色は好きだが、車内の中は嫌いだった。だから、いつも窓を見つめ、気を紛らわしているのである。
「物凄い窮屈そうですね」
その時、情報屋の声が聞こえた。
「お前をこっちに連れてきて、この通勤ラッシュ並みの車内の中に押し込んでやりたいよ」
水無月が皮肉たっぷりで言うと、
「遠慮しときます」
小さい声の機械音声が即答してきた。
軽くため息をつく水無月。
その時、どこからかうめき声が聞こえてきた。それも、女の子の小さな声だ。それは、物の数秒で止まり、あとはまたOLやサラリーマンの話し声でかき消されてしまった。
しかし、そんな小さなうめき声も、水無月の聴覚には普通の声と同等の大きさだった。
水無月は、目線を窓からそらし、車内を見る。
すると、ちょっと奥の方に、ここの時間帯では見かけない女子高校生が乗っていた。短いスカートに、だらしない制服、カバンにキーホルダーやらなんやらが、付けられており、学校指定のカバンとはかけ離れている。
その女子高生からうめき声が聞こえてきているのだ。
「おい、情報屋。このままメガネに移っている情景をズームしてくれ」
「……了解」
情報屋の返事が数秒遅れた。
そして、ズームアップする。
しかし、ズームにしたとしても、女子高校生に何があったのかは特定できない。
しかし、その時——電車が揺れた。その反動で人々が揺れ動き、足元がふらついた。
それは、水無月も同じで揺れた拍子に女子高生の背中が見えた。徐々に目線を落していくと、四十代のシミだらけの手が、女子高生のスカートに当たり、終には痴漢行為をしていたのだった。
電車で大きく揺れた為、人の立ち位置がすこしずれ、見えるようになったのである。
水無月は、大きく目を見張った。
「……おい、情報屋。メガネを通して何が起きているかわかるか?」
「……わかりますよ」
苦々しい声で、情報屋が言った。
「ふー……大変な光景に当たっちまった……」
「このまま電車内を出て、そいつを捕まえるしかないですね……」
「……ああ」
水無月がそう言ったが、それには無理の要素があった。
水無月は結構距離が離れていて、しかも扉に近い。反対側の扉から出るということは不自然な行為であり、混雑中の中人を掻き分けて進むのは、リスクが大きすぎる。それも、犯人を外まで連れて行くとなると——。
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